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Yuna
朽ちた手のひらから
剥がれた瞳から 嗚呼
溶解して溶けた鉄の身体から
あなた が入ってくる
.
記憶の片隅に
.
青い瞳と
硝煙の匂い
.
骨となった赤い傘
.
.
・・・彼は、まだ来ない。
何故だろう
.
彼女がずっと遠くを見ている
どんなに日が照り付けてその樹皮を焼き焦がそうとしても
どんなに強い雨風が彼女の胸元をはだけさせても
彼女はずっと遠くを見ている
.
彼女の視界に僕は入らない
.
.
.
入れない
.
.
.
何故だろう
彼女に気づいてもらえない
こんなに近くにいるのに
.
何故だろう
彼女を抱きしめられない
こんなに近くにいるのに
.
彼女は少しずつ朽ちてゆく
僕はこのまま彼女の隣りに・・・
.
・・・世界の終わる その日まで
どうして 気付かないんだ
僕はもうずっとずっと前から
雨の中、此処に立っていて
きみ を見ているのに
.
ぬれた前髪を縫って垂れて行く雫が
全てに草臥れたこの街に、やさしく
.
アスファルトを埋めていく この
雨粒の中のひとつは僕
孤独は とてもつめたい
.
嗚呼 覚えているかい
喉の渇きを潤すように
君を傷付けたのは
僕の存在なんだ
.
.
他の誰でもなく
そうそれは過去への回帰
.
ふと思い出すその昔
あの日あの時あの瞬間の、
.
あの銃声
.
地に伏して血に濡れていたのは そうきっと彼
.
覚えている
覚えている
そう覚えているのに
解放されないこのわだかまり
.
彼は彼 なのに 彼は誰?
.
分からない
ワカラナイ
.
彼に会える けど 会えない
.
彼は私が分かる
.
でもワタシは?
.
ワカラナイ
.
そうそれは過去への回帰
あの日あの時あの瞬間の、
.
あの銃声
.
ワタシは楽しむ
長い長い過去への回帰
それは彼との過去の共有
.
そう
.
他の誰のものでもなく
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