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「工業技術ニュース」新聞記事抜粋
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「朝日新聞2007年10月12日」 ◎水素自動車、表舞台へ「武蔵工大、37年間の研究に脚光」 水素を燃やして発生するエネルギーでエンジンを回す水素自動車が、国内各地を走り始めています,開発を引っ張っているのが、東京都世田谷区の住宅街にある武蔵工業大学。一私大の研究室が37年にわたって蓄積してきたデータは、世界でも高く評価されています。(堀口元) ◇高圧噴射で時速150キロに 武蔵工大のキャンパス内に立つ水素エネルギー研究センター。室内には、町工場のように様々な部品が散らばる。指導する山根公高・工学部准教授(60)の方針は「自ら部品を削ってつくり込まなければ、失敗が見えてこない」。15人の学生たちはノートに向かうだけではなく、油にまみれながら部品を組み立てることもある。 武蔵工大が独自開発した水素自動車「武蔵10号」は、マイナス253度に冷やして液化させた水素を魔法瓶のようなタンクに詰め、シリンダーに噴射して燃焼し、エンジンを回す。100リットルの液体水素タンクを搭載し、最高時速150キロ。走行距離は300キロに達するという。小型の高圧ポンプで液化水素を噴射することで、燃焼効率が向上し、よりパワフルになった。「高圧噴射に着目したのはすばらしい」(独BMWの開発担当)と、世界のメーカーから高い評価を得ている。 研究室の年間研究費は多い年で8千万円ほど。大学側は研究費をほとんど出さないため、必要な費用の大半はメーカーなどからの委託研究費に頼る。国のほか、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、BMWやメルセデスベンツなどが研究費を出してきた。研究を率いる山根准教授は武蔵工大OB。4年生だった70年、「化石燃料はいずれなくなる。将来、社会が求めるものをあらかじめつくっておくのが大学の使命だ」が口癖だった故古浜庄一・工学部教授(当時、のちに学長)のもとで、水素自動車の研究を始めた。 「雪が降るクリスマス、水素を注入するとエンジンが初めて回った。とても感動的だった」と、山根准教授は振り返る。卒業後、日産に就職したが、休日には大学の研究も手伝った。74年に国内初の水素自動車「武蔵1号」が完成。気体水素のボンベ10本を積んで環状8号線を走った。75年完成の2号は、米国で2800キロを走破。94年完成の2号は箱根の坂道を時速35キロで上った。研究はさらに進み、来年にもお披露目する11号には、電子制御で水素を噴射して燃焼効率を高める高性能エンジンを搭載する計画だ。 恩師の古浜元教授は02年、80歳で死去した。山梨県内にある墓のわきには武蔵2号のオブジェが横たわり「水素自動車の創始者、ここに眠る」との文字が刻まれている。 ◇実用化あと一歩の段階 水素自動車は「究極のエコカー」といわれてきた燃料電池車の陰に隠れ、目立たない存在だった。だが、燃料電池車には高価な白金が必要。1台あたりの製造コストは数億円とされる。これに対し、水素自動車の価格は、一般のガソリン車の数倍程度とみられる。街中で水素を供給するステーションが、国内にはまだ12カ所しかないなど必要なインフラ整備は遅れているものの、武蔵工大のがんばりもあって実用化にあと一歩の段階までこぎつけた。 BMWは7月から、水素自動車「ハイドロジェン7」の試乗会を国内各地で始めた。液体水素とガソリンを併用し、ボタン一つで燃料が切り替わる。水素で200キロ、ガソリンで500キロを走ることが可能だ。開発者の山根健ゼネラルマネジャーは「高速運転での加速の心地よさを実現するのに、水素自動車はもってこいだ」と話す。 マツダも昨年から月額42万円で水素自動車のリースを始め、経済産業省や広島、山口県などの自治体、企業に貸し出している。マツダは東京モーターショー(27日から一般公開)で、水素ハイブリッド車を披露する。長年にわたって研究してきた水素自動車が注目を集めていることに、山根准教授は感慨深げだ。「温暖化問題が急激に進むと、実用化の近い水素自動車の出番がある。古浜先生の遺志を継ぎ、開発を急ぎたい」 ◇キーワード「水素自動車と燃料電池車」 水素を燃料とする点は同じだが、水素自動車は水素をエンジンで燃やして動力を得る。これに対し、燃料電池車は水素と空気中の酸素を化学反応させて発生する電気を電池に蓄え、動力として使う。ともに走行中に水蒸気を発生するが、二酸化炭素は出ない。 ただ、水素自動車は高温燃焼によって微量の窒素酸化物が出るため、触媒などで取り除く必要がある。燃料電池車が「究極のエコカー」と呼ばれるのは、水素自動車と違って汚染物質を出さないうえ、エネルギー効率が高いとされるためだ。 ◇視点「温暖化、急激なら?」 発明から100年以上たったエンジンが基本構造はほとんどそのまま、今なお自動車の動力源として生き残っているのは、力強い加速や整備のしやすさなど、高い完成度を誇るからだろう。開発担当者からは「エンジン車は今後50年は残る」という言葉が異口同音に聞かれる。 地球温暖化が急激に進んだ時、「究極のエコカー」なのか、「つなぎ」なのかは分からないが、ガソリン車などに交じって水素でエンジンを動かす車が街中を走り回る光景が見られるかもしれない。 「朝日新聞2007年10月12日」 ◎却売帯携「三洋、年内決着目指す」京セラと交渉、正式発表 経営再建中の三洋電機は11日、携帯電話事業の売却に向け京セラと交渉入りすることで合意したと正式発表した。売却額などを詰め、年内の決着を目指す。三洋は携帯・通信関連事業から完全撤退する。買収ファンドのアドバンテッジパートナーズと売却交渉を進める半導体事業では来週にも合意に達するとみられ、三洋の事業切り売りは最終局面にさしかかった。 売却対象になるのは、大阪府大東市の研究開発拠点、マレーシアと中国・天津の製造工場、海外の販売会社などの携帯電話事業と、PHS基地局など通信事業。三洋はこれらを分社化した上で、全株式を京セラに売却する方針。携帯電話の主力生産拠点の一つである鳥取三洋電機(鳥取市)は売却せず、カーナビなど車載事業の拠点に衣替えする。 売却対象となる事業の07年3月期の連結売上高は2770億円。携帯事業は07年3月期に営業赤字に転落していた。京セラにとって最大の狙いは、北米市場での事業強化だ。同社は00年の北米参入以来、端末の提供先が中小通信事業者に限られていることもあって赤字が続く。大手のスプリント・ネクステルに端末を提供し北米で黒字を維持する三洋の事業を取り込むことで、黒字化を図る考えだ。 「朝日新聞2007年10月12日」 ◎薄型TV、好調予想。年末商戦「リンク機能」が奏功 フルハイビジョン(フルHD)化と、テレビやレコーダーなどをリモコン1台で操作できる「リンク機能」が需要を掘り起こす。市場調査会社BCNは11日、こんな分析をもとに、デジタル家電の年末商戦は好調だとの見通しを発表した。薄型テレビでは値下がりに歯止めがかかり「年末商戦は台数で前年比30%前後の伸びが期待できる」としている。 薄型テレビでは、今年に入ってフルHD化とリンク機能の搭載が進み、価格も安定して販売金額を押し上げている。液晶とプラズマの競争ではサイズによるすみ分けが崩れており、40型以上50型未満ではリンク機能を搭載したプラズマが巻き返している。50型以上では、フルHD化が進んだ液晶がプラズマ市場を切り崩し、台数シェアは40%に迫る勢いだ。 販売台数で前年比2ケタ減が続くDVDレコーダーは、地上デジタル放送対応・リンク機能搭載の機種が伸び、金額では前年を上回っている。規格争いが続く次世代DVDは、平均単価が15万円を切って買いやすくなったが、販売台数はレコーダー全体の1.8%、金額で3.8%にとどまつており、BCNは「年末商戦で金額で10%行けば上出来。(規格争いの)決着は来年以降」と見ている。 %に達した。市場は復調傾向にあるという。記録媒体では、ハードディスク駆動装置(HDD)やDVD、SDカードなどが混在する状況が続き「メーカーも模索中」(BCN)だ。 「朝日新聞2007年10月12日」 ◎CO2削減、新目標「1300万トン追加は官主導」 地球温暖化対策をテーマとする環境省と経済産業省の合同審議会が11日開かれ、化学、製紙、セメントなど13業界が、温室効果ガス削減の自主行動計画の目標を年間で計約1300万トン(二酸化炭素“CO2”換算)上積みする方針を発表した。政府の強い働きかけに、温暖化対策では「優等生」とされる業界が応じた結果だ。「自主行動」の名目を脇に置いたような手法は、京都議定書の目標達成が綱渡りであることを改めて浮き彫りにした。 ◇産業界に負担感、達成難題 自主行動計画の追加対策では、最も削減量が大きくなる化学業界を筆頭に13業界合計で年間1294万トンを新たに削減する。ただ、この日の審議会で、学識経験者の委員から「もはや“自主行動計画”ではなく、規制に近い」との指摘があったように、政府主導は鮮明だ。「産業部門の排出削減は比較的順調だが、(民生など)他部門で成果が出ていない。そこで産業界にもう一段の努力をお願いし、目標を達成している業界で目標を引き上げる、という方針が出てきた」。 経済産業省の北畑隆生事務次官は同日の定例記者会見で、今回の追加削減の背景に同省の働きかけがあったことを率直に認めた。日本の産業界の削減手法は欧州連合(EU)のような規制ではなく「企業の自主的取り組み」を原則とするが、京都議定書の目標達成には背に腹は代えられないからだ。 環境省はさらに強硬だ。石油、ガス、ガラスなど7業界の新目標は06年度実績ですでに達成されており不十分とし、「これで終わりというわけにはいかない」(幹部)と、さらなる上積みを求める考えだ。 ◇「余地少ない」 産業界の負担感は小さくない。13業界で最大の追加削減を掲げた化学業界。今回の目標は各社の積み上げではなく、日本化学工業協会の冨沢龍一会長(三菱ケミカルホールディングス会長)がトップダウンで決めた。「達成できるかどうかは景気に左右される」との声が同協会内からも漏れる。 やはり追加削減に踏み切るセメント業界は「燃料に廃棄物を使うなど努力を重ねているが、余地は少ない。今回出した以上の削減は難しい」(太平洋セメントの福島秀男常務執行役員)と審議会の場でくぎをさした。両省は、今回の追加削減に加わらなかった業界にも新たな取り組みを求めているが、業界側が応じるかどうかは不透明だ。 自動車業界は「現行の目標は何とか達成できる見通しだが、それは各社が燃費向上に取り組んだ結果。こうした努力が、かえって削減目標の上積みにつながりかねない」(日本自動車工業会)と警戒を強める。 ◇迫る約束期間 合同審議会は今後、国内の企業に排出量の上限を設けて過不足分を売買する排出権取引や環境税、サマータイムなどを議論するが、こうした対策への賛否も分かれている。「今回の追加削減の数値は、めいっぱい。自然災害などがあって(京都議定書の)目標を達成できなかった場合の(政府としての)対応を考えておくべきだ」。委員の一人、東京大学先端科学技術研究センター特任教授の山口光恒氏はそう話した。目標達成の確証が得られないまま、京都議定書の約束期間は来春に迫る。 ◇環境税構想、経産次官が酷評「効果も意味もない」 経済産業省の北畑隆生事務次官は11日の記者会見で、環境省が地球温暖化対策として提唱する環境税を「効果もないし意味もない」と切り捨てた。環境税を巡っては6日公表の内閣府世論調査で賛成派が反対派を上回る結果が出たばかり。長年反対してきた経産省としては、温暖化ガスの追加削減策を発表した勢いに乗じた格好だ。 北畑次官は、環境省が環境税の「心理的効果」を挙げることにかみけ付き、「国民啓蒙のための税導入は聞いたことがない。そういう税はおかしい」と批判。「何に使うかもはっきりしない」「意識改革やキャンペーン強化が本質。手法が間違っている」などとこき下ろした。 「朝日新聞2007年10月11日」 ◎27日から東京モーターショー「エコ、和み、音声、安全」 ◇「やさしいクルマ」競演 東京モーターショーが27日から千葉市の幕張メッセで一般公開されるのを前に、自動車メーカー各社の出展車が10日、出そろった。ここ数年おなじみの燃料電池車やハイブリッド車などのエコカーに加え、国内市場の低迷を打ち破ろうと斬新なデザインで需要の掘り起こしをねらったり、「人にやさしい」点をアピールしたりしたクルマが数多く登場する。(堀口元、鈴木暁子) 各社が最も力を入れたのは、最先端の環境技術をいかしたコンセプトカーだ。トヨタ自動車はハイブリッド車「プリウス」の未来形「1/X(X分の1)」を公開。家庭など外部の電源からも充電でき、車両重量はプリウスの3分の1(420キロ)、燃費はプリウスの2倍をめざす。ホンダも軽量化したハイブリッド車「CRIZ」で、環境と走りの楽しさの両立に挑む。 電気自動車は5社が出す。三菱自動車の「iMiEVSPORT(アイミーブスポーツ)」は、1回の充電で従来より40キロ長い200キロを走行できる。富士重工業の「G4eCONCEPT」は5人乗りで最高時速200キロという。マツダは流線形の車体で空力性能を向上させ、燃費を改善した次世代ロータリーエンジン車「マツダ大気」を出展する。 国内新車販売は27ヵ月続けて前年割れしており、各社とも特に若者に乗ってもらおうと斬新なデザインで競う。トヨタの「Hi-CT」は欧州のデザイナーを起用した。若者受けを狙いごつごつとした車体のハイブリッド車だ。都市部の大学生をターゲットにした日産自動車の「ラウンドボックス」は、4人で乗れるオープンスポーツカー。公園のベンチのようなシートで、わいわいとしゃべりやすくしたという。 今後に向けたコンセプトカーだけでなく、販売てこ入れへ新型車のお披露目も相次ぐ。日産は12月発売のスポーッカー「NISSANGTIR」の車体など全容を明らかにする。ホンダは最量販車種「フィット」を、富士重工業はカーレースファン注目の「インプレッサWRXSTI」を発売に合わせて展示する。 コンセプトカーでは、親しみのわく外観や装備で運転者を和ませたり、歩行者の安全により配慮したりした「人にやさしいクルマ」が登場するのも注目点だ。「気をつけてね」。日産の電気自動車「ピボ2」のロボットは、降車時に声をかける。ホンダの燃料電池車「PUYO(プヨ)」は、車体が柔らかいシリコーンで覆われ、人に軽くぶつかってもけがをしにくいという。トヨタの「RiN(リン)」は「乗れば乗るほど健康になるクルマを」(渡辺捷昭社長)との声かけで開発され、座席に姿勢よく座れるよう工夫されている。 人とクルマの一体化を掲げた展示も。同じトヨタの「iIREA」(アイリアル)」は将来の商品化を見込んだ1人乗り電気自動車で、歩行者と同じ時速6キロから30キロまで出せる。スズキも歩く速さで動く1人乗り電気自動車「PIXY(ピクシー)」を出展する。 ◇241社が出展「世界初71台」 今年の東京モーターショーには、世界11ヵ国・1地域(台湾)の4政府と241社が計520台を出展する。世界初お披露目(二輪車、車体を含む)は、トヨタの8台を筆頭に71台の予定。前売り入場券は一般1100円(当日1300円)、中高生500円(同600円)、小学生以下は無料。来場者は前回(05年)並みの150万人を見込む。 「朝日新聞2007年10月11日」 ◎CO2追加削減、1300万トン「13業界、目標引き上げ」 京都議定書で定められた二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減目標達成に向け、排出量が大きい主要産業がまとめた自主行動計画の追加対策が10日、明らかになった。化学、製紙、石油など13業界が従来の目標を引き上げ、経済産業省の推計では年間で計約1360万トン(CO2換算)分の削減量を上乗せすることになる。日本の削減義務6%の約1%分で、目標達成に政府が必要としている追加削減量2000万〜3400万トン分の4〜7割にあたる。 11日に開かれる環境、経産両省の合同審議会で報告される。ただ、石油など今回強化する目標をすでに達成している業界も多く、削減目標のさらなる引き上げを求める声が出そうだ。 13業界の大部分は、エネルギー原単位と呼ばれる一定の経済活動量あたりのエネルギー消費量で削減目標を設定。化学と製紙はエネルギー原単位で90年度比20%削減に強化、石油は同13%削減を掲げる。経産省によると、この3業界だけで追加削減量は年間1300万トン近く見込まれる。 一方、電力と鉄鋼は、新たな目標設定はせず、海外から取得する排出枠を大幅に増やして従来目標の達成を目指す。電力は、昨年の計画では計3000万トン程度(08〜10年度)としていた排出枠の取得を計1億2000万トン程度(08〜12年度)に引き上げる。原発の稼働率低迷などを考慮した。 ただ、今年7月に新潟県中越沖地震で運転停止となった東京電力柏崎刈羽原発の影響は含んでおらずへ停止が長引けば、排出枠の追加取得がさらに必要となりそうだ。中国など海外で需要が伸びている鉄鋼も、08〜12年度の排出枠の取得を計2800万トンから計4400万トンに増やす。 経産省などは、電機・電子、百貨店などの業界にも目標引き上げを要請しており、さらに削減量を追加できるとみている。それでも議定書の目標達成には足りず、排出量が大幅に増えている家庭部門やオフィスビルなどの業務部門での対策強化も焦点となる。 「朝日新聞2007年10月10日」 ◎環境・CO2排出枠売買、手探り「1トン=約1200円、国内削減制度の結果は」 二酸化炭素(CO2)削減のお値段は、1トンあたり約1200円。環境省が企業のCO2削減を促すため、2年前に試験的に始めた自主参加型の国内排出量(排出権)取引制度。その結果が初めてまとまった。目に見えないCO2削減をどうやって売買すればいいのか、参加企業も手探りで進めてきた取り組み。環境省は近く評価委員会を設け課題などを検証する予定だ。(小堀龍之) ◇どう算出?・余剰分売らぬ社も 「本社の倉庫で書類の山をかき回した。伝票探しが大変でしたね」。東洋ガラス(本社・東京都)の担当者は苦労を振り返る。同社川崎工場は、国から省エネ設備更新の補助金を受ける代わりに、約束したCO2、2600トン余りの削減目標を期限内に達成。「余った」削減1000トン分を、他社に売却しようとした。だが、目に見えない削減量をお金にするだけに、厳しい監査が待っていた。 過去3年分のCO2排出量の根拠となる重油や電気の使用量が必要。コンピューターに数値を入力済みなので安心していたら、伝票提出を求められた。電気使用量が正確かどうか、電力計の誤差も調べられた。制度を知ったのは応募締め切り1週間前。「社内では異例の速さ」で参加を決断したが、その後、更新した省エネ設備にトラブルも出て「ひやひやする場面もあつた」という。 苦労したのは参加者だけではない。環境省側も、国際標準にあわせたCO2算定法づくりなどの作業を積み重ねたが「やってみて初めてわかったことが多い」(地球温暖化対策課)という。参加者は達成できそうな目標を立てたが、景気回復で排出量が増えた結果、不足分を取引で補わなくてはいけない社が出た。 同省はインターネット上の取引仲介サービスを用意したが、1期目の取引24件のうち、利用は13件でCO2、約1万8000トン分。削減1トンあたりの値段の平均1212円は、この部分のデータだ。同省が考えていたより相対取引が多く、残りの11件、CO2、約6万5000トン分は把握できなかった。 「まだ、市場として十分機能していない」。取引にかかわった商社、兼松(本社・東京都)の担当者は結果をそうみる。環境省が制度の参考にした欧州連合(EU)の制度では、取引対象は約1万1500施設。今回は実験的とはいえ規模が小さい。同社がCO2排出枠について「早く買えば安くなるという“殺し文句”」を参加者にもちかけても、反応は薄かったという。 削減目標を達成したのに、他社に余剰分の排出枠を売ろうとしない会社もあった。「何か信条に反するのだろうか」と関係者は首をひねる。結局「参加者の主な目当ては補助金だろう」との見方も、参加者自身から出ている。国が参加企業31社に出した補助金は26億円に上る。 ◇計37万7000トンを削減 実際のCO2削減効果はどうか。06年度の排出量では、基準年度(02〜04年度の平均)の約3割にあたる37万7000トンを削減できた。排出量取引もあり、全社で、削減目標が達成された。 参加者も06年度からの2期目に58社、今年度からの3期目は61社。1期目とあわせ計150社(商社など取引のみの参加は除く)に増えた。 さらに今年度から、削減目標を立てて取引に参加するが、設備の補助金はもらわない企業も6社ある。大和ハウス工業(本社・大阪府)は栃木、三重の両工場で約760トンの削減目標をたてた。「どれだけCO2を減らせたか、客観的な審査を第三者にしてもらうという考え方もできる」 鴨下環境相は最近、この取引制度について「任意にやってもらうのではなく、もう少し幅広に」と発言、参加者をさらに増やすことを示唆した。東京都は来年度以降、独自に排出削減義務化と排出量取引を導入する方針。米国でも排出量取引制度を含む法案が10本ほど提案されている。 排出量取引には「公平な排出枠の割り当てが難しい」などの批判もある。だが、大和ハウス工業の担当者は国内外の状況をみて今後、CO2規制自体が緩まることはないと感じる。「もしも規制が日本でも当たり前になった場合、削減以外に排出枠を買うことも選択肢の一つになるかもしれない」 ◇キーワード「自主参加型排出量取引」 企業にCO2削減を促す仕組みの一つ。環境省が企業に削減目標を約束させる代わりに、省エネ費用の3分の1を補助。削減不足なら補助金返還の罰則があるが、不足分は取引で他社から「排出枠」を買って補える。「排出権」取引ともいう。欧州では、削減を義務化したうえの取引制度がすでにあるが、この制度は実験的で参加も削減も自主的。補助金という見返りも特徴だ。 「朝日新聞2007年10月10日」 ◎軟らかボデーホンダ未来車、ダイハツ・富士も新車出展「東京モーターショー」 自動車メーカー3社が9日、東京モーターショー(千葉・幕張メッセ、27日から一般公開)の出展概要を発表した。ホンダは、車体をシリコン素材でおおった燃料電池車のコンセプトカー「PUYO(プヨ)」を発表。とがったところのないボディーの表面は指で押すとへこむほど軟らかく、軽く接触しても人や物を傷つけにくいのが特徴だ。スポーツタイプのコンセプトカー「CR-Z」は、ハイブリッド車。同社の最量販車種で、今月下旬に発売予定の新型「フィット」も初出展する。 ダイハツ工業は、電動で格納できるガラス製の天井がついたオープンスポーツカー「OFC-1」や、軽トラックがベースの「MUDMASTERlC(マッドマスターシー)」などのコンセプトカーを発表。近く発売する軽自動車の新型「タント」も初公開する。 富士重工業は、国内発売を計画中のミニバンの原型モデル「EXIGACONCEPT(エクシーガ・コンセプト)」や、5人乗り電気自動車「G4eCONCEPT(ジーフォーイー・コンセプト)」を出展。24日発売の新型「インプレッサWRXSTI」も世界初公開する。トヨタ自動車と日産自動車は10日に出展車を発表する予定で、国内乗用車メーカーの出展概要が出そろう。 「朝日新聞2007年10月10日」 ◎国産ジェット営業開始「三菱重工1000機受注なら事業化」 三菱重工業は9日、国産初の小型ジェット旅客機計画について、航空会社向けのセールス活動(客先提案)を始めると発表した。今後20年間に1000機程度を受注できるという手応えが得られれば、来年3月に事業化を決める。 86〜96席と70〜80席の2機種の開発を想定し、2012年の運航開始をめざす。このクラスは今 後20年間に世界で5000機の需要があると予測。佃和夫社長は事業化の前提となる受注機数について「5000機の20%、少なくとも1000機はほしい。信頼性の高い顧客がどれだけ獲得できるかを見て総合的に決める」と述べた。 販売価格は1機30億〜40億円を見込む。開発費は1500億円で、うち1000億円は、開発・販売を担う事業会社を設立し、三菱重工を含む出資企業が負担。残る500億円は、開発を支援する経済産業省が負担するという。 スウェーデンのサーブ社が欧州・北米の顧客サポート拠点になるほか、米ボーイング社とも事業会社への出資を含む提携策を協議している。エンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー社製を採用すると発表した。低燃費と低騒音が特徴で、将来的には国内企業との共同生産も検討する。 「朝日新聞2007年10月10日」 ◎プレステ3値下げ「17日から年末商戦テコ入れ」 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は9日、新世代ゲーム機「プレイステーション(PS)3」を17日から値下げすると発表した。ハードディスク駆動装置(HDD)容量20ギガバイトの機種の希望小売価格を5000円安い税込み4万4980円とする。また、40ギガバイトの新機種を11月11日から同3万9980円で発売し、低価格化で年末商戦ヘテコ入れを図る。 現行の上位機種である60ギガバイトも、実勢価格の税込み5万9000円から、希望小売価格で同5万4980円となる。40ギガバイトの機種は他の機種と違い、ひと世代前の「PS2」のゲームソフトは使えない。ただSCEはPS3向けソフトを拡充させる考えを表明しており、PS2向けソフトが使えなくても安くすることでゲーム機の販売を伸ばしたい考えだ。 最廉価機種の発売で、売れ行きで水をあけられている任天堂「Wii(ウィー)」(同2万5000円)との価格差は約1万5000円に縮まる。PS3の値下げは、昨年11月の発売前に続き2度目。ソニーのゲーム事業は値下げなどの影響で07年3月期の連結営業損益が2323億円の赤字だ。同社は07年度にPS3を全世界で1100万台販売する計画だが、4〜6月の世界販売は71万台にとどまっている。PS3はソニーの経営の命運を左右する戦略商品で、低価格化で販売増を狙う戦略が効果を上げられるか、注目される。 「朝日新聞2007年10月10日」 ◎鉄鋼業界CO2削減目標「米中印の企業も参加」国債協会発表 世界の鉄鋼メーカーでつくる国際鉄鋼協会(ブリュッセル)は9日、地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出削減の目標を12年までに設ける方針を発表した。京都議定書で削減を義務づけられていない中国やインド、議定書に加わっていない米国の企業も巻き込んだのが特徴だ。ただ、目標を粗鋼生産量1トンあたりの排出量とし、総排出量の規制に反対している点で、国際社会の反発を招く可能性もある。 「効果を上げるには、すべての主要製鉄国が参加する必要があった」。国際鉄鋼協会の発表文は「幅広い参加」の重要性を強調した。日本鉄鋼連盟の市川祐三専務理事も同日記者会見し「京都議定書のような一部排出国のみが参加する枠組みではない」と訴えた。 鉄鋼は、世界の産業分野の温室効果ガスの総排出量の1割以上を占めるとみられる。ただ粗鋼生産量の合計で世界の半分近くを占める中国、米国、インドは、08〜12年を目標期間とする京都議定書の枠組み外だ。日本の鉄鋼業界は、京都議定書以後もこうした「枠外企業」が放置されたまま自分たちだけが排出規制の対象になれば、競争力が損なわれると警戒する一方で、「鉄鋼は温暖化の元凶」との批判をかわしたい。そこで、やはり強制力のある規制を避けたい米国の鉄鋼業界と組み、生産量あたりの排出量を目標とすることで、中国やインドの合意も取り付けた。 効果を上げるため環境技術の移転を加速する。日本などの技術を移転すれば、現在の生産量を維持しでも、米、中、印、豪州など6力国分だけで年間1億3000万トン弱の二酸化炭素を削減できる、との試算もある。日本の産業界全体の排出の3割弱にあたる数字だ。 この手法で一定の削減に道筋をつけて他業種にも広げ、議論が本格化してきた「京都以後」の枠組みづくりで「効果があるうえ新興経済国も参加可能な落としどころ」との認識を広げたい意向だ。ただ、京都大学公共政策大学院の諸富徹准教授(環境経済学)は「生産量あたりの削減目標では効率改善は図れても、それを上回る勢いで生産量が増えれば、排出量の増加を抑えられない。「排出権取引の世界的導入を真剣に検討すべきではないか」と批判する。(山本精作、永田稔) 「日刊工業新聞2007年10月10日」 ◎JOGMEC「豪南部で現地企業と銅などの共同探鉱開始」 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC、川崎市幸区、掛札勲理事長)は9日、豪南部のロックスビー・ダウンズ地域で豪探鉱会社のミノタウア・エクスプロレーションと関連会社の計4社と銅、金、ウランの共同探鉱を始めたと発表した。新たな鉱床を発見し、日本企業に権益を引き継ぐのが目的。契約ではJOGMECが3年で探鉱費200万豪ドル(約2億円)を負担し、51%の権益を得る。豪ロックスビー・ダウンズ地域は、近傍に世界有数の銅、金、ウラン鉱山のオリンピック・ダム鉱山があり、同鉱山と類似した酸化鉄銅金鉱床が存在する可能性がある。 「日刊工業新聞2007年10月10日」 ◎三菱重工「国産初の小型ジェット旅客機に米P&W製エンジンを採用」 三菱重工業は9日、2012年に商業化を目指す国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」のエンジンに、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社製「ギアド・ターボファン(GTF)」を採用すると発表した。近くMRJの受注を開始、受注状況をみて08年春に事業化を決める。 MRJは座席数70〜90席。1機の販売価格は30億〜40億円を予定。米ボーイングの次世代旅客機「787」向けに開発した炭素繊維複合材を主翼など機体の約30%に採用。競合機に比べ燃費が20%以上向上することが特徴。 三菱重はエンジン選定で英ロールス・ロイス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、P&Wの3社を軸に進めていた。P&W製は低騒音、環境性能などに優れていることから採用を決めた。機体の総開発費は当初1200億円としていたが、300億円上積みし、1500億円とした。 「日刊工業新聞2007年10月10日」 ◎岩崎電気「太陽電池の特性評価に本格参入−耐久性試験器も投入へ」 岩崎電気はキセノンランプを使用した太陽電池用シミュレーターを開発した。瞬間点灯するパルス放射で100点以上の電流・電圧特性データを測定でき、高精度に太陽電池の性能を評価できる。08年4月の発売を計画する。メタルハライドランプを使用したシミュレーターに続く製品。さらに耐久性試験器などを開発し、太陽電池の製造・試験装置事業を本格化する。 開発した「パルスドキセノンソーラーシミュレータ」は太陽電池の変換特性の測定・評価を行う装置。太陽電池の特性測定では温度変化による発電特性変化を考慮して短時間の発光で測定する必要がある。新装置では発光時間が60ミリ〜120ミリ秒のロングパルス方式を採用し、1パルスあたり100点以上のデータを収集する。 従来主流の発光時間が3ミリ秒以下のショートパルス方式では測定データ数が少なく、複数回の発光データを組み合わせる必要があった。新装置ではデータ処理時間が短縮できる。価格は3500万円以上を予定している。岩崎電気ではメタルハライドランプによる同シミュレーターをすでに製品化している。今回、太陽電池製造・評価装置に本格参入することを決め、新装置を 「朝日新聞2007年10月9日」 ◎2世代先の半導体メモリ「東芝、09年度にも量産」 東芝が09年度中にも「次次世代」の半導体メモリーを、世界に先駆けて量産する。携帯電話などの記録媒体として需要が拡大している半導体メモリー「NAND型フラッシュメモリー」で、回路線幅は30ナノメートル台(ナノは10億分の1)。51ナノで量産を進める韓国サムスン電子に先んじて微細化を進めることで、フラッシュメモリー市場でのシェア拡大を図る。 東芝は、フラッシュ市場でほサムスンに次いで世界2位。現在、生産しているのは56ナノだが、12月に本格稼働する四日市工場(三重県四日市市)の第4製造棟で、来年初めに次世代メモリーの43ナノの生産を始める。さらに、07年度内にも30ナノ台での試作ラインを第4製 造棟に導入し、09年度中の量産開始に備える。半導体事業への設備投資計画(07〜09年度)で計上した約1兆円の予算でまかなえるという。 30ナノ台の生産に、43ナノで使っている露光装置(ウェハーに回路を転写する装置)が使える見通しとなった。量産までの時間短縮が可能となり、早期に最新技術での量産体制を整えて、拡大する需要に対応できる。 東芝など半導体各社が微細化技術を競っているのは、1枚のウエハーからとれる半導体の数を増やすことでコスト競争力を高めるのがねらい。また、微細化によって単位面積あたりの記憶容量が増えれば、消費電力の低減にもつながる。(田中康晴) 「朝日新聞2007年10月9日」 ◎企業の景況感格差、拡大「原材料高、中小の重荷に」 戦後最長の景気拡大局面で、大企業と中小企業の景況感格差が広がっている。原材料価格の高騰などが、中小企業の業績の足を引っ張っているからだ。雇用の7割を担う中小企業の景況感が改善しないことで、多くの従業員は「好景気」の実感を持てずにいる。 「燃料と材料の価格は上がったのに、工賃は同業者でたたき合い。景気回復というのは大手だけの話」。東京都大田区で自動車部品の下請け工場を営む男性(43)は、こうつぶやいた。大阪府東大阪市などとならぶ「町工場のメッカ」の大田区内には、機械・金属業を中心に約5000の町工場があり、約4万人が働く。約8割の企業は、従業員数が9人以下。こうした中小・零細工場が苦しんでいるのが、原材料高だ。 区内の中小企業約250社を対象にした大田区の景況調査では、4〜6月期の製造業の経営課題の最上位に原材料高が挙がった。1〜3月期までは、競争激化や販売減少を課題に挙げる企業が多かったが、逆転。金属材料に加え、機械を動かす重軽油価格も上がる「二重苦」が続いている。 過去の景気回復時にも、中小企業の景況感は大企業より悪かった。ただ、今回は、その格差の大きさが目立つ。全国約1万社を対象とする日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)で、1日に発表された9月の調査結果によると、大企業は「業況が良い」と答えたのが28%で、「悪い」は7%。一方、中小企業は「良い」が18%、「悪い」が23%だった。「良い」から「悪い」を引いた業況判断指数(DI)は、大企業の21に対し、中小企業はマイナス5。その差は広がったままだ。 景気回復は輸出主導で進んでいるため、内需に依存する中小企業に恩恵が広がりにくい。「中小企業は原料高の製品価格への転嫁が大企業より難しく、収益力が高まらない状況」(新光総合研究所)という指摘もある。 エコノミストの間では、個人消費や地域経済の浮上に大きな役割を担う中小企業に景気回復が波及しないことを、日本経済の不安材料として挙げる声が目立ってきた。リーマン・ブラザーズ証券の白石洋エコノミストは「従業員の賃金が伸びないため、内需が拡大する循環が生まれない。世界経済の減速に弱い日本経済の体質が続く」と指摘する。(中川透) 「日刊工業新聞2007年10月9日」 ◎古河スカイ「アルミ合金板材の成形性高める圧延法を開発」 古河スカイはアルミニウム合金板材の成形性を高める圧延法「温間異周速圧延」を開発した。約250度Cの温度でアルミ板の変形抵抗を下げ、圧延機の上下のロール回転速度を変えてアルミ板の板厚方向全体にせん断変形を与え、プレス成形に有利な結晶方位を作り出す仕組み。アルミの弱点である成形性を鋼板並みに引き上げた。アルミの使用が難しかった自動車のフェンダーやドアインナーなど複雑形状で深い成形が求められる部材に適用し、車のアルミ化を加速できる。 自社の実験機で一般的な車部材の6022合金を使って試験したところ、成形性の特性を示すランクフォード(r)値は上下のロール回転速度比(異周速比)が2.5倍の時に平均1.3と、べークハード型高張力鋼板とほぼ同等、従来のアルミ材の約2倍を実現した。 「朝日新聞2007年10月8日」 ◎日航「カイゼン」に挑戦“コスト削減へ、トヨタに学ぶ” 経営再建中の日本航空が、今、トヨタに学んでいます。機体整備から電話予約まで、あらゆる職場に「カイゼン」に代表されるトヨタ自動車の生産方式を導入。「生産性1割向上」を目指します。世界有数の自動車メーカーを作り上げた手法が、航空会社を救うことができるでしょうか。(編集委員・三嶋伸一) ◇生産性向上目指す 「4S」「見える化」「5回のなぜ」。日航の格納庫で今「トヨタ用語」が飛び交っている。成田空港での機体整備を引き受けているグループ会社のJAL航空機整備成田では今夏、7つのカイゼンチームが発足。作業時間の3分の2近くを占めていた準備と後片づけを効率化する試みが始まっている。 これまで1ヵ所にまとめていた道具や作業台を作業の動線に沿って配置し直し、頻繁に使うものを機体のそばに集め、たまにしか使わないものと入れ替えた。1時間近くかかっていた作業が40分に短縮できた。さらにカイゼンを進めて、年間整備能力を3年後に今の3割増に、5年後には6割増に引き上げる。 カイゼン運動の陣頭指揮をしているのが中原貞男さん(54)だ。エンジンの專門家だつた中原さんは今年4月、同社の安全衛生部次長として赴任、いきなりカイゼンを任された。中原さん自身、これまでもさまざまな手法を取り入れて作業の効率化を図ってきた。当初は「トヨタ方式と言われても、今さら何ができるのか」と、思っていた。 6月、専門家のアドバイスに従って作業のビデオ撮りをした。1時間の作業のうち、実際に作業している時間をビデオ上で計つてみて驚いた。40分近くが、準備と後片づけに奪われていた。これまで、脚立やバケツなどの用具は1ヵ所にまとめて置いていた。 「それが当たり前だと思っていた」。しかし、ジャンボ1機が丸ごと入る格納庫は広い。格納庫の端まで、ちょっと取りに行くだけで数分がムダになっていた。57台ある自動販売機の電灯をすべて取り外して節電を訴え、ゴミ箱も21個から7個に減らしてゴミの減量を求めた。ゴミ箱の上には「今月のムダなお金は2万4920円」と、張り出した。 「勝手なことをするな」「こんなことでどれほどの効果があるのか」などの不満も寄せられる。「押しつけるつもりはありません。ただ、現状は変えられないのではなく、みんなで相談しながら少しでも働きやすいように変えていくんだということを広めていきたい」と話す。 ◇脱赤字へ全社展開 航空会社で最もコストがかかる分野の1つが機体整備。日航では常時、中、大型9機が格納庫入りする。人件費が安い海外へ委託すれば安いが、安全には自社整備が不可欠。「自社で過半数の5機分をやるには、もっとカイゼンが必要」と芳賀正明整備本部長は話す。 整備部門だけではない。日航は今春、全社的な「業務カイゼン計画」をたてた・「トヨタ流は従来の改善手法の倍以上の効果」と、経営企画室の荘司敏博さんは絶賛する。全日空も整備などに取り入れているが、日航ほどの規模ではない。「赤字続きの現状打破には、空前の収益を続けるトヨタに頼るほかない」と、ある幹部は言う。業績がカイゼンの最大の動機になつている。 日航がトヨタに初めて出合ったのは7年前。独立採算化で海外との競争に直面したエンジン整備工場のスタッフがシンガポールなどの下請け工場を訪ねたところ、「日本からなぜ聞きにくるんだ」と笑われた。多くがすでにカイゼンを導入していたからだ。 カローラの二百数十倍の重さがあるジャンボ機。「車と航空機では全く違うと思っていた」と、JALエンジンテクノロジーの桂田健取締役(46)は振り返る。しかし翌年、専門家に工場を診断してもらうと、いくつもの提案を受けた。一斉に分解していたエンジンを、時間がかかる部品から修理するようにした。 2年後、納期は4割短くなり、計60億円を削減できた。日航は、運航トラブルが相次ぐなどして顧客離れが進み、07年3月期決算まで2期連続の当期赤字。カイゼン効果への期待は高まるが、8つの労働組合から「労働強化だ」などと反発される可能性もある。「こちらから目標値は言わない。現場の意欲を引き出したい」と担当者は話す。 ◇視点「トップ、現場に足を」 トヨタ出身で中部国際空港会社会長の平野幸久氏は空港経営にトヨタ方式を導入して開港初年度から黒字を達成した。平野会長自身が毎日、職場に顔を出し、カイゼンチームを激励し、時には若手職員と一緒に悩んでいた姿が鮮烈だった。日本航空は整備部門を分社化した。JAL航空機整備成田のカイゼン活動に同社の社長は出席しても、グループを代表する日航幹部が顔を出すことはまだ少ないという。トップがどれだけ現場に足を運ぶか、安全と直結した職場だからこそ特に求められる。 ◇キーワード「カイゼン」 トヨタ生産方式の主要な考え方の一つ。無駄を見つけ、なるべく費用をかけずに迅速になくす。特定の人がやるのではなく、全員参加が特色。同様に「5回のなぜ」とは真の原因を突き止めるために何度も考えること。「見える化」とは生産活動が正常か異常かが一目で分かるようにすること。「4S」とは職場の整理、整頓、清潔、清掃を徹底させること。 「日刊工業新聞2007年10月5日」 ◎ヤマハ発「スーパーチャージャー搭載のマリンジェット発売」 ヤマハ発動機は、同社製マリンジェットで初めてスーパーチャージャー付エンジンを搭載した最上位機種「MJ-FXクルーザーSHO」と「MJ-FX SHO」を開発、08年3月に発売する。艇体に米メーカーと共同開発した新素材を採用。価格は214万7460円と205万9260円。08年に700隻の販売を見込む。新エンジンは排気量1800ccで210馬力。艇体の素材には、従来の不融和ポリエステル樹脂にナノ・テクノロジーによる改良を加え、25%軽量化した「ナノエクセル」を採用。走行性能と乗り心地、燃料経済性を高レベルで達成した。 「日刊工業新聞2007年10月5日」 ◎松下「フルHD映像を18時間録画できるBDレコーダー発売」 松下電器産業は2日、ブルーレイディスク(BD)に高精細なフルハイビジョン(HD)映像を最長18時間録画できるBDレコーダー「ブルーレイ・ディーガ」3機種を11月1日に発売すると発表した。地上デジタルHD放送で従来比約3倍長く録画できる。実勢価格はハードディスク容量250ギガバイト(ギガは10億)が18万円前後、1テラ(テラは1兆)が30万円前後。「フルHD映像を手軽に残せる」(西口史郎パナソニックマーケティング本部長)レコーダーとして売り込む。 次世代の映像圧縮・伸長(コーデック)技術の「MPEG4 AVC/H.264」を搭載したシステムLSI「ユニフィエ」を採用した。従来の動画圧縮技術より2〜3倍の効率で圧縮できるため、録画時間を延ばせる。容量1テラのハードディスクにフルHD映像を業界最長の381時間記録できる。 「朝日新聞2007年10月5日」 ◎トヨタ“切り札”新ハイブリット「プラグイン」車始動 ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせて、燃費を向上させたハイブリッド車。その燃費性能をさらに改善する研究に、日米欧の自動車大手がしのぎを削っている。家庭用電源からも充電できるようにして、電気だけで走る距離を延ばすプラグインハイブリッドと呼ばれる技術だ。トヨタ自動車は「次世代環境技術の切り札」と位置づけ、9月の日本を皮切りに米欧でも試験走行を始める。(大日向寛文) ◇家庭用電源で充電可能 トヨタの代表的なハイブリッド車「プリウス」は、減速時に生じるエネルギーなどを電気に変えて充電し、走行時にこの電気でモーターを回す。プラグインハイブリッド車(PHV)は、この仕組みを応用して、家庭用電源からの充電を組み合わせたもの。トヨタは7月、自動車メーカーの先陣を切って、PHVの試験車両を公道で走らせるために必要な国土交通相の認定を取得した。 ◇走行距離6倍に 試験車両の家庭用電源からの充電時間は、欧州で主流の200ボルトなら1〜1.5時間、日本で主流の100ボルトでは3〜4時間。車に積んだニッケル水素電池に充電できる電気の容量を増やすことで、ガソリンエンジンを使わずに電気モーターだけで走行できる距離をプリウスの6倍強の13キロに延ばした。PHVに使う電気の発電から車両走行までを含めた二酸化炭(CO2)の排出量は、各国の発電に占める原子力の比率によって変わるものの、プリウスと比べで米国では4%、日本では13%、フランスでは45%それぞれ少ない。 ◇電池残量を把握 トヨタがPHVの開発に着手したのは03年。プリウスの弱点をいかに補うかという発想から始まつた。特にニッケル水素電池は充電しすぎても空になっても劣化する特性があり、プリウスでは電池が持つ能力の4分の1程度しか使えていなかった。これを克服するには電池の残量を正確に把握する技術が不可欠で、PHVの試験車両をつくる際にも高い壁になった。開発陣は試行錯誤の末、電池の電圧の変化を計測すれば、電池の残量をより正確に把握できることをつかんだ。この特性を応用することで、電池本来の能力の3分の2程度まで有効活用することに成功したという。 ◇実用化なお課題 「原油が枯渇するといわれる2020年代より前に実用化しなければ意味がない」。HV先行開発部主査の石川哲浩さん(48)らトヨタの開発陣は10年代の市販を目指す。しかし、実用化には課題が山積している。典型例が電池の大容量化だ。単純に電池を大きくするだけでは、トランクルームなどの空間が狭くなる。試験車両では電池の容量を拡大するため、プリウスと同一のニッケル水素電池を二つ積んだが、その結果、市販の際には欠かせないスペァタイヤを搭載できなくなった。この難題を解消するには、ニッケル水素電池と同じ体積でも、2倍の電気をためられるリチウムイオン電池の実用化がカギになる。 どこで充電するかも大きな問題だ。マンションや複数の人が利用する駐車場では、誰がどれだけ電気を使ったかを簡単に記録できないからだ。解決策として有力視されているのは、電気コンセントで高速通信が可能な電力線通信(PLC)の活用。電気使用量のデータをコンセントを通じて電力会社に自動送信する仕組みが実現すれば、スムーズに課金できる。トヨタはフランス電力公社と実証実験を始めるほか、国内の電力会社との実験も検討している。 「日刊工業新聞2007年10月5日」 ◎三菱電機「太陽光発電用パワーコンディショナー2機種を来年発売」 三菱電機は4日、業界最高の電力変換効率97.5%を実現した太陽光発電用パワーコンディショナー2機種を08年1月9日から順次発売すると発表した。電力損失を大幅削減する「階調制御インバータ方式」を採用。電力変換時の損失を従来比44%低減した。価格は定格出力4キロワット型で36万7500円、同5.5キロワット型で52万5000円。08年度に1万台の販売を目指す。 新製品は電力損失で発生する熱を低減したことで、放熱用の空気流入口が不要になり耐湿性能を向上。洗面所などへの設置も可能になった。また電圧振幅を低減し、実運転時に30デシベルの低騒音を達成した。パワーコンディショナーは、太陽電池で発電した電力を直流から交流に変換する部品。これまでの業界の最高変換効率も三菱電機製の95.5%だった。 「日刊工業新聞2007年10月5日」 ◎トヨタ「レクサスブランドからスポーツセダン「IS-F」発売」 トヨタ自動車は4日、レクサスブランドの新型高級スポーツセダン「IS-F」を12月25日に発売すると発表した。新開発の5000ccV型8気筒エンジンや、自動変速機(AT)と手動変速機(MT)の利点を両立させた専用の新型変速機を搭載。「運転する楽しさ」を追求した。価格は766万円で、月販目標は40台。トヨタは近年、本格的なスポーツタイプの車両を市場に投入していなかった。改めて同分野に挑み需要を開拓する。レクサス「IS」をベースに開発した。新エンジンは、アクセルなど8速ATをベースに、世界最速レベルの変速レスポンスを実現した。 「日刊工業新聞2007年10月5日」 ◎ホンダ「埼玉・小川新工場で次世代ディーゼル生産。V6も開発」 ホンダは次世代のクリーンディーゼルエンジンを、09年稼働予定の埼玉県小川町の新エンジン工場で生産する。現在は鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)と埼玉製作所(埼玉県狭山市)でディーゼルエンジンを生産しているが、段階的に小川新工場へ集約する見通し。また同社は直列4気筒(直4)に続き、V型6気筒(V6)の次世代エンジン開発にも着手。中核市場の欧州に加え、09年からは米国や日本でも次期排ガス規制に対応したディーゼル車を投入する計画で、小川を次世代エンジンの中核拠点にする。 小川新工場は当初「直4のガソリンエンジンを生産する」(福井威夫社長)としていた。ただディーゼルエンジンの搭載が、近接する埼玉製作所や2010年に稼働する埼玉県寄居町の完成車新工場で生産する車種になるため、小川にディーゼル向けの設備投資を行う。鋳造から機械加工、組み立てのラインを設ける。 「日刊工業新聞2007年10月5日」 ◎ヤマハ「家庭で映4日、スピーカー配線なしで、家庭で手軽に映画館の臨場感ある音を楽しめるデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP-500」を下旬に発売すると発表した。価格は7万4800円。世界で月販4000台を見込む。 5チャンネルの音声を壁に反射させて前後左右から届け、重低音と合わせ5.1チャンネルサラウンドを実現するYSPシリーズの最小・普及モデル。16個の小型スピーカーを内蔵。横幅61センチメートルと小型で、18畳以下の部屋でもホームシアターの臨場感を味わえる。従来難しかった6畳未満の部屋で広がりのある音声を再生する「マイサラウンド」機能も新搭載した。 「朝日新聞2007年10月4日」 ◎有機農業、広がる芽「推進法きっかけ、生産者育成へ」 食の安全志向から、有機農産物への消費者ニーズが高まる中、有機農業に取り組む農家を増やそうとする動きが盛んになっている。昨年成立した有機農業推進法をきっかけに、政府はモデル地域での農家育成などに乗り出すことにし、本格的な技術研究を始めた自治体もある。長く異端視されてきた有機農業だが、広がる芽が出てきた。(大村美香) ◇「国産の0.16%」からスタート 埼玉県小川町で35年以上にわたり有機農業を手がける金子美登さん(59)の農場は今年、行政関係者や研究者の視察ラッシュにあっている。有機農業推進法の成立で、「我々有機農家を取り巻く雰囲気は大きく変わった」と金子さんは話す。 3ヘクタールの田畑で、季節に合わせて常時20種ほどの作物を栽培する。化学肥料は使わず、落ち葉や家畜のふんなどで堆肥を作って土にする。輪作で土のバランスを保ち、病害虫の発生を防ぐ。わらなどで土を覆い、雑草を抑える。農薬をまかないので生態系が保たれ、土中の微生物も豊富で害虫は天敵が食べることから、病気や虫の大発生に困ることはないという。こうした自然の有機的な循環を利用した農業で、約40戸の消費者と提携し収穫物を届けている。 有機栽培の野菜や米を買いたいという消費者は多い。04年に農水省が行ったモニター調査では「今後、有機農産物を購入したい」と答えた人は42%で、「価格が低くなれば」といった条件付きを合わせると94%が購入の意思を示した。しかし、農産物の国内生産量に占める有機農産物の割合は、わずか0.16%。店頭で目にする有機食品の大半が輸入頼みだ。 そもそも有機農業に取り組む農家が限られている。国内の販売農家196万戸のうち、日本農林規格(JAS)マークの有機農産物を生産する農家は5000戸にすぎない。化学肥料と農薬を多用し、環境に負荷をかける農業への反省から、90年代、欧州では有機農業を進める施策がとられてきた。日本でも環境保全型農業が唱えられてきたが、有機農業に特化した施策はJAS法による表示規制のみ。農水省の関係審議会では、委員から「国は有機農業を放置し ていた。もっと計画的に育成しなくてはならなかった」との発言も出た。 今の農業は、殺菌剤、殺虫剤、除草剤などを使い、化学肥料で栄養分を補いながらの耕作が一般的だ。種まきの時期や使う農薬・肥料を指示した栽培暦をJAが作り、都道府県は病害虫の流行があれば速報し、農薬を主にした防除を呼びかける。こうした中で、地域には有機農業の技術が根付いておらず、農家も手を着けにくかった。 有機農業に取り組んでも、技術が安定するまでは収量や品質が落ちるリスクがある。有機農産物として販売する際も、JAS法に基づく認証を受け、定期監査を受けなくてはならず、そのための費用負担や事務作業も膨大だ。農家に挑戦をためらわせる障壁は多い。 ◇奥深い技術、開発・浸透が課題 推進法を受け、農水省は来年度予算の概算要求で有機農業総合支援対策として5億円を計上。技術の実証試験やマーケティング、技術支援センターの整備などをするモデル地域への支援に乗り出すことにした。生産者も動き出した。有機農業に取り組む農家のネットワーク作りが北海道、栃木、新潟、埼玉県など各地で広がる。生産者の声をまとめ、都道府県の推進計画に生かそうという狙いもある。 課題の一つは技術開発だ。土作りや病害虫対策などは、これまで農家が試行錯誤の末に経験的に会得しており、研究機関での分析や研究は、ほとんどなされていない。独自に進めてきた北海道では、04年から道立農業試験場で有機農業の技術研究を開始。タマネギの栽培モデルなどを作った。道の推進計画案では、有機農家の数を13年度に現在の3.9倍にあたる1300戸に増やすのが目標だ。 福島県も有機農業推進室を昨年設置、県内各地のモデル圃場で実証試験をしている。酒井孝雄室長は「土壌中の生物は地域や圃場ごとに異なる。ある畑で通用する技術が他でも使えるのかどうか。自然の力を利用する有機農業の技術は複雑系で奥が深い」と言う。 農水省の担当者は「一般の農家にとって、有機農業は限られた人がするものというイメージで縁遠い。まずは理解を広げていかないと」。推進策の検討に必要な情報が乏しい自治体も多く、有機農家の所在などの情報収集から始めるという。日本有機農業学会長の中島紀一・茨城大教授は「農業は環境と調和した持続性のあるものへと変化を求められている。環境負荷を低減し命の営みを大切にする有機農業こそ、今後の日本の進むべき道だ」と指摘する。 消費者の手元には これで消費者がスーパーなどの店先で多くの有機農産物を選べるようになるか、見通しは定かではない。店頭の農産物で、農薬や化学肥料に関する表示があるのは、JAS法に基づく「有機」と、使用量をその土地の普段の栽培法の50%以下に減らした「特別栽培農産物」。豆腐、しょうゆなど加工食品の「有機」は、水と食塩を除いて有機の原材料95%以上で作った食品だ。「無(減)農薬」「無(減)化学肥料」と表示したものも見かけるが、誤解を招くとして、03年に改正された農水省の特別栽培農産物表示ガイドラインが禁じている。 JAS法は、有機農産物について生産方法の基準を細かく規定している。しかし推進法は、有機農業を「化学肥料、農薬、遺伝子組み換え技術を使わず、環境への負荷をできる限り低減した農業」と大枠で定義した。このため、推進法に基づく施策で農家が有機農業に挑戦したとしても、JASの認証基準に合わなければ「有機」の表示はできない。 ◇キーワード「有機農業推進法」 農業の持続的な発展や環境との調和をうたい、農業者が有機農業に容易に取り組めるよう政府と自治体に支援を義務づけた法律。超党派の有機農業推進議員連盟(谷津義男会長)が原動力となり、昨年12月に議員立法で制定された。今年4月に定められた政府の基本方針では、11年までの5年間を条件整備期間とし、技術体系の確立や新規就農希望者への研修、都道府県での5年以内の推進計画策定などを掲げている。 「日刊工業新聞2007年10月4日」 ◎CO2の地中貯留「官民一体で実用化。経産省研究会、中間まとめ」 発電所や工場などから回収した二酸化炭素(CO2)を海底下地層に貯留する「二酸化炭素回収・貯留(CCS)」技術について検討してきた経済産業省の研究会は3日、今後の事業推進に向けて必要な施策を盛り込んだ中間取りまとめを公表した。 取りまとめでは、CCSは日本にとって重要な温暖化対策の一つとしたうえで、事業者にとってはコスト負担が大きいことから官民一体となった大規模実証事業を通じ、実用化につなげることが必要としている。これを踏まえ、国内制度などの環境整備や革新的な技術開発の推進などを今後の重点施策として挙げている。なお政府はCO2の海底下地層貯留を可能とするため、廃棄物の海洋投棄を規制した海洋汚染防止条約の96年議定書への加入を2日付で決定している。 「日刊工業新聞2007年10月4日」 ◎ゼネテック「組み込みソフト技術者の養成事業を強化」 ゼネテック(東京都新宿区、上野憲二社長)は、組み込みソフトウエア技術者の養成事業を強化する。養成の拠点を08年秋に福岡と北九州の両市に開設するほか、09年には大阪府にも設置。また電子部品商社のセイデン(群馬県高崎市)に養成ノウハウを供与し、セイデンが08年4月に本社で開校する。国内では同技術者の不足感が強まっており、供給力を高め事業を拡大する ゼネテックは06年4月にシステム技術者養成センター(SETC、東京都中野区)を開設。座学と実技からなる独自のカリキュラムにより同技術者を育て、すでに電機関連企業など30社と養成契約を結ぶなど実績を積んでいる。計画する福岡市の養成センターは当面、同市博多区にある営業拠点に置く。北九州市のセンターは同市若松区の北九州学術研究都市内に設ける。このほか09年以降に大阪府に加え、名古屋市内にも開設。九州や大阪など周辺の企業や個人に利用を働きかける。 一方、セイデンが本社に設けるのは「システム技術者養成センター群馬」。ゼネテックから座学用教材や、組み込んだシステムの動作を評価する練習用基板などを譲り受ける。また講師の育成やカリキュラムの作成でも支援を受ける。ゼネテックはセイデンから受講料に応じたロイヤルティー収入を得る。 初級者向けは約3ヵ月間で基本的な技術を講義。約1ヵ月間の中級者向けはC言語を教えるコースとプロジェクト管理を教える2コースを用意する。10月下旬に募集を開始し、1クラスの定員は最大12人になる。国内では約10万人の組み込みソフトウエア技術者が不足していると言われる。一方で専門の教育機関が少なく、社内研修などで養成しているのが実態という。 「朝日新聞2007年10月3日」 ◎マツダは水素燃料車、お披露目 マツダは2日、東京モーターショー(27日から一般公開)の出展車を発表した。水素燃料でもガソリンでも走れるハイブリッドシステムを搭載した「マツダプレマシーハイドロジェンREハイブリッド」は、官公庁・法人向けに・月決め料金で貸し出す「リース販売」の、08年度の開始を目指す。次世代ロータリーエンジンを搭載したスポーツタイプのコンセプトカー「マツダ大気」は、走行中の車の浮き上がりなどを抑える「空力性能」を高めた。 「朝日新聞2007年10月3日」 ◎日産、期待の新看板「スカイラインクーペ発売」 日産自動車は2日「スカイラインクーペ」の全面改良車を発売した。スカイラインは、セダンタイプの初代が発売されてから、今年で50周年を迎える人気車。国内市場が落ち込み続ける中、看板車種を投入して販売目標を何とか達成しようというねらいだ。 運転状態に応じてエンジンの吸気量を最適にする新技術「VVEL」を搭載し、走り心地と燃費の良さを両立させた。税込み価格は369万6000〜447万3000円。ファミリーカーの買い替え時期にある50代男性や、車好きの30代男性を主な顧客層に、月200台の販売を見込む。 日産のカルロス・ゴーン社長が年度当初に掲げた目標は、前年度を5%下回る国内70万台(軽自動車含む)。需要が落ちこむと見込んだ、堅めの目標だった。これに対し、1日発表された同社の上期(4〜9月)の新車販売は、前年同期比5%減の約33万台。上期の国内全体の新車販売が同8.1%減と落ち込む中、日産のシェアは伸びており「全体が厳しい中では健闘している」(志賀俊之・最高執行責任者)との認識だ。 ただ、日産が今年度下期(07年10月〜08年3月)に発売する新型車は、今回のクーペと12月 発売の「NISSANGTlR」だけ。クーペとGTIRは「発売をじっと待つお客さんがいるスペシャリティーカー」(志賀氏)との位置づけで、量販車種ではない。 ホンダは今月、世界累計販売200万台を突破した「フィット」の全面改良車を投入する。トヨタも今年度、すでに新車9車種を投入しており、下期の巻き返しをもくろむ。日産は「二枚看板」で顧客を引きつけ、量販車の販売につなげていくことをねらう。 「朝日新聞2007年10月3日」 ◎薄さの次は軽さ・美しさ「テレビメーカー付加価値勝負」 国内最大のIT(情報技術)・エレクトロニクス展示会「CEATEC(シーテック)」が2日、千葉・幕張で開幕した。開発競争が激化した次世代の超薄型テレビでは、一部のメーカーが「薄さ」に加え、軽さや高画質の面での優位性を売り込み始めた。次世代DVDレコーダーでは、規格争いの「天下分け目」となる年末商戦に向けて品ぞろえが急増。二つの陣営が火花を散らした。 日本ビクターは厚さ3.7センチの液晶テレビを初公開。光を効率的に拡散させ、光源とパネルの距離を縮めることに成功した。「ビクターと液晶を結びつける旗艦商品に」(佐藤国彦社長)と意気込み、来年3月にまず欧州で、日米でも来年中には売り出す。 日立製作所も、厚さ1.9センチの液晶テレビの試作機を初公開し、09年の発売を目指す。 シャープは厚さ2センチの液晶テレビの試作機に加え、画面サイズ12.1インチ、、厚さ2.88ミリのモニターも展示。斜め向かいにブースを構えるソニーが1日、世界初の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビを発表したばかりで、シャープの広報担当者がソニーを見やりながら「液晶でも向こうより薄いものが作れる」と対抗意識をあらわにする場面も。 ただ、メーカーからは「ここまで薄型競争が進んだら、2センチが1センチになってもあまり意味はない。壁掛けできるように軽量化の方が重要」との声も漏れる。一方、ソニーは高画質にこだわる。「有機ELテレビは(画質では)従来の液晶やプラズマとは次元が違う」と強調。測定の限界を超えるコントラスト(明暗の比)や輝度、色の再現性の高さなどもアピールする。 ◇BD陣営ずらり、HDは孤軍奮闘「次世代DVD」 テレビと並ぶ主戦場は、規格争いが過熱する一方の次世代DVDだ。ブルーレイ・ディスク(BD)陣営では、松下電器産業が2日、BDレコーダ「の新製品3機種を11月に発売すると発表した。新開発の画像圧縮技術を使い、容量が50ギガバイトのBD1枚にフルハイビジョン映像を世界最長の18時間録画することができる。内蔵のハードディスクには、最上位機種(1テラバイト)で最長381時間の録画が可能だ。店頭想定価格は18万〜30万円前後。 BD陣営は、新製品を発表済みのソニー、シャープと合わせて、年末商戦向けの新製品が昨年の2倍を超える11機種になつた。三菱電機もレコーダーやプレーヤーを来年にも発売するために準備中という。 会場にはBD陣営の参加企業の幹部がずらりと並び、気勢を上げた。BD推進団体の小塚雅之・取締役会共同議長は「年末商戦はBD一色になる。安心してBDを買つてほしい」と強気の発言を繰り返した。 HD陣営で孤軍奮闘する東芝は、新たにレコーダー3機種を参考展示。こちらもHD-DVDに6時間、DVDにも2時間のフルハイビジョン録画を可能にした。近く正式発表するとみられる。 「日刊工業新聞2007年10月3日」 ◎THK「山口工場で改善活動。生産性・人材育成に重点」 THKは直動案内機器の主力工場である山口工場(山口県山陽小野田市)で、労働生産性を指標に加えて改善活動を進める。併せて人材育成を強化するほか、工程の自動化も進める。同社は生産拠点の海外展開を積極化しており、山口工場をマザー工場として位置ける。他工場に先行して効率化や人材育成に取り組むことでモノづくり力の底上げにつなげる。 THKはジャストインタイム生産方式を軸にした生産改善活動「TAP2」を進めてきた。99年時点にグループで5ヵ月分あった棚卸し在庫を07年までに1.8ヵ月分に低減。山口工場は生産指示を出してから出荷するまでのリードタイムは、20〜25日あったものが平均で5日に減少したが、さらに高効率の生産体制を構築するため、新たに労働生産性を改善指標に追加した。このため同工場は多能工化を推進。これに伴い「目的別教育」と題した新しい教育制度を開始した。 「日刊工業新聞2007年10月3日」 ◎TOWA「マレーシア工場増強。半導体関連装置の生産能力2倍に」 「京都」TOWAはマレーシア工場「TOWAM(トワム)」(ペナン州)を増強し生産能力を2倍に引き上げる。トワムは半導体製造の後工程に使用する封止装置のハンドラー(搬送装置)などを生産しており、このほど約1.5倍に増床した。受注が好調に推移しているためで、生産能力増で世界シェア拡大を目指す。投資額は1億2000万円。今月下旬から本格稼働する。 トワムは封止装置のハンドラーや一括封止した半導体チップを切り分けるシンギュレーション(個片化)装置など生産している。海外生産拠点を見直す中、06年9月に米子会社「TOWAインターコン」(カリフォルニア州)の個片化装置生産を同工場に移管し、手狭になっていた。ハンドラーは従来比2倍の月約45台、個片化装置は同3倍の同約15台の生産が可能となった。 「日刊工業新聞2007年10月3日」 ◎マイクロソフト「“ビスタ”普及へ11月にコンソーシアム設立」 マイクロソフト(MS、東京都渋谷区、ダレン・ヒューストン社長)は基本ソフト(OS)「ウィンドウズビスタ」を核とした新提案「デジタルワークスタイル」の普及に向け、既存のパートナー連携の枠を超えたコンソーシアム(事業共同体)を11月に発足する。眞柄泰利執行役専務が「シーテックジャパン2007」の基調講演で明らかにした。 同コンソーシアムにはNEC、東芝、シャープ、富士通が賛同。設立時には「参加企業は数十社にのぼる」(眞柄専務)見通し。コンピューター業界に加え、放送・通信事業者やコンテンツプロバイダーをはじめ、MSからみて異業種にも広く参加を呼びかける。 基調講演では異業種組として楽天、レーべルゲート、J-WAVEJの3社が「ウィンドウズメディア11」を核とした新たな協業モデルを発表。デジタルワークスタイル事業の今後の方向性として位置づける「ソフトウエア+サービス」路線への流れを強調した。眞柄専務は「今回のシーテックは出発点だ」と述べた。 「朝日新聞2007年10月2日」 ◎ランエボ改良、三菱自が発売「運転しやすさも追求」 三菱自動車は1日、4輪駆動(4WD)セダン「ランサーエボリューションX(テン)」の全面改良車を発売した。92年に初代がお目見えして以来、10代目となる同社の旗艦車だ。20歳代の若者を照準に走りの性能を重視してきたが、購入層が30〜40歳代に移りつつあるため、運転のしやすさも追求。雨や雪が降っても横滑りを抑える「S-AWC」システムを一部に採用した。 排気量2リットルで、税込み299万7750円〜375万600円。水島工場(岡山県倉敷市)で生産し、国内は今年度下期に4000台の販売を目指す。来年2月の北米を皮切りに欧州、豪州など世界各地で販売する。 三菱自動車の益子修社長は1日、軽自動車「i(アイ)」をベースに開発中の電気自動「iMiEV(アイミーブ)」を社長車にすると発表した。次世代の環境車として開発に力を注ぐ電気自動車をトップ自らアピールする。 「朝日新聞2007年10月2日」 ◎大企業、強気の投資「日銀9月短観」 景気は粘り強さをみせながら、先行きには波乱要因を抱え始めた。日本銀行が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、米国のサブプライム(低所得者向け)住宅ローン問題に端を発した株安・円高、それに米国経済の減速懸念が企業心理の重しになっていることを示した。大企業と中小企業の景況感の格差も鮮明になっており、日銀の今後の利上げ判断を左右しそうだ。 ◇海外市場頼みの綱「米経済減速は不安」 日本自動車販売協会連合会が1日発表した9月の新車販売台数は自動車メーカーをがっかりさせた。前年同月比9.5%減で、27ヵ月連続の前年割れを記録した。東京モーターショーを控えて各社はこの夏、相次いで新車を投入、業界では「いよいよ底入れ」と期待していたが、国内市場の縮小は止まらない。 それでも企業の設備投資意欲は旺盛だ。日銀の9月短観では、07年度の大企業の設備投資計画は前回調査から0.9%幅上方修正され、8.7%増となった。海外市場が好調で、特に「新興国の伸びが先進国を補って余りある」(三菱自動車の益子修社長)からだ。 ホンダは8、9月、埼玉県内の2工場の建設に相次ぎ着手、エンジンと車体の生産を増強する。シャープは来月、大阪・堺市で世界最大の液晶パネル工場建設に着工。キヤノンも川崎市にデジタルカメラ用の画像センサーの新工場を来年7月に完成させる計画だ。内田恒二社長は年4500億円の設備投資について「計画の変更は考えていない」と強気だ。投資意欲は海外でも堅調だ。07年の新車販売が世界一になる見通しのトヨタ自動車は今年度、1兆5000億円の設備投資を計画、カナダや米国で工場建設に着手している。日産自動車やスズキもロシアなどに工場を建設する。 ただ、頼みの海外にも不安要因はある。サブプライム問題をきっかけに、最大の市場・米国で消費が鈍ることだ。日本自動車工業会の張富士夫会長(トヨタ会長)は「危なくてしょうがない、と言っては変だが、よほど慎重に見ていかなければ」と話す。先行きを不透明にしているもう一つの要素は、ただでさえ弱い国内消費に、ここにきて目立ち始めた「値上げ」がどう影響するか、読めないことだ。 石油元売り最大手の新日本石油はガソリンなど石油製品の卸値を、8月1日に1リットルあたり4.1円上げた。9月は据え置いたものの、1日からさらに4円上げる交渉に入った。製紙最大手の王子製紙は新日石と9月末、製紙燃料に使うC重油の取引価格を9.4%引き上げることで合意した。83年の1〜3月以来の24年半ぶりの高値だ。製紙各社は今年7月、印刷用紙を10%前後値上げしたばかりだが、原料の古紙やパルプも高値で推移しており、再値上げに動く可能性がある。 上流の値上げは下流にまで直結し始めた。ハウス食品は原料高からカレールーなど約12の品目の一斉値上げに踏み切る。日清食品は即席めんを同じ理由で値上げすると発表した。マヨネーズや菓子も上がった。 値上げに対する見方は、企業経営者の問でも分かれる。ある財界首脳は「デフレ思考がぬぐい去られ、値上げしても売り上げが落ちないとの考えが企業経営者に定着したからだ」と、値上げは景気回復の流れに沿ったものだとの見方を示す。一方、消費者と向き合う小売りの現場には、収益悪化につながりかねないという警戒心が強い。特に既存店売上高が20ヵ月連続で前年を下回るスーパーは、大手を中心にできるだけ消費者に価格を転嫁しない方針だ。 ◇短観の概要 ○大企業・製造業の業況判断指数(DI)は前回6月調査と同じプラス23。先行きは4ポイント悪化のプラス19を見込む。○大企業・非製造業のDIは2ポイント下がりプラス20と、02年12月調査以来19四半期ぶりに悪化。○中小企業のDIは製造業が5ポイント悪化してプラス1、非製造業が3ポイント悪化のマイナス10。○07年度設備投資計画は全規模・全産業で前年度比4.9%増で、前回より1.7ポイント上方修正。 「日刊工業新聞2007年10月2日」 ◎サンドビック「宮城に超硬工具製造の子会社を設立」 「神戸」サンドビック(神戸市西区、オーケ・ニルソン社長)は、1日付で超硬工具製造子会社「サンドビック ツーリング サプライ ジャパン」を宮城県栗原市に設立した。超硬工具の生産増と顧客サービス拡充が狙い。資本金は4億9000万円。 同子会社は、サンドビック子会社のサンドビックトーヨー(横浜市港北区)から超硬工具製造部門を分離、独立させた。本社はサンドビックの国内製造拠点である瀬峰工場(宮城県栗原市)に置いた。社長はサンドビックの藤井裕幸副社長兼コロマント事業部長が兼務する。従業員は160人。サンドビックは09年末までに国内での超硬工具生産能力を3倍に高める計画。瀬峰工場の拡張構想を打ち出している。国内やアジアを中心とする海外では、超硬工具需要が今後も伸びると予測。製造部門を直系子会社とし、自社の販売部門との連携による事業拡大に備える。 「日刊工業新聞2007年10月2日」 ◎住友電工「兵庫・伊丹市に総合研修施設。モノづくり人材、実機使い育成」 住友電気工業は08年10月をめどに、実機を使って生産技術や専門技能を習得できる総合研修施設「テクニカル・トレーニング・センター(TTC)」を伊丹製作所(兵庫県伊丹市)内に設ける。創業110周年記念事業の一つ。実践重視の教育に取り組み、設備設計から運用、保守までを総合的に考えられる“モノづくり人材”の育成を目指す。投資額は約15億円。 TTCでは安全や環境、品質などモノづくりの基礎から生産技術や技能の習得、設備設計や構築、運用、保全までを実機を使って総合的に学べる。05年に設立した企業内大学「SEIユニバーシティ」の下部組織として立ち上げる。新設する建屋は3階建てで、延べ床面積は約4085平方メートル。2階部分には、同社のモノづくり情報を発信するショールームも設置する予定。08年1月までに着工する。 対象はグループ内の技術系社員。実習形式のカリキュラムを中心に60〜―70講座でスタートし、将来は100講座に増やす計画。具体的には簡単な自動化設備の組み立てから運用、問題点の改善までを行う講座、組み立て玩具を使ったセル生産の模擬実習、電気メッキや無電解メッキなどメッキ技術の品質の向上や不良発生の予防を学ぶコースなどを用意する。一講座当たり2〜3日から最長3ヵ月を想定している。 講師はグループの研究開発部門や設備設計部門から登用する方針。OBや大学の有識者、専門メーカーなどの活用も視野に入れる。TTCの運営を担当する生産技術本部の川井文義執行役員は「住友電工グループは全世界に13万人強の人材を抱えている。グループにおけるモノづくりの中心地にしたい」としている。 「日刊工業新聞2007年10月2日」 ◎動き出す有機EL市場「ソニー、12月にTV発売」 有機エレクトロルミネッセンス(EL)テレビの市場が動きだす。ソニーは1日、12月1日に発売する有機ELテレビを発表した。画面サイズは11インチで価格は20万円を予定。東芝も09年中の有機ELテレビ製品化を表明している。2日開幕する展示会「CEATEC(シーテック)ジャパン2007」には東芝や京セラ、TDKなどが中小型を展示する。同ディスプレーの市場規模は2010年に世界で5000億円を超えるとの調査結果もある。08年からさまざまな機器に搭載されそうだ。 ソニーが発表した有機ELテレビは解像度960×540画素。コントラストは100万対1と実質測定の限界以上。輝度は600カンデラ。金属の輝きや、暗がりの中に見える明るい光など明暗をはっきり表現する。ただし寿命は3万時間で、一般にディスプレーで必要とされる6万時間より短い。高級志向の個人向けテレビとし、液晶テレビとは競合しない商品と位置づける。 発表会冒頭、予定外の中鉢良治社長が登場。「ソニー復活の象徴だ。未体験の高画質を体験してほしい」と技術力、商品力の回復をアピールした。有機ELパネルはST-LCD(愛知県東浦町)で生産、新たに稲沢テック(同稲沢市)に構築する生産ラインでテレビをつくる。出光興産との材料共同開発のほか、製造などに独自技術を多く投入。かって新しいラジオを実現するためにトランジスタを自社製造したのと同様に、技術を駆使して世界初の有機ELテレビを製品化する。 テレビ向けよりも急速に普及すると予測されるのが携帯機器向けや産業機器向けの中小型。シーテックではTDKの3.2インチ、京セラの5インチのほか多くの企業が中小型の有機ELディスプレーを展示する。 「朝日新聞2007年10月1日」 ◎ミネラル水輸入35%増「06年、国内生産も過去最高」 ミネラルウオーターの輸入が増え続けている。税関当局のまとめによると、昨年1年間の全国の輸入量は約55万キロリットル(前年比35%増)と過去最高を記録し、今年1〜6月も約30万キロリットル(前年同期比11%増)で昨年を上回るペース。国産水も増産が続いており、業界団体は「健康志向の高まりを背景に家庭向け市場が拡大している」と分析している。 税関当局によると、昨年1年間の輸入金額も約371億円(前年比41%増)と過去最高を記録。 輸入量・金額とも10年前の約4倍に増えた。今年1〜6月の輸入先は33ヵ国で、フランスが輸入量の約67%と圧倒的なトップ。横浜税関は「フランス産のブランドイメージが日本人に受け入れられているため」とみている。2位以下は米国(24%)、カナダ(2%)、イタリア(2%)と続く。 飲料水メーカーなど約80社でつくる「日本ミネラルウォーター協会」によると、国内の生産量も昨年1年間で約180万キロリットル(前年比26%増)、出荷額は1491億円(同30%増)とともに過去最高を記録した。同協会は「輸入水は500ミリリットル入りペットボトルなどの小型容器が中心。国産水はスーパーでの2リットルボトルなど大型容器中心と、すみ分けができている」と話す。 同協会によると、昨年の日本人1入当たりの年間消費量は約18リットルで、10年前の3・7倍、20年前の26・3倍に増加した。しかし、欧州の大量消費国に比べればまだ10分の1程度。同協会は「消費量が伸びていく余地がある」と期待している。(富田祥広) 「朝日新聞2007年10月1日」 ◎排出権取引、商社走る「温室効果ガス削減、来年から義務化」 温室効果ガスの排出量をなかなか減らせず、目標とする上限値を超えてしまいそうな企業が、ほかの国から排出量の枠を買ってくる「排出権取引」。京都議定書によって温室効果ガスの削減が義務づけられた08年からの「約束期間」を前に、商社各社が新たなビジネスとして、この取引に力を入れています。(斎藤徳彦) ◇中国などから1000万トン規模 商社が排出権取得を本格化させたのは、05年ごろからだ。エネルギー消費を減らして温室効果ガスを削減するプラントを途上国に納入し、その効果で減った温室効果ガスの排出量を「権利」として受け取る。海外からかき集めた排出権を電力や鉄鋼会社などに転売し、利ざやを稼ぐねらいだ。 三菱商事は06年、中国でのフロンガス分解事業を通じて、年間1011万トン分の排出権を得た。同社がこれまでに取得し、国連に登録した排出権は日本企業で最大となる年間1188万トン。排出権を欲しがる企業に販売すれば、「1トン当たり、1〜2ドルの手数料が見込める」(小松孝一・イノベーション事業グループ最高経営責任者「CEO」)という。 三井物産も、中国などから年間約600万トンの排出権を取得。交渉中の案件を含めると年間約800万トンは確保する見通しだ。丸紅も中国での水力発電事業などによって年間約1200万トン分を獲得し、全量を日本企業に販売する。 住友商事がねらうのはインド。中国での排出権獲得に奔走するライバル各社を横目に、経済成長が著しいインドでの権利獲得に力を入れる。独自の道を進むのは双日だ。シンガポールの企業と提携して、10月1日から排出権の電子取引をスタートする。国内の中小企業などに売り込み、コツコツと手数料収入を積み上げる戦略だ。 京都議定書で、日本は08年から12年にかけて、温室効果ガスの排出量を90年度比で平均6%削減する義務を負った。しかし、排出量は90年以降も増加。ハードルはさらに高くなり、約13%の減少が必要となった。ただ、2度の石油ショックなどを契機として、省エネを最優先で進めてきた日本企業は「乾ききったぞうきん」(関係者)。温室効果ガスの排出量をさらに減らすのは難しく、住友商事の試算では「1トンを削減するのに必要な費用は10万円から20万円かかる」どいう。 一方、商社が海外から排出権を購入する費用は、1トン当たり2000円程度。それに手数料を上乗せして、電力など大量の温室効果ガスを排出する企業に転売する。日本全体では年間1億トン程度の排出権が取引される見通しで、そのうち約半分は商社が海外から取得すると見込まれている。 ◇欧州勢も食指、競争に 欧州で取引される排出権の価格が7月中旬、一時的に大きく値下がりした。新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止したのがきっかけだ。「電力供給を火力発電に頼らざるを得なくなった日本が京都議定書の達成をあきらめ、排出権の購入を減らすのでは」との思惑が働いたという。 排出権取引に携わる関係者の間では、大口購入者である日本の動向が常に注視されている。 ただ、日本企業による温室効果ガスの排出量削減目標は、あくまで自主基準。達成できなくても、罰則は科されない。08年から罰則が強化され、排出量を減らせなかった企業への罰金が増える欧州では、排出権を求める声が切実だ。需要の多さが相場を押し上げ、1トン当たりの購入額は日本より3割近く高い16ユーロ(約2600円)前後。欧州のブローカーが排出権の大量の買い占めに走っている、といううわさは絶えない。中国などアジア各国から着々と購入権を買い集めている日本の商社も「今後は欧州勢に“買い負ける”局面もありえる」(商社関係者)と警戒する。 排出権を供給する側にも、変化が生じている。日本への最大の供給国である中国で「日本企業に頼らず、自前の技術で省エネを実施するケースが増えている」(丸紅)というのだ。日本の省エネプラントを中国に供与し、その見返りとして排出権を獲得するというビジネスモデルが、根底から揺らぎ始めている。枠にまだ余剰があるロシアや東欧を、新たな供給源として期待する商社もある。ただ「余剰枠は、外交の具に使われる」との懸念もあり、中国に代わる供給源となるかどうかは不透明だ。 ◇視点「議論の猶予、少ない」 「週に1日、工場から人間の呼吸に至るまであらゆる温室効果ガス排出活動をやめる」。京都議定書の達成には、これだけのことが必要になると言われると、とても不可能に思える。 排出権取引は「達成の切り札」とされる。しかし、お金で解決する面もあるだけに、排出権の購入を公表すると「省エネ努力を怠っている」と批判されかねない雰囲気もあるという。ただ、取り組みの遅れは、日本企業に損失をもたらしかねない。議論は尽くすべきだが、時間は限られている。 ◇キーワード「排出権取引」 市場原理を生かして温室効果ガスを減らす手法として、京都議定書で認められた。先進国が供与した省エネ技術や資金によって、途上国が温室効果ガスの排出量を減らすと、その分を先進国側の削減分とみなす「クリーン開発メカニズム(CDM)」が代表例。もともと排出量が少ない国が、余った分を先進国に権利として売却する手法もある。京都議定書で温室効果ガスの削減が義務づけられた08年からは、実際にどれだけ削減されたかを国連が権利として承認する。取引はすでに、削減量の見込み値に基づいて始まつている。 「日刊工業新聞2007年10月1日」 ◎新日本工機「航空機生産向け工作機械を増産。難削材対応で攻勢」 新日本工機(大阪市中央区、山口久一社長)は、航空機生産向け工作機械の増産体制に入った。工作機械の平均月産20台のうち4台程度が航空機用となり、06年度比で倍増した。増産機種は難削材の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を加工する5軸加工機が中心。大型機と難削材に強い技術力で、受注拡大を図る。 新日本工機は信太山工場(堺市南区)で主に大型の5面加工機や5軸加工機、旋盤を生産している。そのうち約20%が航空機用の5軸加工機で、前年に比べ2倍に伸長した。米ボーイングの次期中型旅客機「787」向けに受注が伸びているのが要因。フル生産は09年度まで続くと見込む。 「日刊工業新聞2007年10月1日」 ◎三菱電「中国でのエレベーター増産を年4万台体制に」 三菱電機は2010年までに、中国でのエレベーター生産能力を年4万台に拡大する。これまで、年3万台までの拡大を計画していたが、中国での需要が予想より早く増加しているため、1万台上積みする。合弁会社の上海三菱電梯(SMEC)を年3万台、12月に稼働する三菱電機上海機電電梯(MESE)を年1万台に能力増強する。供給能力向上とともに、コスト低減や納期短縮で成長市場での競争力を強化する。 三菱電機は02年に上海で、主要パーツ製造合弁の三菱電機上海機電電梯(MESE)を設立した。同社にエレベーター製造ラインを設置し、12月から稼働して早期に年産5000台体制とするが、2010年までに年産1万台に拡大する。また、中国での主力生産拠点である上海三菱電梯(SMEC)は能力増強を継続中。現在年産2万4000台規模だが、2010年までに年産3万台体制とする。両拠点とも機械加工設備の増強に、それぞれ10億円規模を投資する見込み。 中国は08年の北京五輪、2010年の上海万博を控え建設投資が旺盛。06年度のエレベーター需要は中国が16万台(受注ベース)で、日本国内需要の3万台弱(同)の5倍以上の規模となった。同市場では首位の米オーチスエレベータとスイスのシンドラーが大きなシェアを持ち、三菱電機は3位グループとなっている。 「朝日新聞2007年9月30日」 ◎今さら聞けない「電気自動車」 電気自動車は、バッテリーに蓄えた電気でモーターを回して走る。ガソリンをエンジン内で燃やして走る一般的な車と違い、排ガスを出さないのでクリーンだ。エネルギー効率がよいとか、騒音や振動が小さいといった魅力もあって、複数の大手自動車メーカーが10年ごろをめどに小型車を市場投入する構想を持つている。 似たような開発ブームは、過去に2回あった。米国の排ガス規制の強化を受けた70年代には鉛蓄電池が使われた。90年代には、より高性能のニッケル水素電池が採用され、大手メーカーが相次いで販売に踏み切った。しかし、性能や価格でガソリン車に対抗できず、大部分が21世紀を待たずに撤退した。 06年度末の時点で、公道を走行できる市販された電気自動車は、国内に500台ほどと推定される。新車が増えないため、廃車される分だけ減っている。1人乗りの四輪車を入れても約2600台。充電に時間がかかる、電気を補充せずに走行できる距離が短い、価格が割高といったマイナスイメージが広まってしまい「特別な車」という印象がいなめない。 今回は「三度目の正直」になるのか。「懐疑的な見方もあるが、地球温暖化の問題があるのでもう後に引き下がれない」と電動車両普及センターの桝田剛司さん。期待されているのは、パソコンや携帯電話などに広く使われ、性能が飛躍的にあがっているリチウムイオン電池だ。 すでに、ガソリンと電気を併用するハイブリッド車は人気が定着している。バッテリーの容量を大きくし、家庭用コンセントから充電できるようにしたプラグインハイブリッド車も開発が進む。電気で動く車が増えれば、バッテリーの技術革新が加速し、電気自動車が「ふつうの車」になるかもしれない。 歴史的にみると、変速機がいらず構造がシンプルなため、発明はエンジン車より早かった。 戦後間もない49年のガソリン不足時には、国内生産台数が全保有台数の約3%に達したこともある。(安田朋起) 「朝日新聞2007年9月29日」 ◎大阪〜東京、560キロ水素補充なし「トヨタの燃料電池車が完走」 トヨタ自動車は水素を燃料とする燃料電池車「FCHV」を改良し、28日に実施した大阪〜東京間(約560キロ)の公道走行試験で、水素を途中で補充することなく完走した。水素充填1回での最長走行距離は従来330キロだったが、大幅に更新したという。 今回の試験車両は、日米の官公庁などに限定販売している燃料電池ハイブリッド車を改良したもの。燃料電池の出力とバッテリーの充放電を制御するシステムなどの改良で燃費を25%向上させたほか、水素貯蔵量を約2倍に増やせる高圧水素タンクの採用で、1回の水素充填による航続距離を約2.5倍に延ばしたという。同日の公道走行試験は午前5時20分に大阪市の大阪府庁前を出発。名神、東名高速などを経由して、午後2時過ぎにゴールの東京・台場に到着した。 「朝日新聞2007年9月29日」 ◎IHI、営業赤字に転落「欠陥工事発覚、570億円下方修正」 IHI(旧石川島播磨重工業)は28日、08年3月期の業績予想の大幅下方修正を発表した。営業利益は400億円の黒字予想から170億円の営業赤字に転落。工事の欠陥や遅れが相次いで発覚し、多額の損失が出る見込みで、営業赤字は最大450億円まで膨らむ恐れがあるという。3月末まで社長だった伊藤源嗣会長は、就任半年あまりで引責辞任する。 ◇伊藤会長、引責辞任へ 記者会見した釜和明社長によると、利益計画を点検するなかで損失が発覚した。9月中間決算の業績予想も下方修正し、営業赤字は過去最悪の670億円。不動産や保有株式を売却し、通期の当期黒字は確保する方針。損失は大半が、同社の売上高の4分の1を占めるエネルギー・プラント事業で発生。新たに見込む営業損失は通期で計570億円にのぼる。うち発電用ボイラー事業などでは230億円の損失が出る見通しだ。 中国や中東でのエネルギー需要の高まりを受けて受注が急増し、今年度は国内7、海外5の計12プロジェクトを同時並行で進める忙しさとなった。だが、内需の低迷で他事業に人員を振り分けていたため、受注増に設計能力が追いつかず、生産・外注のトラブルによるやり直しや、工期の遅れが相次いだという。 サウジアラビアで進めるセメント工場の建設では、インド系業者に下請けに出した原料貯蔵施設の工事の6割に重大な欠陥が見つかり、計130億円の損失が出た。エネルギー・プラント事業は、東南アジアで完成前のボイラープラントで爆発事故が起きるなどした影響で、07年3月期も赤字だった。 釜社長によると、同事業の大規模工事の一部では、見積原価が甘かった疑いも浮上している。営業損失はさらに280億円分膨らむ恐れがあるといい、同社は弁護士らで構成される調査委員会で検証し、10月末にも追加の損失額を公表。改めて業績を下方修正する方針だ。伊藤源嗣会長は調査結果がまとまった段階で引責辞任する意向だ。 釜社長は「体たらくという指摘はあると思う。心よりおわび申し上げる」と陳謝した。IHIでは先月、愛知工場の造船ドックで6人の作業員が死傷した爆発事故が起きたばかり。「ものづくりの質が低下しているのではないか」との質問には、「そういう問題とは別だと思う」と述べた。 「日刊工業新聞2007年9月29日」 ◎エプソン「新開発のヘッド搭載したジェットプリンターを発売」 セイコーエプソンは画質と印刷速度を高められる独自開発のプリントヘッド「マイクロピエゾTFヘッド」を初めて搭載した大判インクジェットプリンター「PX-20000」を10月下旬に発売する。価格は241万2900円。ポスターやのぼりなど屋内外の広告の印刷、写真やアート作品などの印刷用として売り込む。 同ヘッドはノズル集積度が従来比2倍の1インチ当たり360ドット、1秒当たり約4万滴のインクを吐出できる。インクも新たに開発した「ビビッドマゼンタ」を採用して青やマゼンタ(赤紫)の再現領域を広げた。用紙幅は最大64インチ。 「朝日新聞2007年9月28日」 ◎ミクロの膜、燃費よし「日産自動車、部品摩擦減らす」 自動車各社がクルマの燃費改善に取り組んでいる。日産自動車が開発したのは、髪の毛の太さの約80分の1という薄い膜をエンジン内部に付着させて、部品どうしの「摩擦抵抗」を減らす技術。エネルギーの消耗を減らし、燃費を1%改善できるという。自動車以外にも応用できるこの技術を、国内外の様々なメーカーに売り込んでいく考えだ。(鈴木暁子) ◇エンジンに応用、3〜4%改善期待 自動車を運転すれば、ガソリンなどの燃料エネルギーは消費される。ただ、自動車の走行や加速に使われるのは、消費エネルギーの約3割。多くはラジエーターで熱の冷却に使われたり、排ガス中の熱として無駄に失われたりしている。 エンジン内の部品の摩擦によって失われたエネルギーも、消費された燃料エネルギーの1〜2割を占める。特に課題があるのが、燃料と空気の混合気を爆発させて動力を生む「燃焼室」の入り口についているバルブリフターと、それを押し下げるカムシャフト。この二つの部品が、燃焼室に空気を送り込むために接するとき、摩擦によって多くのエネルギーが消費されるという。 摩擦で失われるエネルギーを減らすために、日産が06年に開発した技術が「水素フリーDLCコーティング」だ。DLC(ダイヤモンドライクカーボン)は、ダイヤモンドのように硬い炭素材料のこと。潤滑性があるのが特徴で、機械部品の摩耗を減らすために薄い膜の状態で使われてきた。ただ、日産の研究によると、水素を含んだ従来のDLCにはエンジンオイルがうまく作用せず、オイルが流れるエンジン内では、摩擦抵抗を減らす効果が発揮しにくいことがわかった。 日産は97年から、水素を含まない水素フリーDLCの研究をスタート。表面に吸着しやすいエンジンオイルも開発し、06年に量産化に成功した。水素フリーDLCは、炭素の結晶である黒鉛が原料。厚さ約1マイクロメートル(1メートルの100万分の1)という膜にして、500円玉より一回り大きいほどのバルブリフターの表面に付着(コーティング)させる。部品の表面はつるつると滑りやすい状態になり、なめらかにこすれ合うため、摩擦抵抗が減るという。 1マイクロメートルの薄膜をつけることで改善できる燃費は1%。新型オイルと一緒に使うと、省エネ効果は2%に倍増する。日産は06年に新型スカイラインで水素フリーDLCをコーティングしたのを皮切りに、現在は世界で販売する新車の約2割で採用。数年内には、ほぼ全車に導入する計画だ。 エンジンの基幹部品であるピストンリングとピストンピンにも、水素フリーPLCを近く採用する。これによって、燃費を約3〜4%改善できると期待している。技術開発に携わった日産技術開発本部の馬渕豊さん(39)と奥田紗知子さん(29)は「小さな努力のつみ重ねが燃費や環境の改善につながる。縁の下の力持ちの技術です」と胸を張る。 滑りやすくする省エネ技術は、自動車以外にも応用できる。例えば腕時計。歯車の軸受けの摩耗を減らすため、従来はルビーなど硬度の高い宝石が使われてきたが、水素フリーDLCを使えばより効果が長持ちする。油圧機器のポンプや機関車用の大型エンジンなどにも使えるとみて、日産は技術ライセンスの売り込みに力を入れ始めた。 「朝日新聞2007年9月28日」 ◎石炭、最新活用術 代替エネルギーとして石炭関連の技術開発が見直されるのではないか。そんな期待が、関係者の間で高まっている。かつて黒いダイヤといわれた石炭も、高度成長期以降、石油にエネルギーの主役の座を明け渡した。だが、最近は原油価格が高騰し、原子力発電の安全性への疑念も強まっている。有効利用に向けた動きが加速しそうだ。(斉藤潤) ◇NO2削減と両立・液化ガス化 北海道夕張市の山林の空き地で、高さ2メートルほどの金属製の装置が設置されていた。地下900メートルほどに広がる石炭層に二酸化炭素(CO2)を送り込んでいる。関西電力の子会社、環境総合テクノス(大阪市)の実験場だ。CO2は石炭組織のすき間に入り、メダンガスを押し出す。それが別のパイプを伝わり地上に上がってくる。産出量は1日に約500立方メートル。湯沸かしや暖房で、500世帯をまかなえる量だ。 地球温暖化の原因とされるCO2を地下に押し込め、ガスを取り出す。CO2削減と石炭が生み出すエネルギー確保を両立させた技術。同社の名子雅夫プロジェクト室長は「石炭層は日本に豊富にある。もったいない」。実験は経済産業省の支援を受けて04年に本格的に始まった。実用化に向けたデータを蓄積し、10月初めに終える。課題はコスト面だ。CO2は発電所や工場の排出分から確保するが、集める設備や輸送費用がかかる。この実験では1トンあたり約6000円で相場の3倍規模。「CO2確保の費用が下がれば実用化が視野に入る」(名子室長)という。カナダやアメリカ、欧州連合(EU)でも同様の実験が進む。
最近の原油高騰に加え、新潟県中越沖地震で、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が運転停止に追い込まれるなど、CO2削減の切り札だった原発の安全性に疑問符がつき始めている。「石油や天然ガス、原子力に加えてもう一本、エネルギーの柱が必要。石炭の技術革新が急務」(電力幹部)。電力業界では、石油より4割ほど安くつくとされる石炭のガス化の実験も進む。電力中央研究所の原三郎・上席研究員は「環境面をクリアし、効率的な利用法を打ち出すべき時だ」と話す。 「朝日新聞2007年9月28日」 ◎中小企業も“エコ”取得、環境認証「地域版」 費用が安くて手間もかからない中小企業向けの地域版環境認証が各地で生まれている。企業の環境問題に対する取り組みが重視されるようになり、環境認証を取得しようとする中小企業が増えているが、国際規格は費用が高く専門知識が必要だからだ。金融機関もこうした動きに着目、地域版の環境認証を取った企業を優遇する制度を始めている。(大宮司聡) ◇ISOより安く人気 06年度よりもガソリン消費量1%削減、一般廃棄物2%削減、電力消費量1%削減。金属加工品業の坂製作所(京都市)は、約20人の社員が、環境改善目標を記したカードを持ち歩く。坂栄二社長のカードにも「できるだけ車を使わない」と個人目標が手書きしてある。改善計画の策定や点検などの手続きは環境認証規格「京都・環境マネジメントシステム・スタンダード(KES)」に沿っている。京都市や企業、市民らが集まった「京のアジェンダ21フォーラム」の中で、中小企業向けの規格を求める声が高まり、01年にKESが作られた。 環境認証は企業の環境対策を促すために作られた。ただ、ISO14001などの国際規格は取得に100万円程度、コンサルティング費用を含めると数百万円かかる。KESの取得費用は初級レベルで約10万円、ISO14001と同じ要求水準を設けたレベルでも約30万円。大企業を退職した専門家らがボランティアとして取得企業の認証や管理を助けるため、費用が安い。坂製作所は05年に取った。国際規格も考えたが「小さい企業では金銭的な負担が大きい」(坂社長)とKESを選んだ。KESの管理はフォーラムからNPOのKES環境機構が受け継いだ。01年度104件だった登録数は07年8月末時点で1020件に増えた。 地域版の環境認証は青森県、三重県など全国で約15ある。管理機関はNPOが多いが、企業が主体となる場合もある。宮城県を中心に展開している「みちのくEMS」は04年にスタート。 ISO14001と同じ要求項目を設けたレベルのみを採用している。これまで48社が取得した。事務局のNPO環境会議所東北では、企業でISOなどにかかわった経験がある約160人が企業の支援にあたる。山岡講子・常務理事らが産業廃棄物の処理の行方に疑問を持ったのがきっかけ。「企業に産廃の適切な処鯉をしてもらうにはどうしたらいいか」(山岡さん)とISOを研究していたところ、仙台市から環境認証のモデル事業の呼びかけがあった。このため、取得企業には建設業などが多い。 造園業の東洋緑化(仙台市)は05年にEMSを取得、屋上緑化に力を入れる。伊藤米男会長は「行政の評価を考えて取得した面もあったが、社員全体に環境意識が高まつた」という。 行政も活用を促している。宮城県、仙台市は入札の参加企業を審査する時に、EMSがあれば加点する。仙台市には取得費用の補助制度もある。 ◇金利を優遇する銀行も 金融機関も関連商品を開発している。環境に配慮している企業に融資することで、社会貢献をアピールできるからだ。三井住友銀行は、環境認証を持つ中小企業向けに「ビジネスセレクトローンECO(エコ)」を売り込む。上限は5000万円、貸出金利を最大0・5%優遇する。ISO14001のほか、10以上の地域版も認めている。2月〜7月下旬に約330社の申し込みがあり、地域版でECOを利用した融資は中小企業向け融資全体の2割近くに増えた。同行法人マーケティング部の清水浩徳・成長事業担当部長は「地域認証が広まれば、年間300億〜500億円が積み上がる」とみる。 KESを持つ坂製作所もECOを利用した。約2500万円をかけて工場約200平方メートルを改築し、新たな製造機械を導入。資金の一部にECOの融資を充てた。このほか新銀行東京の「環境・CSR応援団」、京都銀行の「京銀エコ・ローン」などがある。三菱東京UFJ銀行は、東海地方から始まった「エコステージ」を取得する場合、私募債発行にかかる手数料を取得費用分だけ安くして後押しする。 ◇キーワード「環境認証」 代表的な規格は国際規格のISO14001。国際標準化機構(ISO、本部・ジュネーブ)が定め、96年に始まった。企業や工場の環境管理システムに関する規格で、それぞれの企業が環境改善計画を作り、その点検、計画の見直しなど17項目について定めるように求めている。年1回の定期審査や3年ごとの更新審査が必要。地域版にも審査や更新審査はあるが、手続きはISOに比べて簡素で、管理機関の指導・助言もある。 「日刊工業新聞2007年9月28日」 ◎日本精工「電動パワステと一体化した小型可変舵角機構を開発」 日本精工は、電動パワーステアリング(EPS)と一体型の可変舵角機構を開発した。ステアリングコラムに搭載するコラム式EPSと可変舵角機構を一体化して従来製品より小型化。同機構が採用されていない中小型車でも搭載が容易。完成車メーカーに売り込み、5年後以降新型車での採用を目指す。 可変舵角機構はハンドルを操作した角度と前輪の切れ角を自動調整する。街中では車輪の切れ角を大きくとって小回りをきかせ、高速道路では小さくして車を安定走行させられる。現在、トヨタ自動車の「レクサス」など高級車で採用されている。 新開発の機構は、鋼球と偏芯歯車を用いた独特の「ボール減速機」を採用。厚さは約4センチメートルと従来品の半分程度に薄くした。独自の電子制御ユニット(ECU)とモーターで制御。操舵角に対し車輪の切れ角を通常の0.5〜1.5倍まで自動的に変えられる。 「日刊工業新聞2007年9月28日」 ◎村田製作とエプソン「携帯向け急速充電システムを共同開発へ」 村田製作所とセイコーエプソンは27日、携帯機器向けに非接触の急速充電システムを共同開発すると発表した。従来1〜2時間かかっている充電時間を10〜15分程度に短縮する。村田はリチウムイオン二次電池や電源回路技術などを、エプソンは急速充電システム用ICや高効率電力伝送コイルなどを分担して開発する。3年以内の実用化を目指す。 同システムは急速充電器と急速バッテリーモジュールで構成。電磁誘導の原理を活用して非接触で電力を供給する。携帯機器を台に置くと充電を始める。従来、非接触で電力を伝える効率は約30%だったが、同システムは70%以上になる見込み。村田はリチウムイオン二次電池を製品化していないが、正極材料などの改良で急速充電を実現できるとみる。エプソンは非接触の電力伝送技術を開発してきた。 「朝日新聞2007年9月27日」 ◎TV開発、薄さ勝負 大手電機メーカーによる次世代の「超薄型」テレビの開発競争が激化してきた。日立製作所は26日、厚さ1センチ台と業界最薄の液晶テレビの試作機を開発したと発表。シャープも今夏、厚さ2センチの液晶テレビの試作機を開発した。薄くて軽く「次世代テレビの本命」とされる有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)デレビを、ソニーが年内に世界に先駆けて発売するのが刺激となり、開発の機運を一気に高めたといえそうだ。 ◇シャープ2センチ、日立1.9センチ試作。有機ELのソニー3ミリ いずれも10月2日から千葉・幕張メッセで開かれる日本最大のエレクトロニクス・IT(情報技術)の展示会「CEATEC(シーテック)JAPAN」に出展される予定で、「超薄型」が目玉の一つとなりそうだ。 日立の試作機は、画面サイズ32インチ、厚さ1.9センチ。チューナーは内蔵していないという。09年の発売を検討している。現在の薄型テレビのほとんどは液晶、プラズマとも厚さ10センチ前後。これまでも「壁掛け」をうたってきたが、壁の補強が必要なケースも多かった。日本の住宅事情もあり、メーカー各社は壁掛けも可能な超薄型テレビの商品化で、新たな需要を掘り起こす考えだ。 シャープは試作段階での「最薄」の座を日立に奪われたが、画面サイズは52インチと大きい。チューナーも内蔵しており、重さは25キロと従来製品より5キロ以上、軽くなった。堺市の新工場が稼働する10年3月までに商品化する考えだ。 「次世代の本命も液晶だ」。シャープはこう強調するが、その発言の裏には危機感も見える。意識するのは有機EL。これまで「寿命が短く、大型化も難しい」とされてきたが、目に見える形で脅威となってきたからだ。有機ELは電流を流すと自発光する有機材料を使うため、薄く軽くしやすく、コントラスト(明暗の比)や動画の応答速度、視野角にも優れるとされる。 ソニーが発売する予定の有機ELテレビは画面サイズ11インチ、厚さ3ミリ。価格は20万円前後になるとみられる。27インチで厚さ1センチの試作機もあり、50インチ台も視野に入った。「正真正銘の壁掛けテレビ。シャープの2センチより薄く、軽くできる」と自信を見せる。ソニーは、液晶など薄型テレビへの移行が遅れた苦い経験から、有機ELテレビで先行し、「技術のソニー復活の象徴とする考えだ。東芝も09年の有機ELテレビ発売を表明している。 「朝日新聞2007年9月27日」 ◎台頭する「新華僑」視線の先には中国市場 「新華僑」と呼ばれる中国人が増えています。従来のように、比較的、地域に根ざした活動を中心とする華僑とは異なり、より知識やアイデアを生かして勝負し、時に中国本土にも打って出る人たちのことです。中国の経済改革や発展も背景に、様々なビジネスに挑み始めています。(野口拓朗) ◇起業、成功戦略の第1弾「ネットで中国語教室」 日本で会社を起こす夢をかなえた人がいる。JR神戸駅に近いビルに、趙子輝さん(42)が経営する「チャイナネット」のオフィスがある。10平方メートルのスペースに、机とパソコン1台。その質素さからは、年1500万円を売り上げているとは想像できない。インターネットを使つた中国語教室の事業が軌道に乗った。 長春出身。勉学に励み、日本の経済発展に興味を覚え、日本の大学に留学。そのまま大手英会話学校に就職し、O3年に辞めて起業した。北京などに住む中国人講師と日本の生徒をネットで結び、パソコン画面で対面授業をする。教室はいらないから低コスト。ヒントは英会話学校でテレビ電話システムに携わった経験にあった。 授業は20回なら1回2500円。生徒は知人のツテやネットを通じて増えた。対中ビジネスに携わる会社員、団塊世代など様々だ。「日中交流が盛んになっているので、まずは中国語。最初のステップでした」 次の「成長」戦略は、昨秋始めた中国・特許担当庁への申請取り次ぎ業務。模造品が横行するなか、日本の進出企業が中国当局から特許を取れば、模造した中国企業に訴訟で勝てる。 これまで3件取り次いだ。「今後、中小企業の需要が増す。特許製品を中国に売り込みたい」。13億人の巨大市場を、その向こうに見据える。 ◇日中企業のパイプ役に「東京で弁護士」 中国が政治運動の渦中にあった四半世紀前には、ありえなかった分野に舞台が広がっている。弁護士の方新さん(42)は、東京・有楽町の法律事務所で、中国進出を狙う日本企業の相談に乗る。合弁会社の設立、雇用契約など守備範囲は広い。北京出身。テレビで見た海外ドラマで、弁護士が法廷で検察官をやりこめる姿にあこがれた。法律を学び、中国の司法試験に合格した。だが当時は、文化大革命からの復興途上。法は未整備で、仕事は限られていた。そのため一度は日本の貿易会社に就職。中国で弁護士事務所の設置が自由になったのを機に、友人と北京で事務所を開いた。知り合った日本人弁護士から、企業支援のノウハウを学ぶ。96年、その弁護士の招きで日本へ。この7月から今の事務所にいる。 「東京の市場は大きい。日中企業間のトラブルを解決、経済交流に貢献したい」過去、中国では外国企業は資本主義の手先、敵と見なされた。それが改革・開放政策で外資誘致に転換した。ひのき舞台に立つ方さんの姿は、現代中国の激変と重なる。 神戸市の貿易会社「剣豪集団」会長の鄭剣豪さん(42)は、天津での海水淡水化事業に力を注ぐ。日中のパイプ役として日本の大手商社などと事業計画を詰めている。学生時代、共産党の青年組織、共産主義青年団の活動家だった。胡錦濤国家主席の出身母体で、7000万人を超す大組織。活動仲間は中国当局の要職にいる。その人脈は一目置かれる。世界各国から華僑など中国系経営者が集まり交流する世界華商大会が今月中旬、神戸市などで開かれた。鄭さんも参加、名刺400枚を交換した。「中国は温暖化や砂漠化で水不足。大きなビジネスになる」との説明に興味を示す華僑も数人いて、再会の約束を取り付けた。だんだん、事業が形になってきている。 ◇キーワード「新華僑と老華僑」 中国が改革・開放政策にカジを切った70年代後半以降・海外に出た中国人を新華僑と呼ぶ。それ以前から国外で活動する中国人やその子孫は老華僑と呼ばれる。横浜や神戸で.中華街を作り、飲食店や貿易業を営む人が多い。法務省統計では、外国人登録をした在日中国人はここ20年で4倍以上に増え、06年で約56万人にのぼる。 ◇「華僑」というより「国際人」・ジャーナリスト莫邦富さん 近代中国では、戦乱や共産党政権の成立などを背景に、多くの人が海外に渡った。彼ら老華僑はいわば「弱い中国の象徴」でもあった。政府の後ろ盾はなかった。移住先で地域にとけ込み、財力で役人らとのパイブを作ってきた。 新華僑は、国費留学など政府の後押しがあった。富裕層で高学歴の人も多く、移住先では知識を元手に起業するなどし、メディアなどを通して発言力を強め、地域に根ざす意識も薄い。両者の交流はこれまで少なかった。老華僑は新華僑を「浮ついている」と見たし、新華僑は老華僑を「従順すぎる」と見てきた。交流が始まってきたが、まだその壁は厚い。老華僑の財力と、新華僑の知識、ビジネスモデルが一緒になれば、国際経済への影響力はもっと大きくなる。さらに「華僑」というアイデンティティーも重要でなくなるかもしれない。国際人という概念で活躍する人がもっと増えるだろう。(上海出身・54歳:聞き手・田幸香純) ◇視点「日本企業にも有益」 新華僑の強みは日中両国の政治、経済などの違いに精通していることだ。大学院を出るなど専門知識も豊富だ。東証1部に上場したり、企業買収を手がけたりと活躍の場を広げている。巨大な中国市場をにらむ日本企業にも組むには有益な存在だ。中国を熟知しているから対中ビジネスの摩擦を和らげられる。共産党、政府に通じる彼らの人脈も魅力的だ。紹介があれば、ことがスムーズにいく。中国人を採用する日本企業が増えている。彼らの能力を使わない手はあるまい。 「朝日新聞2007年9月27日」 ◎GM全米スト解除「労使合意、雇用契約歩み寄り」 「ニューヨーク:丸石伸一」全米自動車労働組合(UAW)は26日未明、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)との労使交渉で暫定合意し、全米で24日に突入したストライキを解除すると発表した。退職者向け医療費を管理する新基金の設立などを含む新たな雇用契約を結ぶことで双方が歩み寄った。合意内容の詳細は公表されていないが、最大の懸案とされた医療費について、管理をGMから新基金に移管。GMは基金に出資するが、従来よりも負担額を削減する見通しになったとみられる。 GMは暫定合意後、「競争力を大幅に改善する道筋をつけた」と発表した。GMは従来、医療費などの負担が過大なため、日本メーカーなどよりコスト面で不利になっていると主張していた。GMのストは9年ぶりで、全米の82施設、従業員7万人規模に及び、2日目の25日にはカナダの2工場も操業停止に追い込まれていた。GMの損失は1日1億ドル(約115億円)にのぼるとの試算もあった。労使とも業績などへの影響が深刻化するのを避けようと、妥結を急いだとみられる。 「日刊工業新聞2007年9月27日」 ◎日産、「“GT-R”の予約開始、スポーツカーブーム再び」 日産自動車は26日、スポーツカー「NISSAN・GT-R」の先行予約を同日始めたと発表した。販売価格が700万円台後半から、6ヵ国語対応の専用ウェブサイトも立ち上げた。10月24日の東京モーターショー・プレスデーでカルロス・ゴーン社長が実車を公開、仕様などを正式発表するが、問い合わせが相次いでおり、異例の予約や事前告知でファンの要望に応える。トヨタ自動車やホンダも高級スポーツカーの投入を計画しており、これまで海外メーカーの“金城湯池”だった同市場で日本勢が攻勢をかける。 日産のGT-Rは02年2月に限定販売して以来約5年半ぶりの復活。12月から日本を皮切りに世界で順次販売していく。スカイラインの血統を受け継ぎながらも、グローバルでのブランド力を考慮し名称を「NISSAN・GT-R」にした。 「日刊工業新聞2007年9月27日」 ◎キヤノンとエプソン「家庭用プリンターの年末商戦向け新製品」 インクジェットプリンター2強のキヤノンとセイコーエプソンの年末商戦向け新製品が26日、出そろった。キヤノンは同日、L判写真を18秒で印刷できる「MP610」などインクジェットプリンター「ピクサス」7機種を10月4日に、昇華型写真プリンター「セルフィー」1機種を10月18日に発売すると発表。両社とも07年に家庭用インクジェットプリンター(キヤノンは昇華型との合計)で50%以上というシェア目標を掲げた。 両社とも重視したのは、写真をきれいに簡単に印刷できる自動補正機能。キヤノンの新製品には従来の顔検出に加え、夜景など場面に応じてコントラストや逆光補正をする機能を搭載。セイコーエプソンは人物の顔を写真に撮った時、実物よりも0.5〜1.5%太く見えるという調査結果を元に顔を小さく見せ、同時に肌色補正を強化した「ナチュラルフェイス」機能を搭載した。 家庭用プリンターのユーザーは写真愛好家から初心者まで。30〜40代のファミリー層を中心にして20代から60代までの層でもある。「どの層が特に多いということはない」(キヤノンマーケティングジャパンの芦澤光二専務)という市場でどれだけ幅広い層を取り込めるか。プリンター本体の販売の伸びが鈍化してきた中で、両社の新製品は需要を掘り起こす戦略の試金石になる。 「日刊工業新聞2007年9月27日」 ◎日立ハイテク「生産性20%向上のモジュラー型チップマウンター開発」 日立ハイテクノロジーズは半導体や抵抗・コンデンサーなどの電子部品実装に用いるモジュラー型のチップマウンター「GXH-3」と「GXH-3J」を開発した。サーボモーターに直接ノズルを付けたダイレクトドライブヘッドのほか、XY駆動軸にリニアモーターを採用。これにより一時間当たりの生産性を表すスループットを従来機比20%引き上げ、毎時9万5000チップの搭載を可能とした。08年度に新型機を含めてチップマウンターを850台販売し、同年度に世界シェア20%獲得を目指す。 新型機は実装部分が二つあるGXH-3と一つのGXH-3J。GXH-3Jはスループットが半分の毎時4万7500チップとなる。国内標準価格6000万円(GXH-3)で10月に発売する。デジタル家電や携帯型情報端末、ノートパソコンなどが小型化するに伴い、電子部品の寸法も1.0ミリ×0.5ミリから0.6ミリ×0.3ミリメートルの小物が主流になっている。このため、新型機は一つのヘッドで0.4ミリメートルから異形部品まで実装できるものを採用した。 チップマウンターは日立ハイテクのほか、パナソニックファクトリーソリューションズ(大阪府門真市)や富士機械製造、独シーメンスなどが手掛けている。このなかで日立ハイテクは、ガントリー構造のビーム部分の両端をリニア駆動にするなど、実装精度の向上などによって製品差別化を図っている。 一方で埼玉県熊谷市に新工場を建設し、チップマウンターを月100台(年1200台)安定的に生産できる体制を構築して増産に乗り出す計画を進めている。需要が拡大している海外、特に需要の半分が中国向けになっているため同地域で拡販する。 「朝日新聞2007年9月26日」 ◎新航法で飛行時間短縮「GPS用い最短・最適コース」 これまで地上の無線施設の上空をジグザグに進まなければならなかった航空機が、最短・最適なコースを選んで飛ぶことができる新航法「RNAV(アールナブ)」が、27日から羽田、大阪(伊丹)、福岡など8空港周辺の上昇・下降区域で導入される。今年4月に新航法の国際基準ができ、国土交通省が本格導入を決定した。飛行経路や時間、燃料の節約に加えて空の混雑緩和にもつながるとして、さらに拡大する方針だ。 ◇あすから羽田など8空港 27日に導入するのは3空港のほか、函館、新潟、高松、長崎、大分の5空港。これまでのシステムでは、航空機は地上にある無線施設に頼って自らの位置を確認しながら飛行するため、たとえ遠回りでも、目的地までの間に点在する地上の無線施設の上空を飛ばなければならなかった。 新航法では、全地球測位システム(GPS)など自らの位置を把握できる装置を備えた航空機が、無線施設の位置に縛られることなく経路を選び、目的地まで最短距離で飛ぶことができるようになる。その結果、時間や燃料が節約できるほか、無線施設の上空の混雑が解消され、安全性も高まるという。また無線施設周辺の地形や天候に左右されずに飛ぶことができるため、就航率も高まると期待されている。 たとえば福岡空港に南側から着陸する場合、今までの経路よりも約65キロ、7〜8分短縮できる。北側の場合、約13キロ、1〜2分短くなる計算だ。国交省航空局は12年度末までに、国内の計75路線について、出発から到着まで新航法で運航できるようにして、経路を全体で2%短縮する方針だ。実現すれば、二酸化炭素(CO2)の削減効果は年間16万2000トンにのぼり、約94億円の節約になるとしている。 「朝日新聞2007年9月26日」 ◎GMスト「労組、雇用確保求める」長期化、米景気に影響も 「ニューヨーク:丸石伸一」全米自動車労働組合(UAW)が24日決行した米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の9年ぶりのストライキは、低迷する業績を回復させる難しさを改めて浮き彫りにした。長引けばGMの業績に打撃を与えるだけではなく、ほかの大手メーカーや米景気の先行きにも影を落としかねない。 「(GMの)一方的な交渉にとても落胆した」。UAWのロン・ゲトルフィンガー委員長はスト決定直後の24日昼、記者会見でこう説明した。UAWは7月、GMなどビッグ3との間で4年前に決めた労働協約の期限が切れる今月14日をめどに、協約改定に向けた労使交渉に入った。しかし、いずれも合意に至らず、当面の交渉相手をGMに絞って再交渉に入り、新たな期限を24日午前11時(日本時間25日午前0時)に設定。それでも両者は折り合えず、全面ストに突入した。 アナリストからは、今回のストでGMは1日当たり1万2200台の生産が止まり、毎日1億ドル(約115億円)の損失が出るとの試算も出ている。交渉の焦点は当初、退職者向け医療費の削減問題だった。国民皆保険制度のない米国で、ビッグ3は従業員や退職者の医療費を原則負担している。だが、70年代以降に業績が低迷すると「高コスト体質の元凶」として、医療費が問題視されるようになった。 ビッグ3は今回、UAW運営の新たな基金を設立し、医療費の支払い義務を基金に移すことを提 案したとみられる。従来のGMの医療債務負担は500億ドル(約5兆7500億円)以上。米メディアによると、新基金への拠出を350億ドル程度に抑えようとするGMと、さらなる拠出を求めるUAW側との間で交渉が難航したという。 UAWは24日、今後の焦点は雇用確保をめぐる問題だと強調した。米メディアによると、UAWは医療費の削減をのむ代わりに長期的な雇用保障策を求めているという。GMは05年11月、08年までに北米で計3万人を削減するリストラ策を発表したが、米国での販売不振は一掃できていない。ただ、大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズのアナリスト、エフレーム・リービー氏は、スト決行後は妥結に向けた動きが強まり、早期決着する可能性もあると見る。 「朝日新聞2007年9月26日」 ◎省エネ日本、世界に発信「原油消費量増やさぬ成長、解説書も」 日本が呼びかけてきた「省エネの輪」が世界に広がりはじめました。原油価格高騰に苦しむ各国の事情ともマッチ。地球温暖化対策としての期待も寄せられています。日本には「ポスト京都議定書」を巡る国際交渉で存在感を示す狙いがありますが、実際に地球を冷やすには「省エネ後」の戦略も問われそうです。(村山祐介) ◇目標作りの輪拡大 「ザ・ジャパン・ウェイ」(日本流)そう銘打った30洲ページほどの英文資料が、途上国の当局者の注目を集めている。原油高なのに、なぜ日本の物価は下がったのか。経済成長しても、なぜ原油消費量が増えないのか。その理由を経済産業省が解説した、いわば「省エネ読本」だ。 同省担当者は昨年来、あらゆる国際会議で「省エネのススメ」を説いて回る。その際に武器となるのが、この「読本」だ。担当者は「質問がどんどん具体的になっている」と手応えを話す。今年1月の東アジアサミットでは、1000人の省エネ研修生の受け入れと500人の専門家の派遣を発表。国別省エネ目標と行動計画作りを唱え、中印など15力国の賛同を得た。5月には産油国を交えたアジア産消国ラウンドテーブルなどを舞台に目標作りの輪を拡大。今月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、中国に米国やロシアなどまでを含めた21の国・地域全体のエネルギー効率向上の数値目標で合意した。 24日にニューヨークで開かれた地球温暖化問題の国連ハイレベル会合でも、首相特使として演説した森喜朗元首相が「エネルギー効率向上の取り組みを全世界に広げていく」とアピール。国連の播基文事務総長も閉会後の総括で「化石燃料は将来も必須で、我々はエネルギー効率を向上させなければならない」と省エネの重要性に言及した。 ◇原油急騰で、迫られる効率化 省工ネが、これだけ脚光を浴びるようになったのは、ここ数年だ。先行する日本ですら80年代後半からの原油安で熱が冷め、エネルギー効率が悪化した。ところが、03年末以降、中国の急激な経済成長や産油国の政情不安などから原油価格が急騰。権益争いも激しくなるなか、「虎の子」の原油を効率よく使おうと、世界的に省エネが「復権」。原油確保が経済成長に直結するアジアでは「省エネ競争」が始まった。 中国は昨年3月に定めた5ヵ年計画で2010年の国内総生産当たりのエネルギー消費量を05年比2割改善するとの国家目標を立てた。省エネルギー法改正の検討も始め、昨年10月から立法担当者らを日本に4回も派遣する熱の入れようだ。 今年4月の日中首脳会談での省エネ協力の合意を受け、27日には北京で双方の企業トップら約1000人が参加する省エネ・フォーラムを開く。こうした省エネ分野での日中の「蜜月」を横目に、インドも日本に同様の協力を申し入れた。消費拡大で原油の輸入国に転じたインドネシアも05年7月、ビジネス施設の冷房温度設定を25度以上にした。照明の明るさなどを規定した省エネ促進の大臣令も出した。 ◇温暖化防止は、なお遠く もちろん、日本なりの計算もある。まず、アジア各国に省エネが広がれば、日本企業にとって技術を売り込む好機が増える。既に製鉄所の排ガス発電設備などの省エネ技術は引く手あまただ。温室効果ガス削減にも役立つ一石二鳥と受け止められている。 ポスト京都議定書をめぐる国際交渉を有利に運びたいという思惑もある。日本は、京都議定書で義務づけられたガスの90年度比6%減の目標達成が危ぶまれる。だが、省エネなら一転して「優等生」となるからだ。産業界には「京都議定書には、過去の日本の省エネ努力が反映されていない」との不満もある。 大排出国の中印両国もガスの絶対量削減を求める声には「経済成長の妨げになる」と反発するが、原油価格が高騰するなか、省エネには「持続的な経済成長にプラス」とむしろ前向きだ。日本政府は、来夏の北海道洞爺湖サミットで議長国を務める。自ら主張する「ポスト京都の枠組みへのすべての主要排出国の参加」に道筋をつけるため、省エネを呼び水としてアジア各国の腰を上げさせておきたい、とそろばんをはじく。 ただ、例えば省エネで消費電力を3割減らしたテレビが普及しても、経済が成長して一家で2台備えるようになれば、国全体の消費電力やガス排出量は増えてしまう。どれだけ省エネを進めても、経済の規模が拡大すれば、ガス排出量が増える可能性がある。地球を冷やすには「ポスト省エネ」の戦略をどう描くかという難題がある。 ◇視点「有言実行で手本示せ」 省エネ外交では、経産省が知恵を絞った「口説き文句」も一定の効果を発揮したという。原油確保を急ぐ中国には「節約できれば国内油田を見つけたのと同じ」。省エネの設備投資を渋る国には「稼働コストが下がる」。需要減を警戒する産油国には「国内消費を減らせば輸出に回せる」といった具合だ。省エネをガス排出量削減の議論に結びつける際も「お得感」 で口説くのは有効だろう。ただ、日本自身が6%削減の約束を守れなければ「口ばっかり」 と陰口をたたかれかねない。 「日刊工業新聞2007年9月26日」 ◎九州電「カザフスタン・ウラン鉱山開発に参画。関係会社株を取得」 九州電力は25日、カザフスタンの新規ウラン鉱山開発・生産プロジェクトに参画し、関係会社の株式2.5%を丸紅から取得したと発表した。同社がウラン権益を取得するのは今回が初めて。同プロジェクトでは2014年までに年5000トンのウランを生産する予定で、同社は出資比率に応じた同50トン分の優先引取権を手に入れた。九州電力が参画するのは、カザフスタンの国有原子燃料会社であるカザトムプロムが推進する、南カザフスタンのハラサン鉱山の開発。今秋に試験生産を開始し、2050年ごろまで生産。潜在ウラン資源量は約16万トン以上と見込まれる。同プロジェクトにはこれまでに丸紅のほか東京電力、中部電力、東北電力、東芝が参画済み。 「日刊工業新聞2007年9月26日」 ◎オムロン「開閉寿命1億回以上のMEMSスイッチを開発」 オムロンは25日、開閉寿命が1億回以上の高周波(RF)微小電気機械システム(MEMS)スイッチを開発したと発表した。サイズは5.2ミリ×3.0ミリ×1.7ミリメートルで、半導体テスターや高周波計測器など向け。現在主流のメカニカルリレー(MR)からの切り替えを狙う。価格8000〜1万円でサンプル出荷を始めた。08年1月に発売する。 MEMSスイッチは10ギガヘルツ以上の高周波信号の伝送が可能。小型MRに比べて体積が約12分の1、開閉寿命は10倍以上。消費電力は静電駆動方式の採用によりMRの1万分の1の10マイクロワット以下に抑えた。オムロンがMEMSスイッチを開発したのは今回が初めて。第一弾となる単極双投(SPDT)タイプを皮切りに商品を拡充する。 「日刊工業新聞2007年9月26日」 ◎住友電工ハードメタル「航空機向け工具開発チームを立ち上げ」 住友電工ハードメタル(兵庫県伊丹市、倉阪克秀社長)は、航空機製造用切削工具の開発プロジェクトチームを立ち上げた。スタッフ15人で構成し、情報を共有して最適な工具の迅速な市場投入を目指す。06年の同工具販売は5億円だったが、「08年後半から需要は数倍に膨らむ」(同社)と見込む。 プロジェクトチームは航空機のエンジンや胴体の製造に使う工具の開発、生産、営業に携わるメンバーで結成した。各部門の縦割り組織を改め、一体的な事業推進を図る。営業が得た顧客ニーズは間を置かずにチームで共有し、開発や生産にスピーディーに反映。顧客ごとに異なる技術ニーズもきめ細かに対応できるようにする。 同時に、工具の加工テスト用に刃先温度や刃先の微細形状、切りくずの排出状況を高精度に調べる特殊な性能測定機の導入も拡大する。試作工具を短時間で適切に性能評価できる体制を築く。 「日刊工業新聞2007年9月26日」 ◎サンデン「CO2冷媒ヒートポンプ開発へ。エネ効率10%以上向上目指す」 「前橋」サンデンは二酸化炭素(CO2)冷媒ヒートポンプ給湯器のエネルギー効率、現行型に比べ10%以上高いCOP5.6超を実現する冷凍サイクルを開発する。冷凍サイクルは連続的に冷媒を圧縮、膨張する仕組み。圧縮機を2機搭載し、冷媒の膨張時に通常破棄されるエネルギーの60%以上を動力として回収し利用する。2010年に製品化する考え。 膨張弁と第一圧縮機を一体化することで、現行型では破棄されるエネルギーを回収できる。また第一圧縮機が回収したエネルギーを動力に冷媒の予備的な圧縮を行い、第二圧縮機に送り出すことで、エネルギー効率を向上させる。 給湯機やショーケースなどに搭載し、製品の差別化に貢献する。研究開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「イノベーション実用化助成事業」に採択された。採択にあたり、住宅関連機器を含む健康科学産業の振興を図る群馬県が同社を支援した。 「日刊工業新聞2007年9月26日」 ◎オリンパス「創薬研究向け細胞イメージ解析システムを発売」 オリンパスは25日、創薬研究などに貢献する細胞イメージ解析システム「セラビューRS100」を11月1日に発売すると発表した。システム内の蛍光顕微鏡で細胞の画像を取得。物質の形状や蛍光強度の変化を定量的に解析する。価格は2079万円から。薬学や医学の研究室を対象に年間10台の販売を目指す。 大量の細胞画像を解析して得た統計データから生命現象を研究する「細胞スクリーニング」と呼ばれる手法に用いる。薬剤の候補となる物質が生きた細胞にどのような変化をもたらすかなどの情報を大量に得られる。 フィードバック制御された発光ダイオード(LED)の光源を新たに開発し、蛍光定量解析の精度を向上させた。市場価格が3000万円以上とされる同装置を低価格に抑えた。 「日刊工業新聞2007年9月25日」 ◎西鉄「燃料にバイオディーゼル使ったバスの走行試験開始、排ガス分析」 「福岡」西日本鉄道はバイオディーゼルを燃料に使ったバスの走行試験を10月から始める。福岡県大野城市にある同社の教習所で約1年間、排ガスの分析や走行性能調査などを行う。バイオディーゼルの調達先が2010年にも商業プラントの稼働を計画していることから、走行試験の分析結果やコストなどをもとに営業車両への利用の可能性を検討する。西鉄はバス車両数で国内トップ。同社の取り組みが、広がりつつあるバイオディーゼル燃料バス導入を加速させる可能性もある。 走行試験は10月から08年2月までの第1期と、3月から9月までの第2期に分けて実施する。使用するバイオディーゼルはサンケァヒューエルス(茨城県土浦市)が生産したもので、ヒマワリの種を原料とする。1期目は軽油にひまわり油脂を5〜―10%混合したバイオディーゼルを使用し、2期目では10〜100%のバイオディーゼルで試験する。 「日刊工業新聞2007年9月25日」 ◎チッソ環境エンジ「自然浄化法排水処理システムを中国全土に展開」 チッソのグループ会社であるチッソ環境エンジニアリング(千葉市中央区、鎌田進社長)は、中国を中心とするアジア地域で自然浄化法排水処理システム(RBS)の受注活動を強化する。中国では東北部での実績をもとに全土へ展開するとともに、将来的な需要増が見込まれるベトナムやインドでの展開を進める。中国では食品加工工場や、し尿処理に加えて高層ビルなどへの展開も図り、年間20件程度の受注を目指す。 中国では水質汚染の深刻化から行政による排水処理に関する規制が厳しさを増している。こうした中、同社は中国東北部の遼寧省や吉林省で畜産排水や、し尿処理、ゴミ処理場の侵出水の処理設備で実績を蓄積してきた。特に中国のし尿処理は悪臭や処理に問題がある設備が多いことから、今月から商業運転に入る見込みの吉林省長春市のし尿処理施設を、中国におけるし尿処理施設のモデルプラントに設定。 「日刊工業新聞2007年9月25日」 ◎三菱重「舶用エンジンをIHI子会社に生産委託、供給能力を確保」 三菱重工業は独自開発した舶用ディーゼルエンジンをIHI子会社のディーゼル・ユナイテッド(DU、東京都千代田区)に生産委託する。09年までに4台、売り上げベースで計十数億円規模を委託する。造船の好景気を背景に需要が増大している同エンジンの供給能力を確保する。 三菱重はDUと06年12月、海外造船所向け舶用ディーゼルエンジンの相互製造委託契約で提携しており、今回のその第1弾となる。三菱重とDUは提携発表後、協力できる受注案件について交渉を続けてきた。 今回、DUに生産委託するのは三菱重が中国の海運会社から一括受注した大型案件。三菱重が独自開発したシリンダー内径50センチメートルの舶用ディーゼルエンジン「50LSII」。DUはエンジン製造拠点の相生事業所(兵庫県相生市)で生産し、三菱重の神戸造船所(神戸市兵庫区)に順次納入する。 「朝日新聞2007年9月22日」 ◎テレビをすべて液晶に「シャープの挑戦」 ◇04年1月「畳プロジェクト」実現 この10年でテレビは様変わりした。液晶とプラズマの薄型が、重くてかさばるブラウン管にとって代わった。そのなかで国内トップの座を手にしたのがシャープ。音響映像(AV)機器大手、パイオニアの筆頭株主になるなど、勢いは今も止まらない。しかし前哨戦が始まった時には、追い上げる韓国メー-カーの足音が聞こえていた。(田中郁也) 98年6月、シャープの社長に就任した町田勝彦は、二者択一の決断を迫られていた。「液晶か、半導体か」消費税率の引き上げや山一証券の破綻で広がった金融不安のなか、前年度の決算は減収減益。とりわけ足をひっぱったのが、液晶部門の変調だ。韓国の液晶事業が立ち上がり、ノートパソコン用のカラー液晶の値下げ競争に巻き込まれていた。価格が1年で半分に下がり、日本メーカーは軒並み、赤字か、採算すれすれに陥った。 もともと液晶産業は、米国の技術を導入してシャープなど日本の企業が世界で初めて実用化にこぎつけた分野。とくにパソコン用のカラー液晶は、88年にシャープが14インチの開発に成功したのをきっかけに各社がこぞって参入した、新しい市場だつた。 「日本で育てた最新技術。簡単にはまねされない」。そんな楽観論は90年代後半には影を潜め、業界には「半導体メモリー、DRAMの二の舞いか」という懸念が広がる。業界トップのシャープも、目先の投資切りつめとコスト削減に手いっぱいになっていた。このまま半導体と液晶の両方に投資をしても、どっちも中途半端になる。「半導体は分野を絞り、液晶に投資する。テレビをつくりたい」。町田は、前社長の辻謄雄らとの会合で、賛同をとりつけた。そして8月、就任後、初めての記者懇談会で宣言する。「05年までに、テレビをすべて液晶に置き換える」 ◇一足飛びの開発で勝負 「30インチはいくな」「いや、37インチも必要だ」町田が打ち出した液晶テレビの本格展開を控えた00年、三重県多気町のシャープ三重工場では、片山幹雄、広部俊彦ら現場の液晶技術者が、仕事の合間を縫って会議を繰り返しでいた。テレビ用の液晶パネルをつくるには、次の工場に、どんなラインが必要か。結論は、30インチ台の液晶パネルが極力、効率的にとれること。 「この大きさでやりたい。できるかどうか、検討して欲しい」片山たちは、装置メーカーや材料メーカーの担当者を集めて切り出した。会議室には、ガラスメーカーにつくってもらった実物大のガラスが持ち込まれた。 縦180インチ、横150インチ。ガラス基板の大きさは、三重工場で使っていた基板の4倍以上。「まるで畳みたいだ」。技術者はあっけにとられた。それまでに商品化したパソコン用のカラー液晶は20インチ台がせいぜい。当時の三重工場ではガラス基板1枚から、30インチ台のパネルは最大でも2枚しかとれなかった。 それが新しい基板なら32インチが8枚、37インチが6枚、とれる。「ブラウン管テレビの主力は29インチや32インチ。だが、模型をつくると、薄型の液晶テレビではさらに10インチ大きくなっても違和感がなかった」と、広部は振り返る。一足飛びの開発で、韓国・台湾勢をもう一度、.突き放す。生き残るにはそれしかないと考えた」 片山や広部は、88年に発表した14インチ型カラー液晶の開発メンバー。その時も、各社が4〜5インチ型の開発にしのぎを削るなか、一気にサイズを大きくし、パソユン向け市場を生み出した。その再現をねらう形ともいえた。 片山らが進めた「畳プロジェクト」は、04年1月に稼働した亀山工場で実現する。これまで扱ったことのない巨大ガラスを動かすために使ったのは、新幹線のぞみ用の強力モーター。ガラス基板に液晶を広げるのにも、新方式をとり入れた。この年「亀山製」のステッカーを張った液晶テレビは家電売り場の一番目立つ場所に並び、シヤープのテレビの売り上げの8割が液最に。翌年、国内のテレビ出荷台数は、液晶がブラウン管を初めて追い越した。 ◇止まらぬ大型化競争、人材交流で技術共有 韓国・台湾勢を引き離すことを狙った亀山工場も液晶パネルの大型化競争は止められなかった。シャープが亀山工場の建設計画を明らかにすると翌03年秋、韓国サムスン電子とソニーは合弁で、液晶パネル工場を建設する計画を打ち出した。自前の量産技術をもたないソニー。安定した供給先の確保で規模拡大をはかるサムスン。両社の思惑が合致した。 ガラス基板のサイズは亀山の「第6世代」より一回り大きい「第7世代」。それに対抗する形でシャープが昨年夏、亀山第2工場を「第8世代」で立ち上げると、1年後の今年夏、サムスンが同じ「第8世代」のラインを稼働させた。 追い上げられたシャープは今年7月、社長に就任した片山が大阪・堺に液晶の新工場を建設する計画を発表したゆガラスサイズは縦横とも約3癖の「第10世代」。工場内には、液晶に続く主力事業をめざす薄膜型の太陽電池工場も併設する。 テレビ向けのカラー液晶と薄膜太陽電池はいずれも、薄膜のアモルファスシリコンを使う。液晶事業を引っ張ってきた片山や広部らは、もとは太陽電池の研究者。80年代半ば、薄膜太陽電池の事業化が中断されたため、液晶部門に異動した。「液晶部門にはアモルファスシリコンの知識がある人材がいなかった。その空白を埋めることができたのが、他のメーカーにない強みだった」。当時のりーダー、船田文明は振り返る。 堺工場でつくる薄膜太陽電池は、20年前に中断した事業化プロジェクトの再開だ。「装置も材料も、液晶と太陽電池は重なりあう。互いのノウハウを共有することで、それぞれの単独工場より生産性をあげられる」と幹部の一人は説明する。人と技術と資金とを、どう効率的に配分し、新しい市場を生み出すか。その模索は、部門や企業の枠を超えて加速する。(敬称略、肩書は当時) ◇証言「横の幅も、持てる社員を育成」シャープ会長・町田勝彦氏 私が社長になったとき、日本の液晶メーカーは軒並み赤字に苦しんでいた。韓国や台湾メーカーが地力をつけ、急成長していた。とくにアジア通貨危機で、韓国、台湾ともそれぞれの通貨が安くなり、競争力が一気に増していた。 当時、シャープの売上高は1兆7000億円。6、7兆円台だつた松下電器やソニーと比べると小さな規模にとどまっていた。一方で半導体も液晶も、設備投資をしようとすると1000億、2000億のカネがいる。そんなのを二つ追いかけても、ヒト・モノ・カネのいずれでも勝てっこない。小が大と戦う戦略が必要だった。そこで思い切って液晶にシフトし、テレビをつくる方向を明確にした。 企業はブランド力がなかったら、技術だけでは負ける。技術は絶対に必要だけど、その目的はブランドの形成にあると思っていた。いくら液晶でパソコン用パネルをつくっても、それは部品。お客さんの目に見えるのはやはりテレビだと考えた。 シャープの場合、もともと事業部間の垣根が低かった。会社ぐるみのプロジェクトとして液晶電卓を開発した経験を生かして、77年には社長直轄の緊急プロジェクト制度がつくられた。いろいろな事業部から人が集まることが日常化していて、壁を感じず気軽に動く風土ができている。 たとえば液晶の部隊には、太陽電池の技術者がたくさんいる。薄膜をつくる技術が共通で、薄膜太陽電池の事業化を中断したときに、液晶に移ってきた。2010年をめどに堺につくる液晶工場は、今度は薄膜太陽電池とのコンビナートになる。そこでいまは液晶の生産技術のエンジニアが、太陽電池にシフトして、大量生産のノウハウを伝えている。 25年前、世界のテレビ市場は年1億台だった。それがいまは2億台。まだまだ増える。そのテレビと液晶が結びつき、ある意味、非常に安定した事業を手に入れることができた。ただ、技術はどこで世代交代するかわからない。メーカーは、不断の努力を怠ったらダメ。ある日、突然、技術革新は起きる。それを見逃さないようにすることを忘れないようにしなきゃならない。技術者をはじめ社員にはいつも、I型人間ではなくT型人間になれ、と言っている。ひとつのことを深く掘り下げることは必要だが、横の幅も持てよと。そうしないと、技術の融合ができない。 ◇記者の見方「経営戦略にメリハリを」 韓国・台湾メーカーの台頭に対し、シャープの液晶事業は新たな市場の開拓で活路を見いだした。だが、世界で戦えるのはシャープだけ。日本の液晶産業全体では、この10年は撤退や縮小の歴史だ。 立命館アジア太平洋大学の中田行彦教授によると、日本の液晶ディスプレーの生産能力シェアは、97年の約80%から06年の約13%へと急激に低下。「年ごとの利益によって投資規模が左右される日本に比べ、韓国は長期的な視野を重視し、投資がぶれない。台湾は投資ファンドからの資金調達を活用し、投資のタイミングを逃さない。その差がシェアに表れた」と分析する。国内テレビ市場で、ブラウン管時代の5、6番手から液晶で一気にトップに立ったシャープにしても、世界市場でのシェアは韓国サムスンにかなわない。 「コスト競争力では負けない」とシャープは言うが、自国地域内の市場だけでは十分な規模がない韓国や台湾のメーカーは、最初から海外への浸透を考え、それが営業力の差になっている。自らの核となる商品や技術は何か。それをどの市場で売るのか。日韓台の技術力の差が縮まつたいま、日本メーカーにはメリハリのある投資・経営戦略が必要だ。 「日刊工業新聞2007年9月21日」 ◎イスマンジェイ「高弾性でしなやかなファインセラミックス開発」 「川崎」イスマンジェイ(川崎市川崎区、渡邊敏幸社長)は、高弾性でしなやかなファインセラミックス「メラミックスS2」を開発、量産化を始める。ヤング率(弾性定数)を特殊鋼並みの210ギガパスカルに下げることに成功、特殊鋼の持つ剛性とアルミニウムの持つ軽さを兼ね備えた新しい領域の材料として業容の拡大を図る。 イスマンジェイはすでに金属シリコンを主材料とした「メラミックスS1」の量産化技術を確立、高強度で軽量な高機能汎用素材としてベアリングを中心に展開している。メラミックスは窒素雰囲気中で金属シリコンを燃焼させて素材を合成する燃焼合成技術を採用、化合物を合成する際に発生する化学反応熱を利用するため、従来の窒化ケイ素とアルミナを反応焼結させる間接合成に比べ大幅な低価格化を可能にした。 「日刊工業新聞2007年9月21日」 ◎丸紅プラックス、余ったコンクリを簡単除去できる新工法を全国展開 丸紅プラックス(東京都中央区、渡辺郁夫社長)は、地中に挿入する場所打ち杭の作業で生じる余分なコンクリートを簡単に取り除く「シートアップ工法」の全国展開を始めた。部材に生分解性樹脂を使うため除去したコンクリートを埋め戻し処理できるほか、作業時の騒音がない。初年度で売上高3億円を目指す。 新工法は水分で膨張し、コンクリートにひび割れを発生させる静的破砕剤を取り付けたシートを使う。シートは杭の骨格部となる鉄筋に装着。コンクリート注入後に地面に対して水平に広げ、地上の余分なコンクリート(余盛コンクリート)部を分断する。価格は杭径1500ミリメートル1本当たり3万円。 鉄筋カバーやシートの材料を生分解性樹脂にし、除去部を埋め戻し処理を可能とした。コンクリート除去に削岩機を使用しないため振動や騒音が発生せず、工期も従来の約1日から数時間へ短縮できる。 「日刊工業新聞2007年9月21日」 ◎トヨタケーラム「熟練技能者のノウハウを標準化する新システム発売」 トヨタケーラム(名古屋市中区、新木廣海社長)は20日、熟練技能者の作業手順やノウハウを電子保存し業務に活用するシステム「指南車」の最新版を10月中旬に発売すると発表した。手順の流れを簡易に作成できるよう改善し、作成工数を現行機種に比べ最大で半分に減らした。1サーバの価格は200万円から。 指南車はノウハウが集まった作業手順をフローチャート形式で表現し、ノウハウの共有化や作業の標準化を図る。最新版となる「バージョン2.0」は、フローチャートをアイコンから選択して簡易に作ることが可能。またデータなどを管理する複数の画面を一つに統合し使いやすくするなど、操作画面を一新した。 作成したフローチャートをサーバからパソコンに引き出し、製造現場など外部に持ち出して閲覧できる。システムの作業記録を残せるため、作業が正確に行われているかどうかを確認できる。 「朝日新聞2007年9月20日」 ◎米利下げドル安懸念「インフレ圧力増す」 「ワシントン:西崎香」約4年ぶりの利下げに転じた米連邦準備制度理事会(FRB)は、原油高騰などでインフレ圧力が増すなか、金融緩和も求められる綱渡りの金融政策が当分続きそうだ。住宅不況の長期化による景気減速は必至と見られ、市場関係者は年末に向けた追加利下げを予想する。ただ、安易に利下げを続ければドル安を招き、市場の混乱に拍車をかける懸念もある。 「価格を安定させようと努力しても、様々な試練に直面するだろう」グリーンスパン前FRB議長も、インフレ圧力の増大傾向に警鐘を鳴らす。原油の国際指標となる米国産WTI銘柄の先物価格は、18日は終値で1バーレル81.51ドルの史上最高値を更新。「90ドルになる可能性もある」(市場関係者)といわれる。金相場も28年ぶりの高値だ。サブプライム危機で行き場を失った投機資金が商品市場に移っている。 天候不順やバイオ燃料の需要などで、小麦も最高値を更新中。飼料価格も上がり、牛乳は1年で24%も高くなった。8月の食料物価の伸びは4.3%で、10年8ヵ月ぶりの高水準。食料と、エネルギーを除く消費者物価指数の伸びは2.1%に改善したが、FRBは「インフレリスクは残つている」と警戒している。 一方、ドルの実効レートは約15年ぶりの低水準。輸入価格上昇でインフレ圧力を増しかねない。欧州もサブプライム危機が直撃し、ドルだけが売られる可能性は少なそうだが、各国政府が外貨準備で保有するドルの割合は減っており、かつてほどドルが「有事に強い」とは言い切れない。 ◇「景気後退」の見方 エコノミストには「来年は景気後退の可能性もある」(マイケル・メッツ氏)との見方が根強い。焦げ付き増で住宅融資の条件が厳しくなり、不動産の下落は当分続く見通しだ。住宅建設大手ホブナニアンは14〜16日に全米規模で最大25%値引きの在庫処分セールをした。 住宅担保の借金も難しくなり、4〜6月期の個人消費の伸びは前期の3.7%から1.4%に減速。「90〜91年の不動産不況より深刻」(アナリストのアイビー・ゼルマン氏)との見方もある。米デューク大などの企業調査では、設備投資意欲などを示す指数が01年以来の最低に。鉄道の貨物量や、トラック輸送も落ち込んでいる。 雇用情勢も悪化。従業員の約2割にあたる最大1万2000人の解雇を発表した住宅ローン最大手カントリーワイド・フィナンシャルも「さらに1万人の解雇に迫られる恐れがある」との観測が浮上している。失業率は「現在の4.6%が来年末には5%に上がる」との見通しもある。下院のフランク金融サービス委員長は18日の声明で、インフレ懸念の指摘に「驚いた」と苦言を呈した。来年の大統領・議会選に向け、利下げコールはさらに強まりそうだ。 「日刊工業新聞2007年9月20日」 ◎キリンテクノ「自動車産業に検査装置を外販」 キリンビールの100%子会社のキリンテクノシステム(横浜市鶴見区、福地博之社長)は、ビールや飲料の瓶・缶容器で培った検査技術の応用範囲を広げる。これまでグループ企業に加え、大手飲料メーカーや製薬会社に検査装置を導入してきたが、新たに自動車産業をターゲットに装置を製品化、外販の拡充につなげる。 製品化したのは金属部品の穴の内面などを高精度に検査する「ジャイロスキャン」。レーザー式ファイバーセンサーと独自画像処理技術を組み合わせた。価格は500万円から。初年度1億円、3年後をめどに5億円の売り上げを見込む。 すでに大手自動車メーカーや部品メーカー数社で先行的に試験採用されており、複数の企業から引き合いがあるという。キリンテクノシステムでは検査の省力化や品質向上につながる装置として提案していく。 「日刊工業新聞2007年9月20日」 ◎オリンパス「生体分子解析向けの蛍光分析装置を発売」 オリンパスは19日、蛍光分析装置「フルオロポイント―ライト」を08年1月に発売すると発表した。生体内に近い環境下で生体分子や薬候補物質の相互作用を解析する。「1分子蛍光分析技術」を採用。新薬の開発や病気の解明につながる情報の入手に貢献する。価格は1890万円。研究機関や大学、創薬・製薬会社などを対象に、世界で年間70台の販売を目指す。1分子蛍光分析技術は1フェムトリットル(フェムトは1000兆分の1)の領域内で、分子の動きをとらえ計測する。 同装置は遺伝子の発現を調節したり、異常な働きをする遺伝子を効率よく抑制するRNA(リボ核酸)の機能解析が可能。1検体あたり0.5秒から30秒で計測可能。384の検体をセットできるマイクロプレートを利用し、大量の検体を短時間で解析する。 「日刊工業新聞2007年9月20日」 ◎日産・東レ・日大「CFRP使った衝突用安全器具開発へ」 日産自動車と東レ、日本大学は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使う自動車部品に関する新たな衝撃応答シミュレーション技術の活用を始めた。スチールの代わりにCFRPを使って、車体の前や横に組み込む衝突用安全器具であるフロントサイドメンバー、インパクトビームの開発につなげていく。シミュレーション技術の確立により、開発費用を低減し、安価なCFRP製自動車の誕生に弾みをつける考えだ。 衝撃応答シミュレーション技術の活用は、自動車向けCFRPに関する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトの一環。強度が高く、かつ軽量なCFRPを自動車部品に使えるようにして、クルマの燃費向上を目指す。従来の車体に比べて50%の軽量化、1.5倍の安全性能、16分の1の成形時間を目標にしている。 「日刊工業新聞2007年9月20日」 ◎富士フイルム「デジカメ生産を再編。CCD前工程は東芝に委託」 富士フイルムは19日、デジタルカメラの撮像素子である電荷結合素子(CCD)生産の前工程を東芝に委託し、カメラ本体の組み立ては中国の工場に全量移管してコスト競争力を高めると発表した。CCD生産の後工程は残し、デジカメのアフターサービスの統括機能や生産技術を加えた新会社「富士フイルムデジタルテクノ」を10月1日付で設立する。また、07年度のデジカメ出荷計画を800万台(従来計画は780万台)に上方修正した。 現在はデジカメ組み立ての約8割を中国の蘇州富士フイルム映像機器で行っている。残りの2割を07年度中に富士フイルムフォトニックス(宮城県大和町)から蘇州に移す。CCDの前工程を手がける仙台市泉区の土地、建物は村田製作所に売却する。ノウハウを持つ半導体メーカーに生産委託することで固定費を削減、CCDの開発に集中して事業基盤を強化する。フォトニックスは08年8月に解散する。 「朝日新聞2007年9月19日」 ◎1.4ミリ世界一細いカテーテル「国立循環器病センターなど開発」 ◇断面積従来の半分、出血の危険減る 心臓の血管(冠動脈)が狭まる狭心症などの治療に用いる細い管(カテーテル)で、外径1.4ミリという世界で最も細いものを国立循環器病センターの竹下聡・心臓血管内科医長やテルモなどが開発した。従来のものより断面積が半分以下のため、より細い血管まで治療できる。挿入する皮膚部分からの出血の危険性が低くなる利点もある。 冠動脈が狭まったり詰まったりすると、そこから先に血液がうまく流れず、狭心症や心筋梗塞の胸痛発作が起きる。この治療に、カテーテルを冠動脈に通してその部分を広げ、ステントという、金属でできた筒状器具を血管の内側に挿入する方法が広く行われている。 通常、治療に使われているのは外径2.1〜2・7ミリ程度。新たに開発したカテーテルの断面積はこの半分以下のため、冠動脈の曲がった部分や細い部分まで届き、従来より治療ができる範囲が広くなる。さらに、内径2.5ミリほどの手首の動脈からのカテーテル挿入にも適している。 カテーテルは従来、足の付け根にある太い動脈から入れることが多かった。だが治療後に6時間程度は安静にしなければならず、その後も再出血することが多かった。一方、動脈の細い手首部分から入れれば出血の危険性が低く、安静時間も半減できる。竹下さんば「従来のものより軟らかいので操作しづらく、医師の技術力が要求される。だが治療の質を上げ、患者の負担も減らすことができる」と話している。 「朝日新聞2007年9月18日」 ◎有機EL開発、執念18年「住友化学・次世代画面へ実用化目前」 大手化学メーカー、住友化学は、次世代ディスプレーの「本命」とされる有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を、09年にもテレビ用として実用化する計画です。18年にわたって有機ELの開発に取り組んできた一人の研究者の執念が、実を結ぼうとしています。(諏訪和仁) ◇「アングラ研究」、本命一に 「液晶テレビの寿命の6万時間を、もう一歩で超えます」茨城県つくば市にある、住友化学筑波研究所。縦8センチ、横14センチ、厚さはわずかに5ミリしかない有機ELパネルの明るい画面を指さし、光電材開発グループマネジャーの大西敏博さん(57)は、笑顔を見せた。住友化学は現在、有機ELの実用化に向けて、日英米の100人近い研究者を投入している。同社にとって最大の研究プロジェクトだ。 リーダーとしてプロジェクトを率いる大西さんは、毎朝7時半には筑波研究所に出勤。午後10時まで、指示や会議を繰り返す。住友化学が有機ELに投じた研究費は数百億円以上。「重圧から眠れない日もある」と打ち明ける大西さんだが、「有機ELを何とか世に出したい」という思いは、失うことがなかったという。 大西さんは81年から、樹脂を使って軽量の電線を生産する研究に取り組んだ。しかし、何年たっても成果が上がらない。89年秋には、学生時代から興味があった「光る樹脂」に研究テーマを変更した。有機ELの開発だ。ただ、この時点では、住友化学は有機ELの研究を、正式なプロジェクトとは認めなかった。予算も付かず「アングラ研究」と呼ばれた。 正式なテーマに「格上げ」されたのは91年。スタッフが大西さんを含め5人に増員。明るい部屋でも、樹脂が光ってみえるまでに開発が進んだ。ただ、その後は、研究が一進一退。研究スタッフはほぼ半減された。予算も減額され、必要な試薬や材料を買う金がなくなると、ほかの研究チームに頼み込んで研究費を融通してもらった。高価な試験装置はとても買えないため、研究所内に余っていた機械を集め、組み合わせて自作した。 「どん底だったが、毎日、何か小さな発見があった。充実感はあった」と、大西さんは苦しかった当時を振り返る。」「どん底」からの脱却は00年。液晶を使った薄型テレビの普及が始まると、住友化学は次世代ディスプレーの本命として、有機ELの実用化に本腰を入れ始めた。予算やスタッフが大幅に増え、大西さんたちの研究も急速に進んだ。数秒しか持たなかった有機E上の寿命が、2万時間にまで延びた。液晶並みの6万時間の寿命が視野に入り、実用化は目前に迫つた。 ◇大型化・量産に将来性 有機ELは、電気を流すと光る樹脂(有機物質)。自ら光るため、テレビの画面用として使えぱ、液晶テレビに使われているバックライトは必要なくなる。従来の薄型テレビよりさらに薄く、しかも軽いテレビを製造できる。 有機ELは住友化学が手がける「高分子」と、ソニーなどの「低分子」に分かれる。低分子の有機ELは、一部の携帯電話やデジタルカメラ、携帯音楽プレーヤーなどの小型画面に実用化されている。市場規模は約700億円とみられ、ソニーのほか、韓国のサムスン電子、台湾の奇美電子などが、大型化に向けて研究を進めている。 高分子の有機ELは、ガラスの基板上に印刷するようにして塗りつけてパネルにする。低分子に比べて実用化は遅れているが、大型化や量産が比較的容易なため、将来性への期待は高い。東芝と松下電器産業は高分子の有機ELを使った大型テレビを09年に発売する計画を発表している。大西さんの夢は、薄型テレビへの利用にとどまらない。「柔らかい素材で有機E」のパネルを作れば、巻物のように持ち運べる画面も製造できる」18年の研究の成果が、これまでにない製品を生み出す日は遠くないと信じている。 ◇視点「続けさせる勇気も」 成果が出ない時でも、大西さんは会社から有機ELの研究をやめるよう指示されたことは、一度もないそうだ。研究を続けることで、資金や時間を無駄にするリスク。研究をやめることで、将来の事業化の可能性を摘むリスク。住友化学が大西さんに研究を続けさせたのは、それぞれのリスクを比較したうえでの判断だろう。新技術を開発するのは、研究者の力だけではない。目先の損得にとらわれず、長期的な視点で判断できる会社の支えが欠かせない。 「日刊工業新聞2007年9月17日」 ◎電力10社「発受電量8月で最高に−猛暑で冷房需要増」 電気事業連合会によると、電力10社の8月の発受電量は前年同月比3.1%増の961億9708万キロワット時で、単月としては過去最高となった。猛暑で冷房需要が増加し、東京電力など5社が過去最高。一方で新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村)が停止し、原子力設備利用率は66.9%と低迷。8月としては東電の原発不祥事が影響した03年の63.3%に次ぐ低さとなった。 本来なら需要期の夏にもっとも高まる原発利用率が低迷したことで、火力への依存度が高まっている。原子力、水力が前年同月を割り込む中、火力だけが同12.7%増。特に原子力利用率が42.8%にとどまった東電の火力は同45.7%増の193億キロワット時に達した。これは現在の電源構成となった97年以降では最大となるもの。電力不足を賄うため、他社受電も同45.2%増と大幅に伸びている。 「日刊工業新聞2007年9月17日」 ◎イトコー「精密部品生産にロストワックス鋳造を採用」 「さいたま」イトコー(埼玉県川口市、伊藤高太郎社長)は精密部品生産にロストワックス鋳造を採用する。東京ロストワックス工業(新潟県長岡市)の協力を得て、インドネシアの自社工場にロストワックス鋳造の工場建屋を新設する。08年初めに本格稼働し、日本に供給する。将来、現地での販売にも踏み切り、全売上高の5割を占める事業に育成する。 新設する工場は敷地面積3000平方メートル、延べ床面積は約1200平方メートル。初年度の生産量は製品重量で年12トンを見込むが、「生産開始から2年目以降は年間100トンを目指す」(伊藤社長)計画だ。投資総額は4400万円。すでに現地採用した従業員の教育を進め、試験的な生産も始めている。 「日刊工業新聞2007年9月17日」 ◎シャープ「水使わずにおい除去する洗濯乾燥機を発売」 シャープは水を使わずに衣服のにおいを除去できるドラム式洗濯乾燥機「愛情Ag+ドラム」を10月1日に発売する。消臭効果のある除菌イオン発生装置を搭載し、洗濯や乾燥とは別に「除菌消臭」コースを設けた。実勢価格は20万円前後。月産6000台を見込む。 消臭コースの運転では衣服の繊維内に入り込んだにおいの成分を温風で浮き上がらせイオンの力で分解する。10分程度で同成分を約90%除去できるという。このほか電磁音を抑えたモーターを新開発。洗濯時の騒音を従来機比約4デシベル低減し、業界最低水準の28デシベルを実現した。 「朝日新聞2007年9月16日」 ◎外販伸びず重荷に「先端半導体ソニー撤退」東芝は申核事業強化 ソニーが、ゲーム機のプレイステーション3(PS3)の心臓部に使う「セル」など最先端半導体の製造設備を東芝に売却する方向で交渉を始めたことが明らかになり、業界に衝撃が広がっている。ソニーの動きは基幹部品から最終製品まで自前で一貫生産することの難しさを示している。ほかの電機メーカーも含め、こうした形で得意分野に経営資源を集中させる事業再編の流れができてきそうだ。 半導体部門を持つ国内電機メーカー各社は、高性能な半導体を自社生産することが他社製品との差別化につながると考え、積極的な投資をしてきた。だが、用途が自社内に限られると、巨額な投資が回収できず経営を圧迫する恐れがあった。 今回のソニーの「セル」はまさにそうした事例。「セル」を心臓部に使うPS3は販売が伸び悩んだまま。性能を極限まで高めるため巨額な投資を強いられたが、薄型テレビなどにはその性能を生かし切れず、他メーカーへの外販は難しかった。ソニーは今回の製造設備売却で得た資金を次世代テレビなど音響・映像機器に振り向ける考え。また、半導体関連の設備投資も、外販も見込めるCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーなどに絞り込む方針だ。 一方へ東芝にとって半導体は中核事業だが、需要が急拡大しているNAND型フラッシュメモリーに続く半導体製品がなかった。今回、ソニーからセルなど最先端の製造設備の買収が決まれば、手っ取り早く最先端の半導体生産を増強できるメリットがある。 「朝日新聞2007年9月15日」 ◎貴金属不要の燃料電池「ダイハツが独自開発」コスト削減に貢献 ダイハツ工業は14日、貴金属を使わない独自の燃料電池を開発したと発表した。一般的な燃料電池は水素と酸素から電気を取り出すために白金が不可欠だが、新技術は安価な金属を使うため、燃料電池全体の費用も低く抑えられるという。 一般的な燃料電池は水素を燃料に使用。電極で酸素と化学反応させ、電気を取り出す仕組み。反応する部分には強い酸性の膜があり、電気を取り出す電極には耐食性が必要。電極の素材には酸に強い白金が使われるが、1グラム数千円する。燃料電池の試作車1台(軽自動車)当たりに必要な白金の量は100グラム以上で、電極だけで「数十万円かかる」という。ダイハツは産業技術総合研究所の協力を得て、貴金属を使わない方法を研究。水素ではなく、アンモニアを酸化させて作り出す液体燃料を使い、膜自体も新燃料に合ったアルカリ性膜に替えた。 その結果、電極もグラム数円のコバルトやニッケルで代替できるようになったという。新技術を車に搭載するには、モーターやインバーター技術との連携、出力を高めるための膜の改良も必要で、商品化のメドはたっていない。 「朝日新聞2007年9月15日」 ◎衛星ビジネス、発射「三菱重、H2A打ち上げ成功」価格・実績、欧米と差 月探査機「かぐや」を載せたH2Aロケット13号機が14日、打ち上げに成功した。H2Aを製造した三菱重工業は、今回から打ち上げも担当。衛星ビジネスに参入する第一歩を無事、踏み出した。とはいえ先行する米欧勢と実績や価格面での差は大きく、軌道に乗せるには多くの課題がある。 ◇競争へ「政府が支援を」 「今回の成功は商業衛星受注の弾みになる。世界の市場から注文を取ったと報告できるように努力したい」。宇宙航空研究開発機構の種子島宇宙センター(鹿児島県)で打ち上げを見守った佃和夫・三菱重工社長は、こう意気込んだ。これまで三菱重工は、国の計画にしたがってロケットを納めるだけで、打ち上げは宇宙機構が担っていた。しかし先代ロケットの相次ぐ打ち上げ失敗を受け、政府は02年にH2Aの製造、打ち上げの民営化を決定。三菱重工も技術力をアピールする好機とみて、衛星ビジネスに乗り出した。 ただ、打ち上げを含めて採算をとるには、年間3基以上の衛星打ち上げが必要になる。国内の公的機関が発注する衛星は、年間2基前後の見通しのため、年問1〜2基の商業衛星を受注しないとビジネスにならない。 世界の商業衛星の需要は年間20〜25基で推移する見通しだ。欧州アリアンスペース社や米ボーイングなどが出資するシーローンチ社、ロシア系企業などが受注合戦を繰り広げ、競争は厳しい。カギは信頼性と価格だ。H2Aは13回中12回成功。先代のN1から通算の成功率は93・2%で欧米と同水準だが、打ち上げ回数は遠く及ばない。また、今回の打ち上げ費用は約110億円で、80億円程度とされる世界相場に比べ割高だ。 アリアンスペース社は1度に2基の衛星を打ち上げるアリアン5を武器に、3年分の受注残を抱える。昨年4月には三菱グループの衛星通信会社「宇宙通信」の衛星打ち上げも受注し、三菱重工を歯ぎしりさせた。 三菱重工は、欧米やロシア勢は豊富な政府の助成金で商業衛星の打ち上げ価格を抑えていると指摘。「米欧と同じ土俵で競争できるよう、政府は支援体制を明確にしてほしい」(浅田正一郎・宇宙機器部長)と求める。 また、射場の種子島は空港に大型輸送機が着陸できず、衛星などを鹿児島から船で運ぶため費用が高くついたり、漁業への配慮で打ち上げが年間190日に限られたりするのも、欧米勢より不利な条件になると経済産業省の研究会は指摘する。三菱重工は公共事業の減少もあり、海外市場を重視する戦略に転換しつつある。衛星ビジネスはその象徴ともいえるが、収益面での寄与には時間がかかりそうだ。 野村証券金融経済研究所の岡嵜茂樹アナリストは「三菱重工はお金をかけて良質な製品をつくるのは得意だが、安くつくるのは比較的苦手だ。そのコスト意識を変革できるかが課題になる」と指摘している。 「日刊工業新聞2007年9月15日」 ◎東ガス、三洋電機と「水冷式ガスヒートポンプエアコン開発」 東京ガスは12日、三洋電機と共同で水冷式のガスヒートポンプエアコン(GHP)を開発したと発表した。GHPで水冷式は初めてという。10月に受注を始め、08年1月から納入を開始する。東ガスでは延べ床面積2万平方メートル程度のビルへの採用を見込んでいる。室外機の価格は56キロワットで空冷式より1割安い450万円程度を想定する。 GHPはガスエンジンを動力として圧縮機を駆動し、冷暖房を行う空調システム。水冷式のため室外機周辺の外気温が上がらず、ベランダなど狭い場所にも複数台設置できるのが特徴。GHPはビルの個別空調で採用が広がっているが、空冷式は排熱の問題で室外機の設置条件が厳しく、電気式のヒートポンプエアコンとの競争で苦戦していた。水冷式は冷却水との熱交換効率が高いため、空冷式と比べて冷房成績係数(COP)が約17%向上している。 「日刊工業新聞2007年9月15日」 ◎シャープ「液晶テレビ“アクオスDシリーズ”に42型など9機種投入」 シャープは10日、液晶テレビの普及機と位置づける「AQUOS(アクオス)Dシリーズ」の新製品で、42型、37型、32型の9機種を10月10日に発売すると発表した。高精細なフルハイジョン(1920×1080画素)と1秒間に通常の2倍のコマ数を表示する倍速表示機能を搭載した。実勢価格は1クラス上の中位機種より3万円ほど低く、42型が37万円、37型が30万円、32型が26万円。「寝室などに置く“パーソナル商品”も大画面化を提案」(シャープ)する。 Dシリーズはこれまで解像度WXGA(1366×768画素)の32型、26型、20型の機種があった。今回のモデルへの搭載により、倍速表示は主力3シリーズすべてに採用したことになる。9機種合計で月産2万7000台を目指す。 「日刊工業新聞2007年9月15日」 ◎ビクター「32型と37型液晶テレビを発売」 日本ビクターは液晶テレビ「エグゼ」の新商品2機種を中旬から順次発売する。32型と37型の普及モデル。実勢価格は32型で20万円前後。月産2万5000台を計画する。パネルの解像度がWXGA(1366×768画素)のハイビジョンモデル。1秒当たり通常の倍の120コマ表示と人工知能による画質調整を組み合わせた技術「倍速ジェネッサ」を搭載した。同技術は高級機など一部のモデル限定で採用してきたが、普及モデルにも搭載し付加価値を高めた。 「日刊工業新聞2007年9月15日」 ◎松下「地デジ受信性能を向上したカーナビ3機種発売」 松下電器産業は10日、カーナビゲーションシステム「ストラーダ」の普及価格帯3機種を10月10日に発売すると発表した。車載用地上デジタル放送用チューナーを装備した「CN-HDS10TD」と「同700TD」は、同社従来品より高速移動中の受信性能を理論値で1.6倍に高め、地デジの安定受信を実現した。価格は18万9000円から。3機種合計で月産1万3500台を計画する。チューナーの性能向上以外にも、別売りのユニットを使い近距離無線通信規格「ブルートゥース」で携帯電話のハンズフリー通話や、デジタルオーディオプレーヤーの音楽データワイヤレス再生が可能。 「朝日新聞2007年9月14日」 ◎分離後、路線に差「クライスラー大型のミニバン・ダイムラー環境重視の新車」 ◇独自動車ショー 「フランクフルト:岸善樹」23日まで開催中のフランクフルト国際自動車ショーは、独ダイムラークライスラーが米クライスラーの分離を決めて以来、初の本格的な自動車展示会になった。両社は新型車の記者発表で、それぞれ独自の道を歩む姿勢を鮮明にした。米ビッグ3のゼネラル・モーターズ(GM)やフォードも提携解消や子会社の分離を進める。かつて盛んだった合従連衡が影を潜め「スリム化」がめだつ自動車ショーになった。 「我々はペンタスター(五角星)マークを復活させる」。クライスラーのマンリー上級副社長は11日の新車発表の冒頭で、新会社が伝統の社章を採用することを強調した。さらに北米トヨタのプレス社長を引き抜き「経営陣を強化した」と指摘。独自路線を進める意思を鮮明にした。 発表した新型車は得意の大型ミニバシやスポーツ用多目的車(SUV)の計3種。ライバル社が環境重視のエンジンや小型車を前面に押し出すなか、立ち位置が際だった。プレス氏の引き抜きも関係者の間で話題になっている。トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は10日の記者会見で、「グローバル化すればするほど人材育成がカギになる」と述べ、攻撃的になったクライスラーについて「競争で良い車づくりが促進されるのは歓迎だ」と話した。 一方のダイムラーの新車発表会は、15分遅れのクライスラーとは異なり定刻に開会。二酸化炭素(CO2)排出量を減らしたディーゼルエンジン搭載のメルセデスで現れたツェッチェ社長は「今回のショーはどれほど“グリーン”かと期待されていると思う。我々の回答は将来の排出量ゼロだ」と述べ、環境対応技術を最重視する考えを強調。発表した新型車も高級セダンから小型車「スマート」まで、いずれも最新の環境技術を盛り込んだ。 ただ両社とも飛躍の確かな手応えはまだない。クライスラーはミニバンやSUV頼みの製品構成が弱みといわれて久しい。ダイムラーも長くクライスラーに手をとられ、主力車メルセデスの世界販売台数はライバルの独BMWに抜かれた。両社以外にも、最近になって提携を解消したり親会社から分かれたりしたメーカーは多い。経営危機がささやかれたイタリアのフィアットはGMとの提携解消後、新型「プント」のヒットで立ち直った。フォードも英アストンマレチンを分離し、英ジャガーやランドローバーも売却する方針を示している。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎三菱化学ポリエステルフィルム「液晶用フィルム増産」 三菱化学ポリエステルフィルム(東京都港区、矢野彰毎社長)は13日、フラットパネルディスプレー(FPD)に使われる光学用ポリエステルフィルム「ダイアホイル」とコーティングラインの生産能力を増強すると発表した。液晶やプラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)などFPDの出荷増に伴う旺盛な需要に対応する。 08年10月に滋賀事業所(滋賀県米原市)のダイアホイルの年産能力を現行比1万トン増の6万5000トンに引き上げる。併せてコーティングラインを4000トン増強し、年産1万5000トン体制にする。設備投資額は70億円を見込む。 FPDの出荷は04年の約130万台から07年には約350万台、2010年に約500万台に伸長する見通し。とくに液晶やPDPテレビの画面が2010年に04年比7倍になると予想され、ポリエステルフィルムの需要拡大が見込まれる。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎旭化成ケミ「強度3倍向上した燃料電池向けフッ素系高分子膜開発」 旭化成ケミカルズは燃料電池向けに、化学的技術で機械的強度を従来より3倍程度高めたフッ素系高分子膜を開発した。作動温度80度Cで運転・停止を繰り返すなど様々な負荷を与える環境下で、5000時間の連続運転を実現した。2010年をめどに今回の高耐久性膜の実用化を目指しており、家庭用燃料電池の大幅コストダウンにつなげる。 旭化成ケミカルズは燃料電池用フッ素系膜で定置型と自動車向けでそれぞれ開発を進めている。このうち定置型では、国の大規模実証事業で60〜70度Cの作動温度で4万時間の耐久性実証が行われている。これに対し、同社は作動温度80度C、低加湿(20〜30%)の条件下で、連続運転5000時間を達成した。膜の強度は補強膜を使用する代わりに、化学技術を用いて3倍程度高めたとしている。また、加速試験で膜に孔が空くなどの問題は起こらなかった。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎ダイムラークライスラー「リチウムイオン電池搭載HVで先陣」 トヨタ自動車やホンダなど日系各社がハイブリッド車(HV)へのリチウムイオン電池の採用に慎重になる中、独ダイムラークライスラーが最初の搭載メーカーとなる可能性が高くなった。09年夏にも投入予定の「メルセデスベンツ Sクラスセダン」に米ジョンソンコントロールズ製の電池を使う。すでに安全試験などもクリアした模様だ。 ダイムラー、独BMWと米ゼネラル・モーターズ(GM)の3社は現在、次世代ハイブリッドシステムを共同開発中。「2モードハイブリッド」と呼ばれる技術で、二つの電気モーターと可変変速機を使用。1モードシステムで必要な大型電気モーターが不要になる。 このシステムに、ニッケル水素より大容量化が可能なリチウムイオン電池を組み合わせて、さらに燃費効率を高めることができる。電池はジョンソンコントローズのフランス合弁相手の工場で生産、供給される見込み。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎オークマ「複雑形状部品に対応した小型複合加工機を発売」 「名古屋」オークマは13日、小型複合加工機「MULTUS(マルタス)B200」を発売すると発表した。独ハノーバーで17日に開幕する欧州国際工作機械見本市(EMO)に出品し、受注を始める。設置面積2600ミリ×2030ミリメートルとクラス最小サイズ。対向主軸付きも同時発売する。標準仕様の価格は2400万円。月間20台の販売目標。 独自の熱変位制御技術「サーモフレンドリーコンセプト」を採用し、各軸の熱変位を10マイクロメートル以下に抑えた。使用中の機械干渉を防ぐ「アンチクラッシュシステム」も標準搭載した。医療機器部品など高精度が求められる複雑形状の小物加工に適している。 メーン主軸と対向主軸は、最高回転数毎分6000回転。同クラスの旋盤並みの旋削加工が可能で、チャックサイズは6インチと8インチ。ミーリング主軸は最高回転数が毎分1万2000回転で、高速仕様の同2万回転にもできる。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎次世代舶用エンジン開発プロ「ダイハツディと赤阪鐵工所が参加」 三菱重工業、三井造船など国内舶用機器大手メーカーによる次世代エンジンの開発プロジェクトにダイハツディーゼルと赤阪鐵工所が参加する。プロジェクトは2015年をめどとする国際海事機関(IMO)の排ガス規制の対応にむけ、参加企業が共同開発するもの。当初、参加を予定していたIHIは、取りやめた。 参加する企業は三菱重工業、三井造船、ヤンマー、新潟原動機、ダイハツディーゼル、赤阪鐵工所の6社が確定している。IHIは子会社の新潟原動機が参加するため参加を見送った。赤阪鐵工所は三菱重工業と舶用エンジンで提携関係にあるためメンバーに加わった。 プロジェクトはこのほど三つの開発グループを発足した。2011年度までに現行機に比べ窒素酸化物(NOx)を70〜―80%削減する環境対応型を完成する。開発費は約22億円。日本財団が15億円を助成、残りの7億円は開発グループの各メンバーが負担する。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎富士フイルム「写真の楽しみ方を総合的に紹介するサイト開設」 富士フイルムは13日、デジタルカメラで撮った写真の保存や共有、発表、編集加工ができる写真のポータル(玄関)サイト「フォトノマ」を開設したと発表した。写真を友人や家族の間で共有したり、写真を掲載したブログ(日記風簡易ホームページ)を作成したりできる無料の会員制サービスを始めた。撮影テクニックやプリントの仕方、全国の撮影スポットの紹介など、さまざまなページに分かれていたサービスを集めた。実際に開いた写真展の再現もする。 同社のデジカメ「ファインピックス」のユーザー向けサービス「ピクチャー・ザ・フューチャー」の会員約100万人を引き継いでスタート。2、3年で会員数を倍の200万人にする計画。同社製カメラユーザーの囲い込みはせず、写真の楽しみ方を総合的に紹介してサイトの利用者を増やし、同社のブランド力を高めるのが狙い。今後、広告の掲載や店舗でのプリントサービスとの連携も検討する。 国内のデジカメ撮影数は同社推定で06年度に200億枚。そのうちの約40%がプリントされずに画像データとして保管されている。サイトの開設には、画像をプリントしないデジカメユーザーへの接触ルートをつくる意味もある。 「日刊工業新聞2007年9月14日」 ◎松下「尼崎第2工場の増強前倒し。プラズマ年1000万台に」 松下電器産業は13日、プラズマパネルの国内第4工場(尼崎第2工場、兵庫県尼崎市)の生産能力を10月にも倍増する方針を明らかにした。尼崎第2工場は6月に操業したばかりだが、月産18万台(42型換算)の能力を36万台(同)に引き上げる。第2期生産ラインを前倒しで導入し、すでに生産設備の搬入を済ませた。生産性の高い工場を早期に立ち上げ、コスト競争力強化を図る狙いがある。 尼崎第2工場は3段階に分けて能力をフル状態(月産50万台)に移行する計画で、第2期ライン導入は08年前半とみられていたが、操業開始から半年足らずで増強に踏み切った。これによりプラズマパネルの供給は年間換算で1000万台(42型換算)弱の体制となる。 尼崎第2工場は08年の早い時期にも第3期ラインを導入し、フル生産に移行するとみられる。その後、09年5月稼働を計画する尼崎第3工場も大幅に前倒す可能性も出てきた。松下が増産ピッチを速める背景には、激しい価格競争がある。各社が大画面の薄型テレビを投入し、プラズマテレビの売価は年率10〜―20%程度のペースで下落が続き、コスト競争力の強化が急務となっている。投資生産性の高い工場を早期に稼働させることで、コスト力を強化する必要がある。松下はプラズマパネルを茨木第1、第2工場(大阪府茨木市)、尼崎第1、第2工場、中国上海工場(上海市)の5ヵ所で生産しており、09年5月に尼崎第3工場の稼働を控えている。 松下は37型以上の薄型テレビ市場でシェア25%を獲得する目標を掲げる。シャープは2010年3月までに液晶パネルの堺工場(堺市堺区)を稼働させる予定で、ソニー・サムスンも第8世代に続く新工場建設を検討している。液晶陣営の攻勢が強まる中、プラズマ陣営の松下は供給力強化を急ぐ。 「日刊工業新聞2007年9月13日」 ◎ホンダとGEの出資子会社「小型航空機向けエンジンの性能試験を開始」 ホンダと米GEの折半出資子会社、GEホンダエアロエンジンズ(オハイオ州、ウィリアム・ドワイヤー社長)は12日、小型航空機向け量産型ターボファンエンジン「HF120」のフルエンジンでの性能実証実験を始めたと発表した。 今後約5ヵ月かけて本田技術研究所航空機エンジン開発センター(埼玉県和光市)などで熱的特性や構成要素ごとの効率、運用上性能などのテストを進め、08年からの認定試験に備える。これに向けて、7基の試作エンジンを生産する予定。HF120は、ホンダが開発したHF118プロトタイプエンジンをGEと共同で改良した。 「日刊工業新聞2007年9月13日」 ◎フィールシステム「鏡で映像を表示するディスプレー開発」 「厚木」フィールシステムソリューション(神奈川県厚木市、木村健一社長)は、鏡と液晶表示装置(LCD)を張り合わせたディスプレー「ミラーインフォメーション」を開発した。下旬に発売する。価格は30万円から。レストランや洋服店向けなどに初年度100台の販売を目指す。 ミラーインフォメーションの鏡サイズは縦60センチ×横42センチメートルで、装置の厚さは6センチメートル。鏡の裏側に独自の技術で17インチLCDを張り合わせ、鏡と一体化した。鏡の一部をディスプレーとして用いて映像を表示したり、通常の鏡として前に立つ人の姿を映したりできる。 フラッシュメモリーカードに記録した映像データを読み込んで表示する。付属のリモコンで音量や映像再生の操作を行う。別売の「人体センサー」を併用し、人が近づくと自動的に鏡面に映像を流すような設定も可能。 「日刊工業新聞2007年9月13日」 ◎「モノづくり推進会議」発足。大企業・中堅・中小1000社超が結集 日本の産業界の有力企業が中心になって組織する「モノづくり推進会議」が12日、都内で設立総会を開き発足した。総会後の記念シンポジウムには600人を超す産業界トップ・関係者が参加した。同会議は業種の枠組みにとらわれず、日本の製造業が少子高齢化や資源エネルギーの不足、さらに地球環境問題などの制約を乗り越えて持続的に発展するための新たな価値創造を議論する。産官連携し、日本のモノづくり力を世界をリードする「MONODZUKURI」に再構築し、同時に製造業が社会からより尊敬される風土の形成を目指す。 設立総会には中核メンバーとして、総合商社やエネルギー業界を含む64社・団体が参加。同会議の会則と初年度の事業計画・予算案を決議した。活動をリードする共同議長には張富士夫トヨタ自動車会長、庄山悦彦日立製作所会長、内田恒二キヤノン社長、大坪文雄松下電器産業社長、蛭田史郎旭化成社長、牧野力新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長の6氏を選出。他の企業は常任幹事・幹事として活動する。 これとは別に、一般会員・賛助会員を募る。すでに社団法人日本産業人クラブ連合会に所属する全国の中堅・中小企業約1500社の参加が決まっている。同会議の事務局は日刊工業新聞社に置き、具体的な事業は同社と共催の形で展開する。総会後のシンポジウムでは、まず千野俊猛日刊工業新聞社社長が同会議の設立趣旨を説明。来賓の北畑隆生経済産業事務次官、林幸秀文部科学審議官、新島良夫厚生労働省職業能力開発局長のあいさつに続き、御手洗冨士夫日本経団連会長、山口信夫日本商工会議所会頭の祝辞を紹介した。 共同議長に就任した日立の庄山会長が「資源のない日本は人材が大事。我々も皆さんと一緒に努力することを誓います」と力強く宣言。旭化成の蛭田社長は「モノづくりの現状と課題」と題して基調講演し、「経済の潮流を先取りしたモノづくりが不可欠だ」と強調した。トヨタの張富士夫会長は「会議の趣旨には私も大賛成だ。日本は現場から皆が知恵を出し合うのが良いところ。そうした仕組みを作っておけば、経済も発展する」と話し、盛んな拍手がわき起こった。 同会議では今後、初年度の事業として1000人規模の大型シンポジウムや「“超”モノづくりフォーラム」と名付けた研究会、地方リレーシンポジウム、顕彰事業としての「新・モノづくり部品大賞」などを実施する。また同会議の成果を定期的に発信するウェブサイトを開設する。会議のシンボルマークは三つの核の「結合体」が産・学・官の強力なネットワーク形成を表し、モノづくり戦略における中心的な役割を果たす、との狙いを込めている。 「朝日新聞2007年9月12日」 ◎消費者物価「中国、8月6.5%増」11年ぶり高水準、強まるインフレ懸念 「北京:琴寄辰男」中国国家統計局は11日、8月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.5%上昇したと発表した。上昇率は96年12月以来約11年ぶりの高水準。豚肉など食品価格が同18.2%と大幅に上がったのが主因だが、物価全体の上昇傾向が続くとの見方が食品以外にも影響を与えつつあり、インフレ懸念が強まっている。 今年3月に前年同月比で3%を超えたCPI上昇率は、6月が同4.4%、7月が同5.6%と加速。政府は年間上昇率を3%以下に抑えることを目標に掲げるが、1〜8月の上昇率は前年同期比3.9%と未達成の可能性が高まっている。8月のCPI発表を受けたこの日の上海株式市場は、中国人民銀行(中央銀行)による追加利上げへの警戒感などから大幅に値を下げた。総合株価指数の終値は前日終値より241・32低い5113・97だった。 食品以外の価格はいまのところ落ち着いているが、人民銀は8月に発表した07年第2四半期の貨幣政策執行報告で、食品の値上がりが「食品加工や飲食などの業種に波及しつつあり、高い注意を払って物価全体の上昇を防ぐ必要がある」と強いインフレ懸念を示した。豚肉の高騰について、物価監視を担当する国家発展改革委員会の畢井泉・副主任は4日の記者会見で、国際市場での飼料の値上がりや伝染病による豚の大量死が原因と指摘し、政府の生産者支援などによって「ここ数週間で値下がりし始めている」と強調。ただ「短期間にCPIの上昇率が3%以下に戻ることを意味しているわけではない」とも語り、政府目標の達成の難しさを示唆した。 「朝日新聞2007年9月12日」 ◎紙ビジネス、植林から「商社、需要増にらみ投資熱」 世界的な紙需要の増大に備え、総合商社各社が製紙原料の確保を急いでいる。環境保護に向けた森林伐採制限の動きもあるため、原料チップ用の原木を育てる植林が中心だ。木材資源が枯渇しないように10年単位の息の長い投資が必要だが、今後の値上がり益への期待も大きい。(斎藤徳彦) ◇伐採制限にも対応 商社で紙・パルプ取扱高首位の丸紅は昨年末、日本製紙と折半で約60億円を投じてブラジルの植林・チップ生産会社を買収。丸紅は05年にもインドネシアで同国最大規模の植林事業の経営権を取得しており、参画する植林事業の合計面積は日本の商社では最大の約40万ヘクタールに達し、日本のチップ輸入量の約3分の1をまかなえる規模だ。縮小気味の国内の紙流通市場に対し、製紙原料市場は「中国を中心に世界需要の伸びが見込める有望分野」と見込んでいる。 他の商社も新たな投資に積極的だ。伊藤忠商事は王子製紙などと共同出資するブラジルでのユーカリ植林地(現在約25万ヘクタール)を買い増す検討に入った。ベトナムと豪州に計約2万ヘクタールの植林地を持つ双日は「南米か南アフリカにも拠点を加える」(木ノ下忠宏・物資部長)準備を進める。 生育が早いユーカリやアカシアでも植樹から伐採まで10年程度かかる。商社各社が90年代に日本の製紙会社と共に進めた植林が収穫期を迎える中で、チップ価格(西豪州)は00年の1トンあたり161豪ドル(約1万5000円)から07年には189豪ドルに上昇。植林事業には追い風だ。利益率は数%で、高騰が続くエネルギー関連の資源権益には及ばないが、伐採した本数と同数を植樹するなどの手法で、持続可能な資源ビジネスとして拡大を期待している。 国内の紙需要は少子化や紙以外の情報媒体の出現で横ばいが続く。だが中国では産業用包装紙などを中心に現在約6000万トンの紙需要が2010年には9000万トンまで伸びると見込まれるなど、新興国の輸入増が供給不足を生んでいる。一方、これまでの大供給地・北米では環境保護意識の高まりから新たな伐採が難しくなり、ロシアも原木輸出への課税強化の方針を打ち出している。 さらに国内でも、事務用紙の大口顧客となる富士ゼロックスやリコーなどの大手事務機器メーカーが「天然林を伐採して作った紙は使わない」とする環境保護のための指針を導入。紙原料の新たな供給元は「事実上、南半球での植林材に限られた」(岡野修明・三井物産紙パルプビジネスユニットリーダー)という。ただ温暖で降雨が見込めることが条件の植林適地は農業適地と重なる。食糧価格も上昇しており、農地との奪い合いは収益力の面で分が悪く「植林適地の大規模な確保は簡単ではない」(伊藤忠商事)。双日は、ベトナムで現地の林業家に対する植林費用の融資や苗木の無償配布を続ける。融資先や配布先から育った木材を優先的に買い取ることで、土地買い増しをしなくても原料の確保ができるからだ。豪州では税制優遇を受けられ、植林に出資する「植林ファンド」の組成が盛ん。三井物産はこうしたファンドからの買い付けを検討している。 「朝日新聞2007年9月12日」 ◎フランクフルト自動車ショー開幕「環境規制強化に不満も」 「フランクフルト:岸善樹」欧州最大の自動車展示会・フランクフルト国際自動車ショーが11日始まった。欧州では環境規制がさらに強化されるため、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える車種を並べた欧州メーカーが目立つ。ただ、思惑は一様でなく「規制が厳しすぎる」との不満も」根強いため、排出削減機運が一気に高まるというわけではないようだ。、独フォルクスワーゲンはCO2を大幅に減らす新ディーゼルエンジン搭載の「ゴルフ」「ジェッタ」を展示。排気量1.9リットルのゴルフのエンジンは走行距離1キロあたりの排出量が119グラム。欧州連合(EU)が2012年までにめざす「130グラム以下」を達成した。 仏プジョーは今回発表した「308」シリーズ.にディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせたディーゼル・ハイブリッド車を投入。ガソリンエンジンのハイブリッドで先行するトヨタ自動車とホンダを追う。欧州メーカーが環境対応型エンジンの開発を急ぐのは、温室効果ガスのCO2の排出規制をEUがいっそう強化するからだ。現在、走行距離1キロあたりの排出量は平均160グラム程度だが、08年には140グラムに抑える自主規制が始まり、12年にはさらに130グラムへの削減が義務づけられる。 だが欧州勢も一枚岩ではない。仏伊メーカーは燃費の良い小型車が中心なので排出削減に取り組みやすい。独は大排気量の高級車やスポーツタイプ車が得意なメーカーが多く、一気に排出量を減らすのは難しい。 プジョーのストレイフ会長は「より大きな汚染源になるメーカーが、より減らすべきだ」と主張。一方、スポーツカーで名高い独ポルシェのウィーデキング社長は10日付の独経済紙で「(130グラムに削減できると考えるのは)浮世離れしている」と語り、実現可能性は少ないと反発する。3月には当時のドイツ自動車工業会長が突然辞任。EUへのロビー活動が不十分だと批判されたためと取りざたされた。 独メーカーは、大型車は130グラムまで削減しなくても、小型車の削減幅を大きくして全体の平均で130グラムを達成する「重量別の排出基準」でいいのではないかと主張する。仏伊メーカーは一律に130グラムまで削減を」との立場だ。EUの行政機関・欧州委員会の報道官は10日の記者会見で「各社を公平に扱い、差別はしない」と述べ、12月に欧州委として具体的な提案をすることを明らかにした。 ◇電気自動車欧に輸出へ三菱自動車 三菱自動車は11日、開発中の電気自動車「アイミーブ」(2010年に国内一般発売予定)を欧州にも輸出する方針を明らかにした。フランクフルト国際自動車ショーでの記者会見で益子修社長が語った。欧州では仏などで電気自動車と充電設備が普及し始めており、小型で高性能な電気自動車の需要を見込む。軽乗用車「アイ」をべースにした車で、現状は最高速度130キロ、1回の充電による走行距離は160キロ。電池大手のジーエス・ユアサコレポレーションなどと共同開発するリチウムイオン電池を搭載、低価格の電気自動車として普及をめざす。 「朝日新聞2007年9月12日」 ◎IT化脱・大手頼み「自治体、コスト減へ模索」 各地の地方自治体が、IT化にかかる費用を抑えようと模索している。IT機器・システムの調達先が大手企業の寡占状態であるために調達費が膨らむとみて「大手頼み」からの脱却をめざすが、自治体側の知識・情報不足でうまく進まない場合もある。佐賀市と青森市の実情をみた。(佐藤章、松浦新) ◇市販機活用、開放型システム「年8000万円節約」 佐賀市に7月、著作権使用料15万円が入った。市のノウハウで韓国企業と共同開発した住民票などの自動交付機を、沖縄県の那覇市と南風原町が2月に導入したことによる「稼ぎ」で、佐賀市のIT調達改革の一端だ。担当の西川末実・情報政策課長(51)は「こんなこと役所人生で初めて」と感慨深げに語る。 1台480万円の価格は日本の大手製による従来機の約4分の1。独自に安い市販パソコンを使うなどで調達費を抑えられる「発明」だった。同市の調達改革の最大の狙いは、大型汎用コンピューターを軸としたNEC頼みのシステムから、入札でさまざまな企業の製品を採用できる、小型サーバーを用いた開放型システムに変えることだった。その入札にはNECも応札したが、03年11月、韓国サムスン電子系のシステム会社・サムスンSDSが落札。市は多くのメーカーに適応できるコンピューター言語・Javaの使用を求めたが、NECは従来の言語・COBOLにこだわり、条件を満たせなかった。NECは「自治体向けパッケージソフトは当社の著作物で言語もCOBOL。与えられる開発時間が短いので、引き続きこのソフトで、と判断した」(広報担当者)。 この新システムへの移行の際、住民データをNECのコンピューターから引き出す作業が難航した。NECがソフトの著作権を侵害される恐れがあるとしたためという。サムスン側は市職員に引き出してもらうことでしのいだが、05年初めの予定だった稼働開始は3月下旬まで延期され、市民へのサービス向上に合わせたシステムに十分仕上げられなかった。 当時の市長、木下敏之氏は「データ移行の費用と時間がかさむとなれば、調達改革は進みにくくなる」と話す。自治体側が「それなら旧来の大手に頼った方がいい」と考えがちになり、大手側も既得権益を守れる、という分析だ。 市によれば、NEC頼みでいるより年8000万〜9000万円の節約という。ただ今秋の3町との合併に伴うシステム更新はサムスンと随意契約した。市は「地元企業の力がついていないため」(情報政策課)とするが、結局サムスン頼みの状態で、開放型システムの理想にはまだ遠いようだ。 ◇稼働遅れ企業は撤退「青森市」 それでも佐賀市の動きは注目され、コンサルタントを務めた韓国出身のITアドバイザー・廉宗淳氏(44)の名も広まった。89年以降、日本の自治体や病院のIT化に助言。その廉氏を05年末に情報政策調整監に招いた青森市では「改革」が暗礁に乗り上げていた。 富士通の汎用コンピューターを使ってきた同市は補修経費などを下げるために開放型システムへの転換を決めた。そのシスデム構築の統括業務を04年秋、同市や国、青森県などが出資する第三セクター会社に任せた。旧システムを管理する富士通、新システムを構築する大分市の企業、データ移行プログラムをつくるインド系IT企業の共同作業が必要だった。 だがこの三セクはパソコン教室などのIT研修事業の会社で、作業を統括しきれなかった。05年3月の予定だつた基本システムの稼働は延期が続き、大分の企業とインド系企業が撤退。結局、富士通に新システムづくりを頼んだが、その経費は当初計画21億51100万円の3倍近い57億3200万円となった。 責任をめぐり三セクと訴訟合戦になった大分の企業側の裁判資料には「(青森市職員が)旧システムに人並みならぬ愛着を抱いていた」とある。高くても富士通に任せた方が楽との気分が市にあった、との指摘だ。富士通は「21億円でできなかったということは、それが適正額ではなかったのかもしれない」(広報担当者)とする。 ◇韓国では専門職「職員教育が重要」ITアドバイザー 「役人がITに無知なために、自治体は高い買い物をしてきた」。佐賀・青森両市の実情を知る廉氏は職員へのIT教育の重要性を強調する。佐賀市では、サムスンが市職員にシステム内容を説明する場を持ち、廉氏が課長級以上の幹部に2度講義した。同様な計画がなかった青森市は「今後、職員へのIT教育をどうするか取り組む」(三上金蔵・情報政策課長)としている。廉氏の母国・韓国の各自治体は電算職と呼ばれる専門職員を置いているという。入庁時の試験もプログラミングや電気法学など一般職とは科目が違うし、IT技術の進化に追いつくために年250時間の補習が義務づけられる。調達先企業と知識で十分渡り合える人材を育てるためだという。 「日刊工業新聞2007年9月11日」 ◎SUMCO「佐賀に太陽発電向けシリコンウエハーの工場建設」 SUMCOは10日、太陽光発電向け多結晶シリコンウエハーの新工場を佐賀県伊万里市の半導体ウエハー第5工場隣接地に建設すると発表した。2011年以降、発電能力換算で年間1ギガワット相当のウエハーを生産し、「全世界でシェア10%を目指す」(重松健二郎社長)。総投資額は約400億円を見込む。 第1段階として約145億円を投じ、09年春に原料を調達できる年300メガワット相当のウエハーを生産する。新工場の敷地面積は5万1220平方メートル。09年春の従業員は約100人の予定。現在、子会社のSUMCOソーラー(和歌山県海南市)は独自の電磁鋳造法で年間100メガワット相当を生産する。今後はSUMCO本体にソーラー事業部を設置、その傘下に子会社をぶら下げ、SUMCOの人材や技術を投じて事業を拡大する。 「日刊工業新聞2007年9月11日」 ◎三井造船「エタノールの生産性4倍に向上する新システム開発」 三井造船は新しい凝集性酵母を使ったエタノール生産システムで、糖類(グルコース)から従来の生産方式と比べエタノール生産量が4倍になる発酵連続生産システムの開発に実験段階で成功した。60日間の安定運転とともに、エタノールの生産性で1時間1リットル当たり20グラムの生産を実現。雑菌汚染問題も解決した。 でんぷん質などからの従来のエタノール生産では、発酵液を遠心分離処理などでエタノールと酵母に分離。酵母は再度発酵槽へ戻していた。新システムは酵母は凝集性で塊となり沈澱するため、酵母菌体を分離する機械的処理が不要となる。また高エタノール環境に耐えられ、発酵液中のエタノール濃度を高めることが可能。エタノールの生産性を従来の4倍に高めることに成功した。これをもとに発酵槽、凝集沈澱槽での連続発酵システム運転を実験室段階で実現した。今後はパイロットプラントでの実証を踏まえ、実用化を目指す方針。 「日刊工業新聞2007年9月11日」 ◎三菱電「米で鉄道向け機器100億円規模の大型案件を受注」 三菱電機は米国で鉄道向け電機品の大型案件を受注した。ニューヨーク郊外の地下鉄向けに駆動システムと、ペンシルベニア州フィラデルフィアの鉄道向け電機品を受注、2件で受注額100億円強となる見込みだ。同社は鉄道事業で安定需要のある国内市場に加え海外市場開拓を強化中。米国のほか欧州、中国、インドなどでも受注を活発化しており、国内外での鉄道事業の成長を目指す。 ニューヨーク州交通局傘下のメトロノース鉄道向けで、300両分のモーターおよびインバーターなど駆動制御機器を受注した。メトロノースが川崎重工に車両を発注しており、三菱電機は川崎重工から受注した。09年から2011年に順次納入する。また、フィラデルフィアでは南ペンシルベニア交通局(SEPTA)向けにも120両分の車両電機品を受注。韓国の鉄道車両メーカーのロテムが車両を受注しており、ロテム向けに車両電機品を09年まで納入する。 三菱電機はすでにニューヨーク州交通局のニューヨーク地下鉄向け車両エアコンも受注済み。車両を受注した川崎重工にエアコンを納入するもので、08年9月までに640両分を納入。さらに追加納入分620両分もあり、2010年までに総額50億円強の売上高となる。 「朝日新聞2007年9月9日」 ◎かすむ自由貿易圏構想・途上国「米主導、APECで議論」 シドニーで開かれているアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、米国が提案した域内自由貿易圏(FTAAP)構想が議論されている。世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が行き詰まる中、代替案として期待する声もあがる。だが、途上国には構想の実効性や米国の真意を疑う見方も強く、実現の可能性はかすむ一方だ。(シドニー目高野弦、村山祐介) ◇途上国根強い不信 「現実的、段階的なステップを通じ、FTAAP構想の可能性を検討する」。9日のAPEC首脳宣言には、こんな表現が盛り込まれる予定だ。構想は昨年のハノイAPECではじめて議題に上り、各国・地域の官僚に研究を求めた。今回は、既存の自由貿易協定の統合といった具体的な方法論を盛り込んだ報告書を受け、首脳宣言も一歩、踏み込んだ内容になる。 推進に最も熱心なのは提案国の米国だ。複数の関係国によると、ドーハ・ラウンドの行き詰まりが明らかになるにつれ、熱意が増してきたという。ブッシュ大統領は7日の演説でテロ対策などとともに、「FTAAPを現実的なものにしていく」と力説した。 だが、表向きの進展とは裏腹に、議長国・豪州の政府関係者は「今のところ、だれも現実になるとは思っていない」と言い切る。背景は、南北対立を軸とした各国・地域間の思惑のすれ違いだ。APECは、94年の首脳会議で採択したボゴール目標で「先進国・地域は2010年までに、途上国は2020年までに貿易・投資を自由化する」と掲げている。タイ政府の高官は「この約束を果たせない先進国が、言い訳として新たな目標を持ち出してきただけだ。米国が農業補助金にこだわる限り、いずれはWTOと同じ状況に陥る」と手厳しい。 東南アジア諸国連合(ASEAN)は15年に域内での経済統合を控えているが、その実現だけでもハードルは高い。まして、さらに範囲の広いFTAAP構想を現実的な選択肢と見る雰囲気はない。一方、中国と日本はそれぞれ独自の自由化構想を持っており、米国との主導権争いがちらつく。 豪州の外交筋は「実現は極めて難しいことは米国も分かっている。表面上結束を示し、ドーハ・ラウンドでインドや欧州から譲歩を引き出したいのが本音だ」と解説してみせるが、足元ではかえって域内さえまとめ切れない現実を露呈している。 「朝日新聞2007年9月9日」 ◎米襲う雇用ショック 「ワシントン:西崎香」低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題で揺れる米経済を7日「雇用ショック」が襲った。堅調だった非農業部門の就業者数が一気に減少に転じ、株価は大幅に下げた。8月上旬の「サブプライム危機」表面化から1ヵ月。実体経済への波及の本格化で景気後退観測も出始め、野党からは「ブッシュ政権の失政」との批判もあがっている。 ◇景気後退の観測も 住宅ローン業界では7日も、最大手カントリーワイド・フィナンシヤルが従業員の約2割にあたる1万〜1万2000人の削減方針を明らかにした。業界2位のインディマック・バンコープも同日、従業員の1割の約1000人を減らすと発表した。 影響は金融業界外にも広がる。オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンのジーマー最高経営責任者は7日、業績予想の下ぶれを発表。「急に販売が落ち込んだ。」米国の消費者は難しい時期を迎えている」と述べた。 7日発表の8月の非農業部門の就業者数は4年ぶりに前月より減少。エコノミストのイアン・シェパーズソン氏は、製造業の減少が従来の約4倍に増え、牽引役だったサービス業の増加数も約6割低下したことに注目。雇用情勢は「もつと悪くなるだろう」とみる。 ◇個人消費、支え失う恐れ 米抵当銀行協会が6日発表した4〜6月期の住宅ローンの差し押さえ開始の件数比率は、前年同期より0.22ポイント高い0.65%に増加。統計のある79年以降の最高値だが、さらに増える見通しだ。住宅価格の代表的指数も10〜12月期に下降に転じるとの見方もある。 資産価格と雇用がともに腰折れすれば、失速気味の個人消費は支えを失う。消費が7割を占める実質国内総生産(GDP)がマイナス成長になる恐れも募り、「景気後退の可能性がさらに高まつた」(エコノミストのクリスチャン・ウェラー氏)との声も出てきた。経済協力開発機構(OECD)は5日、今年の米実質GDP成長率の予測を0.2ポイント低い1.9%に下方修正。エコノミストの間にも、同時多発テロのあった02年(1.6%増)以来の1%台は必至との見方が多い。野党民主党からは「ブッシュ政権の政策は失敗。庶民の住宅は差し押さえられ、雇用も減り始めた」(下院のホイヤー院内総務)といった批判が相次いでいる。 ◇大幅利下げ見方広がる 米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を18日に開く。フェデラルファンド金利の誘導目標(現行年5.25%)の引き下げが確実視されているが「下げ幅は0.50ポイント」「18日は0.25ポントだが、10月と12月にも緩め年末には4.50%に」など観測が乱れ飛ぶ。 FRBには「(金融機関の)救済が連銀の役割ではない」(ダラス連銀のフイッシャー総裁)との建前論もあるが「経済見通しがさらに不透明になっている」(アトランタ連銀のロッカート総裁)「景気後退の可能性が高くなってきた」(セントルイス連銀のプール総裁)との声も目立ち始めている。 「日刊工業新聞2007年9月8日」 ◎フォルクスワーゲン「ゴルフGTIなど一部改良」 フォルクスワーゲングループジャパンは、「ゴルフGT TSI」と「ゴルフGTI」を一部改良して発売。後部ドアなどに紫外線カットや断熱効果の高いガラスを採用。TSIは前面網の色をスポーティーな黒に変更した。価格はTSIが308万円、GTIが332万〜347万円と、仕様の変更で3万円値上げした。 「日刊工業新聞2007年9月8日」 ◎ダイハツ「ソニカをマイナーチェンジ」 ダイハツ工業は、軽乗用車「ソニカ」を一部改良し、発売した。フロントグリルを変え、バンパー下部色を従来の黒からボディーと同色に合わせるなど外観スタイルを改良。シート表皮の材質を変更し、インストルメントパネル・ドアトリムの色を従来のグレーから黒に変えることで内装質感の充実も図った。価格は120万7500円〜155万9250円。 「日刊工業新聞2007年9月8日」 ◎エプソン「体積・重さが約半分の家庭用プロジェクター3種発売」 セイコーエプソンは4日、家庭用プロジェクター「ドリーミオ」シリーズの新製品3機種を19日以降順次発売すると発表した。小型・軽量で持ち運びやすいDVD一体型の「EMP-DM1」を中心に、これまで映画などの愛好家向けが多かったホームプロジェクター市場のすそ野を広げる。DM1の価格はスクリーン付きで9万円台後半、本体のみで9万5000円程度を想定する。3機種で年3万台の販売を見込む。 DM1は従来機より体積と重さを約半分とし、取っ手を付けて持ち運びしやすくした。DVDの解像度と同レベルの854×480画素の液晶パネルを搭載した。ハイビジョン液晶パネル(1280×720画素)を搭載し、プロジェクター部分が回転する構造で設置しやすい「EMP-TWD-10」がスクリーン付で想定価格15万円台後半、愛好家向けの高品質モデル「EMP-TW2000」が想定価格35万円前後。 機種別の年間販売目標はDM1が1万9000台、TMDが8000台、TW2000が3000台。 「朝日新聞2007年9月7日」 ◎11日から独でモーターショー「CO2対策に重点」国内各社 フランクフルト・モーターショーが11日、ドイツで開幕する。欧州戦略の最重要課題は二酸化炭素(CO2)対策。国内の自動車8社が、電気自動車や欧州で普及が進むディーゼルエンジンのコンセプトカーなどを出展する。 次世代型の電気自動車は3社が出展。若者を狙つた日産自動車のコンセプトカー「ミクシム」は、運転席にゲーム機のコントローラー風のハンドルがついており、バーチャル(仮想現実)映像を使った多様な機能が楽しめる。動力源には、リチウムイオン電池を使った独自開発のスーパーモーターを使う。富士重工業は国内で開発中の「Rle」を出展。三菱自動車は09年にも国内発売する電気自動車「i-EV(日本名:アイミーブ〉」を欧州で初公開し、輸出の可能性を探る。 ディーゼルでは三菱が、08年の欧州排出ガス規制「ユーロ5」を満たすディーゼルエンジン搭載のSUV(スポーツ用多目的車)「コンセプト-cX」を出展。内装も植物由来樹脂にした。スズキは、08年春に欧州に投入するカラフルな小型ファミリーカー「スプラッシュ」を初披露し、ディーゼル車もそろえる。 トヨタ自動車もCO2対応を強化したコンセプトカーを出すが、詳細は伏せている。「全く新しい革新パッケージの車」(岡本一雄副社長)と自信をみせる。マツダは、近く発売するセダン「マツダ6(日本名アテンザ)」の新型モデルを世界初公開。ホンダは、08年半ばに欧州で発売予定のステーションワゴン「アコードツアラー(同アコードワゴン)」のコンセプトモデルを発表する。ダイハツ工業は軽自動車をベースにしたオープンカーなどを出展する予定だ。フランクフルトの1ヵ月半後には、東京モーターショー(10月27日から一般公開)が開かれる。東京で、さらに斬新な環境技術を見せる戦略のメーカーも少なくない。 「朝日新聞2007年9月7日」 ◎超伝導で超効率送電「住友電工、米で実証試験中」 ◇地中の管路小径化、CO2削減も 特定の金属を一定の温度に冷やすと電気抵抗がなくなる「超伝導」。この現象を利用して電気を送れば、電線の断面積あたりの送電量が大幅に増やせる。さらに電力損失が減って二酸化炭素の排出量も抑えられるため、画期的省エネ技術として期待されている。住友電気工業が米国で実証試験中で、既存の銅線に取って代わる日も近そうだ。(堀田浩一) ◇電流、銅線の200倍 住友電気工業大阪製作所の展示コーナーに、幅4ミリほどの白銀色のテープが飾られている。製品名は「高温超伝導線」。液体窒素で零下196度に冷やすと、断面積あたり、従来の銅線の200倍の電気を流せる。東京や大阪など主要都市の地下には、電気を送る銅線ケーブルを通すため直径2〜3メートルのトンネルが掘られている。それが「超伝導線」なら、細くても大量の電気が流せるので、50センチ四方程度ですむ。 工事コストの大幅削減が可能だ。また、発電された電力は送電時に、電線の電気抵抗などでいくらかの損失が出る。超伝導線には冷却用の電気が必要だが、その分を差し引いても、電力損失は現在の半分に減らせる。現在、日本では送電時の電力損失は発電量の約5%。年間約485億キロワット時に及び、四国電力の総発電量より多い。住友電工の試算では損失を0.1%分、減らすだけで二酸化炭素排出量を年間12万トン削減できる。林和彦電力・エネルギー研究所長は「超伝導は究極の省エネ技術。太陽光発電、風力発電とつなげば地球温暖化対策に大きく貢献できる」と話す。 超伝導現象が注目され始めたのは86年。それまでは自然界の最低温度に近い零下250度前後まで冷やさなければならず、実用化が難しいとされていたが、IBMの研究所が従来より10度ほど高い温度で超伝導現象が起きる酸化物(セラミックス)を発見。これを契機に、より高い温度で超伝導現象が起こる物質を探す競争が始まった。 住友電工は、日本の研究者が発見した「ビスマス系」セラミックスに注目した。安価な液体窒素で冷やせ、低コストな点が魅力だった。ただ、粉末原料をテープ状に焼き固めると、スポンジのように微細な穴が無数にできて、電気が流れにくくなる難点があった。工夫を重ね、原料の粉末を銀合金の管に入れて細く絞り、束ねて圧延した。さらに300気圧、900度で約1週間焼く「加圧焼成」を開発し、穴をすべて埋めることに成功。スムーズに電気が流れるようになった。 昨年7月からは米国ニューヨーク州のオールバニ市で実証試験を続けている。実際の送電網につなげた試験は世界初だ。超伝導の線材を3本の芯に巻きつけたケーブルを使っている。二つの変電所間につなげた350メートルのケーブルで連続7000時間、電気を流す試験に成功し、実用化のめどがほぼついた。 米国では、送電ケーブルが老朽化し、停電が頻発している。03年にはニューヨークで大停電が起きた。事態を改善ようと、米政府は05年、全米に超伝導送電網を築き上げる壮大な構想を打ち出した。オールバニ市の実証実験は、そうした国家プロジェクトの一つだ。日本でも、独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構と住友電工との共同試験が近く始まる。東京電ガの送電網につなげる計画で、接続場所を検討中だ。 本格的な普及へ残る課題は、価格をどこまで下げられるか。量産しても、1メートル・1アンペアあたり約50円の銅線に比べ相当、高くなるのは避けられない。「価格で太刀打ちできない以上、送電量などの性能をさらに上げないと、銅線に勝る商品にはならない」と林所長。加工技術のさらなる改良などを目指している。 「Voice2007年10月号」 ◎未来を作る技術「カプセル内視鏡(オリンパス)」 ◇SFのFS化 夢やロマンは元来、現実性に乏しい空想や夢想の類と同義語だが、将来に向けて思い描く希望、願望、期待といった意思の表れをも言外に示している。現に科学研究や技術開発の場では、この種の想像力や期待感が引き金になって技術革新が進行するケースが少なくない。SF作家の小松左京氏は「今日の技術革新は、われわれSF作家の夢を次々と現実のものにしてきた」といった趣旨の話をしている。私がかねてから「技術開発はSFのFS(Feasibility Study:実現可能性調査)である」と唱えるゆえんだ。 ここに紹介するカプセル内視鏡は、そんなSF的発想に一脈通じる格好の開発事例だ。少し古い映画ファンなら、誰でも1960年代にヒットした米国のSF映画“ミクロの決死圏”を知っているにちがいない。この映画は、ミクロの潜水艇が手術の担当医を乗せて人体の血管のなかに潜入し、脳内出血を起こした科学者の生命を救うという筋書き。カプセル内視鏡は、そんな人類の「夢」が「現実」の人工物になることを実証した。 世界最大手オリンパスが開発した「小腸用力プセル内視鏡」は、全長2.6センチ、直径1.1センチのプラスチック製カプセル内にレンズ、CCD(電荷結合素子)撮像素子採用の超小型デジタルカメラ、照明用のLED(発光ダイオード)、電池などを内蔵、毎秒2枚ずつ撮影した画像は発信器を通して腹部に装着したアンテナに送信する仕組み。消化管に入ったカプセルはどこへ行く?と問われそうだが、心配ご無用。「最後は便と一緒にトイレで流せる」のだそうだ、同社はすでに欧州などで発売しているが、国内でも製造・販売の承認を申請済みで、本格的な実用化も間近い。(志村幸雄:工業調査会・会長) 「日刊工業新聞2007年9月7日」 ◎日産「技術特許を異業種にライセンス販売」 日産自動車は自動車開発に活用する技術特許を異業種にライセンス販売する。五つの技術を候補に挙げており、このうち二つの技術で複数社と交渉を進行中という。当面、同事業で1億円程度の収入を見込む。 現在交渉しているのは、エンジン部品の摩擦を減らす水素フリーDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティング技術と、貴金属使用量を半減できる排出ガス浄化触媒。前者は建設機械や機関車用大型エンジン、機械式腕時計などへの応用が見込まれるという。後者は発電機やガスエンジンなどへの適用を見込んでいる。 日産は2万件弱の特許を保有する。自動車メーカーとのクロスライセンスなどを除いた知的財産事業の規模は10億円弱で、大半が玩具やゲームなどの商品化ライセンス収入という。 「日刊工業新聞2007年9月7日」 ◎日本電産サンキョー「半導体ウエハー搬送ロボのカスタム生産に軸足」 日本電産サンキョーは半導体ウエハー搬送ロボットの主力機を汎用タイプ中心から半導体製造装置メーカーごとに仕様を変えるカスタムタイプにシフトする。装置メーカーが優位性確保のため、作業スピードが速い専用ロボットを要求するケースが増えていることに対応する。独自機構を持つロボットにも注力し、2010年度に同搬送ロボットの販売台数を06年度の約3.5倍にあたる2400台の販売を目指す。 日本電産サンキョーの半導体ウエハー搬送ロボットの06年度販売実績は約700台。このうちカスタムタイプの割合は15%。08年度にはカスタムタイプの割合を50%程度に引き上げる計画だ。半導体製造装置メーカーからの仕様要求に応じることで、販売台数増につなげる。装置メーカーは自社装置を効率よく動かし、小型化するため、搬送ロボットにアームの上下軸ストローク幅変更や省スペース化などを求めることが多い。 「日刊工業新聞2007年9月7日」 ◎ソニー「デジタル一眼レフの中級機市場を開拓。11月に新製品」 ソニーは6日、中級クラス市場の開拓を目的にした、デジタル一眼レフカメラ「αシリーズ」で2機種目の新製品「α700」を11月16日に発売すると発表した。新たに開発した有効画素数1224万画素の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーと画像処理エンジンを搭載して高画質を追求、同社の液晶テレビ「ブラビア」でハイビジョン画質の静止画を見られる。 本体の想定価格は18万円前後。「α100」のターゲットである入門クラスより一段上の中級クラスを開拓する。発売当初の月に5万台、次の月以降4万台を生産する。世界シェア10%を目指す。家電・半導体メーカーでもあるソニーの強みを生かしCMOSセンサーや画像処理エンジン、高画質の液晶モニターを自社開発。テレビやビデオカメラなどとの連携でユーザーを取り込む。 販売促進では「中級機だけに販売店員に理解してもらう時間が必要」(鹿野清ソニーマーケティング取締役)とし、2トントラック3台で全国200ヵ所を巡回。中・小規模のカメラ専門店の店員を主な対象として説明する。 「日刊工業新聞2007年9月7日」 ◎アルプス技研「中国人技術者30人の入社式を開催」 アルプス技研は6日、神奈川県相模原市の本社で、中国の青島科技大学(山東省青島市)、中国石油大学青島キャンパス(同東営市)を卒業した中国人技術者30人の入社式を行った。式典では池松邦彦社長が「日本の社会で立派な社会人、技術者、中国人になってほしい」と述べた。代表して辞令を受け取った黄庭謙さん(23)は、「家電業界に興味があり、電機関係の技術者になりたい」と抱負を語った。30人は同社での研修を経て、今月末から派遣技術者として国内の企業に派遣される。 同社は05年から青島科技大、今年から中国石油大学の卒業生の採用を開始。7月には両大学の卒業生を対象とした同社独自の教育施設「ALPS青島教育開発センター」を青島市内に設置した。今後、同センターで研修を終えた者も含め、さらに50人の中国人技術者の採用を予定している。(厚木) 「朝日新聞2007年9月6日」 ◎国産腕時計「巻き返し」 国内の腕時計メーカー各社が5日、年末商戦に向け、相次いで新商品の説明会を開いた。輸入品に押されている国内メーカーだが、電波時計や光発電などの新技術を武器に業績は回復してきており、品ぞろえや新ブランドの投入でシェア巻き返しを図る。 ◇武器は電波・光発電 シチズン時計は11月に人気セレクトショップ「ビームス」など4店と組んだ新モデルを発売する。時刻情報を受信して自動的に時刻を合わせる電波時計で、太陽電池も搭載。機能性とファッシヨン性を兼ね備えさせた。希望小売価格は税込み3万4650円〜4万950円。2ヵ国の時間を同時に表示するビジネスマン向けの電波時計も売り出す。シチズンは世界で初めて内蔵アンテナを金属で覆った電波時計を03年に発売して以来、時計事業の利益率が急激に向上しており、品ぞろえを充実させて攻勢をかける。 セイコーウオッチも、10月25日に2ヵ国の時間を同時に表示するソーラー電波時計を発売。希望小売価格は14万1750円で、今冬の目玉商品にする。 カシオ計算機も電波時計に力を入れる。90年代にブームを巻き起こした衝撃に強い腕時計「Gシヨック」は一時停滞したが、電波時計や太陽電池を搭載した新シリーズの投入で再び売り上げが上昇。今冬は価格帯を広げ、新しい顧客を呼び込む考えだ。 国産時計は90年代以降、スイスなど海外の高級時計やアジア産の格安品に押され苦戦が続く。日本時計協会の推定によると、06年の国産腕時計の国内シェアは数量、金額とも19%にとどまる。国内メーカーが得意とする中価格帯の市場も、携帯電話の普及で若者の時計離れが起こるなど逆風が吹く。電波時計など新商品で、市場の掘り起こしを狙う。 「朝日新聞2007年9月6日」 ◎再飛躍へ「創造経営」利益大幅減のサムスングループ ◇新分野開拓、会長がゲキ 韓国最大財閥、サムスングループが営業利益の大幅減少など、苦悩の中にあります。より悩みが深いのは、前を走る日本勢が引き離しにかかり、後ろから中国勢の猛追を受ける「サンドイッチ」状態です。サムスンは「創造経営」を旗印に脱却を図ろうとしています。(ソウル:神谷毅) ソウル郊外のサムスン電子の水原事業所で7月末、恒例の「先進製品の比較展示会」があった。今年は、ハードの比較よりもデザインや使い方などソフトの競争力を中心に比較。サムスン製品とソニーやパナソニック、シャープ、ノキア、アップルなど世界566個の製品が一堂に並べられ、グループ各社の幹部が駆けつけた。 最も熱心に見入っていたのがグループの李健煕会長だ。取り囲む幹部らを前に、こんな言葉を投げかけた。「2010年ごろには予測できない急速な変化が起こるだろう。今からデザイン、マーケティング、研究開発などすべての分野で創造的な経営によって変化に備えないといけない」 サムスンは、韓国の輸出、株式時価総額の2割を占める韓国経済のまさに先導役。その規模は国家に例えられ「サムスン共和国」ともいわれる。李会長は「以前は先進企業という灯台があったが、今は大海原に自らこぎ出さないといけない」。模倣する時代は終わり、付加価値のある製品を作り出す創造の重要性と思考の転換を強く訴えた。 李会長は、キーワードを用いてグループの経営思想の本質を表現することで知られる(次項目参照)。ここ1年余り、常に「創造経営」を強調してきた。今年1月には、「中国が追い上げ日本は先を行く。韓国はサンドイッチ状態。克服しなければ困難を極める」と記者団に語った。韓国経済全体を念頭に置いた発言だったが、自ら率いる「共和国」に向けたメッセージでもあった。「創造経営」とは原点をみつめ、そこから新しいことを探し出すこと。李会長の発言後、サムスングループの司令塔、戦略企画室は系列企業に新産業の発掘を専属に担当するチームを作るよう指示。「新分野を開拓しなければ競争に生き残れない」(企画室幹部)と危機感をあらわにする。 韓国メディアは、ナノテクノロジーやエネルギーなど新分野に進出すると騒ぎ立てるが、企画室幹部は「未来の有望事業をそんなに簡単に探せるのなら誰でも成功できる。新成長事業は現在の主力事業の範囲内にある」と冷静沈着に「次」をうかがう。ヒントはあるという。 ワイングラスのような曲線の革新的デザインで世界販売500万台を達成した薄型テレビ「ボルドー」のヒットだ。幹部は「既存のものとの差別化や価値の計量化、利益を創出できるかの3点からアプローチしている」。博士号を持つ約4300人の人材を活用し、研究開発費を効果的に使う。 ◇李健煕会長の経営論の変遷 1987年「第2の創業」:グループ会長就任に当たり、若さの覇気や進取の気性を土台に第2の創業に向かおうと宣言。 1993年「新経営」:妻と子供を除き、すべてを変えよと危機感を鼓舞。 1994年「天才経営」:21世紀には1人の天才が10万人を食べさせていくと優秀な人材の確保を強調。 1998年「革新経営」:骨身を削るような革新だけが競争力を高めると革新の重要性を主張。 2003年「分かち合い経営」:企業は疎外された隣人たちを守っていかねばならないと社会貢献の重要性を指摘。 2005年「デザイン経営」:デザインの意味と重要性を新しく認識し世界の一流に入れるサムスン製品を品格高いブランドとして作れとデザイン重視を力説。 2006年「創造経営」:すべてのものを原点から見て、新しいことを探し出す創造性が必要と強調。 ◇身内も競争から協力へ サムスン電子の4〜6月期決算は、営業利益が5年ぶりに1兆ウオン(約1200億円)を下回るなど中核の電子電機系グループ企業が変調を来している。半導体市況の低迷などが理由だ。こうした状況を受け、サムスン電子では組織改編などリストラに踏み出した。同社は「例年と変わらない取り組み」としているが、役員や次長級以上の幹部クラスを対象とする希望退職を数百人規模で行った。サムスンは、身内同士でも競争を強いることで効率を生み出すという経営スタイルを採ってきたが、業績の低迷で「協力」にも重点を移しつつある。 例えばサムスン電子の液晶テレビをつくる部門がパネルを仕入れる際、自社のパネルと他社製品を比べ、安く品質が良ければ他社でも採用するといったように競争させコストを削減してきた。一方、8月には、サムスン電子のデジタルメディア総括社長が、デジタルカメラ製造販売のグループ企業サムスンテックウィンのカメラ部門の責任者を兼務すると発表。研究開発や販売で協力を強化する方向にかじを切った。 ◇脱管理で挑戦を「李大遠・サムスン重工業顧問」 サムスン経営の強さには「管理」と「技術」がある。目標を設定し、その過程で徹底して無駄を省き一致団結して達成する管理の力と、先進企業に追いつく技術力だ。ただ管理はミスを正す方向にだけ力が働いた。 私は若いころ、書類のミスを発見するのを競い仕事の様式化に力を注いだ。「とにかく間違えてはダメ」の思考方式。後ろ向きな管理にしがみついていてはリスクや不確実性に挑戦できず、新事業は一つもできないだろう。 いま韓国が抱えている問題はサムスンと共通する。97年の通貨危機から10年がたって社会が豊かになり、考え方や行動がかつてのようにエネルギッシュでなくなってきた。これを克服しないと韓国は落ちぶれていくだろう。(談) ◇視点「あなどれない底力」 韓国は地理的にも歴史的にも日本と中国に挾まれてほんろうされてきた。そのためか「サンドイッチ経済」という言葉には悲壮な響きがつきまとう。国内は、通貨危機後に広がった急速な市場経済化で、所得や学力などの格差拡大が進む。外からは大国に挟まれる圧力にさらされ、内では分裂しているという不安定な状況だ。ただ通貨危機からの劇的な復活に見られるように、この国の底力はあなどれない。サムスンの再飛躍が、まずはサンドイッチ解消の試金石になりそうだ。 「日刊工業新聞2007年9月5日」 ◎日本ゼオン「光学フィルムを増産。子会社の設備拡張で3倍に」 日本ゼオンは4日、光学フィルム「新ゼオノアフィルム」の生産能力を増強すると発表した。子会社のオプテス富山工場氷見製造部(富山県氷見市)の設備を拡張し、08年度までに同工場の能力を現在の3倍となる年産4500万平方メートルに引き上げる。大型液晶テレビ向けの需要増に対応する狙い。投資額は明らかにしていない。 氷見製造部は約100億円を投じ今年完成した新工場。今回の能力増強は建設済みの工場棟内に設備を増やすかたちとなる。また同工場は08年度以降もさらなる能力増強を進める方針。これにより日本ゼオンでは2010年までに、同製品で年産3000万平方メートルの能力を持つオプテス富山工場高岡製造部(富山県高岡市)と合わせた大型液晶テレビ用光学フィルムの生産能力を、年産約1億平方メートルに引き上げる。 「日刊工業新聞2007年9月5日」 ◎工作機械9社「7月受注額が9.2%増。日刊工業新聞社まとめ」 日刊工業新聞社がまとめた7月の工作機械メーカー9社の受注実績は、前年同月比9.2%増の559億7300万円となった。好調な輸出が国内の減少を補う展開が続いている。鍛圧機械メーカーを含めた10社合計では同7.4%増の782億3500万円。企業別では7社が前年実績を上回った。 9社の内外需別受注は、国内は2ヵ月連続で前年同月比減となった。輸出は06年8月以降、同2ケタ増の伸びを続けている。鍛圧機械メーカーを含めた10社の国内は同8.9%減の374億7000万円、輸出は同28.5%増の407億6500万円。国内は3ヵ月連続で減少した。個別企業では三井精機工業の輸出が好調。「米国でまとまった航空機向けの受注があった」(三井精機)。アマダも欧州向けを中心に輸出が増加した。国内は工作機械、鍛圧機械とも前年同月比マイナス。「国内は調整局面に入った模様」(アマダ)と見ている。 「日刊工業新聞2007年9月5日」 ◎東芝「三重・四日市にフラッシュメモリー製造の第4棟が完成」 東芝は4日、米サンディスクコーポレーションと共同で、四日市工場(三重県四日市市)内にNAND型フラッシュメモリーを製造する第4製造棟を完成したと発表した。直径300ミリメートルウエハーに対応した前工程ラインを敷設。12月に量産を始め、08年後半には生産能力を月8万枚に高め、フル生産時には同21万枚に達すると見込んでいる。 第4製造棟では当初、回路線幅56ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスを採用したNAND型フラッシュメモリーを製造し、08年3月以降同43ナノメートルプロセスに移行する。東芝は建物の建設費用を負担し、両社の折半出資会社であるフラッシュアライアンスが装置費用を負担する。建物構造は鉄骨造り5階建て、建屋面積は約3万5500平方メートル、延べ床面積は約18万1000平方メートル。 東芝でセミコンダクター社社長を務める齋藤昇三執行役上席常務は「2010年に半導体の売上高2兆円、営業利益率10%が目標。両社(東芝とサンディスク)を合わせた現在のシェア35%を第4製造棟の稼働で40%にしたい。その後、第5製造棟へと発展する」と述べた。 「朝日新聞2007年9月4日」 ◎バイオ起業に逆風「資金難、赤字拡大の一途」 遺伝子治療や人工皮膚といった先端的な医療技術を研究・開発するバイオベンチャー(BV)が、資金繰りに苦しんでいます。ITバブルの崩壊後、新たな投資先として人気を集めたものの、商品化までに時間がかかる点や「ライブドアショック」をきっかけに新興市場から資金が逃げ出したことが、逆風となっています。(諏訪和仁) ◇市場・政治は引き潮 「バイオベンチャーの多くは、お金に困っているんです」。BVを設立した研究者らが組織する「大学発バイオベンチャー協会」の水島裕会長(LTTバイオファーマ会長、聖マリアンナ医科大名誉教授)は、ため息をもらす。 BVが必要な資金額は、時間を追って雪だるま式に膨らむ例が多い。たとえば新薬の研究開発。実用化に近づくと、大規模な試験が必要となり、資金がかさむ。追加試験が必要となることも多く、ほかの分野のべンチャーに比べると商品化までに時間がかかり、費用も膨らむという。 ある未上場のBVは今、新薬の臨床試験に必要な約10億円の資金を集めるために、経営陣が奔走している。このBVとの提携に興味を示す企業などから数億円を調達できたが、必要な金額には遠く及ばない。株式市場への上場を果たした後も、資金繰りの厳しさはつきまとう。新光証券によると、おもな上場BV15社の当期赤字の合計は、05年度は135億円。これが、07年度には216億円に拡大する見通しだ。業績が悪化すれば、資金はさらに集めにくくなる。 資金難に追い打ちをかけたのが、ライブドアグループの堀江貴文・前社長が昨年1月に証券取引法違反で逮捕されたことだ。ベンチャー企業への不信感が高まり、投資家が資金を引き揚げた。上場BV15社の株式の時価総額をみると、上場時を上回っているのは3社だけ。株式市場から資金が逃げ出したため、残り12社の時価総額は3分の1にまで落ち込んだ。 政治の「BV熱」にも陰りが出てきた、という指摘がある。BVの上場ブームだった02年、当時の小泉首相は「バイオテクノロジー戦略会議」を内閣官房に立ち上げ、国の研究予算を官邸主導でバイオ産業に振り向け始めた。BVが新産業の柱となり、経済を底上げする効果を期待したのだ。 安倍政権も今年6月、革新的な製品やサービスの開発によって経済成長を目指す、2025年までの長期戦略「イノベーション25」を閣議決定。「生涯健康な社会」を戦略の柱に掲げ、バイオ研究を進めやすい環境づくりの重要性を提言した。ただ、BV経営者の間には、イノベーション25への不満が多い。ある関係者は「各省庁の政策の寄せ集め。小泉政権のころに比べると、研究資金をバイオに重点配分していこうという姿勢が薄まっている」と指摘する。 ◇海外流出で「空洞化」も 新光証券バイオチームの岩田俊幸アナリストは「成功例が出れば、うまく回り出す」と、BVの将来に楽観的だ。岩田氏は、「成功例」の候補者として、遺伝子治療のアンジェスMGと、再生医療のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(未上場)を挙げる。両社はともに技術水準が高く、その技術を正当に評価する投資家がついていることを岩田氏は重視する。 ベンチャー企業に投資するバイオフロンティアパートナーズの大滝義博社長も「BVには、その技術の有望性や使い道を見極める“目利き”が必要だ」と話す。規模の小さいBVは、投資家向けの事業説明や広報活動にまでは、手が回らないのが実情だ。しかし、大滝氏は「自らの技術を分かりやすく説明するなど、したたかな経営をすべきだ」と、BVは資金調達のためにもっと工夫をすべきだ、と主張する。 一方、経済産業省の徳増有治官房審議官は「日本のBVは東南アジアから、研究開発拠点の移転や株式上場を誘われている」と述べ、BVの「空洞化」に警鐘を鳴らす。徳増氏によれば、東南アジアの株式市場は、日本に比べると上場基準が緩い。国内で資金繰りに行き詰まっているBVも、東南アジアに拠点を移せば、市場から多くの資金を調達できる可能性があると指摘する。 ◇キーワード「バイオベンチャー(BV)」 新薬や遺伝子治療など新たな医療技術の研究開発や、試薬の開発などにかかわるベンチャー企業。大学や企業の研究者が、自らが持つ先端技術を実用化するために設立するケースが多い。国内のBVは97年度には150社だったが、06年度は586社。バイオインダストリー協会の05年の調査では、1社平均の従業員数は18人と少ない。平均売上高は約4億円で、経常損益1400万円の赤字だ。 ◇視点「技術重視の評価を」 米国には、日本の2倍以上の1452社ものBVがある(06年)。上場しているBVの数は、米国は336社。日本の約20倍だ。日本の上場数が少ないのは、赤字であっても、技術を評価して上場させるという仕組みがないためだ。米国では、BVが画期的な新薬を生み出す原動力になっている。補助金や投資家から集めた潤沢な資金を、研究・開発に生かしているのだ。ただでさえ新薬が出にくい日本で、BVの資金繰りが改善しなければ、深刻な問題を招きかねない。 「日刊工業新聞2007年9月4日」 ◎林野庁「遺伝子組み換えの技術開発は“地球温暖化軽減”を最優先に」 林野庁は森林・林業分野の遺伝子組み換え技術について今後の研究開発の方向性を取りまとめ「地球温暖化軽減」を最優先に推進することを明らかにした。樹木のゲノム構造解析は他の生物に比べゲノムサイズが膨大で難しいほか、国内で遺伝子組み換え技術に携わる研究者や専用試験施設が少ないことが課題になっている。そのため林野庁では、環境保全といった森林資源に期待される分野に研究開発の重点を置き、優先順位を設定したもの。 優先順位は(1)地球温暖化軽減(2)木質バイオマス生産性向上技術の開発(3)病虫害に対する抵抗性付与技術の開発(4)育種年限の短縮とし、それらの研究開発で大学や企業との連携を強化していく。具体的には二酸化炭素(CO2)固定能が高い樹木や環境ストレス耐性樹木、バイオマス生産性向上に向け高セルロース・低リグニンといった特性を付与した樹木の開発を今後優先する。 「日刊工業新聞2007年9月4日」 ◎IHIなど「液体窒素冷却で世界最大出力の超電導モーター開発」 IHIや大陽日酸、住友電気工業など8企業・大学は3日、液体窒素冷却では世界最大出力となる365キロワットの超電導モーターを開発したと発表した。「フラックスコレクタ(FLC)」と呼ぶ液体窒素の温度でも大きな電流を流すことができる特殊な仕組みを使い実現した。液体ヘリウムや液体ネオンなどの冷媒に比べ、小型でより安価な超電導モーターをつくることが期待できる。 液体窒素を冷媒にした超電導モーターは、ほかの冷媒に比べ高温(約196度C)のため、コイルに大きな電流を流すと発生した強い磁場がコイルに悪影響を与え、電流を流せなくなるのが問題だった。8企業・大学はコイルの中心に磁束を集中通過させるFLCを活用し、液体窒素の温度でも大きな電流を流すことを実現。365キロワットという世界最大規模の出力を有する超電導モーターの開発に成功した。 「日刊工業新聞2007年9月4日」 ◎パソコン各社「秋冬商戦向けパソコンを発表。上位機種はブルーレイ搭載」 NEC、富士通、ソニーは3日、秋冬商戦向けパソコンの新製品を発表した。各社とも上位モデルで次世代DVD規格「ブルーレイディスク」(BD)の録画・再生ができる商品を揃えた。ノートパソコンでは複数の色が選択できるカラーバリエーションモデルも充実した。今回発表したのはNECがデスクトップとノートパソコンで合計5タイプ17モデル、富士通が同11タイプ25モデル、ソニーがノートパソコンのみで6タイプ34モデル。それぞれ上旬から順次発売する。 NECの液晶一体型パソコン「バリュースターW」は水冷式で静音性を高めたうえ、BDだけでなく東芝が推進する次世代DVD規格「HDDVD」の再生にも対応した。両規格に対応したパソコンは初めて。実勢価格は34万円前後の見込み。富士通はノートパソコン「FMV-BLBLO」上位モデルと、大画面テレビに接続してデジタル放送を視聴できる「FMV-TEO」にBD録画・再生機能を搭載したモデルを追加した。同モデルの実勢価格は26万円前後。ソニーは新モデルのうち、2タイプ11モデルでBDに対応した「バイオ タイプC」では、白、ピンク、ブルー、赤の4色から選べる。価格は15万5000円前後から。 「朝日新聞2007年9月3日」 ◎離陸間近、スホイ旅客機「戦闘機製造のロシア企業、年内テスト」 戦闘機で知られるロシアのスホイ社が、年内の初飛行を目指して旅客機開発に取り組んでいます。欧米の企業をパートナーに迎え、「古い」「狭い」「危ない」という旧ソ連・ロシア製旅客機の汚名を返上し、世界の市場に割って入るのが目標です。(モスクワ:駒木明義) ◇ボーイングが全面助言 ロシアのプーチン大統領は8月21日、モスクワ郊外で開かれた国際航空宇宙ショーに展示された旅客機「スホイ・スーパージェット100」のシミュレーターの操縦席に乗り込み、ゲーム機のジョイスティックを思わせる新型の操縦桿を握った。国を挙げてプロジェクトを支援している姿勢を強調した。 旧ソ連・ロシア製旅客機の生産態勢は、ソ連崩壊後は壊滅状態に。ここ数年は年間数機の生産にとどまっている。今も旧ソ連圏の地域路線を担うツポレフ134やツポレフ154は、60年代から70年代にかけて導入が始まった機体で、見た目も内部も「おんぼろ」という言葉がぴったり。 こうした現状打破の期待を一身に背負っているのが「スーパージェット100」だ。座席数95の短・中距離旅客機で、主として国内・地域路線での運用を想定している。モスクワ市内に広大な敷地を持つスホイ本社。関係者が「大スホイ」と呼ぶ軍事部門は高いフェンスで囲まれ、社員でさえ立ち入りが厳しく管理されている。敷地の片隅にある子会社「スホイ民間航空機」は、国外からの航空関係者の来訪を歓迎する。 スーパージェットが旧ソ連の旅客機と異なる最大の特色は、純国産へのこだわりを捨て、30を超える国際企業が開発に参加していることだ。中でも米ボーイング社は、欧米先進国を含む世界市場に通用する機体の開発、生産、販売からアフターサービスのあり方についてまで全面的に助言している。 ジェットエンジンはロシアのサターン社と仏スネクマ社が共同開発。制御系や空調は独リーブヘル社が担当。「スホイ」と頭韻を踏む「スーパージェット」というネーミング自体、広告会社の提案を受けたものだ。 座席数100前後のジェット旅客機は、現在カナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社の2強が激しいシェァ争いを演じている。だが、スホイ社は「居住性、燃費、技術サービスの供与、機体価格いずれも十分競争可能」としている。操縦室を完全防弾仕様とするなど「テロに強い機体」も売りだ。 すでにロシア最大の航空会社アエロフロートは45機の購入を決めた。さらに、イタリアで主に地方路線を運航するイタリ航空から10機を受注するなど、まずは順調な滑り出し。年内に100機の契約を確定させ、来年から量産体制に入る計画だ。最終的には最低でも800機、うち500機は旧ソ連圏以外からの受注を見込む。 ◇「地域路線向けに好機」スホイ民間航空機社長ビクトル・スボチン氏 なぜスホイ社が旅客機部門に進出したのですか。 「ボーイングやエアバスも、軍事部門と民間部門を持っている。我々が参入できる民問部門のニッチ(すきま)を検討した結果、地域路線向け航空機にチャンスがあるという結論に達した」 ロシアやウクライナでは、ツポレフ社やアントノフ社も新型旅客機を開発しています。 「すべてを白紙の状態から開発したのは我々だけだ。市場に出て、航空会社が新しい機体に何を望んでいるかを調査することから始めた。その後も開発の過程で関係会社の意見を参考に計画の修正を繰り返した。結果として、我々はロシアの旅客機製造業復興をリードすることになった」 軍事部門と民間部門の違いは。 「軍用機は、運動性能や武器の積載能力など、技術的課題を達成することがすべてだ。民間機では快適性、経済性などが問題になる。しかし技術面での共通面も多く、軍用機の経験は大きな助けになった」 過去のロシア製旅客機に対する悪評は邪魔になりませんか。 「計画当初は、関連企業と話をすることさえ難しかった。市場原理に沿って仕事をするということを長い時間をかけて説明した。その後ボーイング社の助言のおかげで、欧米企業とも話をつけ、入札を実施することもできた」 ◇キーワード「スホイ社」 ソ連時代に航空機設計家パーベル・スホイが率いたスホイ設計局が前身。これまでに約1万機を生産したロシアを代表する軍用機メーカー。現在は設計局や工場など120以上の関連企業を傘下に置く持ち株会社の形態をとり、戦闘機スホイ27とその発展型を主力商品としている。スーパージェットを開発するスホイ民間航空機は00年に設立された。 ◇視点「新市場開拓に成否」 モスクワに拠点を置く特派員としてロシアなど旧ソ連15ヵ国を飛び回っていると「よくこんなのが空を飛べるなあ」と感心するような、ぼろぼろの機体に遭遇することも少なくない。 スホイ社の新型旅客機は、こうした老朽機の置き換え需要を見込めるところに一定の強みがある。しかし、プロジェクトの本当の成否は、旧ソ連圏以外の市場にどれだけ切り込めるかだ。ハイテク分野にテコ入れし、石油・ガス依存体質からの脱却を目指すロシアにとっては格好のテストケースだろう。 「日刊工業新聞2007年9月3日」 ◎経産・環境省「家電リサイクル対象品目に液晶テレビなど追加」 経済産業、環境両省は家電製品の再資源化を義務づける家電リサイクル法の対象品目に液晶およびプラズマテレビと衣類乾燥機を追加する方針を決めた。今後、再商品化率やリサイクル手法など技術的な課題を詰め政令を改正。導入は08年度以降になる見通し。自治体からの要望が強かった電子レンジは軽量化が進んでおり、自治体による処理が可能なことや販売価格が安く消費者にリサイクル料の負担を求めることが困難といった理由から見送られた。 一方、31日開催の両省合同の審議会では、消費者が廃棄時に支払う収集運搬費用に議論が集中。家電リサイクル法に基づき消費者が支払うリサイクル料金は(1)メーカーが請求する再商品化費用(2)小売業者が請求する指定引き取り場所までの収集運搬費用の2種類で構成される。だが収集運搬費用に対する消費者の認知が十分ではないことから、規模の小さい地域の家電量販店では約2割が徴収できていないとの指摘もある。 「日刊工業新聞2007年9月3日」 ◎マツダ「次世代ロータリーエンジンに直噴方式を採用」 マツダは2010年代初頭に投入する次世代ロータリーエンジン(RE)を、筒内直接噴射(直噴)方式にする。直噴化によってRE最大の弱点である燃費の問題をカバーし、排ガスの低減も図る。現在、量産化へ向けた研究開発に入っており、次期ハイブリッドシステムと併せて新REに採用する方針。直噴は欧州車で採用が多く、国内メーカーではトヨタ自動車の一部採用を除き、コスト高と窒素酸化物(NOx)処理技術などで撤退、生産中止している。 REはレシプロエンジンやディーゼルエンジンに比べ、NOxの排出が少ないものの、ローターハウジング(ロータリーエンジンの外殻)の構造特性もあり、熱効率が劣り燃費が良くない。これを改善するため、燃焼系ではなく噴射系に関して、現在のポート噴射(吸気ポートに燃料を噴射)から直噴に切り替える。 「日刊工業新聞2007年9月3日」 ◎シャープ「光センサーがタッチ認識するシステム液晶を開発」 シャープは画素内に光センサーを内蔵してタッチ認識するシステム液晶を開発した。スキャナーのように画面の読み取りもできる。今回の開発は3.5型サイズで、9月からサンプル提供を始め、来春から量産する。キーボードを使わずに画面タッチだけで自由に操作する多機能携帯端末(スマートフォン)などの用途を見込んでいる。 光センサー内蔵システム液晶は東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD)が開発しているが、量産移行は初めて。量産数量は明らかにしていない。複数ポイントのタッチ認識は、TMDのサンプルが同時2点に対し、シャープは同時3点まで可能。画面表示の地図を指2本で簡単に拡大縮小したり、画面上のキーボードを指3本でなぞって操作することも可能になる。 薄膜トランジスタ(TFT)液晶の製法を工夫し、320×480の画素一つひとつにセンサーを埋め込んだ。タッチパネル用フィルムを貼り合わせる方式に比べ、画面表示がはっきりするため、薄くできる。 「朝日新聞2007年9月2日」 ◎APEC、温暖化首題に5日開幕「京都後」へ結束課題 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚・首脳会議が5日、豪シドニーで開幕する。地球温暖化を初めて主題にして、京都議定書に続く次期枠組み作りの原則で合意を目指す。APEC参加国には、温室効果ガス排出量の国別削減目標の義務化を求める欧州連合(EU)への警戒感が強い。APECがEUと一線を画し、各国の自主性を重んじる考えで足並みをそろえれば、9月下旬から本格化する次期枠組み交渉に大きな影響を与えそうだ。(村山祐介) ◇EUと一線、自主性重視 APECには21ヵ国・地域が参加。5〜6日の閣僚会議には町村外相と甘利経済産業相、8〜9日の首脳会議には安倍首相が出席する。米国のブッシュ大統領、ロシアのプーチン大統領、中国の胡錦濤国家主席らもそろい、温暖化について特別声明をまとめる予定だ。 先進国を中心に08〜12年の排出量の国別削減義務を課す現行議定書は、米国の離脱で排出量全体の3割しかカバーしていない。次期枠組み作りでは、米国に加え、議定書に加わりながら削減義務を負っていない中国、インドをどう取り込むかが最大の焦点だ。6月の主要国首脳会議(G8サミット)でも「主要排出国の合意」を確認した。 一方、日米豪や中印などには、議定書の延長線上で次期枠組みを作ろうとするEUに対する警戒感が根強い。自主的な省エネ努力などを重視する立場でAPEC参加国・地域の足並みをそろえ「世論」として打ち出したい考えだ。実際、APECは世界の二酸化炭素排出量の6割超を占め、影響力は少なくない。 議長国・豪州が作成した声明のたたき台も「世界共有の目標達成に向けた各国の積み上げ式の行動を尊重する」との一文を盛り、トップダウンで義務を課す「EU流」と一線を画した。ただ、たたき台が掲げた域内のエネルギー利用効率を「2030年までに05年比25%以上改善する」という数値目標には、APECに参加する途上国から困惑の声が上がっている。 基本的な考え方では合意できても、具体的な取り組みに関する文案は事務レベルで詰め切れていない。結局は「首脳同士のガチンコ勝負」(外務省幹部)になりそうだ。首脳会議では、昨年のAPECで米国が提案した域内自由貿易圏(FTAAP)構想を含む将来の経済統合についても報告書が出される。具体的な道筋は盛り込まれない見通しだが、米国は実現に意欲を示しており、FTAAPがどう位置づけちれるかも注目される。 「日刊工業新聞2007年9月1日」 ◎エスエス製薬「二日酔い治療薬を発売」 エスエス製薬は肝臓でのアルコール代謝・解毒を早め、二日酔いや全身倦怠(けんたい)を治療する「アルケシクール」(医薬品)を9月3日に発売する。希望小売価格は12錠入り599円。初年度7億円の販売を目指す。 「日刊工業新聞2007年9月1日」 ◎ダイムラー日本「新型“ジープ”を投入、堅牢・強固を演出」 ダイムラー・クライスラー日本。ジープブランドのスポーツ多目的車(SUV)「ジープ・パトリオット」を発売した。伝統的な7本の縦型スロットグリルを採用するなど、堅牢(けんろう)・強固なイメージを演出した。直列4気筒エンジンに無段変速機(CVT)を組み合わせた。価格は294万〜340万円。 「日刊工業新聞2007年9月1日」 ◎ロボット市場「2010年には9342億円に。富士経済まとめ」 富士経済(東京都中央区、阿部界社長)がまとめたロボット市場調査によると06年のロボット全体の市場規模は前年比9.4%増の7259億円だった。2010年には28.7%増の9342億円になると予測。2010年に向けて産業用ロボットは06年比46.7%増の6068億円と順調に成長するほか、業務・民生用ロボットは同3.2倍の65億円になるとしている。 06年の産業用ロボット市場は前年比3.2%増の4137億円。自動車向けの溶接ロボや液晶分野が苦戦した一方で、組み立て・搬送ロボや単軸ロボが好調だった。電子部品実装機の市場も同18.8%増の3102億円と好調だった。2010年の市場予測では、組み立て用途の双腕ロボが06年比で13.6倍の490億円と大幅な伸長を予測。単軸ロボと小型垂直多関節ロボはともに同約72%増と好調に伸びると見る。 「日刊工業新聞2007年9月1日」 ◎三洋電「フルHD映像投映機能搭載の家庭用プロジェクター発売」 三洋電機はフルハイビジョン(フルHD)映像の投映に向く高画質機能を搭載した家庭用プロジェクター「LP-Z2000」を11月1日に発売する。色調整は従来品比1100倍の約2160億通り、コントラストは1万5000対1。価格は37万8000円。月産3000台を見込む。 レンズ位置を変えて投映画面を上下に3画面分、左右に2画面分ずらせる。2倍ズームレンズを搭載した。スクリーンまで3〜6.1メートルの距離があれば100型の画面を投映でき、家庭のさまざまな設置環境に対応する。本体動作音は19デシベル。静かなシーンの多い映像でも動作音を気にせず楽しめる。 「日刊工業新聞2007年9月1日」 ◎吉田電機「配線作業なしでPLCの置き換えできるアダプター発売」 「京都」吉田電機工業(京都市山科区、吉田典生社長)は配線作業なしでプログラマブルコントローラー(PLC)の置き換えができる変換アダプター「PCシリーズ」を発売した。価格は1万6900円で初年度1000ユニットの受注を目指す。 PLCを取り換える時に用いる。既設のPLCの端子台を配線したまま同アダプターに接続し、アダプターの変換ケーブルを新しいPLCに接続するだけでリニューアルできる。配線のつなぎ替えや入出力端子のチェックが不要になる。まず横河電機製の「FA500」から「FA-M3R」へのリニューアルなど主要PLCの仕様に対応。順次使用できる機種を増やしていく。 「朝日新聞2007年8月31日」 ◎米景気、減速懸念広がる「金融市場の低迷が影響」 「ワシントン:西崎香」米国で、金融市場の低迷が長引き、景気がさらに減速するとの見方が目立ってきた。株安や信用不安が個人消費や設備投資の伸びを鈍らせる、との懸念だ。景気が悪化すれば、金融不安の背景になっている住宅ローンの焦げ付きが増える悪循環の恐れも指摘されている。米金融当局は「景気下ぶれ懸念がかなり強まった」と警戒を強め、景気失速を防ぐための利下げも検討中だ。 ◇GDP伸びは4%に回復「4〜6月、年率換算」 30日発表された4〜6月期の実質国内総生産(GDP、改定値)の年率換算の伸びは、ドル安を背景にした輸出増などで前期比4.0%に回復し、速報値から0.6%幅上方修正された。ただ、約4年ぶりの低成長だった1〜3月期(0.6%)の反動で伸び率が高くなり、力強さには欠けるという見方も多い。 先週末に発表された7月の耐久財受注は、航空機や通信機器などを中心に前月比5.9%増と好調だが、米証券大手メリルリンチは「受注はキヤンセルされる可能性もある」と警戒する。 頼みの個人消費は弱含みだ。民間調査機関カンファレンスポードによると、購買意欲を示す8月の消費者心理指数は前月より約6%低下。超大型ハリケーン「カトリーナ」の被災で米経済が打撃を受けた約2年前に次ぐ落ち込み幅だ。 購買意欲は今後も、株安を背景に「一般投資家の信託・年金投資口座などの評価が下落するにつれ、いくらか低下するだろう」(エコノミストのイアン・シェパードソン氏)とみられる。これまでは住宅価格と株価の上昇がGDPの7割を担う個人消費を刺激していたが、その歯車が逆転しつつある。住宅不況の長期化で不動産相場の下落が本格化し、4〜6月期の個人消費の伸びは前期より2.3%幅低い1.4%に減速。1年半ぶりの低成長だ。消費に支えられていた雇用も伸びが鈍化の兆しをみせており、7月の失業率は4.6%と前月より0.1%幅増えた。不動産や関連金融業の解雇が急増中だ。 米企業エコノミスト協会が27日発表した調査結果によると、米経済が直面する経済リスクとして住宅ローン関連を挙げる会員が急増し、最大の懸念材料に浮上した。8月の調査では、「低所得者向け(サブプライム)ローン焦げ付き」が懸念材料に新登場し、関連の「債務問題」と合わせて32%を占めた。金融政策が「ほぼ適切」とみる回答も、3月の前回調査より9ポイント少ない72%に減った。 7〜9月期のGDP成長率見通しは、10日までの調査で、民間エコノミストの大勢が前期より0.8%幅低い2.6%程度だったが、すでに下方修正され始めている。通年の成長率も同様で、米議会予算局(CBO)は当初予想から0.2%幅低い2.1%にした。 「日刊工業新聞2007年8月31日」 ◎中国電「木質バイオマス混焼発電の本格運転を開始」 「広島」中国電力は30日、新小野田発電所(山口県山陽小野田市)で、木質バイオマス混焼発電の本格運転を開始したと発表した。新エネルギー利用拡大などを目的に、木質バイオマスを利用するもので、原料は山口県バイオマスエネルギー地域システム化実験事業などから供給を受ける。最大3%の混焼割合で燃焼させ、年間約3〜4.5トンの二酸化炭素(CO2)の削減を見込んでいる。 中国電は「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」の義務量達成のために、04年から新小野田発電所などで木質バイオマス混焼の実証試験をしていた。今回、石炭専焼と同様の安定した運転を確認できたことから、本格運転に踏み切った。 「日刊工業新聞2007年8月31日」 ◎欧米の車部品各社「日系との連携強化」 欧米の自動車部品各社が、日本で研究開発体制を強化している。独ロバート・ボッシュグループは横浜の開発拠点(横浜市都筑区)で、07年から段階的に技術者を06年比20%以上増やす。加マグナ・インターナショナルは、愛知県豊田市や静岡県浜松市に開発拠点の設立を計画する。各社はいずれも売上高が同部品世界トップクラスだが、主要取引先は米ビッグスリーや欧州自動車メーカー。好調な日系自動車メーカーとの取引拡大を成長戦略の柱に据え、開発の初期段階から連携を深める。 世界の売上高4位のマグナは豊田、浜松の拠点新設で、トヨタ自動車とスズキとの取引強化を狙う。神奈川県厚木市、宇都宮市、広島市には、それぞれ日産自動車、ホンダ、マツダに密着した開発拠点を持っており、日本の主要自動車メーカーをさらに網羅したい考えだ。 「日刊工業新聞2007年8月31日」 ◎双日「カナダ・ボンバルディア製の最新小型ジェット機の試乗会」 双日は30日、カナダのボンバルディア製の最新小型ジェット機「CRJ900ネクストジェン」(90人乗り)の試乗会を行った。同機は今回、初めて羽田空港にお目見え。試乗会に参加した航空会社ら関係者約70人が、大島空港(東京都大島町)までの往復1時間の空の旅を体感した。 同機は欧米などで約200機が飛行している「CRJ900」の改良機。窓や荷物入れなどを大きくし、機内の居住性を向上した。エンジンは米ゼネラルエレクトリック(GE)のCF34-8C5を2基搭載。最大航続距離は3660キロメートル、最大巡航速度は毎時881キロメートル。 ボンバルディア製航空機の代理店である双日は「日本の航空会社でも、ぜひ購入を」と盛んにPR。地域間の航空機として同機の売り込みに懸命だ。 「日刊工業新聞2007年8月31日」 ◎村田製作所など「西陣織技術でテラヘルツレベルの光学部品を開発」 「京都」村田製作所は財木(京都市上京区、財木祥次社長)と共同で、織物と同様のしなやかさを持ち、テラヘルツ(テラは1兆)レベルの高い周波数を扱える光学部品「ワイヤーグリッド布(電波用西陣フィルター)」を開発した。必要な大きさや形を切り出して3次元形状でも利用できるため、分析装置などへの組み込み自由度を高められる。同部品の生産技術は外部に供与する方針。 財木の西陣織技術を応用した。縦糸に電磁波を吸収しにくい絹を使い、横糸には太さ30マイクロメートルのステンレス線を使用。縦糸の間隔を変えながら、1ミリメートル幅に10本の横糸を織り込んだ。1.2テラヘルツまでの周波数の電磁波を偏光できる。たんぱく質分析装置などに利用が見込める。既存の織機を使うため生産コストも削減できる。 「日刊工業新聞2007年8月31日」 ◎ニコン「ネットサービスを強化。デジカメの機能充実」 ニコンは30日、デジタルカメラで撮った写真をカメラから直接ホームページに送信・保存し、インターネット上で閲覧できるサービス「マイピクチャータウン」を始めたと発表した。無線LANを使って同サイトに送信できるコンパクトデジタルカメラも前機種から機能を高め「クールピクスS51c」として9月14日に発売する。ブログへの掲載も簡単にできるほか、カメラから直接メールで写真を送信できる。同社は、これまで力を注いできたハードウエアの技術追求と共に、インターネットサービスも強化する。 「マイピクチャータウン」は会員制サービスとして日米で開始。今後、欧州などでも展開し、会員数は08年度末に100万人、09年度末に270万人を目指す。「S51c」は、有効画素数810万画素、光学3倍ズームレンズを搭載。想定価格は3万5000円前後。 インターネットサービス強化の背景には、コンパクトデジカメの機能の成熟がある。高画素化を競ってきたものの「個人が楽しむ用途としては800万画素あれば問題ない」(キヤノンマーケティングジャパンの芦澤光二専務)という見方が広がりつつある。搭載する液晶モニターも「S51c」は3.0型だが、持ちやすさの点でこれ以上大きくしにくい。ニコンも含め各社は画素数1200万の機種を投入し次に有効なサ^ビスを狙う。 「日刊工業新聞2007年8月31日」 ◎東京地裁「台湾社のDRAM特許侵害で富士通の訴え認める」 富士通は30日、台湾の半導体メーカー、ナンヤ・テクノロジー・コーポレーションの日本法人、日本ナンヤ・テクノロジー(東京都港区、岩田茂久社長)に対するDRAM製品の特許侵害訴訟で、東京地方裁判所から特許侵害行為の差し止めと損害賠償請求が認められたと発表した。判決を受け、富士通は「損害賠償請求1億円が満額認められた。また、特許侵害行為の差し止めに動く」としている。一方、日本ナンヤは「和解交渉を続けてきたが双方にギャップがあった。内容を確認して控訴する準備を進めている。顧客には迷惑をかけない」としている。富士通は日本ナンヤが販売するDRAM製品が特許侵害にあたるとして、05年8月に東京地方裁判所に提訴していた。 「朝日新聞2007年8月30日」 ◎金融変調「私はこう見る」慶応大学准教授・小幡 績さん(39) 人間の行動が金融市場にどのような影響を与えるかを分析する「行動ファイナンス」が専門。投資家の行動・心理に詳しく、自らも個人投資家として活動する行動派経済学者。東大卒業後、大蔵省(現財務省)に7年間勤務した。 ◇市場の本質「はじけたリスクマネー」 米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)問題は、マネーが自己増殖した典型的なバブル生成と崩壊の構図だ。当初は低金利、その後に金利が上がるサブプライムの急成長を支えたのは、住宅価格の上昇だ。借り手は金利が上がる前に別の低金利ローンに借り換えられ、貸手も繰り上げ返済でリスクなく収益が得られた。ローンの拡大で実需が増え、さらに住宅価格が上昇した。 証券化も後押しした。サブプライム債権を証券化し、リスクの高い部分はヘツジファンドなど、低い部分は年金など、それぞれのリスク許容度に合う金融商品にして商品価値を上げた。借り手の返済が滞らず、証券価格も値上がりし格付けも、上がった。貸手の金融機関や住宅ローン会社は債権売却で身軽になり、さらにローンを貸した。 住宅価格の上昇と証券化の拡大が、競争でリスクをとりに走る「リスクテークバブル」ともいえる現象を引き起こした。リスクを取った投資家が利益を得るのを見て、様子見だった投資家も、「持たざるリスク」を避けようと証券化商品に投資し始めた。ニーズが高まれば証券化商品の価格は上昇し、リスクが起こる前に転売して利益を得られる。リスクテークが繰り返されてリスクマネーは自己増殖した。 だが、バブルは一定規模の投資家がリスクが高いと判断した瞬間にはじける宿命を持つ。高格付けの証券化商品も、格下げでリスクへの警戒心が、高まり、市場で一時流通しなくなった。リスクはなくなつたわけではなく、最後に商品を買った者がリスクを負った。 市場の混乱は為替がカギだった。サブプライムと最も無縁な日本の株式市場が世界で最も激しく下落したのは、円が急騰したからだ。低金利の円で資金を調達し、高金利通貨などに投資していた円キャリー取引の逆回転が起きた。資金が逆流すればリスク資産の暴落が始まる。リスクテークバブルの終わりだ。 一部のヘッジファンドによる明らかな仕掛け売りは、株式の乱高下に拍車をかけた。為替や株価水準が下がると自動的に売却するよう売買をプログラム化した機関投資家も多い。プログラム売買を狙い、パニックを誘う仕掛け売りで利益を得た。彼らはバブルの生成で利益を得て、崩壊でもう一度もうけた。 仕掛け売りを押し戻すため、財務省や日本銀行は、円が1ドル:111円台をつけた時に緊急為替介入し、金融市場を安定させるべきだった。金融市場の波乱はしばらく続く。米欧で株価の調整が済んだとは言えず、リスクテークバブルが終わったと考えるのも早過ぎる。個人も機関投資家も、自分の頭で考えて見極めることが大事だ。(聞き手・富田祥広) 「朝日新聞2007年8月30日」 ◎薄型TV「リンク」商戦・各社、年末へ拡張性強化 ◇周辺機器も自社製品で 主要家電メーカーの薄型テレビの新製品が29日出そろった。各社はテレビとDVDレコーダーなど周辺機器を1本のケーブルでつなぎ、リモコン1台で操作できる「リンク」機能を強化。メーカー側は、テレビを「家庭の情報窓口」と位置づけ、テレビと周辺機器を一気に自社製品に囲い込む思惑で、年末へ向け商戦が本格化する。 ソニーは29日、初めて本格的なリンク機能を搭載した液晶テレビ「ブラビア」と、対応するハードディスク駆動装置(HDD)レコーダー、動画配信を受ける専用機器を9月から順次発売すると発表した。テレビリモコンの「見る」「予約する」などを押せば、他の機器も操作できる。それぞれの機器に「ブラビアリンク」のロゴを付け、セットで売る戦略だ。鹿野清ソニーマーケティング取締役は「テレビは放送を楽しむだけのものではない。(機能の)拡張性を売りにしたい」と話す。テレビの店頭想定価格は最小の40型が27万円前後。市販液晶テレビでは世界最大の70型を含む計15機種を出す。 世界で最初にリンク機能付き商品を発売したのは松下電器産業だ。昨年4月から順次「ビエラリンク」対応の薄型テレビ「ビエラ」やDVDレコーダー、音響機器などを発売。、来月には来客の顔をテレビ画面で確認できるようドアホンと連係し、動画配信も利用できる新ビエラを発売する。リンク機能を重視する顧客が増えたといい、「日本では、家庭での情報窓口はパソコンよりテレビ」(担当者)と、家電メーカーの商機に意気込む。 東芝は今秋発売の液晶テレビ「レグザ」の連係先に、次世代DVDの「HD-DVD」ドライブを搭載したノートパソコン「Qosmio(コスミオ)」を追加。レグザのリモコンを使って、コスミオの新機種に記録した映像を再生することや、別のDVDレコーダーでの録画・再生ができる。 シャープは「アクオスファミリンク」、三菱電機は「リアリンク」など、各社は連係機能や機器を、テレビのブランド名でアピールする。市場調査会社BCNによると、量販店などでもテレビと周辺機器をリンク機能で組み合わせた陳列が拡大。田中繁広取締役は「テレビと抱き合わせで周辺機器も売りたいメーカーと販売店側の思惑が一致した」とみる。 ◇キーワード「リンク機能」 テレビとDVDレコーダーなどの周辺機器を、映像と音声の両方をやりとりできる1本のケーブル「HDMIケーブル」でつなぐことで、リモコン1台で操作できる。配線が減り、機器の数だけリモコンが必要な煩わしさも解消。番組録画やテレビの入力切り替えが簡単にでき、レコーダーのチャンネル合わせが要らないなど、利便性が向上した。 「日刊工業新聞2007年8月30日」 ◎小寺電子「多品種のハーネスの自動加工・配列システム開発」 「岐阜」小寺電子製作所(岐阜市、小寺博詞社長)は、多品種のハーネスを自動で加工、配列するシステムを開発した。自動車や機械に組み込むハーネスのセットにかかる手間や時間を大幅に削減する。年内をめどに販売を始める計画。価格は未定だが、数000万円の見込み。 開発したのは「キャスタグノン・スーパー・ストッカー(CSS)システム」。数10個の線材加工機で構成する。各加工機で色、太さ、長さが異なるハーネスを切断し、皮むきをする。同時に、ホルダーが各加工機の間を移動し、所定の順番に各ハーネスを拾い集め、結束装置に供給する仕組み。同様のシステムは世界でも珍しいという。 「日刊工業新聞2007年8月30日」 ◎日本精工「生産現場改善へ新小集団活動を導入」 日本精工は生産現場改善のための新しい小集団活動「セル改善活動」を始めた。日本のメーカーで一般的に行われているQCサークル活動などに比べ、管理などの間接業務が少なく、改善作業を実行するまでに要する期間が短いのが特徴。現場の作業者が比較的自由に改善活動のテーマを設定できる。作業者の自発性と改善意識の向上が狙い。 セル改善活動は5〜6人で「セル」と称する小集団を作り、職場の身近なところで改善すべきテーマを見つけて1ヵ月間にわたって取り組む。テーマ設定は自由で、セルの全員が持ち回りでリーダーを務めて月に1度発表会を行う。発表時の書類はA4用紙1枚とし事務負担を減らした。 同活動を導入したのは産業機械用軸受を生産する藤沢工場(神奈川県藤沢市)と、生産子会社のNSK福島(福島県棚倉町)。うちNSK福島では派遣社員も含め全員が参加し全76のセルを組織した。 「日刊工業新聞2007年8月30日」 ◎ソニー「40〜70型すべてフルHDの液晶TV15種を順次発売」 ソニーは29日、画面サイズが40〜70型ですべてフルハイビジョン(フルHD)の液晶テレビ「ブラビア」6シリーズ15機種を9月20日から順次発売すると発表した。実売価格は46型(5機種)が40万〜50万円前後の見込み。「冬商戦では32型ブラウン管テレビの買い替えがピークになる」(鹿野清ソニーマーケティング常務)と予測し、設置スペースが同等となる46型液晶テレビを販売の主軸にする。 これまで同社は高付加価値なフルHDモデルが3シリーズ8機種と少なかったため、薄型テレビ市場全般に進む価格下落の影響を強く受け、07年度第1四半期(4〜6月)にはテレビ事業の営業損益が390億円の赤字となった。フルHDモデルを拡充して巻き返す。「テレビ事業全体は厳しいが、液晶テレビは通年で黒字化を目指す」(福田隆志業務執行役員)とした。 新シリーズでは、通常の2倍の毎秒120コマを表示して動画をくっきり表示する技術を進化させ、撮影時に生じたぼやけも補正する新技術「モーションフロー」を上位機種に採用した。別売りでハイビジョン画質を約70時間録画できる250ギガバイトのハードディスク駆動装置(HDD)レコーダー、インターネットによる動画配信を利用できる「ネットワークTV BOX」も発売。ユーザーが機能を選択して買い足せる周辺機器をそろえた。 同社と韓国サムスン電子の液晶製造合弁会社「S-LCD」(韓国・牙山市)が今月、第8世代ガラス基板(2200ミリ×2500ミリメートル)を採用した生産ラインを稼働。大画面パネルを低コストで生産する体制を築いた。これに伴い46型を主力製品としたうえ70型までを用意、従来プラズマが主役だった大型テレビ市場でのシェア拡大を目指す。 「日刊工業新聞2007年8月30日」 ◎沖電気「製品の設計から生産まで一貫で有害物質を管理するシステム開発」 沖電気工業は製品の設計から生産まで一貫で有害物質を管理するシステムを07年度中に開発する。製品の設計段階で欧州特定有害物質規制(RoHS)に適合できるかを判定、生産段階では使用する部品ごとに禁止物質を含む可能性などのリスク情報を提供する。年度内にも同社グループでシステムの運用試験を行ったうえで外販する。年間約3億円の販売を見込む。 同システムは製品がRoHSに適合するかを設計段階で判定するほか、生産段階で禁止物質を含有するリスクを回避するための手順などを示す。設計時にRoHS規制適合を確認しながら、生産を始めてから使用部品変更などで禁止物質を含む製品をつくることを防ぐ。 同社が蓄積したRoHS対応のノウハウを基に、どの部品に禁止物質含有のリスクがあるかの判別や、検査を実施する頻度などの管理手法を提供する。化学物質管理を設計から生産まで一貫して行える。 RoHSは電気・電子機器を対象に鉛やカドミウムなど6物質の使用を制限している。汎用的な部品については仕様がほぼ同じであれば、設計時とは異なる部品が使われる場合がある。多品種少量生産が進む中で扱う部品の種類も増えており、生産段階でRoHSで禁止された物質を含む部品を使用してしまう可能性が大きくなっている。 「朝日新聞2007年8月29日」 ◎風力発電、割れる評価「温暖化防止に貢献・野鳥の生息脅かす」 地球温暖化防止のために、風力発電を進めたい。でも、発電設備の建設によって、かえって周りの動植物に悪影響が出るのではないか。3月から8月に開かれた、風力発電と自然保護の両立を目指す国の研究会。議論に加わった自然保護団体の中でも意見が微妙に割れた。(小堀龍之、坪谷英紀) ◇自然保護団体が議論「国の研究会」 「バードストライクの影響は、客観的・科学的な調査を行った上で検討することが必要」25、26日に都内であった会合。環境、経済産業両省の「風力発電施設と自然環境保全に関する研究会」が今月まとめた「論点整理」の内容が紹介された。 研究会に加わった自然保護団体のうち、日本野鳥の会は、野鳥が風車の羽根にあたる「バードストライク」を問題視する。「衝突や飛行経路妨害があれば、繁殖に影響を与えかねない」と古南幸弘自然保護室長はいう。同会は、オジロワシの営巣が確認された北海道・根室半島で、建設計画の見直しを求めた経緯がある。 日本自然保護協会も「風車を山の上に建てるために山林が切り開かれ、貴重な動植物の生息が脅かされる」とバードストライク以外の影響も心配する。長野県峰の原風力発電事業計画では、山を切り開くのに10トントラック300台分の土砂が出されるという。 一方、国内の風力発電設備は約1300基あるが、発電能力は約149万キロワットと原発1個半程度で、導入は伸び悩んでいる。世界自然保護基金(WWF)ジャパンの岡安直比自然保護室長は「温暖化による気候変動が与える影響の方が深刻だ」と、風力発電推進を求めた。 WWFの04年の調査では、英国北海沿岸のウミガラスが、海水温の上昇でえさのイカナゴが減少し、7000つがいが繁殖に失敗。国内でも、渡り鳥のシギ、チドリ類の飛来が20年前に比べて半減した。干潟減少に加え、温暖化によるえさ場の変化も影響したとみる。 風力発電でバードストライクはどのくらいあるのか。米国風力協調委員会(NWCC)の報告書では、国内1万5000基の風力発電に年間3万3000羽の鳥が衝突すると試算。ただ、衝突死の0.01〜0.02%に過ぎず、通信用鉄塔による衝突死の1〜2%に比べると、かなり低い。 ◇アセスを重視、改善求める声も 各団体とも、環境アセスが重要だという点で一致する。具体的な立地場所など事業計画が決まる前、意思決定の早い段階で行う「戦略的環境アセス(SEA)」を導入すべきだとの声が相次いだ。WWFの岡安室長は「バードストライクは、アセスで抑えられる。海外ではそのようにして問題を克服している」。 日本自然保護協会の大野正人・部長代行も「事業者が事業実施直前に行う、現行の自主的なアセスは問題だ」と指摘する。大野さんによると、兵庫県朝来、宍粟両市の境での建設計画では、事業者の自主アセスでイヌワシが確認されたのは230日で3回だったが、市民団体の調査では51日で37回とかけ離れていた。客観的なアセスが必要だという理由だ。 一方、経産省や事業者側はアセス導入に否定的。研究会では、アセスの必要性を答申に盛り込もうという複数の委員の意見に「ここで議論すべきではない」(経産省)という場面も。東京工業大の原科幸彦教授(環境計画)によると、発電所でSEAを行わない日本は先進国では例外的。中国も03年、SEAを導入。.「日本は“美しい国”というなら、世界に対して恥ずかしくないアセスを行うべきだ」と指摘している。 ◇「立地に配慮を」英国王立鳥類保護協会ルース・デービスさん 「温暖化は鳥類にとって大きな脅威。影響はすでに出ています」。RSPB(英国王立鳥類保護協会)気候変動政策チーフのルース・デービスさんは訴える。 温暖化を抑えられなければ、世界の陸域の鳥類の3分の1が絶滅の危機に直面するとみられる。だが、風車の立地を無条件に認めるわけではない。スコットランドのルイス島に200基以上の風車を建設する計画には、イヌワシを含む野生生物に悪影響を与えるとして反対。一方、テムズ川河口に英国最大級の沖合風力発電をつくる計画については、1期工事を縮小するなどの見直しを評価している。 デービスさんは「立地に配慮すれば、野鳥に影響を与えずに大規模な風力発電を設置することは可能」としている。(石井徹) 「朝日新聞2007年8月28日」 ◎事故減らせ「日産に新技術」衝突直後、ボンネット上昇し、クッションに 日産自動車は、交通事故の被害を減らす新技術を新型車などに相次ぎ搭載する。歩行者と衝突すると瞬時に持ち上がってクッションの機能を果たすボンネットや、前の車と近づきすぎると自動的にブレーキがかかる仕組みを導入。日産車がかかわる死亡・重傷者を、先進国で2015年までに20年前に比べ半減させる目標だ。 今秋発売の新型車「スカイラインクーペ」に標準搭載するのは「ポップアップエンジンフード」。バンパーに内蔵したセンサーが歩行者との衝突を感知すると、0・03秒でエンジンフード(ボンネット)のフロントガラス側が約9センチ持ち上がり、車に乗り上げた人の頭部への衝撃を和らげる。外観を変えずに安全性を高められ、車高が低いスポーツカーを中心に搭載を進める。 車間距離を感知して自動的にアクセルペダルを押し戻す「ディスタンス・コントロール・アシスト」は、今冬からセダン「フーガ」に搭載する。車両前部のレーダーセンサーが前方の車との距離・速度を計測。ぶつかりそうな場合は、自動ブレーキで車を止める。 織り方を工夫した柔らかい素材のシートベルトも導入する。今月発売したSUV(スポーツ用多目的車)「エクストレイル」から採用。摩擦が少ないため簡単に引き出せ、圧迫感も従来より2割少ないという。 「朝日新聞2007年8月28日」 ◎日野といすず、共同開発合意「排ガス浄化装置」 日野自動車といすず自動車は27日、ディーゼルエンジンの排ガス浄化装置などの共同開発に基本合意した、と発表した。環境規制強化による開発コストを抑える狙い。大型トラック(車両総重量8トン以上)販売で国内1、2位の両社による共同開発は初めて。共同開発するのはエンジンから出た排ガス中の窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を浄化する後処理装置。09年度に始まる最新の排ガス規制に対応した大型トラックから搭載する。大型トラック用キャブ(運転台)についても、新型車開発にあわせて順次、共同化する。 「朝日新聞2007年8月27日」 ◎温暖化対策、中国そろり「米に並ぶ排出国」 米国に並ぶ温室効果ガスの「排出大国」となった中国が、地球温暖化対策の取り組みを強めようどしている。このまま放置すれば今後の持続的な成長を阻む壁となりかねないからだ。エネルギーの浪費や有害物質の排出を抑制する国内目標を掲げる一方、途上国としての立場を巧みに利用しながら国際世論の動向をうかがう。中国は、どう動くのか。(北京:吉岡桂子) ◇石炭消費量、5年で1.7倍「CO2の原因認める」 中国の石炭生産の4分の1を担う山西省。南北を背骨のように走る道は「黒い竜」と呼ばれる。石炭を積んだトラックが、時には覆い布もかけず、黒い粉じんをまき散らしながら走るからだ。省北部の大同市には、大小500もの炭鉱が点在する。「息子が秋から.大学だ。学費は年間1万元(約15万3000円)。体力がいる仕事だが金が必要なんだ」。重慶市から出稼ぎに来た男性(40)は今春から、年産15万トン規模の小規模炭鉱で働き始めた。月収は3000元(約4万6000円)で、一般の建設労働者の2倍だ。炭鉱の奥まで潜れば1万元。石炭需要の増加で、働き手もひっぱりだこになつている。 中国のエネルギー消費に占める石炭の比率は約7割に達する。毎年10%を超す高い経済成長が続き、英国の大手石油資本BPがまとめた世界エネルギー統計によると、石炭の消費量は06年までの5年で1.7倍に増えた。中国政府が石炭の輸出を抑制していることもあり、07年は輸入量が輸出量を上回る「純輸入国」の状況が続いている。中国政府は6月に発表した気候変動国家計画で「石炭消費の比重が高いので二酸化炭素(CO2)の排出量も多い」と構造問題を認めている。石炭は大気汚染につながる二酸化硫黄排出の元凶でもある。 ◇「途上国」を前面、排出権売り手に 中国は各国政府や世界銀行などから、地球温暖化対策にかかわる技術支援をはじめ様々な協力事業を引き出している。温室効果ガス排出権の各国との取引で中国政府の認可は累計で600件を超えた。先進国が途上国で温暖化対策事業を実施すれば排出権を得られることから、中国は有力な売り手となっている。 熱心な欧州勢に加え、丸紅、三菱商事、新日鉄などの日本企業もまじる。事業は水力や風力発電、廃熱を利用した発電など幅広い。中国は売買にあたって最低価格を独自に定め、政府に別途「管理費」の支払いを求めるなど、政府の関与が強い。国連が提案した排出権の取引所を北京に設置する構想は宙に浮いたままだ。 ある日本政府関係者は「中国政府は途上国として排出する権利を存分に生かせる点にうまみを見いだした。京都議定書の目標の達成がこのままでは難しい日本などは今後、中国から高値で買い取らざるをえないおそれもある」と話す。環境対策は逃れられない国内問題だが、対外的には途上国の立場を前面に出し、温室効果ガスの削減目標の設定を拒む。 「共同だが区別ある責任」(気候変動国家計画)の原則は譲らない。今年6月。国家発展改革委員会の馬凱主任は記者会見で「省エネこそ最大の排出削減だ」と強調。10年までの5力年計画に沿って水力や原子力発電を増やすことなどを通じ、見通しとしてCO2排出量を約15億トン減らせると述べたものの「量的な削減目標は受け入れられない」と繰り返した。 エネルギー研究機関のアメリカ・エネルギー基金(本部・米国)の楊富強・北京事務所代表は「中国は国際世論や米国など主要国の出方をみている。中国が温暖化対策の国際協調の議論に本格的に加わるのは10年ごろからだろう」と言う。 ◇成長持続へ省エネ指令「非効率工場を次々閉鎖」 大同から南へ400キロ、同じ省内の臨扮市にはコークス工場がひしめく。石炭を蒸し焼きにして冷やす過程ですすが発生し「1年に2週間しか青空が見えない」と言われた。06年、中国政府が選んだ空気が悪い39都市に、大同など省内7市とともに名を連ねる。だが、少しずつ変化が起きている。 田んぼの中に煙突だけが残された工場。がらんどうになった工場。昨年だけでも92カ所を閉鎖したという。地元のホテル従業員は「数年前に比べれば随分良くなったよ。以前は外を歩くと顔がすすけた」と話す。こうした動きは中央政府の指令によるものだ。非効率な工場、発電所を整理。さらに、石炭資源税の引き上げや環境対策費の石炭価格への上乗せでコストを上げ、消費を抑えようとしている。金融当局も7月、資源を浪費する企業や汚染がひどい企業への融資制限を金融機関に指示。すでに30社が対象になった。 地方政府幹部に対しては、省エネや環境保護の観点からの評価制度を導入。省ごとに省エネの進み具合を公表して競わせる政策も採用した。経済成長だけで地方行政の実績をみていた姿勢からの大きな転換といえる。相川泰・鳥取環境大准教授は「環境対応を後回しにしてきたが、公害や資源需要の急増で、このままでは成長を続けられないと中央政府は実感している。問題は地方政府に浸透させられるかどうかだ」と指摘する。 今月17日、山東省の炭鉱で大雨による浸水があり、今も172人が生き埋め状態にある。頻発する大雨による洪水も気候変動と結びつけて考えられるようになった。中国政府が年初に発表した「気候変動国家評価報告」は、地球温暖化が中国自身に及ぼす影響を書き連ねている。「80年代半ば以降、気温上昇が目立つ」「21世紀後半、穀物生産は37%減る」中央政府には今年、気候変動・省エネ・汚染物質排出量削減活動指導チームが設けられた。陣頭指揮をとる温家宝首相は7月「これまで以上に大きな決意、気力、強力な措置をもって取り組むべきだ」と会議でげきを飛ばした。 「日刊工業新聞2007年8月27日」 ◎日本精工「ころ軸受に比べ摩擦半減した産ロボ向け玉軸受を発売」 日本精工は産業用ロボット向け玉軸受の新製品を発売した。ロボットの可動軸部分に使う軸受で、従来のころ軸受に比べ摩擦を半分に低減。回転軸がたわむ方向への荷重に対する剛性(モーメント剛性)は1.3倍以上に向上させた。2010年には産業用ロボット向け軸受全体の売り上げを現在の2倍の20億円まで伸ばす。 軸の垂直方向からの荷重と水平方向からの荷重を同時に受けられるアンギュラー玉軸受。産業用ロボットの可動軸は従来、転動体にころを採用したクロスローラー軸受を使用していた。ころから玉に変更することで摩擦を半減。また玉の方がグリースを封入できる体積を多く取れるため、耐摩耗性にも優れる。 「日刊工業新聞2007年8月27日」 ◎日産系・旧日産系部品メーカー「相次ぎ中計見直し。日産の失速直撃」 ヨロズやカルソニックカンセイなど、日産自動車と取引の多い自動車部品メーカーが、相次いで中期経営計画を見直している。環境変化の最大要因は、やはり主要取引先である日産の失速だ。日産系や資本関係がなくなった旧日産系の各メーカーは“他社拡販”で少しでも踏みとどまろうとしているが、計画修正を余儀なくされる企業がさらに現れそうだ。 サスペンション(懸架装置)のヨロズは、現行の中計目標だった売上高営業利益率6%以上の達成を08年度から2011年度に3年延期した。キーセットを扱うアルファは、08年度売上高600億円以上とした計画の見直しを検討する。日産は4月に「日産バリューアップ」のコミットメント(必達目標)を1年先送りすると表明。部品メーカー側は業績予想の前提となる条件が変わり、修正値を基に再考せざるを得なくなっている。旧日産系の2社以上に系列最大手、カルソニックカンセイへの影響は大きい。 「日刊工業新聞2007年8月27日」 ◎PED「ハイブリッド自動車向けコンデンサー増産」 パナソニックエレクトロニックデバイス(PED)は2010年度までに、ハイブリッド自動車(HEV)向けコンデンサーの生産能力を07年度の1.5倍の規模にする。具体的な生産数量は明らかにしていないが、同社はHEV用の電気二重層コンデンサーやフィルムコンデンサーの市場をほぼ独占しており、HEV需要増加に合わせた供給能力拡大が必要になる。海外自動車メーカーへの供給を想定して欧米での現地生産開始も視野に入れる。 「日刊工業新聞2007年8月27日」 ◎野村総合研究所「シルバー人材活用の新会社を設立」 野村総合研究所(NRI)は地域のシルバー人材の活用を情報サービス面で支援する新会社を10月1日に設立する。団塊世代が定年を迎えシルバー人材センター向け事業の拡大が見込めることから、管轄している社会情報システム部を分離独立させる。2010年3月期に売上高約18億円を見込む。 新会社「NRI社会情報システム」(東京都中央区)の資本金は1億円で、NRIが全額を出資する。従業員50人規模でスタートし、社長にはNRIの宮内康一参与が就任。新事業の立ち上げなども検討する。 NRIは85年にシルバー人材センター向けシステム構築事業を開始した。06年度の社会情報システム部の売上高は約16億円。全国約670ヵ所のシルバー人材センターに採用実績のある総合情報処理システム「エイジレス80」を軸にコンサルティングや教育研修業務などを展開している。 「朝日新聞2007年8月26日」 ◎今さら聞けない「原子爆弾」大量にウランを用意した広島型 広島と長崎に原子爆弾が落とされて、62度目の夏が巡ってきた。原爆は、ウランやプルトニウムといった核分裂物質(核物質)を使って立て続けに核反応を起こさせ、核エネルギーを一瞬のうちに解放させることで破壊をもたらす爆弾だ。 核物質は、ある量を1ヵ所に集めると、自然に連鎖反応を起こして爆発する性質がある。この爆発し始める量を臨界量という。原爆は、臨界量を超える状態を人工的に作り出すことで100万分の1秒ほどのうちに核爆発を起こす。 広島に落とされた原爆「リトルボーイ」は、ウランを使った。二つに小分けしたウランを一つに合体させることで臨界量を超えさせ、TNT火薬約1万6千トン分の破壊力を出す。爆発させるには、片側のウランの後方に設置した高性能爆薬をまず爆発させる。その爆発で、ウランがはね飛ばされ、残りのウランとぶつかって一つの固まりとなり、臨界量に達する。点火役を務める中性子も同時に発生させて一気に核反応を推し進める仕組みだ。 リトルボーイは広島上空約600メートルで爆発。1秒後に直径約280メートルの火球と化した。地表温度は4000度近くまで上がり、約14万人の命が奪われた。 長崎に落とされた原爆「ファットマン」は、プルトニウムを利用した。正確に球形にしたプルトニウムの周りに、起爆装置が32個均等に配置された。起爆装置を同時に爆発させることでプルトニウムを球形のまま押しつぶし、急激に濃度を高めることで臨界量を超えさせた。 広島型原爆は、長崎型原爆に比べると構造が単純とされる。米国は必ず爆発するという自信を持って広島に投下したという。だが、臨界量を超えるウランを用意しなくてはならないので、大量の核物質を必要とする。一方、長崎型は、球形を保ったまま圧縮しなければならないので、圧縮を制御する技術が大変難しい。ただ、核物質を爆発させる効率は広島型より高く、現在の原爆は長崎型だという。(久保田裕) 「朝日新聞2007年8月26日」 ◎技あり「家庭で透明な丸い氷」池の水にヒント ウイスキーや焼酎のロックに使われる丸い氷。見た目がきれいなだけでなく、四角い氷より解けるのが遅い利点もあるらしい。理由は、球形だと周囲と接する表面積が小さくて済むから。確かに、直径10センチの球と同じ体積の立方体とを比べると、表面積は球のほうが70平方センチあまり小さいようだ。 バーで見る丸い氷は店員がアイスピックで削つてつくる。技術がないと難しいが、家庭でも透き通った丸い氷ができる商品をプラスチック製造販売会社「佐野商会」(福岡市)がつくった。円筒状容器に水を入れ、一部を球形に仕切った別の容器を沈めて、断熱材入りのケースに納めて冷凍庫に入れる。おおむね12時間ほどしてから容器をはずしていくと、直径約6センチの丸い氷が現れる。氷を白く見せる気泡はほとんどなく、ほぼ透明だ。 ◇容器に秘密 秘密はケースにある。断熱材の発泡スチロールはケースの下ほど厚くしてあるので、氷は上端からできていく。気泡は、上から押し出されるようにして下方へ向かう。やがて、球形のケースに開いている穴から、すっかり外へ出てしまうのだという。ただ、,筒状容器から断熱材入りケースに水をあふれさせた状態で凍らせたりすると、うまく透明な氷ができないので注意が必要。 佐野栄社長(68)が開発を考えたのは4年ほど前。行きつけのバーのマスターから相談された。「丸い氷をつくる製氷器はお店に売っている。でも、氷が白くなってしまう。これでは使えない」マスターは当時、アイスピックの使いすぎで手首を痛めていた。店でピアノ演奏もするマスターにとって、手首を酷使せず丸い氷を用意するのは切実な問題だった。何とかしてあげたい、と思った。 ◇徐々に冷却 アイデアはあった。東京ですごした学生のころ、近所の池に張った氷が透明だったことが心に残っていた。あれはきっと、冷えた空気に接する表面から、徐々に凍っていくからに違いない。だったら、断熱材を工夫して冷えるタイミングをずらせばいい。通称「ガチャガチャ」と呼ばれる丸いカプセル玩具の容器とペットボトルの切れ端を使って実験を始めた。同時に、佐野さん自身の思いも募っていた。 61年創業の同社は、家庭用雑貨などを受託して製造するのが中心。円高不況以来、発注は海外に移って減り続けた。佐野さんにとって自社オリジナルの製品をつくることは、長年の夢だった。ただ、それには約350万円かけて金型をつくる必要がある。売れなければ、元はとれない。ネットの掲示板に、透明な丸い氷をつくる工夫があれこれ書き込まれているのを見つけて関心が高いことを知り、製品化を決めたのだった。 ◇メモ 同社のウエッブサイト「http://sanosyoukai.com/cc/」から送信、または注文用紙を印刷してファクシミリで申し込むほか、東急ハンズの一部店舗で販売している。価格は3360円。 「朝日新聞2007年8月25日」 ◎携帯電池交換「松下、100〜200億円負担」ノキア、ようやく謝罪 ノキァの携帯電話に搭載された松下電池工業製の電池パックが不具合を起こした問題で、松下電器産業は24日、電池を無償交換する作業に直接かかる費用は、松下側が負担することでノキアと合意したと発表した。電池自体や輸送、コールセンターの費用など、100億〜200億円程度になるという。07年9月中間決算に計上するが、業績予想は修正していない。 松下は副社長をトップとする対策本部を設立して交換を進めているが、対象が4600万個に上り、長期間かかる可能性もある。現在の交換率は「ノキア側から連絡がなく分からない」という。 ノキア日本法人のタイラー・マクギー社長は24日夜、携帯電話の電池の発火事故が今月14日に明るみに出て以来、初めて記者会見した。社長は冒頭、「日本の消費者や顧客の方々にご迷惑をおかけし、心よりおわびいたします」と頭を下げた。 消費生活用製品安全法では、火災など重大事故を知ってから10日以内の経済産業省への報告を義務づけている。しかし、経産省に報告したのは、事故の把握から17日目にあたる今月15日だった。「何が起こったのか調査する必要があった」と、遅れはなかったと強調した。社長によると、7月28日に起きた大阪での事故についてソフトバンクモバイルから報告を受けたのは7月30日だったが、報告義務のある「火災」と認識したのは今月6日だったという。翌7日には静岡でも事故が起きた。「もっと早く注意喚起すべきだったのでは」との質問には、「事故があった電池パックや携帯端末をすぐに入手できず、何が起こったのか調査できなかった」と釈明した。 原因は製造工程でまれに発生する異常によるもので、充電中にショートしたり過熱したりすることがあるのを確認。200回以上充電後に起こると考えられるという。また、このほかに国内で2件の過熱事象があったことも明らかにした。世界で約100件に上る不具合を知ったのは、日本での発火事故を発表した当日だったという。電池パックの交換終了時期は「9月半ばをメド」としている。 ◇事故の経緯を経産省に報告「ノキア」 経済産業省から消費生活用製品安全法に基づく報告を命じられていたノキア日本法人のタイラー・マクギー社長は24日午後、同省を訪ね、事故を把握した経緯などについての報告書を提出した。同省は、火災などの重大事故を知ってから10日以内の報告を輸入事業者などに義務づけた同法に同社が違反していた可能性もあるとみている。 ◇ドコモ端末も過熱事故1件 NTTドコモは24日、ノキア日本法人が明らかにした新たな2件の過熱事故のうち、,1件が自社端末だったと明らかにした。埼玉県の利用客から19日に連絡があり、状況を確認して20日にノキア側に報告した。充電中、電池パックが離れた場所に飛び、カーペットが焦げたという。回収対象の電池だったとしている。 「日刊工業新聞2007年8月24日」 ◎アイホン「ベトナムに生産子会社を設立」 「名古屋」アイホンは23日、ベトナム・ビンドン省に全額出資の生産会社を9月に設立すると発表した。工場は09年4月に一部稼働し、日米欧で好調なインターホンと周辺機器を生産する。その後も工事を続け2012年度に完成、同年度に約13億円の売り上げを目指す。海外工場はタイ、中国に次ぎ3ヵ所目。 新会社は「アイホンコミュニケーションズ(ベトナム)」で、資本金は約2億円。工場は敷地面積1万4700平方メートルで、完成時の延べ床面積は5500平方メートルで、従業員は200人。総投資額は10億円。インターホンの普及モデルの生産拠点とする。 「日刊工業新聞2007年8月24日」 ◎トッキ「液晶製造装置を受託生産。事業多角化を推進」 トッキは23日、液晶製造装置などの受託生産事業に乗り出すと発表した。主力の有機エレクトロルミネッセンス(EL)製造装置事業が低迷しているため多角化を進める。有機EL生産拠点の見附工場(新潟県見附市)で受託生産する。実用段階に入った薄膜太陽電池製造装置にも力を入れる。 現在は同社単体売上高の約80%を有機EL製造装置製造販売が占める。08年6月期には売上高構成比を有機EL製造装置40%、薄膜太陽電池製造装置30%、電子部品製造装置・受託生産・その他30%にして経営を安定させる。 連結では08年6月期に売上高79億1600万円、経常利益4800万円を目指す。有機EL製造装置は06年後半から07年に入り、数社の台湾企業の事業撤退などによる出荷停止や、中国市場向け同装置の仕様変更などにより採算が悪化した。 「日刊工業新聞2007年8月24日」 ◎ニコン「プロや中・上級者向けデジタル一眼レフカメラを11月発売」 ニコンは23日、プロフェッショナル向けデジタル一眼レフカメラ「D3」と、中・上級者向けの一眼レフカメラ「D300」を11月に発売すると発表した。D3は最上位機種としてプロ市場を強化する。D300は幅広い利用層を獲得し、収益力向上につなげる。両機種の投入でデジタル一眼レフカメラ市場でシェア40%以上を確保する。 当日会見したニコンの苅谷道郎社長はD3、D300について「ハイアマチュアからプロフェッショナルまでを想定した戦略商品」と期待を示した。D3は35ミリメートルフィルムサイズに合わせた新開発の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサー(撮像サイズ36.0ミリ×23.9ミリメートル)を搭載した。有効画素数は1210万画素。撮像感度はISO200〜6400と広範囲にわたり、暗がりでも高画質な画像を撮影できる。価格は58万円前後。当初は月産約8000台を計画。 D300は画面サイズ24ミリ×16ミリメートルに適合するCMOSセンサーを採用した。有効画素数は1230万画素。1秒間に最高約8コマで連続100コマの高速撮影ができる。価格は23万円前後。月産約6万台を見込む。両機種ともに、撮影前に被写体の色情報から撮影シーンの解析を行う「シーン解析システム」を搭載。色情報を利用してオートフォーカスや自動露出の精度を向上させるシステムで、デジタル一眼レフカメラでは世界初の機能となる。 「日刊工業新聞2007年8月24日」 ◎IHIMU「ヘリコプター搭載護衛艦“ひゅうが”の命名進水式」 アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIMU、東京都江東区、今清水義紀社長)は23日、同社横浜工場(横浜市磯子区)で排水量1万3500トンの護衛艦の命名進水式を行った。式典にはIHIの伊藤源嗣会長、木村隆秀防衛副相らが出席。護衛艦は「ひゅうが」と命名された後、ドックからゆっくり進水し関係者、一般客ら総勢4000人から盛大な拍手がわき起こった。同艦は自衛隊の護衛艦としては最大規模。乗組員は約340人。哨戒ヘリコプターを同時に4基発着できる。主エンジンは4基のガスタービン。全長197メートル、最大幅33メートル。速力約30ノット。今後、武器などが搭載され、09年3月に防衛省に引き渡す。総工費は約1000億円。 「日刊工業新聞2007年8月24日」 ◎イビデン「フランスでDPF増産。月産2万5000個体制へ」 「岐阜」イビデンは23日、フランスの生産子会社、イビデンDPFフランス(ロワレ県コータネー市)のディーゼルエンジン用粒子状物質減少装置(DPF)の生産ラインを増設すると発表した。現在の2ラインから3ラインに増やし、09年1月に稼働する予定。投資額は25億円。 欧州では、08年にも次期排出ガス規制「ユーロ5」が導入される予定。欧州でDPFの需要拡大が見込まれることから、生産能力を増強する。増設する第3ラインで月間2万5000個のDPFを生産する計画。 「日刊工業新聞2007年8月23日」 ◎ループウイング「回転時の風切り音抑えた風力発電機を発売」 ループウイング(東京都千代田区、吉田穰社長)は、独自設計のループ状の羽根を採用し、回転時に発生する風切り音を抑えた小型風力発電機「ループウイング型風力発電機」を発売した。羽根の直径は1.5メートルで、定格出力は風速12メートルで500ワット。価格は300万〜400万円(設計、施工を含む)。07年度は1億円の売り上げを目指す。 球体を描くような、ループ状の両端支持型の羽根設計により、これまで回転時に発生していた空気の渦による騒音が発生しないのが特徴。また低回転・高トルクのため、風速が1.6メートルの自然風でも高い発電実効性がある。台風などの際にも過回転による過剰な遠心力がかからないよう工夫しており、破損事故を防ぎ、設計寿命も大型風車並の20年と長い。起動に必要な回転力を少なくし、風力のみで発電可能になった。すでに米国と日本で特許を取得した。 「日刊工業新聞2007年8月23日」 ◎日産「X-TRAILの中国生産を検討」 日産自動車は、スポーツ多目的車(SUV)「X-TRAIL(エクストレイル)」の中国生産の検討を始めた。現在は日本から輸出しているが、今後の販売動向を見て判断する。中国では道路の整備状況からも、オフロード型SUVの潜在需要が高い。ただ関税などの問題で、現地生産車でなければ販売を拡大しづらい側面もある。 エクストレイルは九州工場(福岡県苅田町)で生産、海外では台湾、フィリピンなど5カ国・地域で現地組み立て(KD)生産している。販売を急激に伸ばすロシアでも、09年稼働の新工場でKD生産する。日系メーカーではホンダが「CR-V」を中国で現地生産しているほか、トヨタ自動車は「プラド」をKD生産している。 「日刊工業新聞2007年8月23日」 ◎工具各社「海外戦略を強化・国内成長鈍化で拍車」 日本の切削工具メーカー大手各社が海外戦略を強化している。三菱マテリアルは世界4極で製造販売の体制作りを推進。タンガロイ(川崎市幸区)はOSGとの提携関係の中で、独立性を保ちながらも協力して海外市場開拓に挑む。京セラも米ケナメタルとの提携により海外売り上げ増をもくろむ。国内の需要が伸び悩む中、海外事業拡大は国内工具メーカーの宿願。現地の需要家をどう取り込むかがカギになる。 国内最大手の三菱マテリアルは、切削工具の最大の需要家である自動車メーカーの動きに対応。日米欧亜の4極で「可能な限り極内で事業を完結する組織を作る」(板羽健執行役員超硬製品事業部長)。標準品を世界中で大量販売する海外メーカーとは一線を画し、各地のニーズを吸い上げる販売サービス拠点や、現地生産拠点の拡充を検討する。三菱マテリアルはすでに海外売上比率が約50%。09年度までの中期経営計画で、その足場を一層固める方針。 「日刊工業新聞2007年8月23日」 ◎スズキ「新世界戦略車“スプラッシュ”を年産30万台に」 スズキは小型車の新世界戦略車として08年春から欧州で生産・販売する「スプラッシュ」をインドと中国でも生産する方針を固めた。インド子会社、マルチ・ウドヨグ(9月にマルチ・スズキ・インディアに社名変更予定)のマネサール工場(ハリアナ州)と中国の昌河鈴木(江西省)で09年に生産開始する計画。日本での生産、販売も検討している。スプラッシュの世界生産は約30万台規模となる見通し。 スズキは9月のフランクフルトモーターショーでスプラッシュを公表、第1弾として欧州での販売を発表したが、他地域でも生産・販売することが明らかになった。中国では09年春から年産7万〜8万台規模での生産を予定。インドでもほぼ同時期から同8万台規模の生産を計画している。欧州ではハンガリー工場のマジャールスズキで当面、年6万台を生産。米ゼネラル・モーターズ(GM)グループのオペルにも供給する予定で、将来は15万台まで引き上げる。 「日刊工業新聞2007年8月23日」 ◎D&M「高級AV機器の販促活動強化へ韓国・台湾で代理店研修」 ディーアンドエムホールディングス(D&M)は、高級音響・映像(AV)機器の韓国と台湾での販売促進活動を強化する。現地販売代理店合計140社を対象に、これまで実施していなかったメーカー主導による販売研修を始めた。「デノン」、「マランツ」など同社ブランドへの理解を深めてもらう。商品の提案販売方法についても研修する。同社の韓国での売上高は06年度実績約10億円、台湾は同8億円で、07年度はそれぞれ年率15%ずつ高める。 D&Mは06年10月に100%出資の販売会社を韓国・ソウルに設置。07年4月には台湾の台北にも販社を設立した。現地拠点では「デノン、マランツのブランドでの販売を一本化し、営業の効率化」(西澤英樹アジアパシフィック統括本部長)を図っている。韓国と台湾ではこれまで現地の輸入・卸売業者を主体に販売。「デノン」、「マランツ」のブランドの製品を別の販売代理店が扱っていた。販売代理店にブランドや商品について十分に理解してもらう機会がなかったという。現地販社の設置で地域密着の販促活動がやりやすくなったことを機に、すべての代理店を対象にメーカー主導の研修を行うことにした。 同社によると韓国と台湾のプレミアム(高級)AV機器市場の規模は年30億円程度。市場は成熟しているが、販売代理店研修などを通じてブランドを浸透させ、競合他社との差別化により売り上げを伸ばす。 「日刊工業新聞2007年8月23日」 ◎シャープ「52型で厚さ20ミリの次世代液晶TVを試作」 シャープは22日、表示する映像の白と黒がはっきりとするコントラスト10万対1の次世代液晶テレビの試作機を発表した。画面サイズ52型でディスプレー部の厚さが20ミリメートル、重量は25キログラムと従来機種の約半分の軽さ。消費電力も年間140キロワット(1日4.5時間視聴の場合)と現行機種から半減する。片山幹雄社長は「2010年3月の堺工場稼働までに、量産技術確立を間に合わせたい」と次世代テレビの製品化を急ぐ方針だ。 試作機は最も厚い部分でも29ミリメートルと「超薄型」。画質は「テレビ史上最高」(片山社長)のコントラスト比のほか、色再現性の特性指標であるNTSC比が150%と、ブラウン管(CRT)テレビ72%、従来液晶テレビ90%を大きく上回る。動画応答時間は4ミリ秒でCRTと同等で、液晶テレビの弱点とされる動画の残像感を抑えた。ハイビジョン映像をワイヤレス送信する技術も確立、コードレスのテレビを実現した。 試作機に関する技術の詳細は公表していない。「バックライト、偏光板、カラーフィルターなど部材や材料など最高レベルのものを集結、すりあわせで実現している」(水嶋繁光取締役ディスプレイ技術開発本部長)という。試作機で用いた技術の一部を順次、量産品に採用する。 同試作機についても「技術的には通過点」(同)とし、さらに技術の高度化を進めることを強調。有機エレクトロルミネッセンス(EL)テレビの製品化が注目されることに対し、片山社長は「液晶テレビこそ次世代薄型テレビの本命」と宣言。液晶テレビ事業の成長性が維持できると主張した。 「朝日新聞2007年8月22日」 ◎木材需要増・温暖化防止で間伐推進「もうかる林業見えた」 衰退の一途をたどってきた林業に、再生の兆しがみえてきた。国際的な木材需要増で国産材の価格が下げ止まり、経営努力をすれば「もうかる林業」が可能になってきたためだ。地球温暖化防止策として、政府も民有林の間伐を推進する。林業の担い手である森林組合は、この好機をつかめるか。(冨田悦央) ◇コスト削減 群馬県南部にある山林で、マジックハンドのような装置をつけた特殊車両が動き回る。切り倒されたスギをつかんでは枝を払い、その場で丸太に加工していった。多野東部森林組合(同県藤岡市)の間伐現場だ。 良質な木材を生産するためには、木を間引く間伐が必要だ。特殊車両を使えば、人手に頼るよりも間伐作業がはかどる。さらに、まとまった面積の山林で作業すれば、コストが低減され、採算がとれるようになる。このため、同組合が取り組むのが、複数の組合員が所有する山林を一度に間伐する「施業の集約化」だ。対象となる組合員一人ひとりの同意を取り付ける地道な作業だ。 「集約化を実現した現場に特殊車両を投入すると、木材1立方メートルあたりの作業コストは従来の約1万1000円から約7000円に下がる。作業コストの約7割に相当する分は国・県から補助金が出るが、約2000円の運搬費が別にかかるので森林所有者の自己負担は約4000円になる。間伐した木を丸太に加工販売すると、最終的に所有者の収入として木材1立方メートル当たり2000〜4000円確保できた。 これまで間伐費用は所有者の持ち出しだったため、敬遠され、山林は荒れ続けた。集約化も進まなかった。風向きが変わったのは、下落を続けた国産材価格が06年後半に下げ止まったことがきっかけだ。高い成長をみせる中国が木材輸入を急増させるなど国際的に木材需給がひきしまり、林業復活の機運が広がった。 ◇注文に即応 宮崎県串間市に事務所を置く南那珂森林組合(島田俊光組合長)。特殊車両が働く伐採現場で、堀ノ内秀樹専務は「無駄な動きのない操作を追求させている」と話した。作業の手順を見直すなど現場のカイゼンを積み重ねることで、さらなるコスト削減を探る。 「攻めの森林経営」も模索する。農林中央金庫などの支援を受け、全地球測位システム(GPS)を活用した管内森林データベースの構築に着手。山林のどこにどんな樹齢の木があるかなどを把握して、高く売れる規格外木材の注文などにも即応できる態勢を整えるつもりだ。堀ノ内さんは「もうかる林業しか考えていない」と言い切る。 地球温暖化対策として日本は、12年までに計330万ヘクタールの森林を整備する目標を掲げている。農林水産省は森林の約6割を占める民有林の間伐を後押しする。07年度政府予算で、民有林整備に事業費ベースで前年度比1.4倍の約1000億円の枠を確保。「施業の集約化」に関する研修などに補助金を出す新規事業も07年度から始めた。 ◇赤字組合も ただ、'こうした追い風を受けて収益拡大をめざす森林組合は限られている。全国森林組合連合会によると、「全747組合のうち森林事業が赤字の組合は05年度に全体の約4割にのぼり、06年度はさらに増えたとみられる。赤字体質では特殊車両の導入も進まない。 同連合会の肱黒直次組織部長は「リストラ続きで、人的に余裕がない粗合もある」と話す。約1000億円の事業枠のうち実行できそうなのは、全体の8割にとどまるという。赤字体質から抜け出すために必要なのは、コスト削減など地道な経営努力の積み重ねだ。多野東部森林組合は、役員定年制の導入や新卒採用の再開などを断行し、組織と現場の意識改革にも力を入れてきた。新井和子組合長は「森林組合の経営感覚が問われている」と話す。 「朝日新聞2007年8月22日」 ◎温暖化ガス排出権取得へ動き「環境対策“日中で”」 ◇公害温暖化「環境相、中国に提案」 若林環境相は21日、中国・北京で周生賢・国家環境保護総局長と会談し、両国の環境協力の強化に向け、安倍首相からの温家宝首相への親書を手渡した。大気汚染防止と地球温暖化対策とを同時に進める新たな共同事業を中国側に提案し、今後、具体策を詰めることで一致した。 日本政府は08年度から、中国を含むアジアの途上国などに技術・資金を提供し、公害と温暖化への対策を同時に進める「コベネフィット(相乗便益)型」事業に乗り出す。対象は大気・土壌汚染や水質汚濁で、汚染物質除去などと同時に、温室効果ガス削減も見込める事業を想定。「二酸化炭素(CO2)排出大国」の中国は有力対象国で、例えば工場や発電所で、脱硫・脱硝装置とエネルギー効率が高い設備を提供する。 環境省は当面の事業費などとして、来年度政府予算の概算要求に十数億円程度を盛り込む。京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)を活用し、途上国で成功したCO2削減分を日本の排出枠として確保できれば、日本にも利点がある。今回の会談では、中国に対して、空気中のオゾン濃度測定機器を提供するなど、大気、水、土壌汚染対策の協力を進めることでも合意した。周総局長は会談で「イタイイタイ病や水俣病など健康被害を克服してきた日本の苦い経験を学びたい」と話した、という。(桜井林太郎、北京*吉岡桂子) ◇年賀はがき寄付金でも 年賀はがきの寄付金で、海外から温室効果ガスの排出権を取得する新手法を、日本郵政グループが08年から始める。08年から京都議定書の温室効果ガス削減期間が始まるのに合わせ、個人にも温暖化対策に貢献する機会をつくる狙いだ。 08年年賀はがき約40億枚のうち、1億枚を「カーボンオフセット年賀」として売る。寄付金は1枚あたり5円(はがき代55円)。寄付金の総額に日本郵政が同額を加えて、国連が承認したクリーン開発メカニズムの事業に寄付し、そこで得た排出権を日本の削減実績に加える。 1億枚売れると二酸化炭素31万2000トン分の排出権取得が見込め、日本が議定書で約束した90年比6%の削減のうち、0.4%分になるという。通常の年賀はがきと同様、今年11月から郵便局などで販売。好調なら追加発行も検討する。 ◇インド大手銀に協調融資「JBICなど」 日本が京都議定書で約束した温室効果ガスの削減に向け、国際協力銀行(JBIC)は三井住友 銀行など内外の民間5行とともに、インド大手行の「ICICI銀行」に総額約2億ドル(230億円)を協調融資する。工業化が急速に進むインドは世界有数の温室効果ガス排出国。ICICIが融資するインドでの温室効果ガス削減事業を支援し、排出権を日本企業が購入できるようにする。 22日に、JBICとICICIが融資契約を結ぶ。民間5行は2億ドルのうち約4割を分担する。融資対象の事業は、@日本企業が排出権購入に関心を示す。A国連が認める国際的な排出量取引の枠組み「クリーン開発メカニズム」に認められるなどが条件だ。インド国内での風力発電など10件ほどが、現時点で検討対象になっているという。 「朝日新聞2007年8月22日」 ◎米住宅ローン続く混乱「財務証券“避難先”に」 「ワシントン:西崎香」米住宅ローン業界や金融市場の混乱が続いている。20日には大手クレジットカード会社キャピタル・ワン・フィナンシャルが、住宅ローン業務の一部打ち切りと2000人近い人員整理を発表。悪材料に極めて神経質になっている市場では、安全な投資先への資金逃避が加速し、避難先となった米財務証券の利回りは大きく低下している。 ◇別の貸し出しも不振に 住宅ローン業界では、最大手カントリーワイド・フィナンシャルも約500人を解雇したと発表した。これまで低所得者向け(サブプライム)ローン関連の業績悪化が中心だったが、最近は一般ローンに近い貸出「オルトA」「ジャンボ」などの不振も目立ち、問題は広がりつつある。 キャピタル・ワンが閉鎖するのは、オルトAなどを扱っていた「グリーン・ポイント・モーゲージ」。収益性見通しが厳しく、19州31拠点での営業を終え約1900人を整理する。カントリーワイドの解雇もオルトA関連が対象といわれる。住宅ローン業界は業務の資金を金融市場から調達してきたが、貸手がリスク回避の姿勢を強め、調達は難しくなっている。融資事業の縮小は当分続き、住宅不況が長期化するのは必至だ。 市場では、企業が資金調達に使うコマーシャル・ペーパー(CP)から米財務証券に資金が押し寄せる。20日には、リスク回避の指標とされる3ヵ月物の財務証券の利回りが、一時、先週末比で約1.2ポイント低い約2.5%まで急降下。大方の取引は約3.0%で終えたが、これほど大幅な低下は、87年のブラックマンデー以来といわれる。 財務証券利回りは8月初めの約4.9%から大きく下がり、市場関係者は「通常なら安全とみなされるCPも危険視されている」と指摘する。公定歩合引き下げなどで市場のパニック感を和 らげる金融政策の効果は、今のところ「限定的」(市場関係者)だ。米当局が最も恐れるのは、リスク回避がさらに強まり、市場の資金が細ることだ。資金繰り難による事業の破綻や縮小が幅広い業種に広がり、景気が後退する可能性がある。連邦準備制度理事会(FRB)は、残された最大の切り札「利下げ」の可能性も示唆する。 ◇東証は続伸、伸び悩みも 21日の東京株式市場は、前日の欧米株高や円高一服を受けて日経平均株価が続伸し、前日比168円86銭高い1万5901円34銭で取引を終えた。上げ幅は一時369円に達し、1万6100円台に乗せる局面もあったが、利益を確定する売り注文に押されて伸び悩んだ。米住宅ローン問題にからむ懸念はなおくすぶっており回復基調が続くかどうかは不透明だ。東京証券取引所1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の終値は前日比26.31ポイント高い1549.88。出来高は20億3000万株だった。 ◇ロンドン市場は円高ドル安続く「一時114円01銭」 「ロンドン:青田秀樹」21日のロンドン外国為替市場は朝方一時、1ドル:114円01銭をつけた。米低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)関連で金融機関への打撃がなお懸念され、円高ドル安傾向が収まっていない。午後2時半(日本時間同10時半)現在は、前日午後4時時点より45銭円高ドル安の114円30銭〜40銭。中央銀行のイングランド銀行は21日、政策金利を1%幅上回る金利で、金融機関に対する約700億円の短期資金の貸し付けに応じたと発表。前日には、ロンドンを拠点とするヘッジファンドが、短期資金の調達が困難で資産を売却する可能性がある、と発表した。 「日刊工業新聞2007年8月22日」 ◎日立工機「電動工具生産に新方式・来夏、茨城・佐和で全面導入」 日立工機は電動工具組み立ての主力工場である佐和工場(茨城県ひたちなか市)で、08年夏をめどに新しい生産方式を全面導入する。ライン生産とセル生産の利点を組み合わせた“ハイブリッド型”で、従来のライン生産に比べ1人当たりの生産性を3割向上できる。同社は04年度から07年7月まで「生産改革プロジェクト」と名付けた改善活動を実施してきた。新方式の全面導入により、生産性向上にさらにはずみをつける。 新しい生産ラインは今春から導入を始め、ハンマードリルの生産などの3ラインで導入を終えた。今後08年夏までにほかの9ラインについても順次新方式に置き換える。従来のラインが間断なく流れるコンベヤーを使用しているところ、新方式では一定の時間ごとにコンベヤーが一斉に移動するタクト式を採用。それぞれの工程では、担当者が責任を持って部品を組み付けるセル生産の要素を取り入れた。セルとセルの間には専用自動機を配置。 「日刊工業新聞2007年8月22日」 ◎岡崎製作所「髪の毛より細い超極細熱電対を開発」 「神戸」岡崎製作所(神戸市中央区、岡崎一雄社長)は、直径12.7マイクロメートルと髪の毛より細い超極細熱電対を開発、受注を始めた。固体高分子形燃料電池(PEFC)セル電解質膜内の温度計測用。電解質膜のすき間(数十マイクロメートル)より細く膜内の温度を常時計測できる。当面、数十本を製造し、PEFCの研究用に納入する。価格は1本10万円前後になる見込み。 中央に温度を測定する接点部を置き、それを挟んでそれぞれ異なる金属のリード線を左右へ一直線に伸ばした。電解質膜内の測定対象に触れる部分は、測温接点部を含めポリイミドのコーティングを施し、反応時の高温や動作電圧に耐えるようにした。最高耐熱使用温度は200度。 通常の熱電対は金属保護管(シース)内に2本の熱電対線を配線し、その周りに酸化マグネシウムなどの無機絶縁材を詰め封止したシースタイプ。岡崎製作所はシースタイプでも直径0.1ミリメートル(100マイクロメートル)の世界最細熱電対を標準製品としてそろえている。今回開発したものは測定対象がそれより薄いため、シースタイプの並行した熱電対線を測温接点を挟んで一本に伸ばして、超極細の被覆型熱電対にした。ポリイミドをコーティングして乾燥固化する際に破断しやすく、量産はかなり難しいという。 PEFCの発電部分は固体高分子電解質膜を二つの電極で挟んだセルを、セパレーターを介しいくつも重ねたスタックからなる。このスタックを構成する各素材の開発や構造解析、稼働状態を調べるため、細い熱電対開発への要望が強い。 「用語」熱電対:2種類の金属線を接続して回路を形成したもの。温度を計測するセンサーに使う。金属線の両端に温度差があると起電力が生じる現象を利用。測定した起電力をもとに温度を算出する。 「朝日新聞2007年8月21日」 ◎中華航空機「燃料漏れ“相当な勢い”」 ◇整備士証言「笠井、風で拡大か」 那覇空港(那覇市)で中華航空機(ボーイング737-800型)が炎上した事故で、右側の第2エンジン付近からは相当な勢いで燃料漏れが起きていたことが、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べでわかった。燃料漏れを目撃した整備士は「ジャージャーと漏れていた」と周囲に話したとされる。この燃料漏れによって第2エンジン付近で起きた火災が風にあおられるなどして胴体や左側主翼が熱されて、爆発など被害拡大を招いた可能性が強まっている。 調査委は21日午前、沖縄県警、台湾の事故調査当局と合同で実況見分を実施。燃料タンクとエンジンを結ぶ配管などに不具合がなかったかなどについて、詳しぐ調べている。事故機の燃料は主翼と胴体下部にある三つの燃料タンクから配管を通り、ポンプで加圧された後、両エンジンの燃焼室に送り込まれ、通常漏れ出すことはない。だが、事故機が駐機場に到着した時、整備士が第2エンジンからの燃料漏れと出火を目撃。関係者に対し、燃料漏れの様子について「ジャージャーと漏れていた」と話したといい、相当の勢いで大量の燃料が地上に流れ出した可能性が出てきた。 航空燃料は60度程度で引火、約240度で火花などがなくても発火するため、調査委は何らかの原因で漏れた燃料が、数百度の高温になっているエンジンの排気口や排ガスの熱で発火した恐れがあるとみている。21日未明に那覇空港で記者会見した調査委の台木一成首席航空事故調査官は「燃えるものとしては一番、燃料が考えられる」と指摘した。 また、調査委の調べでは、最初に出火したとみられる右側の第2エンジンに比べて、左翼や左側にある第1エンジンは焼け方が激しく、エンジンそのものの形が崩れかけていた。当時、第2エンジン側から第1エンジン方向に風速5メートル程度の風が吹き、空気は乾燥していた。調査委は、@風であおられた炎が胴体下部や左側主翼を熱した結果、胴体内部の燃料タンクからの燃料漏れや、爆発につながった。A主翼内部の配管を伝わって火災が広がった。B何らかの原因で飛び火したなどの可能性を想定。中でも風の影響が最も有力とみて、火災発生・延焼のメカニズムの解明を進めている。 一方、調査委は右側の翼端近くから燃料が漏れているのも確認した。主翼の端が地面に接触している状態で、主翼の表面を燃料が流れた形跡がないことから、タンクの燃料が主翼内を伝って翼端から出たとみている。調査委は、事故後に主翼が折れ、内部に残っていた燃料が漏れたもので、ここからの漏れが右側エンジンの火災に直接っながった可能性は低いとみている。ただ事故機では第2エンジンとともに、少なくとも2ヵ所で燃料漏れが確認されたことになる。 ◇早く原因究明を、中華航空「乗客、不安の声」 那覇空港(那覇市)では、事故から一夜明けた21日朝、真っ黒に焼けて折れ曲がり、天井に大きな穴が開いた機体が41番スポットに無残な姿をさらしたまま。中華航空で台湾に向かう人らは不安な表情を隠せなかった。 中華航空は那覇〜台北間で1日に2往復運航。「乗るのは怖いけれど仕方がない」。台湾である親類の祝い事に出るため、国際線ロビーで中華航空機への搭乗を待っていた沖縄県南風原町の主婦(73)は話した。20日の事故の際は、友人から安否を気遣う電話がかかってきた。 「早く事故原因を究明してくれないと安心して乗れません」。 名桜大学(沖縄県名護市)の学生と教職員10人は台湾である国際交流会議に出席するため、那覇空港にいた。事故があった20日には先遣隊の女子学生5人が事故機の折り返し便で台北に向かう予定だったが、急きょ同夜の便に変更した。リーダー役で3年の中川淳さん(20)には20日夜、滋賀県の実家の母親から台湾行きを心配する電話がかかってきた。父親からも21日朝、、携帯電話に気遣うメールが送られてきた。「不安じゃないと言うとうそになる。でも、事故の直後なので航空会社も入念にチェックしてくれていると思う」と話した。 旅行業界にもキャンセルなどの影響が出た。福岡市博多区の近畿日本ツーリスト九州メイト・ホリデイセンターによると、事故後から21日午前までに4件12人が中華航空で行く台湾旅行をキャンセルしたという。担当者は「人気のある旅行だが、事故の影響が出たと思う」と話した。 ◇天井落ち激しい焼け跡 那覇空港で炎上した中華航空機の残骸が21日午前、報道陣に初めて間近で公開された。機体は真ん中から折れ、数十メートル離れたところにも破片がいくつも散らばるなど、機体中央部で起きた爆発の激しさを見せつけた。 天井が落ちた客席部分は、難燃性のはずの内壁がすっかりなくなり、機体側面の骨組みが露出。座席は跡形もなくなっていた。尾翼も右半分とは対照的に、左側が激しく焼けて穴だらけだった。操縦室は直接爆発は免れており、内部に入った国土交通省の調査官らが中に装備されていたと思われるマニュアルや機長らのかばんを取り出していた。マニュアル類はすすけているが焼損までは至っておらず、操縦室内部は比較的良好のまま残っている可能性がある。 ◇脱出、十数秒後に爆発 中華航空機の爆発は乗客の脱出完了から十数秒後に起きていたことが、事故の映像から明らかになった。まさに危機一髪の状態だったことが鮮明にみてとれる。 事故現場から約150メートル離れた航空会社の事務所で、パイロットの杉山一美さん(42)「大分県佐伯市」が、午前10時34分ごろから34分5秒間にわたってデジタルカメラで撮影した。 撮影開始時には、すでに黒煙が右翼付近から高く上っている。全長約40メートルの機体を縦にした高さの2倍近くだ。右エンジンの下部に、オレンジ色の火が見える。その6秒後、機体右後部の脱出シュートから乗客が機外に出始め、滑走路上を南に走り始める。 映像でみる限り、最後の乗客が脱出したのは撮影開始から1分41秒。機体右後部の脱出シュートから滑り出た。満員の乗客が90秒以内に脱出できるように航空機を設計するという「90秒ルール」をわずかにオーバーしているようにみえる。1分54秒。滑走路上を走って逃げる乗客の映像が映るさなかに、大きな爆発音。そして、黒煙に混じって火柱が高く上がる様子が映し出された。 2分3秒。右前部のコックピットのガラスが割れ、人影が落ちた。パイロットとみられる。化学消防車など3台の到着は、撮影開始から4分6秒たっていた。機体の風上になる南側から消火剤の噴射を始める。9分39秒の時点で、応援に来た消防車が消火剤の噴射を開始した。機体は中ほどから徐々に折れ曲がり、主に左半分から黒煙が上がる。17分ほどで、機体から上がる煙が黒から灰色に変わり、胴体の天井付近が焼け落ちたように見えた。 ◇見舞金渡し乗客に謝罪「中華航空社長」 中華航空の趙国帥社長は21日、事故機の乗客のうち、台湾から沖縄に団体旅行で来た人たちに会い、見舞金などを手渡して謝罪した。団体旅行客の大部分は21日朝、沖縄市知花の東南植物楽園に向かった。 趙社長は現地で待ち受け、それぞれの観光バスに乗り込んで「おわび申し上げる。なくした荷物は帰国後にできる限りのことをさせて頂く」と謝罪。一人ひとりに当座の生活用品用の資金と見舞金を手渡し、旅行客から拍手が起こった。同社は「見舞いの気持ち」であることを理由に金額を明らかにしていない。 中華航空によると、157人の乗客のうち、台湾からの団体旅行客は少なくとも102人で、この人たちへの面会は20日夜から21日午前中までに終えた。今後、日本人客を含む残る53人と面会できるよう調整している。 ◇同系列23機「異常はなし」国内航空3社 中華航空機炎上事故を受けて、事故機と同系列のエンジンを装備したボーイング737型機計23機を運航する国内航空3社が、燃料配管やポンプなど燃料供給系統を緊急点検したところ、いずれも異常は確認されなかつた。国土交通省が21日発表した。運航機数は日本航空とスカイマークが5機、エアーニッポンが13機で、いずれも始発便から通常通り運航している。 「日刊工業新聞2007年8月21日」 ◎楽天証券「シニア層開拓へパソコンの出張サポートサービス」 楽天証券(東京都港区、楠雄治社長)は、パソコンの出張サポートを全国展開するマネージメントクリエイティブ(大阪府吹田市、家喜信行社長)と提携し、口座開設や取引に関するサービス「楽天証券出張サポートサービス」を月末に始める。電話一本で即日、パソコンの設定やトラブルに対応し、シニア世代を中心としたインターネットで株式取引を行う顧客拡大につなげる。 マネージメントクリエイティブは、全国107ヵ所に拠点を持ち、自宅に出張してパソコン関連機器のサポートを行う専門技術部隊「パソコン生活応援隊」を運営している。提携により、楽天証券の顧客に対しても電話一本で即日、担当者が出向いて、インターネットの接続から口座開設、楽天証券の株式トレーディングツール「マーケットスピード」の設定方法など、パソコンの技術相談やセキュリティー対策などトラブル対応にあたる。 「日刊工業新聞2007年8月21日」 ◎川崎自動車「ディーゼル用ピストンピンで冷間鍛造による新工法確立」 「横浜」川崎自動車工業(横浜市泉区、中島信明社長)は、常温で型押しし歩留まりを改善する、冷間鍛造によるテーパー加工(円すい形状の加工)の新工法を確立し、ピストンピン外径の面取り切削を含む製造時間を従来の6分の1に短縮した。鍛造用機械に取り付ける金型の耐久性が従来比3倍以上に高まり、9月から次世代型ディーゼルエンジン用ピストンピンの生産量を月120万本から25%増の150万本にする。すでに国内自動車メーカー2社から受注、国内外各社へ一層攻勢をかける。 欧米自動車市場では新たな排ガス規制の施行を控え、大手各社が次世代型ディーゼルエンジンの開発にしのぎを削る。燃費向上のため、エンジン部品の改良が急務だ。ピストンの内部でその上下運動を支えるピストンピンには軽量化が、そしてピストンには、ピストンピンとの摩擦で生じるひび割れの抑制が求められている。 「日刊工業新聞2007年8月21日」 ◎東芝「カザフのウラン鉱山開発プロジェクトに参画」 東芝は20日、カザフスタンで推進しているウラン鉱山開発プロジェクトに参画すると発表した。東芝は年間最大600トンのウラン精鉱引き取り権を取得する。カザフスタン国営企業「カザトムプロム」が進めるウラン鉱山開発「ハラサン鉱山プロジェクト」に加わる。 現在は丸紅、東京電力、中部電力、東北電力の4社がカザトムプロム関係会社2社の持ち株会社を保有し、年間2000トンの引き取り権を持つ。東芝は丸紅からその持ち株会社株式の22.5%と引き取り権を取得する。取得金額は非公表だが数百億円規模という。同鉱山では07年中に試験生産開始、2014年から年間5000トンを生産する計画。 「日刊工業新聞2007年8月21日」 ◎キヤノン「ミドルクラス開拓へ“EOS40D”を31日に発売」 キヤノンは20日、入門機より一段上の層であるミドルクラスの市場創出を狙いとするデジタル一眼レフカメラの新製品「EOS(イオス)40D」を31日に発売すると発表した。同機種を「ミドルクラス市場拡大の起爆剤」とし、デジタル一眼レフの国内シェア1位を確保する。同時に交換レンズ3種類とプロ用の一眼レフ、7機種のコンパクトデジカメも発表した。 40Dは本体価格15万円前後の見込み。有効画素数1010万画素のAPS-Cサイズの自社製相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーを搭載、1秒当たり約6.5コマの高速撮影ができる。高品質で本格的なカメラを求める50代の男性を最大のターゲットとし、初めて一眼レフを買う層として取り込む。 最需要期の9〜12月に国内シェア(出荷台数ベース)を50%以上、07年の年間で43%以上、08年には年間で48%以上を目指す。ライバルであるニコンは入門機を中心にユーザーを拡大中だが、キヤノンはミドルクラス開拓で対抗する。ただし「入門機からプロ機までのすそ野が重要」(芦澤光二キヤノンマーケティングジャパン専務)とし、入門機での新製品投入の可能性も示した。 コンパクトデジカメは「LCDの大きさやISO感度、デザインなどの総合力で勝負」(同)し、800万画素、広角28ミリ相当のレンズ搭載の「IXY(イクシー)デジタル901IS」を中心に攻勢をかける。 「朝日新聞2007年8月20日」 ◎電力、綱渡り「柏崎原発停止・企業フル操業」 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が全面停止した東京電力は、お盆休みが明けて企業がフル操業に戻る今週と来週、電力供給の正念場を迎える。3月末に予測していた最大電力(需要)に対する供給余力は、今週が97万キロワット、来週が81万キロワットで、東電の主力原子力発電プラント1基分に満たない水準に落ち込む。酷暑が再び関東地方を襲って冷房需要が高まれば、電力不足で停電などが起きる可能性もある。(宮崎知己) ◇東電、酷暑続けば危機 電力の需要が最も多いのは、お盆の前の2週間と後の2週間だ。東電は当初、今夏のこの期間の最大電力を、通常の暑さ(最高気温35.3度)の場合で前年実績より5%強多い6110万キロワット、4,5年に1回の厳しい暑さ(同36.7度)になった場合は6400万キロワットで、01年7月 に記録した過去最高(6430万キロワット)並みと予想。これを賄うため、6527万キロワットまで供給できる態勢をとっていた。通常の暑さであれば417万キロワット、率にして6.8%と、ほぼ例年並みの余力があるはずだった。 ところが、計711.2万キロワットを担う予定だった柏崎刈羽原発が地震で全面停止。東電は、その他の発電所の出力を5%増やしたり、他の電力会社から融通を受けたりして補おうとしたが、追加で確保できたのは8月の平均で444万キロワットにとどまった。 さらに、7月31日からの予定の検査を、国に先送りしてもらっていた福島第一原発3号機(78.4万キロワット)も、20日からは定期点検で止めざるをえない。このため、今週と来週の東電の供給力は6200万キロワット程度。お盆前の2週間は180万キロワット強だった供給余力が100万キロワットを切ってしまう。電力不足の大敵はなんと言っても冷房需要だ。東電の場合は経験的に、気温が30度を超えると1度あたり170万キロワットも電力需要が増える。さらに、気温の高い日が3日続くと3日目の電力需要は急伸し、1度あたり170万キロワットを上回って跳ね上がるという。企業がフル操業に戻る今週や来週の平日に酷暑が続けば、6400万キロワット近くまで上がると想定でき、供給力を上回る。 対策は二つ。一つは、料金を割り引く代わりに電力不足が起きそうな時な電気を止める「随時調整契約」を結んでいる相手への供給を、実際に止めることだ。自家発電の設備を持つ企業など約1000件の顧客と東電はこの契約を結んでおり、120万キロワットの電力をカットできると推定される。発動すれば、90年以来だ。 もう一つは栃木県の塩原発電所(揚水式水力、90万キロワット)の稼働。川の水の不正利用に関するデータ改ざんで今春、国土交通省に取り消された水利権を「緊急時かつ9月7日までに限る」という条件で東電は再取得させてもらっている。東電の勝俣恒久社長は「総力戦で安定供給を確保する」と述べる。しかし二つの対策をとっても足りない場合の方策についての言及はない。 他電力では東北と西日本の中部、関西、中国、四国、九州から計166万キロワットの融通の約束を取りつけたが、西日本勢からのこれ以上の支援は難しい。周波数が違うため、周波数変換所の能力上、100万キロワットが限度だからだ。 「日刊工業新聞2007年8月20日」 ◎Jエナジー「3億円を投資し新規ガス田を開発」 ジャパンエナジーは天然ガスや原油を産出している中条油業所(新潟県胎内市)で新規ガス田の開発に乗り出す。08年にも掘削作業に入り、投資額は3億円程度となる見通し。同油業所ではこれまでに水溶性天然ガス田と構造性天然ガス田が見つかり、日量で約11万立方メートルを生産。現状で同15万立方メートルの生産能力があるため増産を急ぐ必要はないが、新たなガス田を開発することで可採年数を維持するのが狙い。 「日刊工業新聞2007年8月20日」 ◎07年の米国自動車サービス満足度、「ジャガー」が首位 JD・パワーアジア・パシフィック(東京都港区)は、07年の米国自動車サービス満足度調査によると、満足度のブランド別ランキングで「ジャガー」が首位となった。2位は「ビュイック」、3位は同率で「キャデラック」と「レクサス」。10位に「インフィニティ」が入った。販売店のアフターサービスに対する満足度を入庫時対応やサービス・アドバイザー、サービスデリバリーなど6要因で評価した。ジャガーは、サービスの質と入庫時対応で顧客の評価を大幅に上げた。04〜06年の新車購入者などを対象に、07年1〜4月に郵送で調査、8万4000人超から回答を得ている。 「日刊工業新聞2007年8月20日」 ◎ソニー「米国でコンシューマー製品の無料リサイクル」 ソニーは米国でコンシューマー製品の無料リサイクルに乗り出す。米国法人のソニー・エレクトロニクスが同国で廃棄物管理サービスを展開する米ウェイストマネジメントの子会社、WMリサイクルアメリカ(WMRA)と連携し、全米にソニー製品のリサイクル網を構築する。まず9月中旬から同国内75ヵ所にWMRAが設置している廃棄センターで使用済み機器の郵送・持ち込みを受け付ける。 米ソニー・エレクトロニクスが連携する米ウェイストマネジメントは同国最大手の廃棄物管理サービス企業。WMRAは今後1年以内に廃棄センターを倍増し全米150ヵ所に設置する計画で、ソニーのコンシューマー製品は同センターがすべて無料で引き取り、リサイクルする。電機メーカーと廃棄物管理サービス企業が全米規模で共同リサイクル体制を構築するのは初の試みとしている。 ソニーは今後、グループ企業が手がけるゲーム機器や携帯電話端末なども対象に加え、使用済み電子機器のリサイクルを充実していく考え。 「朝日新聞2007年8月19日」 ◎FRB公定歩合下げ、株安一服「米市場、なお不安」 「ワシントン:西崎香」米金融市場は17日、連邦準備制度理事会(FRB)の公定歩合の引き下げが奏功し、ニューヨーク証券取引所のダウ工業株平均は7営業日ぶりに急反発した。しかし、住宅ローン問題をきっかけにした信用不安は収まっておらず、週明け以降も市場は波乱含みとの見方が目立つ。金融当局も手詰まり感が出て、早急な利下げに追い込まれる可能性がある。 ◎システム売買ほころぶ ニューヨーク市場は17日早朝、株価が崩れる懸念が募っていた。住宅ローン最大手カントリーワイド・フィナンシャル社の資金繰りが逼迫し、破綻の観測も浮上。「週明けの世界同時株安も加速しかねない」(市場関係者)との情勢だった。取引開始の約1時間前、FRBが公定歩合を0.50%幅引き下げ、年5.75%にしたと緊急発表し、市場には「ローン会社の大型破綻を食い止める決意を示した」「“金融危機は米国主導で回避させる”との意味合いがある」といった安心感が急拡大。ダウ工業株平均の終値は17旧、前日比233.30ドル高の1万3079.08まで回復した。 多くのファンドが損失を出したのは、低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの危機が表面化した8月上旬から、通常では予想もできない「不安定な取引」が始まったからといわれる。強力なコンピューターシステムを駆使し、膨大な売買をこなす「クオンツ」という取引手法の一部にも、ほころびが生じた模様だ。割安な株を買い増して利益を確定する「定石」から逸脱し、逆に売り注文を出してしまい、損失を膨らませるケースなどが目立ったという。ファンドに詳しいサヤジット・ダス氏は「コンピューターモデルに頼りがちな取引手法の妥当性を考え直すべき時だ」と警告している。 ◇住宅ローン格付け焦点 金融市場を揺さぶる住宅ローン問題もこじれそうだ。中堅のホームバンク社が今月上旬に破綻し、従業員約1100人のほとんどを解雇したと伝えられるなど、すでに約130社が破綻や買収、新規営業停止などに追い込まれている。不動産バブルが崩壊し、業界からは「この2ヵ月間、住宅ローンの供給力は大幅に低下した」との声があがる。金利が上昇し、融資額41万7000 ドル超の「ジャンボ」と呼ばれる一般型ローンの金利負担も、ほぼ1ヵ月で約1%幅ほど上がった。 焦げ付きが増え、サブプライム以外に広がる恐れがある。ローンがらみの最大損失は、金融当局が示した推定1000億ドルを上回る2500億ドルの試算も浮上。17日の公定歩合引き下げは株価を浮揚させたが、金融関係者からは「信用不安の構造は基本的に変わっていない。危機感は当分続く」との見方が支配的だ。 当面の「台風の目」は、ムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズなどの格付け会社の動きといわれる。住宅ローンの債権は証券化され、投資商品として金融機関や年金基金などが購入してきた。格付けが示すリスク度が、取引の判断材料だったが、先行き不透明感とともに格下げが目立っている。 ニューヨーク大のスタン・ニューワバーグ教授は「一定の格付けより低くなれば、ローン証券を売却しなければいけないルールの投資機関が多いので、値崩れを加速しかねない」と指摘。金利上昇や米景気の減速がローンの焦げ付きをさらに増やし、格下げも促す悪循環の危険性があるという。 証券化されたローン関連債権の規模は昨年、5年前の3.6倍の約7730億ドルに膨らみ、売却による市場全体への影響は少なくないといわれる。企業が資金繰りに使う金融商品のコマーシャル・ペーパー市場にも、信用不安が波及して資金供給が先細る傾向が表面化。資金不足で破綻する一般企業も増え、米景気を支える雇用も打撃を受ける懸念が出ている。 ◇米金利は下げ有力 FRBは9月18日に政策金利を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。短期金利の指標であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を年5.25%から引き下げるとの見方が有力。 金融当局による連日の資金供給で、実際のFF金利は4%台に下降。公定歩合の引き下げも含め、金融緩和への準備は始まっている格好だ。抜き打ちで緊急利下げに踏み切る観測も根強い。 「朝日新聞2007年8月18日」 ◎東証、急落874円安「7年ぶりの下げ幅」 17日の東京株式市場は、日経平均株価が前日から900円近い大幅な下落になった。円が一時、1ドル:111円台半ばまで急騰し、米国の景気減速と国内輸出企業の業績悪化の懸念から下げ幅が拡大した。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は17日朝(日本時間17日夜)、金融機関向けの緊急貸し出しの金利である公定歩合の引き下げを発表。欧州と米国の株式市場は大幅に反発している。 ◇欧米株は急反発 17日の東京市場は、東京証券取引所第1部の上場銘柄の9割が値を下げ、全面安の展開。日経平均の終値は前日比874円81銭安い1万5273円68銭。下落率は5.4%となり、米国のITバブルの先行き懸念などから1426円安となった00年4月以来の大幅な下落になった。3日連続の今年最安値更新で、昨年8月以来の安値水準。下げ幅は3日間で計1570円に達した。 東証1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は同87.07ポイント低い1480.39。出来高 は29億4000万株だった。市場で同時に進む円高で、利益が減る恐れがある自動車や電機などの輸出関連業種の売りが特に目立った。 午後に入り、機関投資家のまとまった売り注文が出て下げ幅を拡大させた。株価が一定水準まで下がると、損失を抑えるために一気に処分売りに走るためで、株価急落で売り注文が膨らみ株安が拡大する「連鎖的な下げ」(市場関係者)が起きた。この状況に、損失を被った個人投資家も売却を急いだ。 17日は、韓国の株価指数が前日比3.1%、中国・上海が同2.2%の下落になるなどアジアの主要市場の株価も下落した。ただ、日本時間の夜になって発表されたFRBの公定歩合引き下げを好感し、欧州株は英国が一時、4.7%も上昇したほか、フランス、ドイツとも一時、3%超高い水準まで買い進まれた。米ニューヨーク市場のダウ工業株平均も急反発し、一時は、前日終値比300ドルを超し、1万3000ドル台を回復した。 東京市場の円相場は同日夕方に一時、昨年6月5日以来、約1年2ヵ月ぶりの円高水準となる1ドル:111円60銭をつけた。午後5時時点では、1日前と比べ3円35銭円高ドル安の1ドル:112円70〜73銭。14日からの4営業日で、6円近くも円高が進んだ。しかし、FRBによる公定歩合引き下げなどの影響もあって、急速に円安に戻し、ニューヨーク市場では1ドル:113円台後半で取引されている。 ◇米、公定歩合0.5%下げ 「ワシントン:西崎香」米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、資金が逼迫した金融機関に対する貸出金利である公定歩合を0.50%幅引き下げ、年5.57%にした。株価急落など金融市場に混乱が広がっているためで、緊急の引き下げに踏み切った。FRBが実効性のある政策金利として重視しているのは、翌日物金利のFF(フェデラル・ファンド)金利だが、公定歩合にも象徴的な意味はある。FF金利は5.25%に据え置いたが機動的に引き下げる可能性も指摘されている。 ◇株急落・円急騰「個人マネー直撃」 米国発の「サブプライムローンショック」をきっかけにした信用不安は、個人マネーも直撃し、17日の東京株式市場は売り一色となった。株安とともに進む急激な円高は、この現象が、日本の超低金利政策などが生みだした世界的な「カネ余り」の逆回転であることを示している。それが「正常化」への一歩だとしても、どこまで株安や円高が進むのか。個人投資家たちの不安は増している。 ◇不安から売り急ぐ「機関投資家に巻き込まれ」 「個人投資家が株安の直撃を受け、株の投げ売りに走っている」。17日、大手インターネット証券幹部は下がり続ける株価にため息をつく。17日の東京株式市場は、損失の拡大を恐れた機関投資家が売却を急ぎ、さらに株安が進む悪循環から大幅株安になった。売りが売りを呼ぶ株安の連鎖に個人投資家も巻き込まれている。 大企業が中心の東証1部以上に下落が続いているのは、個人の取引が多い新興企業向け市場だ。17日の東証マザーズの株価指数の終値は前日比40.43ポイント低い688.46となり、03年9月の指数開始以来の最安値になった。ジャスダックや大証ヘラクレスの株価指数も今年最安値を更新した。株価下落で不安をあおられたり、損失を被ったりした個人が売り急いでいるとみられる。 特に懸念されるのは、お金を借りて株を買っている個人投資家たちのダメージだ。保証金を担保に証券会社から資金などを借り、担保の3倍程度までの取引をする「信用取引」では下落した場合の損失が大きくなりやすい。 投資家は下落で保証金が不足した場合、証券会社に追加保証金(追い証)を支払わなければならないが、ある証券会社では17日「前日の4.6倍の追い証が発生した」(幹部)。「家計の見直し相談センター」の藤川太氏は「株安が進む中、資金管理を誤ると自己破産に至る人も出かねない」と警告する。 ブームを呼んでいる投資信託にも影を落とす。投信調査会社のモーニングスターが約2300本の投信の価格から算出した指数は7月2日から8月16日までに8.15%下落。海外の債券や株式で運用する投信も多く「世界的な株安と円高のダブルパンチ」(大手投信運用会社)に見舞われる。株安が長期化すれば元本割れや分配金の支払いが滞る可能性もある。国内で販売された株式投信の7月末の純資産残高は前月末比約2兆7000億円減の65兆2000億円。14ヵ月ぶりの減少だった。7月後半の世界同時株安などで運用成績が悪化したためだが、その後の急落でさらに資産が減っているのは確実だ。 ◇FX損失、3日で3.6兆円 「相場がここまで荒れると手出しできない」。インターネットなどを通じ外貨を売買する外為証拠金取引(FX)に150万円を投資する都内のIT企業の会社員(28)はあきらめムードだ。FXは少ない元手を証拠金として多額の取引ができるのが特徴で、日本より高金利の通貨に投資しようと、会社員や主婦らの個人マネーが流れ込んできた。低利の円を調達して海外に投資する「円キャリー取引」の一つで、円安の流れをつくってきた。 だが、購入した外貨が一定以上額値下がりした揚合は証拠金を積み増すか、外貨を売却しなくてはならない。急激な円高によって多額の損失が出ているとみられ、JPモルガン・チェース銀行の試算では、14〜16日の3日間でFXの個人投資家の損失は総額約3.6兆円に膨らんだという。これまでの円安局面では、外貨が値下がりすると新たな個人が買い注文を出して外貨高を支えてきた。今回は円高の加速に個人投資家が追いつけず、多額の損失を生んだ。 三菱東京UFJ銀行の武田紀久子シニアアナリストは「1ドル:115円を突破した時点で、個人が我慢できずに損切りを始めて円高が進み、パニック相場になった」と言う。急激な円高は産業界にも懸念材料だ。ソニーや日立製作所、松下電器産業など輸出の比重が高い電機大手の4〜6月期決算では、円安による為替差益が利益を100億〜250億円押し上げた。 円高が長引けば帳消しになりかねない。トヨタ自動車は、1円、円高ドル安になれば、年間営業利益が350億円減るという。単純計算すれば、この2日間で1000億円を超す利益が吹き飛んだことになる。07年度の為替の前提は1ドル:115円。「為替がどのあたりで定着するか、動きを注視したい」(広報)としている。 ◇カネ余り逆回転、先は不透明「世界の実体経済に影響も」 第一生命経済研究所の嶋峰義清主席エコノミストは「今起きている金融市揚の混乱は、リスクマネーへの規律が問われている結果だ」と指摘する。急激な株安や円高が、行き過ぎた円安の逆回転であるなら「正常化」の過程ととらえることもできる。国際決済銀行(BIS)は6月に発表した年次報告書で「異常な円安」を指摘した。いまだに続く日本の超低金利政策が、日本から海外への行きすぎた資金流出を招き、国際経済のリスクになりかねないと警告していた。 だが、世界的なカネ余りの発端は04年前後まで続いた世界的な金融緩和にあったとの見方もある。「低金利で運用難に陥った世界のマネーがより高い金利を求め、リスクのある金融商品に向かった」と牧野潤一・大和総研シニアエコノミストは指摘する。 米国の低所得者向け住宅ローンであるサブプライムローンの債権を証券化した金融商品が世界中の金融機関で購入されていたのは、あくまで「氷山の一角」に過ぎない。米欧は比較的早く金融引き締めに転じたが、不良債権問題やデフレにてこずってきた日本は低金利政策の継続を余儀なくされている。市場の混乱で遠のいたが、日本銀行は正常化に向け再利上げの時期を慎重にうかがっている。 方向感を失った市場が落ち着きを取り戻すには、まだ時間がかかるとの見方が多いが、野村証券金融経済研究所の北岡智哉ストラテジストは「市場の混乱が落ち着くためには、米国の金融政策がどう出るかが大きい」と指摘する。米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、公定歩合を緊急に引き下げるという対応に出た。ただ、各国の金融当局とも、米国の「住宅バブル」などを引き起こした世界的なカネ余りが、本格的な逆回転を始めた時の震度の規模を図りかねているのが実情だ。サブプライム問題による損失の全体像がはっきりしないのに加えて、逆回転がいつまで続くのか不透明なことが、市場心理を不安定にしている。 産業界には「日米の実体経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は良好で、市場も短期間で自律的に回復する」(住友化学の米倉弘昌社長)という見方も少なくない。だが、急激な株安による消費者心理の冷え込みや為替の変動が、世界の実体経済の変調につながらないという保証はない。 ◇株安、円高「カネ余り時代は終息か」 米国の住宅融資の焦げ付きをきっかけにした金融異変は、あっという間に世界へ広がり、傷を深めた。真夏の悪夢に動揺する投資家が多いことだろう。週末の東京市場では、日経平均株価が874円も値を下げ、1万5000円へ近づいた。円相場は一気に上昇し、一時は1ドル:111円台をつけた。米国の住宅融資が抱える不良債権そのものは、米国や世界経済を揺るがすほどの規模ではないとされてきた。 しかし、住宅への融資を証券化した投資物件は、投資ファンドなどを通じて世界中の機関投資家が間接的に保有している。だれがどれだけのババをつかんでいるのか分かりにくい。金融市場は疑心暗鬼になり、貸し渋りが連鎖する信用収縮の状態に陥っている。 日米欧の中央銀行は市場への資金供給を続けているが、不安が不安を呼んでいる面もある。このため米国は公定歩合を急きょ0.5%幅引き下げ、金融機関が中央銀行から資金を直接借りやすくした。きわめて異例の措置だ。不安を抑えるには、主要7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を早急に開き、協調して市場を安定させる決意を示す必要があろう。日本銀行は22〜23日に金融政策決定会合を開くが、利上げを決めるのは難しい環境になっている。 当局が適切に対応すれは、一時的なパニックはおさまるだろう。だが、市揚環境が元に戻るとは思えない。これまで数年間、世界の市場のあちこちでバブル的な活況が続いてきた。世界的な低金利によるカネ余りに加えて、産油国で積み上がったオイルマネー、中国などが輸出で稼いだ外貨といった潤沢な資金がバブルを支えていた。しかし今回の異変で、投資の仲介役を果たしてきたヘッジファンドなどに強い警戒心が出てきた。マネーの流れが逆流しはじめたようだ。 その典型が円資金の動きだ。低金利の円を借り、それを外貨に換えて高利回りの投資を狙う「円キャリー」が急増してカネ余りの一因になっていたが、これが手じまいに向かった。逆に外貨を円へ換え、円を返済しはじめており、円相場の急騰を招いている。いつまでも続くはずがない、と市場から見られてきた現象がある。米国の経常収支の赤字、成長が鈍化すると見られているのに高値圏を更新する米国の株価、それに実質実効レートから大きく円安に振れてきた円相場などだ。 今回の異変は、こうした矛盾を調整する出発点になるかもしれない。その結巣好況が続いてきた世界経済にブレーキがかかる恐れもある。いま悪夢を見ているのではなく、これまで見たのが甘い夢だったということか。まずは、震源地である米国の景気を注視したい。構造的な矛盾が調整される過程では、市場の乱高下を招きやすい。軟着陸へ誘導するのは各国金融当局の仕事だ。 ◇日経平均株価(終値)の主な急落とその要因 年月日----下落額(円)--下落率(%)--要因 87.10.20--3836.48-------14.9----------米国株暴落(ブラックマンデー)が波及 90.08.23--1473.28-------05.8----------湾岸情勢緊迫化による原油価格高騰 95.01.23--1054.73-------05.6----------阪神大震災の国内経済への影響懸念 00.04.17--1426.04-------06.9----------米国のITバブル崩壊とインフレへの懸念 01.09.12--0682.85-------06.6----------米国同時多発テロによる景気後退不安 07.08.17--0874.81-------05.4----------米国のサブヴライム問題による金融不安 ◇円高株安、秋口までか「サブプライム、損失開示を」専門家見通し 急ピヅチの円高、今年最安値を連日更新する株安。米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題に端を発した市場の混乱は17日も続いた。市場の沈静化は秋口までずれ込み、さらなる円高が進む可能性もありそうだ。今後の見通しについてエコノミストたちに聞いた。 エコノミストが予想する日経平均株価の当面の底値は1万4500〜1万5000円だった。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が悪化したという見方よりも「ヘッジファンドに顧客の解約が殺到しており、返済資金に充てる換金のための売りが出ている」(藤戸氏)といった見方が大勢だ。「プロの投資家ですら相場観を無視した売りに出ている」(上野氏)という指摘もある。ファンドなどが売るべき株を市場に出し尽くすまでは当面、株安が続くという意見が目立った。 一方、為替はヘッジファンドによるドル売り円買いが続くため107〜108円まで円高が進むとの見方もあった。円高や株安がいつ反転するのか。株価については、「悪材料の出尽くし感が出れば、底入れが来週くらいから見えてくる」(西氏)との見方もあるが、来月以降にずれ込むという意見が多い。 欧米金融機関の7〜9月期決算が出るのは10月ごろ。、そこでサブプライムローン問題の影響額がわかるまで動揺が続くと見るためだ。白川氏は2〜3週間後には、決算を前にして個別金融機関ごとの影響額などが伝わり始め、市揚も沈静化するのではないかと見る。 市場の動揺を収めるために金融当局はどういう対策を取るべきなのか。対処法としては、欧米の金融当局がサブプライムローンの焦げ付きを抱える金融機関とその損失額を特定し、情報を開示することが必要だとする意見が大勢だった。 一方で、日本の金融当局については、「日本の金融機関の傷は浅い。最大の対応は日銀が利上げを思いとどまること」(上野氏)などの意見があった。日銀が22〜23日の金融政策決定会合で利上げを見送るのは、確実視されはじめている。櫨氏は、「世界的な金余りの要因の一つは日本の低金利。今後、日銀は機会をとらえつつ、今の超低金利を正常化する難しいかじ取りが必要だろう」と話す。 ◇米、市場の不安抑制狙う「公定歩合下げ」株価は急反発 「ワシントン:西崎香」米連邦準備制度理事会(FRB)が17日、金融政策を決める緊急の公開市場委員会(FOMC)を開き公定歩合を引き下げたことは、世界的な不安心理の連鎖を断ち切る狙いがある。発表された声明では「信用状況が厳しく、不透明感が増しており、経済成長が抑制される可能性がある」との緊急引き下げの理由を説明した。 米経済は住宅不況の長期化や金融不安で個人消費や企業の設備投資が鈍化する危険性がある。FRBは、いまのところ「経済は緩やかに成長している模様」とみているが、機動的な利下げで景気後退を防ぐことが優先事項になりつつある。FRBの「最後の貸手」としての責任を全うするため、公定歩合を下げて金融緩和に応じる姿勢をみせた。声明は「金融機関の混乱によるマイナス効果を抑える必要がある。監視を続け、対応する用意がある」と指摘。金融機関の資金繰り悪化で市場や経済全体の信用縮小(クレジット・クランチ)を回避し、市場のパニック感を和らげる戦略だ。 ニューヨーク株式市場からは「金融当局が必要資金を供給してくれる体制を整え、不安心理がかなり和らいでいる」(ディーラー)と歓迎する声が目立っており、同日の取引開始は株価が急反発。住宅ローン最大手のカントリーワイド社が資金繰り悪化で経営難に直面したとの観測があり、公定歩合の緊急引き下げがなければ、不安心理が再び拡大する懸念があった。先進国ではなく、ブラジルやインドネシア、トルコなどの市場も揺らいでいる。金融緩和は、米国発の信用不安の連鎖を防ぐ狙いもある。 「日刊工業新聞2007年8月18日」 ◎タンガロイ「サーメット材使用した刃先交換チップの品ぞろえ拡充」 タンガロイ(川崎市幸区、徳永昭大社長)はサーメット材をつかった旋削用刃先交換チップ「GT/NS700」シリーズのラインアップを強化する。価格は標準型番で798円から。シリーズ全体で初年度7億6000万円の売り上げを見込む。 発売するのは、刃先を研磨していないM級の製品で合計476型番。両面に刃のついたネガチップと片面刃のポジチップ、溝入れチップからなり、これにより同シリーズで外径、内径の切削から溝入れ、突き切りと幅広い加工が可能になる。鋼材仕上げ旋削用のコーティング済みシリーズなど計3シリーズをラインアップする。 「朝日新聞2007年8月17日」 ◎信用不安、市場に増幅 米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発する新たな信用不安の構造が、金融市場を揺さぶり続けている。見えないサブプライムの損失規模と不透明感を強める米国経済。株式市場では再び大幅な世界同時下落が姶まり、急激な円高も進む。金融の動揺は実体経済に及ぶのか。日米欧の金融当局はどう曽動くのか。展開は予断を許さない。 ◇米、頼みの個人消費暗雲 米経済に「サブプライム・ショック」の深刻化とともに金融市場の混乱が長引き、牽引役の個人消費も失速するとの懸念が強まっている。サブプライムの焦げ付きで、投資ファンドや金融機関の巨額損失が表面化。金融市場には資金繰り悪化への懸念や信用不安が強まる。エコノミストの大勢は、7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の伸びを2%台半ばと予想するが、先行きは怪しい。個人消費を刺激してきた住宅価格と株価の上昇という「資産効果」の歯車が、逆回転し始めたからだ。 米自動車メーカーの今年の販売予想は、全体で昨年より約2%少ない1620万台程度。98年に 次ぐ低水準にとどまりそうだ。ガソリンの高騰と景気への懸念が直撃。メーカー幹部は「住宅・金融市場の動向次第で、さらに弱含みになるかもしれない」と懸念する。住宅市場が回復に向かうのは「早くても08年後半」との見方が有力だ。 ローン審査は一層厳しくなり、一般ローンも5月ごろから貸出金利が上昇している。住宅在庫は92年以来の最高水準を記録し、住宅価格は今年、来年とも5%下落するとの予測もある。小売り大手も今週、相次いで弱含みの業績見通しなどを発表した。 証券大手メリルリンチのエコノミストのデビット・ローゼンバーグ氏は「経済はエンスト寸前。今年の実質GDPの伸びは1.8%程度で、08年は当初予想の2.3%達成は無理。消費も08年前半には、ほぼ17年ぶりにマイナスに転じる可能性がある」と見る。(ニューヨーク:西崎香) ◇円高加速、企業業績に影 16日の東京株式市場は、精密機器や自動車、電機などの輸出関連業種が大幅に値を下げた。円高に加え、日本からの輸出を支える米景気の先行き懸念が強まった。東京証券取引所が同日発表した外国人投資家の売買動向(6〜10日)は、3週連続の売り越し。個人投資家が多い新興企業向け市場の東証マザーズやジャスダックも16日、今年最安値を更新するなど、株安で損失を被った個人が売却を急ぎ「売りが売りを呼ぶ」状況だ。 三菱UFJ証券の藤戸則弘・投資情報部長は「サブプライム問題で欧米の金融機関にどの程度の影響が出てくるのか。7〜9月期決算で全容がわかるまでは、株価は不安定な値動きが続くのではないか」と指摘する。複合する金融市場の動揺は、企業業績にも影を落としつつある。16日のロンドン市場では一時、約1年ぶりの1ドル:113円台まで円高が進んだ。低金利の円で資金を借り、海外の株式市場などに投資する「円キャリー取引」が逆流し、株を売って円資金を返済する動きが加速したためだ。 年初から社内レートを1ドル:110円に置くIHIの釜和明社長は「現状では影響はないが、円高がさらに進むと造船、民間航空エンジン事業などにはデメリットがある」。07年度の第2四半期(7〜9月)以降の想定レートを1ドル:115円とする富士通も「これ以上極端に円高が進めは輸出するIT関連機器はつらい」と話す。住友商事の加藤進社長は「金融市場の混乱が長引き世界経済全体が減速すれば、影響は避けられない」と懸念する。 ◇日米欧当局、次の手探る 市場の混乱は、日米欧の中央銀行にも難しい判断を迫っている。9月6日の理事会で追加利上げが確実視されていた欧州中央銀行(ECB)は、見送りに動く可能性が出てきた。市場の動揺にトリシェ総裁は「リスクの再評価という点で正常化が進んでいるとも言える」との見方も示すが、巨額の資金供給を迫られるほどの信用不安に直面し、株価も下げ止まらないからだ。 政策金利を昨年夏から据え置く米連邦準備制度理事会(FRB)は、株価浮揚や一部金融機関の救済を狙う利下げに否定的だが、景気後退を食い止めるため、金融緩和の検討を迫られる可能性がある。市場では、9月18日の公開市場委員会(FOMC)での利下げへ期待感が高まる。22、23日に金融政策決定会合がある日本銀行は、最も微妙な立場だ。 将来の金融政策の変更を予想し取引する短期のデリバティブ市場では16日、日銀の8月利上げの可能性は2割まで低下。8月を有力視していた市場には「株安が落ち着くまで困難」との見方が一段と広がる。ただ、福井俊彦総裁ら日銀執行部が市場動向次第でなお利上げをうかがっている、との見方は消えない。日銀は、実質国内総生産(GDP)の成長率などから、シナリオ通り国内経済は巡航速度で拡大している、と確信を深めているとみられる。 ◇過去のおもな金融不安 ○S&L危機 住宅金融を担う米貯蓄貸付組合(S&L)が、80年代後半の地価下落などで相次ぎ倒産。問題の処理に、当時の国内総生産の約2%にあたる約1300億ドル(15兆6000億円)が投じられた。 ○米LTCM危機 ヘッジファンドの米ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が98年に破綻。金融当局が金融機関に約36億ドル(4300億円)を拠出させて処理。 ○日本の不良債権問題 バブル崩壊後、土地などを担保とした企業融資が不良債権化。みずほ総合研究所によると、処理には92〜06年度で約97兆8000億円が費やされた。 ○米エンロン・ワールドコム危機 01〜02年、エネルギー大手の米エンロン、通信大手の米ワールドコムが不正経理を引き金に相次ぎ倒産。負債は各数兆円規模で史上最大。両社の社債や株を持つ金融機関にも巨額損失が出た。 「朝日新聞2007年8月17日」 ◎住商「ニッケル鉱山に640億円投資」 住友商事は、権益を持つマダガスカルのニッケル鉱山の開発・生産投資に、約5.5億ドル(約640億円)を投じる方針を決めた。日本企業による非鉄金属資源への投資額では過去最大規模となる。需要の高止まりが続くニッケルの権益を、金属資源事業の新たな収益の柱とする考えだ。 同国北西部のニッケル鉱山に、韓国資源公社などと共同出資する。住商の出資比率は27.5%。05年から参画し事業化調査を続けた結果、国際協力銀行を中心とした金融支援を前提に、開発へ踏み切ることを決めた。2010年前半をめどに生産を始める予定。年間生産量は6万トンで、住商はうち50%分の販売権を持つ。総事業費は2500億円程度の見込み。 「朝日新聞2007年8月17日」 ◎リチウム電池の新安全基準「携帯・デジカメに拡大」家電業界 家電関連の4団体は、リチウムイオン電池の新たな安全基準づくりを進める方針を明らかにした。ノートパソコン用電池の基準づくりは進めていたが、松下電池工業が携帯電話機世界最大手のノキアに供給した携帯端末の電池パックに不具合が発覚したことを受け、対象を携帯やデジタルカメラなどにも広げる。 4団体は電池工業会、デジタル家電メー力ーでつくる電子情報技術産業協会(JEITA)、情報通信ネットワーク産業協会、カメラ映像機器工業会で、加盟企業は100社以上に達する。新たな安全基準は、安全検査を厳しくした日本工業規格(JIS)を設け、クリアしなければ製品出荷を見合わせるなどの案が検討される予定。衝撃検査の強化も盛り込まれる見通しだ。 リチウムイオン電池の世界販売量は06年で約20億個。うち半分以上を三洋電機やソニー、松下電池工業など日本勢が占める。国内生産量は06年までの10年間で10倍近くに増えた。ただ、トラブル対策が本格化したのはこの1年足らず。ソニー製電池の事故が昨夏に表面化したことを受け、JEITAと電池工業会が、パソコン用電池について4月、安全指針をようやくまとめたところだ。 産業技術総合研究所の辰巳国昭・蓄電デバイス研究グループ長は「電池の小型化と性能向上を進めるあまり、安全面で余裕を持った設計ができなくなっている」と問題点を指摘。後手に回っていた対策が、ようやく動き出すことになる。(田中康晴、諏訪和仁) ◇安全対策義務化「販売禁止措置も」経産省方針 経済産業省も、リチウムイオン電池のメーカーや輸入事業者に対して、電池の安全対策を義務づける方向で準備を急ぎ始めた。発火防止対策などで一定の水準を満たさない場合に販売を認めないほか、企業への立ち入り検査も実施し、違反企業には罰則も科す方針だ。 消費生活用製品安全法(消安法)の政省令を近く改正し、08年度の施行を目指す。事業者に製品の自主検査を義務づけた消安法の「特定製品」の対象に、パソコンや携帯電話など小型電子機器用のリチウムイオン電池を新たに加える。自主検査で満たすべき安全基準の具体例としては、落下してもショートしない。金属が混入していても発火しない、などを盛り込むことを想定している。9月にも、消費者団体や業界団体を交えた消費経済審議会(経産相の諮問機関)を開き、細部をとりまとめる。 ◇松下、160人体制「対策本部」設置 松下電器産業は16日、ノキア製携帯電話の電池パックが不具合を起こした問題を受け、社内に「リチウム電池市場対策本部」を15日付で設置したと発表した。160人体制で、最大4600万個に及ぶ大量の無償交換がスムーズに進むよう活動する。本部長に佐野尚見副社長が就いた。 「日刊工業新聞2007年8月17日」 ◎川崎汽船「米ロウズから表彰」 川崎汽船は米国のホームセンター大手のロウズ(ノースカロライナ州)から海運の輸送品質が評価され、「06年オーシャン・キャリア・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。ロウズは06年を対象に初めて同賞を企画、川崎汽船が初代受賞となった。輸送のほか、電子データ交換(EDI)の正確さが評価されたという 「日刊工業新聞2007年8月17日」 ◎カーナビ「主流争い激化“純正”新サービスで存在感」 この先のカーナビゲーションシステムの姿を巡り、主流争いが激化している。これまでカーナビの牽引役だったアフターマーケット(市販)市場が成熟化する中、新車に装着する「純正ナビ」で新サービスが相次いで登場し普及に拍車をかけている。一方で低価格と単機能を武器にした簡易型カーナビ(PND)が躍進。自動車、カーナビメーカーともハードの特性を生かした機能やサービスを打ち出している。(石橋弘彰) 「再編の火種」毎年、新機能を盛り込んだ製品を発表する市販市場。かつては地図案内だけをしていればこと足りたカーナビも、カーオーディオやDVD再生などのエンターテインメント機能が融合。さらに高度交通システム(ITS)の進展に伴い、通信機能など新たな機能が続々と盛り込まれ、新商品の開発費が増加している。 「日刊工業新聞2007年8月17日」 ◎いつまで続く受注拡大「造船:カギは中国、2011年が分岐点」 「2011年ごろまで受注拡大は続くだろう」。新造船の受注について、ユニバーサル造船(川崎市幸区)の竹内信社長はこう見通す。造船業界は海運需要をを反映し、03年以来、新船の受注が右肩上がりで伸びている。造船各社の平均手持ち工事量は約4年分を確保し、大手の一部では2012年半ばまで約5年分を受注したケースもある。 造船業界がこれだけ大きな手持ち工事量を確保したのは初めてのことだ。背景には中国などの新興国の経済成長がある。とりわけ、中国の市場は際立つ。英ロイド統計によると、世界の07年の新船建造量は約6500万総トン、うち日本は31年ぶりに過去最高を更新した06年を上回り、約1800万総トン強となる見通し。建造実績では日本や韓国の半分以下の中国が急激に建造設備を拡張。06年の新船受注では日本を初めて抜き、前年比約2.3倍の2432万総トン。 「日刊工業新聞2007年8月17日」 ◎富士通「年度内に島根のノートPCラインに“混流生産方式”を導入」 富士通はノートパソコンを生産する島根富士通(島根県斐川町)で、1ラインですべてのモデルが作れる仕組みを07年度中に構築する。個人向けパソコンと企業向けパソコンなどを同じラインで組み立てる「混流生産方式」を全ラインで導入する。パソコンは受注の変動が大きく、ラインごとの操業度に波があるのが課題だった。これを改善し平準化を進めるのが狙い。既に一部ラインで試験導入しており、ほかのラインにも順次拡大する。 島根富士通は国内外で販売するノートパソコンの生産拠点。一日当たりの生産台数は1万3000〜1万5000台。1人の作業者が複数の工程をこなすセル生産方式を導入している。セルを連ねたラインは合計20あり、そのうち8ラインが個人向けパソコン、残りが企業向けや海外向けパソコンを生産。個人向けと企業向けなどで出荷前にインストールするソフトウエアが異なることなどの理由で、生産ラインを分けていた。 今回、個人向け、企業向けなど異なるモデルのソフトをインストールできる仕組みにした。「まとめてつくらず必要な数だけつくる。在庫削減にもつなげる」(山森章朗島根富士通社長)という。富士通のセル生産は組み立てから検査までを複数人で手分けして行う。ハードディスク駆動装置の取り付けなどの工程は流れ作業にしている。 「日刊工業新聞2007年8月17日」 ◎シャープ「欧州でフルHD液晶TVの旗艦モデル投入、品ぞろえ拡充」 シャープは欧州市場で高精細なフルハイジョン(HD)パネルを採用した液晶テレビの最上位モデルなど2種類のシリーズを投入する。現時点でフルHDの発売モデルは1種類だけだが、フラッグシップ(旗艦)とそれに次ぐ高性能の2シリーズを年末商戦に向けて新たに発売する。旗艦モデルはハードディスク駆動装置(HDD)を内蔵するなど欧州専用仕様品とする。フルHDの液晶テレビを一気に拡充し、日本、北米に比べ手薄だった欧州市場を攻略する。 旗艦モデルは52型、46型を今月中に発売する。記録容量160ギガバイトのHDDを内蔵し、通常の2倍近い表示速度の100ヘルツ駆動(毎秒100コマ表示)で映す。通常の番組を一時停止した時点からさかのぼって視聴できる「タイムシフト機能」も同社では初めて搭載。欧州専用仕様という点を訴え、量販店の売り場で存在感を高める。 高品位モデルは52型、46型、37型、32型を用意する。最上位と同じく100ヘルツ駆動だが、HDDは内蔵しない。同モデルはポーランド工場で液晶モジュールの工程から完成品組み立てまでを一貫して行う。 シャープは06年夏に40型以上の大型パネルを製造する亀山第2工場(三重県亀山市)を稼働し、06年末から国内で最上位、中級、普及機種の3シリーズを展開中。07年初めから北米も国内と同様に3シリーズを展開しているが、欧州は品ぞろえの拡充が遅れていた。7月から亀山第2工場の生産能力を倍増し欧州への供給体制も整ったと判断、国内、北米と同様に3シリーズを展開する。 欧州でシャープのブランド認知度はソニーやフィリップス、サムスンなどに比べて低いのが実情。高機能モデルの投入により認知度を高める。同社の液晶テレビは欧州市場で07年度は220万台の販売を計画する。 「朝日新聞2007年8月16日」 ◎松下「5月に不具合特定」電池過熱3ヵ月間公表せず 携帯電話の世界最大手、フィンランドのノキアが松下電池工業製の電池パック4600万個を自主交換すると発表した問題で、松下側が今年5月までに製造上の不具合が原因で電池が過熱すると特定していながら、公表していなかったことが15日、分かった。その後、国内では7月と8月に事故が起きている。 関係者によると、松下電池がノキアから初めて電池が過熱する不具合の情報を知らされたのは06年12月。松下電池の本社工揚(大阪府守口市)のノキア向け電池の製造ラインは、11月に改修を終えていたため、同社は当時の製造工程を再現したり、過去の製品を分解したりして、原因の究明を進めた。 その結果、今年5月までに、松下電池の製造ミスが原因で電池内部がショートして不具合が起きたことを突き止めたという。ノキアにも報告したが、同社が公表をためらった模様だ。 電池をノキアに供給する松下は、ノキアの意向に反し、独自に公表することは出来ないと判断したとみられる。 その後、同じ電池を使う製品で7月に大阪府内で、8月には静岡県内で事故が起きた。それを直後に把握していたにもかかわらず、経済産業省に報告していなかった可能性も明らかになっている。 松下電池は「原因を把握したら早く公表するのは当然だが、今は把握した時期を含めてお答えできない」(広報)と話している。ノキア本社は「不具合の報告があった時点ですぐに松下と調査を始めた。(製造ミスで)不具合が起きる可能性があると特定したばかりだ」(広報担当者)として、特定時期は明らかにしていない。(上栗崇) ◇携帯火災・ノキア、事故直後把握「先月末、経産省が経緯調査へ」 松下電池工業製のリチウムイオン電池を搭載したノキアの携帯端末が7月28日に日本国内で火災を起こし、ノキアの日本法人側も直後に「事故」を認識していたことが分かった。同社が不具合を公表した8月14日までの間には別の発熱事故も起きており、経済産業省は同社の対応が被害を拡大させた可能性もあるとみて、公表までの経緯を詳しく調べる方針だ。同省への同社の報告によると、端末火災は7月28日、大阪府内の住宅で起きた。充電中に電池パックが過熱して膨張し、煙や異臭が発生。床の一部が焼けた。 輸入事業者であるノキアの日本法人には消費生活用製品安全法上、火災などの重大事故を知ってから10日以内に経産省に事故を報告する義務がある。同社は同30日夜、販売した通信事業者のソフトバンクモバイル(旧ポーダフォン)から事故の報告を受けたものの、「火災」と分かったのはソフトバンクから再度連絡を受けた8月6日だったと説明。14日に電池の不具合を公表し、6日から数えて期限ぎりぎりとなる15日に同省に正式に届け出た。その間の7 日には静岡県で、電池の発熱が原因でベッドが焦げる事故が起きていた。 こうした経緯について、同省は「法律には、火災でなくても積極的に事故情報を収集し、公表する努力義務がある。消費者を第一に考えた対応をすべきだった」と問題視。火災と認識したのが6日以前だった場合には同法違反に当たる可能性もあるとして、ノキアに対し、関係者間の当時のメールのやり取りなどの提出を促したことを明らかにした。 一方、フィンランドのノキァ本社の広報担当者は14日の朝日新聞の取材に対し、日本も含めた事故について「救急車が来るような事態は聞いておらず、深刻な事態ではないと判断した。松下から不具合が起きる可能性はとても低いと聞いていた」と説明。公表までの経緯については「顧客からの報告をつきあわせて問題を分析し、注意喚起するに至った」と話した。 問題となっている松下製の電池を組み込んだ機種を巡っては、これまでに世界中で約100件の発熱などの不具合が報告されている。(田中美保、ロンドン:青田秀樹) ◇不具合、連絡してもメーカー公表せず「通信会社から不満の声」 不具合事象を連絡してもメーカー側はなかなか公表に踏み切らず、その間に2例目の不具合まで発生。今回のノキア製携帯電話の電池パック回収・交換では、日本の通信会社も対応に苦慮した。交換の連絡や手続きなどで契約者との窓口となるだけに、ノキア・松下電池工業の手続きに不満も出ている。 ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)は自社の携帯端末の霜池過熱事故が7月28日、8月7日と相次いだことについて、ノキア・ジャパンに原因究明と早期の公表を求めた。しかし関係者によると、「注意喚起だけでも急がないと、また発生しかねない」と迫るソフトバンクと「原因究明がまだ。不確定な情報を出す方が消費者を混乱させる」とするノキアの押し問答が続いたという。 13日になって、松下電池から「電池パックが原因だと推定される」という報告がソフトバンクに入った。それでもメーカー側は公表を決めきれなかったため、しびれを切らしたソフトバンクの取締役は深夜に松下電池社長に電話し「早い公表」を要求。ソフトバンクとして自主的に端末交換に乗り出す準備まで内々に進めた。 「ソフトバングから重要なお知らせ」電池パックの交換を発表した直後の14日午後10時ごろ、対象の携帯端末を持つ契約者にメールが届いた。すばやく連絡できたのは、自社端末で過熱事例が起き、準備できた面もある。 NTTドコモは対応が後手に回った。「ノキアと松下電池からの報告は発表日の朝。それまでは一切知らなかった」。契約者への連絡体制づくりすら間に合わず、コールセンター(0120・193・090)は15日にようやく設置した。(中野和郎) 「日刊工業新聞2007年8月16日」 ◎昭和シェル石油「宮崎県にCIS太陽電池工場を建設、09年稼動」 昭和シェル石油は15日、子会社の昭和シェルソーラー(東京都港区)が銅・インジウム・セレン(CIS)太陽電池の建設工場を宮崎県に建設すると発表した。投資金額は約150億円。生産能力は一般家庭1万5000世帯分に相当する年間60メガワットで、CIS太陽電池の工場として世界最大となる。09年上期に生産を開始。グループの販売網を通じ全国に販売する。 CIS太陽電池は銅やレアメタル(希少金属)を主原料とした薄膜型太陽電池の一種。世界的な需要の高まりで価格が上昇しているシリコンを使用しないのが特徴で、生産コストを低く抑えることが可能になる。同社では既に宮崎市内に生産能力20メガワットのCIS太陽電池工場を設置、7月から商業生産に入っている。 「日刊工業新聞2007年8月16日」 ◎日産とルノー「インド新工場に柔軟性の高い生産ライン構築」 日産自動車と仏ルノーは09年に稼働するインドの新工場(チェンナイ)で、両社の拠点の中で最も柔軟性の高い生産ラインを構築する。新工場は現地の自動車メーカー、マヒンドラ&マヒンドラを加えた3社合弁で運営。一つのラインで最大で4車台(プラットホーム)、8車種を混流生産できるようにする。同工場は3社が共有する特異な形態で、より多くの車種をつくる必要がある。インドは今後、「超低価格車」の供給基地になる可能性が高く、生産革新でコスト低減を目指す。 インド新工場で生産を計画しているのは、日産が新規開発しているAセグメント(排気量1000cc級)車台の小型車、スポーツ多目的車(SUV)、ルノーの「ロガン」の派生車など。またマヒンドラの独自ブランド車も生産する。 「日刊工業新聞2007年8月16日」 ◎4〜6月の世界半導体製造装置「出荷額は15.3%増」 半導体製造装置・材料関連業界団体のSEMIがまとめた07年第2四半期(4〜6月)の世界半導体製造装置出荷額は、前年同期比15.3%増の110億6000万ドル(約1兆3272億円)となった。07年第1四半期(1〜3月)比では2.9%増加した。年初にメモリーメーカーの投資が旺盛だったため、第1四半期に比べると第2四半期は緩やかな伸びとなった。 地域別で見ると韓国は前年同期比15.8%増、中国は同2.1倍、台湾は同79.5%増とそれぞれ大幅に伸びた。だが、前四半期比では韓国が28.7%と大幅に減少した。一方、07年第2四半期の受注額は、前年同期比18%減の102億2000万ドル(約1兆2264億円)、前期比では4%減少した。 「朝日新聞2007年8月15日」 ◎松下製電池、4600万個回収「ノキア、携帯に搭載」 携帯電話機世界最大手、フィンランドのノキアは14日、同社の携帯端末に搭載した松下電池工業製のリチウムイオン電池4600万個に発熱の恐れがあり、消費者の求めがあれば無償で交換に応じる、と発表した。両社によると、松下電池の製造ラインの不具合が原因で回路がショートするとみられる。大規模な回収は世界の利用者に影響し、交換費用の負担や信用力の低下で、松下電池や親会社の松下電器産業の経営に影響しそうだ。(ロンドン:青田秀樹、上栗崇) ◇発熱事故、国内2件 対象の電池はノキアブランドの「BL-5C」で、複数の電池メーカーで3億個以上生産された。うち回収対象の松下製品は、05年12月〜06年11月に大阪府守口市の本社工場で製造。この電 池を搭載した端末は世界中に出荷されており、日本ではNTTドコモ、ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)などから約32万台販売され、16万〜17万台が現在も稼働しているとみられる。 ノキアなどによると、電池の異常発熱などの不具合が世界で約100件報告された。日本でも2件あり、発熱で床やベッドが焦げたという。事例はすべて充電中で、深刻なけがなどの報告はなく、充電器などの周辺機器にも影響がない、としている。 松下電器や松下電池の説明では、不具合のある電池は、製造工程でプラス電極とマイナス電極を隔てる絶縁シートが破れ、両極が接触している可能性があるという。不具合は全体の1%未満とみられるが、充電時に大きな電流が流れるとショートし、最高数百度まで過熱して携帯本体のプラスチックが溶けたり、内部でガスが発生して電池パックが膨張し、最悪の場合パックが裂けたりする可能性もある。 06年11月に効率化などのためラインを改修したことで、製造工程の不具合は解消されたが、その時点では「不具合が発生していることを把握できていなかった」(松下電池広報)としている。ノキァは「問題が起きるのは、とてもまれなケース」としつつも、消費者に注意を呼びかけ、松下とともに規制当局に協力して調査を進める方針。ノキアは「不具合情報が増えてきたので、顧客の安全を考えて素早く対応した」(広報担当)と強調している。 これに対し、電気製品の安全性を監督する経済産業省内には「悪質な報告義務違反とまでは言えないかもしれないが、世界で事故が100件起きているのに、夕方に事実を公表するなど消費者をなめているのではないか」と厳しい見方がある。今後、ノキア、松下の対応が妥当だったか問われる可能性もある。 リチウムイオン電池では昨年、ソニーのパソコン向け電池に過熱や発火の恐れがあり、最終的に960万個を回収。三洋電機も、三菱電機製携帯電話用電池に過熱や破裂の恐れが生じ、130万個を回収している。今回の松下製電池の回収規模は、それを大きく上回る。相次ぐ大規模な製品の不具合は、日本メーカーに対する信頼も大きく傷つけかねない。ノキアは、携帯電話機の世界シェアの3割超を握る最大手。交換費用は、ほぼ全額を松下電池が負担するとみられ、200億円超まで膨らむ可能性もある。 ◇対象機種見分けるには NTTドコそやソフトバンクモバイルは「現在、稼働している端宋はほとんど交換対象に該当しそうだ」とみている。対象の携帯ほ、04年8月〜07年6月に売り出されたノキアNokia3120、Nokia6630、NokiaWireles、GPS Module LD-3W、NTTドコモのFOMA NM850iG、ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)のVodafone702NK、Vodafone702NKUVodafOne804NK。問題の電池パックが使われているか正確に知るには、製造番号までチェックする必要がある。パックの表面に「Nokia」「Bl-5C」と記載されているかを確認。該当したら、パック裏面の下部に書かれた26字の製造番号を調べ、回収対象かどうかをノキアのウェブサイトか、各社のコールセンターで確認する。ノキアのコールセンターは電話0120-830-670。ソフトバンクモバイルは電話0088-21-0035。NTTドコモは準備中。携帯各社は、該当する利用者にメールなどでも連絡する方針だ。 ◇携帯電池事故「空前の規模松下直撃」ミス気づかず1年製造 ソニー、三洋電機に続き、松下電器産業の子会社のリチウムイオン電池でも製品事故が起ぎた。対象の4600万個は全世界に広がり、交換は簡単ではない。業績面の影響は現時点では不透明だが、日本を代表するものづくり企業が相次いで問題を起こしたことで、高性能、高品質で認められている「メード・イン・ジャパン」の信用低下は避けられない。(上栗崇) 4600万個の回収は、ソニー製リチウムイオン電池の960万個をしのぐ史上空前の規模だ「09年度の売上高10兆円達成」を掲げ、現在49%の海外での売上高比率を60%に高めるなど海外シフトを掲げる松下にとって、大幅なイメージダウンは避けられない。 交換の対象が膨れあがったのは、電池内部の絶縁シートが破れてショートするという致命的な製造ミスが起きていながら、最近になってノキアから指摘されるまで気付くことができず、1年間も不良品を作り続けたためだ。 06年11月に効率化などのため製造ラインを改修したことで不具合は解消された。しかし、その時点でも松下は製造ミスを把握していなかった。4600万個という数字でさえ幸運だったとも言える。交換費用も巨額になりそうだ。昨年12月に起きた三洋電機製の携帯電話向け電池のリコールでは、130万個の回収・交換に約20億円かかった。ソニーはパソコン用バッテリー960万個のリコールに510億円の費用を計上している。今回は、単純計算すれは、松下に最大で数百億円の負担が生じる可能性もある。07年3月期の営業利益が4595億円の「巨艦」松下といえども経営への影響は避けられない。 ◇日本製、相次ぐ欠陥 日本の大手電機メーカーの製品事故は最近、相次いでいる。リチウムイオン電池に限らず、松下も今年5月に、電子レンジや冷蔵庫、衣類乾燥機に発火の恐れがあるとして合計約305万台のリコールを発表したはかり。全世界で高い信頼を獲得している「メード・イン・ジャパン」の根幹が揺らぎかねない。 リチウムイオン電池は、小さいが1度の充電で長持ちするのが特徴。小型、高機能化するノートパソコンや携帯電話、ゲーム機、携帯音楽プレーヤーなどで用途が広がっている。07年の世界市場の規模は20億個以上といわれる。このうち、約半分が携帯電話向けで、25%がノートパソコン向けだ。 ただ、充電しながら、機器を使うと過熱しやすいのが弱点だ。経済産業省によると日本メーカー全体の05年のリチウムイオン電池の販売額は2891億円で、10年間でほほ8倍に増えた。 市場調査会社の富士キメラ総研によると、世界シェア(06年)は、三洋電機が26%、ソニーが14%、韓国のサムスンSDIが11%、松下電池工業が10%と上位を占めるとみられる。中国や台湾メーカーの追い上げも激しい。国内各社は利益を確保するため、徹底した生産コストの削減に取り組んでいる。こうした削減努力が結果的に、安全確保のためのコストにも及んでいる可能性は否定できない。 ◇最近の主な電機メーカーの製品事故 05年04月「松下電器産業」石油温風器で一酸化炭素中毒による死亡事故発生で、15万台リコール。 06年08月「ソニー」米デルやアップルコンピュータ、東芝などのノート型パソコン向けのリチウムイオン電池に過熱や発火の恐れ、960万個リコール。 06年12月「三洋電機」三菱電機製の携帯電話向けのチウムイオン電池に過熱や破裂の恐れ、130万個リコール。 07年01月「三洋電機」洗濯乾燥機、16万台に発火の恐れがあるとして04年に続いて再リコール。 07年03月「三洋電機」中国・レノボ製のノート型パソコン向けのリチウムイオン電池20何個に発火の恐れ。 07年03月「シャープ」洗濯機、約52万台に発火や発煙にたいする不具合。 07年05月「松下電器産業」電子レンジ、冷蔵庫、衣類乾燥機に発火の恐れがあるとして、計305万台をリコール。 「日刊工業新聞2007年8月15日」 ◎ヤクルト本社「抗がん剤効果を最大限に生かせる新規化合物を発見」 ヤクルト本社は、抗がん剤の効き目を弱めるたんぱく(BCRP)を阻害する新規化合物を見出した。抗悪性腫瘍剤「カンプト注」(一般名塩酸イリノテカン)と併用することで、「カンプト注」の効果を最大限に生かせる新薬候補として安全性や毒性などを確認する非臨床試験を開始した。ヒトでの臨床試験は2年後に米国で開始する模様。同社は「カンプト注」に次ぐ有力抗がん剤を目指して同化合物の研究開発に注力する。 新規化合物はBCRP阻害剤と呼ばれるもので、既に「カンプト注」の耐性にBCRPが関係していることを確認している。BCRPを阻害することで「カンプト注」の効果を最大限に生かせる可能性が高いことから、「カンプト注」との併用療法を念頭に非臨床試験を始めた。「カンプト注」は、同社の主力製品として国内外で販売してきたが、国内では9月、米国では08年2月、欧州では09年7月に特許が切れる。 「日刊工業新聞2007年8月15日」 ◎外資系CADメーカー、日本市場で販売を強化 外資系の3次元CADメーカーが日本市場での販売を強化する。独コクリエイト・ソフトウェアは8月、電話で営業活動を行う専門部門を新設。CADの保守契約の締結や新製品の導入を促す。米オートデスクは08年までに10人以上の営業部隊の増員を計画する。製造業の旺盛な設備投資を背景にCAD関連ソフトへの需要が増しており、商機に即応する。 コクリエイト・ソフトウェアの日本法人であるコクリエイト・ソフトウェア(東京都府中市)は、「テレマーケティング部」を新設した。11月までに同部に3人配置し、保守契約を締結していない顧客や自社の無償CADを使う顧客らを対象に電話での営業活動を始める。また07年度中にも直接販売や代理店支援などを行う営業部門を4人増員し17人体制に拡充。さらにCAD活用支援などを行う部門は、最大で2人増やし20人体制とする。今後、日本での売上高は前年度比10%以上の増加を見込む。 「日刊工業新聞2007年8月15日」 ◎NECソフト「イメージ処理ソフトの最新版を発売」 NECソフト(東京都江東区、国嶋矩彦社長)は、画像データのフォーマット(形式)を一括変換するイメージ処理ソフトの最新版「イメージアクターコマンド」を発売した。複数のデータ形式を3年間で2000万円の売り上げを見込む。 最新版は、メーンフレーム(大型汎用機)上に保存している画像データ形式とウィンドウズ対応の画像データ形式を、ビットマップ形式に一括変換することができる。データの移行作業時間の短縮につながるほか、キーボードを用いたコマンド(命令)操作により、既存システムと連携しやすくなる。 「朝日新聞2007年8月14日」 ◎カイシャ再考「買収への緊張感、プラスも」 最高裁がブルドックソースの買収防衛策は適法との判断を下した7日、金属加工油剤大手のユシロ化学工業の役員らはネットの速報を見ながら意見を交わした。ブルドックの防衛策の発動差し止めを求めた米系投資ファンドのスティール・パートナーズはユシロの大株主。今回の判断がユシロの経営に影響するのかどうか。速報だけでははかりかねたが、役員らは「これまで通り緊張感を持ち続けるしかない」とうなずきあった。 スティールがユシロの株を持ったのは02年11月だった。それから5年、ユシロは13.69%の株を持つ筆頭株主、ステイールと付き合っている。最も緊迫したのは03年12月18日だった。「株式公開買い付け(TOB)を明日から始めます」と突然通告を受けた。 スティールが株を取得して以来、企業業績についての説明や「配当を増やして下さい」などという要望を聞いてはいたが、TOBの話が出たことはなく、ユシロ側は驚いた。配当を10倍以上にして株主が株をスティールに売ると損をする防衛策をとり、TOBをなんとか防いだ。 ユシロは04年春から機関投資家への業績説明会を始め、内部統制制度を導入し経営刷新に努めた。高配当も維持した。 スティールの要求はしずまった。07年度は配当を下げる方針だ。広部雅久常務は「取引先の自動車業界が好調で設備投資を増やす。配当は減らさざるを得ない。スティールも理解してくれた」と話す。スティールは無理難題を要求する株主とはかりは言えない。スティールは「株取得は3〜5年、もしくはより長期保有が基本」(リヒテンシュタイン代表)という。 ユシロ株取得から5年がたち、新たな動きが出るかもしれない。緊張感はゆるめられない。 07年度の経済財政自書は敵対的買収への警戒感について「こうした意識が経営の規律付けを通じて企業価値の向上にプラスの影響を与えることが考えられる」と評価した。外資系ファンドを苦々しく思うだけでは会社は良くならない。 「日刊工業新聞2007年8月14日」 ◎ISS、基幹ネットのIPS機能装備した用途特化製品を出荷 インターネットセキュリティシステムズ(ISS)は企業や通信事業者向けに、基幹ネットワークの不正侵入防御(IPS)機能を備えたアプライアンス(用途を特化した製品)「ネットワークIPS GX6116」を9月3日に出荷する。価格は2500万円。 パケットの高速処理に最適なネットワーク・プロセッシング・ユニット(NPU)を搭載。高い負荷がかかる基幹ネットワークで処理性能を損なわずに包括的な事前防御機能を提供する。8個のネットワークセグメントを防御し、最大毎秒6ギガビットの通信処理の監視や防御が可能。携帯端末向けインターネット・プロトコル・マルチメディア・サブシステム(IMS)、インターネット・プロトコル音声通話(VoIP)などの次世代ネットワークにも対応する。 また、データのリクエストから転送されるまでの遅延時間(レイテンシー)の設定も可能。ネットワーク管理者は処理能力と許容範囲内のリスクをコントロールできる。 「日刊工業新聞2007年8月14日」 ◎エプソンイメージングデバイス「国内で2-アミノエタノール全廃」 エプソンイメージングデバイス(長野県安曇野市、有賀修二社長)は、環境汚染物質排出移動登録制度(PRTR)対象化学物質の「2-アミノエタノール」の使用を国内事業所で全廃した。同物質は液晶ディスプレー製造のフォトリソ工程で使うレジスト剥離液の主成分。07年度内に使用全廃を目指す計画を03年度に策定し、開発した代替薬液の導入に取り組んでいた。 同社が取り扱うPRTR対象化学物質の中でも「2-アミノエタノール」は使用量が多いため、鳥取事業所(鳥取市)を中心にその削減を重点的に進めた。05年度に210トンあった使用量を全廃したことで、PRTR対象化学物質全体の取扱量も半減している。今後は中国拠点の蘇州エプソンでも代替薬液に全面的に切り替え、08年度内に国内外すべての事業所で全廃する。 「日刊工業新聞2007年8月14日」 ◎住友電工ハードメタル「本社と北海道で切削工具素材を増産」 住友電工ハードメタル(兵庫県伊丹市、倉阪克秀社長)は、本社と北海道の工場で切削工具の素材を増産する。08年1月には超硬素材の生産能力を現状よりも25%増加、同年9月からは立方晶窒化ホウ素(CBN)とダイヤモンド両工具の素材生産を50%増やす。一連の投資額は23億円。素材の供給能力を高め、工具の量産につなげる。 超硬工具の素材を生産するのは子会社の北海道住電精密(北海道奈井江町)。タングステンカーバイドなど超硬工具の原料粉末を混合・造粒し、工具に成形する前の素材に仕上げている。この工程の建物を8億円かけて約1.3倍に増築。超硬工具素材の生産能力を重量ベースで25%伸ばす。超硬素材の供給能力を高めることで、完成品の刃先交換式チップやドリル、エンドミルの生産増に結びつける。 「日刊工業新聞2007年8月14日」 ◎明清産業「沖縄・中国に工場新設。ヘッドホン用銅線を増産」 「前橋」明清産業(前橋市、力石常明社長)は、携帯型音楽プレーヤーのヘッドホンコードに用いるウレタン被膜銅線集合線を増産する。8億円を投じ、沖縄県うるま市の特別自由貿易地域と中国・広東省広州市に工場を新設、生産能力を現在の5倍に当たる月間1000万メートルに引き上げる。これにより06年12月期に約15億だった売上高を2010年12月期には2倍の約30億円に引き上げる。 今回の増産は取引先の要請を受けた格好。沖縄工場への投資額は4億円で、すでに稼働を始めた。銅線をよる集合機を中心に設備を導入。12人体制で立ち上げ、12月までに25人に増員する。群馬県などにある既存工場では生産スペースを確保できなかったため、融資制度が充実し、保税工場として利用が可能なうるま市に拠点を設けた。沖縄工場は敷地面積約4700平方メートル、延べ床面積約1500平方メートル。 「朝日新聞2007年8月12日」 ◎ロボットにも「倫理憲章」 韓国政府、今年末を目標に 世界初となる「ロボットのための倫理憲章」の制定を、韓国政府が進めていると、AFP通信が報じた。同国では人間に代わって家事や子守をしてくれる「サービスロボット」の開発が急ピッチで進んでおり、人間のすぐそばで活動するロボットの安全性を確保する規則作りが必要と判断した。今年末までの制定を目指しているという。 同通信によると、憲章づくりは科学者や医師、心理学者、ロボットの開発者ら12人のチームが中心となって進める。ロボットの管理とコントロールを厳格に行い、ロボットが好ましくない目的に使われたり、ロボットが必要とするデータが勝手に書き換えられたりしないようにすることを目的にしているという。 ロボット開発では、日本が「ヒト型」、米国が「軍事」で先行する。韓国はこれに対し、子どもの勉強や遊びの相手になったり、皿洗いなどや掃除などの家事を代行したりする「サービスロボット」に開発資源を集中することで巻き返しを狙う。憲章の制定をきっかけに、この分野で世界をリードしたい考えだ。 チームの代表を務める韓国明知大のキム・デウォン教授も「憲章の目的は、人間とロボットがどのようにして共存していくかを考えるもので、ロボット開発を制限するものではない」と話す。 しかし、同国のロボット産業界には「我々が必要としているのは、こんな総合的で抑制力のない宣言ではなく、もっと専門的なガイドラインだ」という声もある。 「朝日新聞2007年8月12日」 ◎三洋「携帯事業売却を検討」当期黒字確保へ“虎の子”放出 経営再建中の三洋電機が、携帯電話事業の売却を検討していることが11日、分かった。米ファンドなどと売却交渉を進めている半導体事業の主力工場が新潟県中越沖地震で被災し、売却価格が大幅に下落するおそれが出てきたため、今年度の当期黒字を確保するために携帯事業の売却益計上を視野に入れる。金融機関などを通じ複数の国内メーカーに交渉を打診している模様だ。 三洋の携帯電話事業は国内シェア5〜6位だが、日本企業で唯一アメリカの携帯通信大手スプリント・ネクステル向けに端末を提供しているのが強み。米国向けの販売強化を狙う国内メーカーが買収に名乗りを上げる可能性がある。 三洋は08年3月期決算で4年ぶりの当期黒字達成を見込む。地震の余波で半導体事業の売却価格がこれまで見込んでいた1500億円超から1000億円程度まで下がる可能性が出てきた。売却価格が大きく下ぶれすれば当期赤字になる見通し。このため、半導体の売却交渉をにらみながら、携帯事業についても売却を検討せざるを得なくなったとみられる。 三洋の携帯部門は07年3月期決算で初の営業赤字に転落。4〜6月期も販売がふるわず、通期の販売計画を1250万台から1100万台に引き下げた。 三洋は充電池など中核事業への集中を進めており、1機種あたり100億円とも言われる携帯電話への開発投資が重荷となっている。 11月末をめどに事業再編計画をまとめる予定で、携帯事業売却も計画に盛り込まれる可能性がある。 「朝日新聞2007年8月12日」 ◎アジア途上国で格差拡大「アジア開銀が報告書」社会基盤投資に偏り アジア開発銀行(本部・マニラ)は、アジアの不平等についての報告書をまとめた。中国を筆頭にアジア各国の経済は好調だが、90年代以降「途上国では貧困層が豊かになるスピードよりも、富裕層が豊かになる方が速い」と指摘。格差の拡大で社会が不安定になり、成長を妨げる恐れもあると警告している。 調査対象の22ヵ国・地域のうち、カザフスタン以外では上位20%の富裕層が1ヵ月間に支出する金額の伸びが、下位20%の貧困層の支出の伸びを上回った。格差拡大の要因としては、都市部とそれ以外で社会基盤への投資や教育水準の違いが大きいことを挙げた。 市場経済化や経済の国際化が一因の事例が目立つとも指摘したが「(それらによる)途上国の利益は極めて大きく、後戻りの必要はない」と強調。問題の解決には、労働者の技能や保健・教育の質の向上といった政府の施策が必要だ、としている。 「朝日新聞2007年8月11日」 ◎東芝「ウラン権益取得へ」 東芝が、カザフスタンのウラン鉱山の権益を丸紅から取得する方向で交渉していることが10日、分かった。丸紅は権益の55%を保有しており、このうちの22.5%を譲り受ける方針だ。今月下旬にも合意する見通しで、取得額は数百億円規模とみられる。国内重電メーカーがウラン権益を持つのは初めて。ウラン採掘から原発建設までを一貫して手がける、国際的な原子力複合体を構築するのがねらいだ。 東芝は、子会社の米原子力大手ウェスチングハウス(WH)の株式の一部を、カザフ国営カズアトムプロムに売却することになっている。さらに、東芝本体がウラン権益を取得することで、世界第2位のウラン埋蔵量を持つカザフとの関係を強化する。東芝が取得するのは、カズアトムプロムが開発を進めるカザフ南部のハラサン鉱山の権益。現在は、カズアトムプロムの関係会社の株式を丸紅のほか、東京電力が30%、中部電力が10%、東北電力が5%保有している。 「朝日新聞2007年8月11日」 ◎深い石炭「地中でガス化」丸紅ベトナムで実用化試験 丸紅は、地中深く埋蔵する石炭をガス化して取り出す次世代技術の実用化に、ベトナムで同国政府などと共同で取り組むことを明らかにした。困難とされる深層での石炭採掘のコストを下げるほか、二酸化炭素(CO2)排出量の削減にも有効と期待する。取り出したガスは発電の燃料とするほか、将来は日本への輸入も計画している。 新技術は、石炭層に地上から穴を掘って空気を送り込み、着火して不完全燃焼させることで発生する水素や一酸化炭素の合成ガスを、別の穴から取り出す。地下層を天然の「釜」とするため、設備を建設する費用を省くことができる。このガスで発電した場合、通常の石炭発電よりもCO2排出を2〜3割削減できる、とのデータもあるという。 丸紅とベトナム石炭鉱産物公社、豪リンク・エナジー社が今月、この技術による共同事業化で合意した。数年内に発電を開始。最終的な発電量は400メガワット規模にする予定で、ベトナム政府が25年契約で電力を買い取る。事業費は数百億円の見込み。 「朝日新聞2007年8月11日」 ◎温室ガス削減、戦略なし「環境・経産審議会・中間報告」 地球温暖化をもたらす温室効果ガスの排出量を90年度より6%減らすという京都議定書の削減目標達成に向け、政府計画の見直し作業をしている環境省と経済産業省の合同審議会が10日、中間報告をまとめた。今の計画のままでは6%は減らせないとの見通しが示されたが、さほど代わり映えのしない追加対策がならぶ。すでに削減は待ったなしのところまで来ているものの、目標達成への道筋は見えて来ない。 ◇原発痛手、対策も割れる 「ゆゆしき事態。抜本的対策を打ち出さないと6%の削減はできない」10日、東京都内で開かれた合同会合。現在の政府計画のままで、2010年度にどれだけ国内排出量があるかの推計結果が示されると、約50人の委員が居並ぶ会場から、発言が相次いだ。 焦点の一つだったのは原発稼働率の問題だ。東京電力社長の勝俣恒久・電気事業連合会会長は「改めて深くおわびする。復旧はいつか確定できない」と柏崎刈羽原子力発電所の問題に触れた後「電事連として自主目標達成に向けて今後も努力する」。 電事連は、発電量あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を90年度比2割改善する目標を掲げる。達成できれば削減効果は年間約7000万トンだが、相次ぐ原発の停止で05年度は90年度より悪化した。さらに新潟県中越沖地震の影響が加わる。 2割削減がまったくできなければ、国内排出量は5%増加する。電力会社は月力では目標に届かないとみて、海外からCO2の排出枠の購入を進めている。すでに3000万トンを確保したという。いずれは電力料金にはね返るかもしれない。ある委員は「電力会社だけに責任を放り投げるのは国家政策として適切なのか」と批判した。 中間報告の推計によると、10年度の国内の温室効果ガス排出量(CO2換算)は、電力が目標を達成したという前提でも90年度を最大2.1%上回り、国際約束の6%削減には、森林吸収分などを勘定に入れても3400万トン届かない。 産業部門は減少するが、オフィスなどの業務部門や家庭部門では大幅な増加が見込まれる。 対策は、産業に対しては各業界の自主行動計画を柱にしており、業務、家庭については国民一人ひとりの取り組みから住宅などの建築物の省エネ性能向上まで様々な追加対策を盛り込んだ。 埋め合わせなけれはならない数値を前に、どこに重点を置くべきかについては各委員の立場で意見が分かれる。産業界の委員からは、中間報告の内容を評価した上で「国民運動など自主的取り組みが必要」(渡文明石油連盟会長)など、家庭での取け組みの強化を強調する意見が出た。 ただ、家庭からの排出量は全体の1割程度にすぎない。総排出量の3〜4割を占める産業界の削減に期待する声は大きい。環境NGO「気候ネットワーク」の浅岡美恵代表は「自主行動計画は目標達成を“予定”と表現しており、国との協定化など公的な仕組みが必要」と述べた。環境税や国内排出量取引制度については、企業活動への影響や国際競争力がそがれるなどの理由から産業界側の委員らは強く反対。ほかの委員とは意見がまっぷたつに割れ、中間報告では両論併記となり、秋以降の議論に先送りされた。 ◇見通し甘く見直し3回 「何回見直しを重ねれば確実に6%が削減できる計画になるのか」政府の温暖化対策の検討をウオッチし続けてきたNGOのメンバーは嘆く。97年の京都議定書採択を受け、政府は98年に地球温暖化対策推進大綱をまとめ、6%削減への具体策を初めて示した。02年の大綱改定後、05年には内容を見直し、名称を目標達成計画に変えた。 改定のたびに追加策が盛られたが、増加傾向に歯止めがかからない。環境省も「見通しの甘いところがあった」と認める。2年前の見直しでは、蛍光灯以上に省エネになるLED照明の導入支援を盛り込んだ。10年度の目標は全国の照明器具の10%だが、05年度の普及は0.2%以下だ。3回目の見直しになる今回も基本的な枠組みは変わらない。環境税や国内排出量取引について「総合的に検討していくべき課題」とした表現は前回見直し時と同様だ。 さらに、原発稼働率の将来は見通せず、経済成長の伸びも不透明で、こうした点での配慮も乏しい。ある委員は「不測の事態が起きても目標を達成できる計画を立てるべきだ」とも訴えた。目標達成計画は基本方針で、長期的・継続的な削減へと導くことをうたっている。だが、委員からは「6%削減もできないようでは、安倍首相の“2050年に半減”もかけ声倒れになる」との声が上がる。 ◇未達成なら税金投入も 達成できなかったらどうするのか。環境、経産両省は「08年度以降、足りないと分かれば追加対策を入れていく」との立場を繰り返す。「2000万〜3400万トンという見積もりは甘い。電力が目標を達成しても5000万〜6000万トンはオーバーする」との声は政府内にも強い。中環審の鈴木基之地球環境部会長も「ラフな推計。状況によって1億トンオーバーする場合もある」と話す。だが、2000万トンの削減と1億トンの削減では、打つべき対策はかなり違ってくる。達成できなかった場合、議定書には未違成分の1.3倍を次の約束期間に余分に削減するなどの罰則が定められている。罰則を避けるためにCO2の排出枠を購入するといくらかかるのか。 政府は途上国の削減事業に投資する形で、すでに約640万トン分を取得している。その価格は1トン約2000円。もしも新たに6000万トン分を、削減期間である08〜12年度の5年間買うとすると約6000億円。欧州での08年分の排出量取引価格の約3000円だと約9000億円に上る。達成できなかった分を補うために、多額の税金が使われる。 「できなかったときにはできなかったと言えばいい」(山口光恒東京大学客員教授)。委員からは、目標達成の必要性を問う声まで出始めた。合同会合は中間報告について今月中に一般から意見募集し、12月までに最終報告をまとめる。これを受けて政府は来年3月をめどに予算、法制度、税制など具体的な施策を盛り込んだ新たな目標達成計画を閣議決定する予定だ。 ◇温室ガス効果「政策なしでは減らせない」 このままだと「京都」の約束に手が届かない。そんな警告が出た。脱温暖化をめざす京都議定書の目標達成計画を見直している環境、経済産業両省合同審議会の中間報告だ。議定書によれば、日本は08〜12年度の間に二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を90年度より6%減らさなくてはならない。ところが、いまの削減策を続け、CO2の森林吸収分や、海外での削減量買い取り分などを見込んでも、10年度は90年度比で4%前後しか減らないとの予測になった。ざっと2%の追加削減を迫られたことになる。 来年の洞爺湖G8サミットなどを通じて環境外交を進めたい政府にとって、目標達成は最優先課題のはずだ。だが中間報告は、企業や消費者に削減努力を呼びかけることに力点が置かれ、国民に丸投げしている印象をぬぐえない。産業界には業種ごとに厳しい数値目標を設けた自主行動計画をつくるよう呼びかけている。しかし、工場の省エネルギーはかなり進んでおり、産業部門の10年度のCO2排出は90年度より9%前後減らせる見通しだ。上乗せ削減を求めるには仕掛けが要る。 国内の企業に排出量の目標を課し、それ以上に減らせば枠として売れる排出量取引の市場を設けることだ。産業界を巻き込んで、公正な目標設定の方法などの検討を急ぐべきだ。温室効果ガス削減の切り札とされてきた原発は、耐震不安などをぬぐうための点検作業で稼働率の低迷が予想される。過度に原発に頼るエネルギー政策は、CO2削減にとっても危うい。原発頼みの政策を思い切って転換し、太陽光など新エネルギー利用を推し進めるための支援策を充実させたい。 私たちの生活も変える必要がある。今回の予測によると、10年度のCO2排出は、90年度に比べて「家庭」部門では十数%、オフィスなど「業務その他」で30%前後も増える見通しだ。 中間報告は「1人1日1キログラムのCO2減らし」に期待をかける。全国民が参加すればCO2排出を数%減らせる計算にはなるが、それを国民運動で、というのでは無策のそしりを免れない。 政府の見積もりでは、エアコン・冷蔵庫、照明をエコ型に買い替えれは1人1日約0.3キロの節減になる。買い替えを促す助成などの誘導策がなければ掛け声倒れに終わる。税の優遇などを含めてあらゆる促進策を総動員し、家庭やオフィスの省エネに取り組むときだ。環境省は、法を改正して大きなビルには数値目標を課すことも検討していくという。6%減の短期決戦には、それも避けられない対策だ。年内にもまとまる最終報告は、目標達成への最後の切符になる。環境と経済が手を結んだ審議会で、国の姿を大胆に変える絵を描いてほしい。 「日刊工業新聞2007年8月11日」 ◎マツダ「ロータリーエンジン40周年記念車を発売」 マツダは8日、限定車「RX-8ロータリーエンジン40周年記念車」を発売した。内装デザインにモノクロのシートを採用するなど67年に発売した初代ロータリーエンジン(RE)搭載車「コスモスポーツ」のコンセプトを取り入れた。 ボディーには記念バッジをつけたほか、専用のダンパーやサスペンション部品を採用した。価格は手動変速機(MT)車、自動変速機(AT)車ともに315万円。200台の限定販売とし、顧客層はREファンや45〜60歳のスポーツカー世代を想定している。 「日刊工業新聞2007年8月11日」 ◎トヨタ「ブレイドに3500ccエンジン搭載モデルを追加」 トヨタ自動車はハッチバック車「ブレイド」に、V型6気筒3500ccエンジンを搭載した新モデルを追加し、トヨタ店、トヨペット店を通じて発売。サスペンションに専用チューニングを施し、17インチのタイヤ&アルミホイールを採用。マニュアル感覚の操作ができるパドルシフトも付属し、力強さと加速感のある走りを充実した。専用の本革巻きのシフトレバーを採用するなど、高級感も高めている。価格は277万2000円と323万4000円。 「日刊工業新聞2007年8月11日」 ◎富士重工「フォレスター」の特別仕様車を発売 富士重工業は、小型スポーツ多目的車(SUV)「スバル フォレスター」に特別仕様車「クロススポーツ2・Oiアルカンターラ―スタイル」を設定し発売した。東レのスエード調人工皮革「アルカンターラ」と布地を組み合わせた黒色の専用シート表皮を採用。価格は212万1000円。月販350台を目指す。 「日刊工業新聞2007年8月11日」 ◎因幡電機「製造現場用液晶パネル拡販・FA販路活用し3年後6億円に」 因幡電機産業は製造現場で使われる液晶パネル拡販に乗り出す。工場自動化(FA)機器で築いた販路を活用し、同パネルを工作機械メーカーや工場設備を手がける企業向けに提案営業する。パネル保守子会社との連携も強化する。体制整備により3年後に同パネルの売り上げを現在の6倍の年約6億円に引き上げる。同パネルは台湾メーカー製。大手顧客に採用されるなど実績が上がってきたことから、需要拡大が見込めると判断。価格競争力の高い製品を投入して事業拡大に弾みをつける。 因幡電機はプログラマブルコントローラー(PLC)などの制御機器を扱っており、FA業界に販路を持つ。パネルの受け入れ検査やメンテナンスを行う100%子会社のイナバエンジニアリング(大阪府東大阪市)との協力して進める。因幡電機は同パネルを製造する台湾メーカーと関西地区での販売代理店契約を結んでいる。今後販売実績を積むことで、全国販売の代理店契約にこぎつける狙いもある。 「日刊工業新聞2007年8月11日」 ◎日立ライティング「長寿命のUVカット蛍光ランプ発売」 日立ライティング(東京都千代田区、小玉正義社長)は、使用寿命を1万3000時間と従来製品の2.2倍に延長した紫外線(UV)カットの蛍光ランプ「きらりUV輝(かがやき)」を9月1日に発売する。新しいUVカット膜の採用でガラスの変質などによる劣化を抑える。虫を誘い寄せるUVの削減と長寿命化を両立した。価格は環状の30形で1575円。年間300万本の販売を計画する。 蛍光ランプの劣化は、ガラスから析出するナトリウムとランプ内に封入した水銀の反応物がガラス内面に付着する「黒化」と、UVでガラスが劣化して透明性が落ちる「着色」が要因。開発したUVカット膜「新ナノ粒子コーティング」をランプのガラスと蛍光体膜の間に塗布し、ガラスの変質やナトリウム析出を抑制した。 「朝日新聞2007年8月10日」 ◎企業にCO2削減義務化も「環境省、法改正を検討」 環境省は10日、二酸化炭素(CO2)排出が大幅に増え続けているオフィスビルなどの業務部門に排出削減を促すため、地球温暖化対策推進法(温対法)を改正する方向で検討に入った。一定規模の施設には排出量を定めて削減を義務付けることも視野に入れる。政府内で調整し、来年の通常国会への改正案提出を目指す。企業活動に初めて法的規制をかける内容となるため、調整が難航する可能性もある。 若林環境相が同日の閣議後の記者会見で「業務部門における対策を強化する。京都議定書の目標を確実に達成するため、有効な措置を講ずる強い決意だ」と述べた。日本は京都議定書でCO2などの温室効果ガスを、08〜12年度に90年度比でマイナス6%とする削減目標が課せられている。 しかし、05年度実績では逆に7.8%増加。特に業務部門は44.6%増と排出量の伸びが最も著しく、温室効果ガス排出量全体の約6分の1を占める。大型ビルの建設が相次ぎ、床面積が増加したことなどが原因とされる。同じく伸びが大きい家庭部門とともに議定書を達成する上で大きな課題となっている。 具体的には、冷暖房などエネルギーを大量消費する百貨店やオフィスビルなど一定の床面積以上の大型施設に対し、単位面積当たりの排出量の数値目標を定め、達成できない場合は勧告のほか罰則を盛り込むことも検討する。 現行の温対法では、一定規模以上の事業所に温室効果ガス排出量の報告を義務づけるにとどまっている。企業への削減義務付けとなれば、操業時間の短縮など経営にかかわる対応を迫られかねないとして、産業界の強い反発が予想される。 同省と経済産業省がまとめた温室効果ガスの2010年度の排出見通しでも、現行の政府の目標達成計画のままでは、業務部門は28.5〜30.9%増えると推計されている。両省の合同審議会では10日、業務と家庭部門の対策を強化することが必要だとする中間報告案が示された。 「朝日新聞2007年8月10日」 ◎「ビクターと新会社」ケンウッド社長、設立を表明 ケンウッドの塩畑一男社長は9日、朝日新聞のインタビューに応じ、経営統合を目指して200億円の第三者割当増資を引き受けた日本ビクターと共同出資で10月に両社の技術部門を統合した新会社を設立することを明らかにした。10日に発表する。 新会社はカーナビなど両社がそれぞれ手がけている製品分野で、両社の技術者を集約。基本技術の基盤を共同開発したうえで、それぞれのブランド名で商品化する。生産の相互委託も行う。塩畑社長は「開発負担は半分に減り、かなりのコスト削減になる。下期には数字に表れる効果を出したい」と話した。 統合に向けて協議する委員会を発足させており、相乗効果を生む事業戦略など具体的な検討作業を進めているという。ただ、最終的に統合に踏み切るかどうかについては「ビクターが黒字化しなければ進めない。何が何でも統合、ではない」と強調。「再建の枠組みについて助言はするが、テレビなどビクターの固有事業の中にまで入ってどうこうすることはない」と述べ、来年3月末まではビクターの再建の行方を見守る考えを示した。(渕澤貴子) 「朝日新聞2007年8月10日」 ◎中国製品、世界が自衛策「ジェトロ調査」 ◇米国「作業部会設置」ヴェトナム「国境警備強化」 中国製の食品や加工用原料から有害物質が相次いで発見されている問題で、日本貿易振興機構(ジェトロ)は世界主要各国の状況を集めた。問題が大きく報道された北米や、中国との貿易関係が深いアジアなど騒動は各地に飛び火している。 この問題が国内で大きな注目を集めたため、ジェトロが各地の事務所を通じてとりまとめた。それによると、米国では安全対策を検討する省庁横断型作業部会の設置や、商品に「チャイナ・フリー(中国産無使用)」というラベルを表示する動きが広がるほか、民主党が検査を厳しくする法案を準備している。 カナダでは、消費者団体から「政府の対応が米国に比べて鈍い」と批判の声も上がつている。パナマで、せき止めシロップに使用する中国製原料に有害物質が混入し、約100人が死亡したとされる問題では政府が被害者への補償に乗り出す方針。メキシコでも税関が一部の中国産品の検査を強化した。 アジアでは、韓国のネット利用者が中国製品の不買運動を呼びかける騒ぎに発展。フィリピンでも中国産キャンディーやビスケットから有害物質が検出されたことが注目を浴びており、事態は今も沈静化していない。 欧州では北米ほどの騒動は少ないが、各地で問題となった練り歯磨きについて、スペイン厚生省が有害物質を確認。商品の回収が命じられた。ジェトロ海外調査部は「現状で中国の輸出に大きな影響はない」とする一方、中国当局が風評被害の打ち消しに躍起となるあまり、「必要以上に基準が厳格となり、中国へ進出している外資系企業にも影響が出る懸念がある」としている。 「Voice2007年9月号」 ◎未来を作る技術「ダイシングソー(株式会社ディスコ)」 ◇専門店の強さ 日本の製造業の強みは、同じモノつくり企業でも自らの事業対象を絞り込み、特定の製品や技術を提供する「専門技術特化型」の企業が多いことだ。誤解を恐れずにいえば、この種の企業はけっして大規模ではなく、むしろ中小規模の特徴を生かして競争優位を維持している。大企業なら多様化を図り、デパート型の展開になるところを、中小だから必然的に集中特化でき、専門店型の強さを発揮できるのだ。 「切る、削る、磨く」技術を標榜し、世界の半導体製造業界で独自の存在感を誇る「ディスコ」はその典型的企業。同社は1937年、広島県呉市に「第一製砥所」として創業したが、戦後間もなく万年箪のペン先割りを砥石でできないかと相談を持ち込まれ、極薄砥石の回転刃を開発するきっかけとした。「切れるものなら何でも切ってやろう」の精神で、アポロ11号が持ち帰った「月の石」を薄くスライスし顕微鏡試料をつくった話は有名だ。 半導体ウェハーからチップを切り分ける「ダイシングソー」はその集大成で、万年筆用で140マイクロメートル(1マイクロは1000分の1ミリ)だった厚さは現在15〜20マイクロメートルまで薄くなっている。極薄化極まれりで、試作の極薄砥石では人間の髪の毛の断面を22分割することだってできる。日本の半導体産業はいまや低落著しいが、同社のダイシングソーの世界シェアは約70%。母産業は周辺産業のビジネスモデルを教訓にするがよい。(志村幸雄:工業調査会・会長) |