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「山の下にすむ王は」の歌

「わしは、山の下の王、スロールのむすこスラインの、そのむすこトーリンじゃ!いまもどってまいった!」と、トーリンが入口から大音声でよばわりました。(略)
しらせは、野火のように、官邸の入口から町じゅうにひろがっていきました。…なかには、山の下の王がたちもどることをうたった古い物語歌のあちこちをうたいはじめる者もありました。…ほかの者もその歌にあわせてうたい、歌声は、湖の上に高く大きくひびきわたりました。

「ホビットの冒険 10章 心からの大かんげい 瀬田貞二訳」より

森のエルフの牢獄から樽に入って逃げ出したドワーフたち。トーリンはボロボロの服で武器も持たず湖の町エスガロスに入りますが、その名乗りは自信に満ちていて、王様にふさわしく見えたようです。湖の町の人たちは、伝説が本当になったと、まるで黄金がもう手に入ったようによろこび、騒ぎました。

これが、その古い歌の一節です。


The King beneath the mountains,
The King of carven stone,
The lord of silver fountains
Shall come into his own!

山の下にすむ王は、
地下の岩屋の王は、
白銀の泉のあるじは、
きっと帰ってくるだろう!

His crown shall be upholden,
His harp shall be restrung,
His halls shall echo golden,
To songs of yore re-sung.

冠は、かかげられ、
たてごとが、ふたたび鳴って、
広間にりょうりょうと、
むかしの歌が、ひびくだろう。

The woods shall wave on mountains,
And grass beneath the sun;
His wealth shall flow in fountains
And the rivers golden run.

森は山にしげり、
草は日をあびてそよぐだろう。
王の富は、泉となって流れ、
川は、黄金にさざめくだろう。

The streams shall run in gladness,
The lakes shall shine and burn,
All sorrow fail and sadness
At the Mountain-king's return!

流れがよろこびをうたい、
湖は明るく照りわたるだろう。
あらゆる悲しみも苦しみも、
山の王がもどる時、消えるだろう!

「The Hobbit or There and Back Again 10. A Warm Welcome」より
「ホビットの冒険 10章 心からの大かんげい 瀬田貞二訳」より


原作では、ビルボの家に集まったドワーフたちはそれぞれ楽器を持っていました。歌にもあるように、王様の楽器は竪琴(ハープ)です。実は、スマウグがとぐろを巻いているエレボールの壁にも竪琴がかかっていたのです。竜は音楽には興味が無いので、そのまま残っていたようです。今回の映画では、キャラクター的に、王様は竪琴を持ち歩くタイプではないですね。

PJ映画第二部「ホビット 竜に奪われた王国(原題:The Hobbit: The Desolation of Smaug)」には、歌がありませんでしたね。映画では、この詩が、歌ではなくて、バルドが、タペストリーに描かれたトーリンの一族の家系図を見ながら、古い伝承を思い出してつぶやくシーンになっていました。歌の第一節がそのまま順番を変えて、台詞になっています。そのあと、少しアレンジされ、「The lakes shall shine and burn,」がとても不吉な印象で使われていました。原作だと、人々が喜んで歌っているので、悪い意味ではないと思うのですが、確かに「burn(燃える)」の単語は暗示的ですよね。歌の中では shine と同じように、燃える火の明るさを韻を踏む単語として使っているようなんですけれども。いつものことながら、PJと脚本陣の仕事の面白さには感心します。

このシーンが使われている予告編がありますので、リンクしておきます。最初に出てくる、バルドのシルエットは、何度見てもかっこいいです。「スマウグの荒らし場(The Desolation of Smaug)」のシーンもあるし、アーケン石の描かれた玉座のレリーフもあるし、最後にはスマウグの声も聞こえるし、いいとこ取りな感じですね。

《youtubeへリンク》◆The Hobbit: The Desolation of Smaug - Sneak Peek [HD]
http://www.youtube.com/watch?v=lfflhfn1W-o



せっかくですので、エンディングの曲の動画も貼り付けておきます。いい曲ですよね
歌詞を付けてくれているのも見つけたので、興味のある方はご覧になってみては。

《youtubeへリンク》◆エンディング曲「I see Fire」〜The Hobbit: The Desolation of Smaug - Ed Sheeran "I See Fire"
http://www.youtube.com/watch?v=mllXxyHTzfg

《youtubeへリンク》◆エンディング曲「I see Fire」英語歌詞付き。(画像は固定です。初めに広告が出るかもしれません)
http://www.youtube.com/watch?v=cdUKdZZkogA


PJ映画第二部「ホビット 竜に奪われた王国(原題:The Hobbit: The Desolation of Smaug)」の感想のページはこちらです。


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このページの背景は「Angelic」さんから頂きました