雑感72 〜 賢者の知恵 Previous 雑感メニュー Next
 ごく少ないが日本にも難解な論理型クイズを紹介しているサイトはある。中でも30音でマスターする英会話の Quiz & Quiz のコーナーは健闘している。自分の知能指数に疑いがある方は、オンライン知能判定テストに行ってみるのも一興である。
 この種の論理型クイズは解くよりも作るほうが遥かにたいへんで、名作はいつまでも残る。下の名作には哲学者ラカンが『エクリ』の1章を費やしている。
 父親の遺産は17頭の山羊だった。遺言によれば、3人の息子のうち長男には財産の2分の1、次男には財産の3分の1、三男には財産の9分の1が分け与えられることになっている。しかし、17頭では割り切れないので、賢者のところに相談に行くと1頭の山羊をくれた。18頭になったので、長男が9頭、次男が6頭、三男が2頭の山羊をもらい受けた。ところが今度は1頭余ってしまう。そこで再び賢者に知恵を借りることにした。賢者は、その1頭はもともと自分の山羊だからと言って連れて帰ったのである。
 たとえば「得をしたのは誰か?」と問い掛けたり、賢者がどう解決したのか考えさせたり、「数学的に正当性を証明せよ」といった変形がなされるわけだ。上の問題のオリジナルは諸外国でも変形されたバージョンが見かけられ、何語とも知れない。さらにそのネタ元となる数学、論理学、認知心理学などの書物があるかもしれない。しかし、そこから素晴らしい物語を着想すれば、それは永遠に生き残る。