雑感77 〜 意味のある偶然の一致 Previous 雑感メニュー Next
 アメリカのネブラスカ州にあるビアトリスという小さな町で起こった事件である。1950年3月1日のその日、いつもなら午後7時30分に始まる合唱の練習に、合唱団員15名が全員とも遅刻した。(中略)結局、合唱メンバーが誰ひとりとして時間どおりに出てこなかったという異例の事態の背後には、十に及ぶ別べつの理由があった。そして、その夜の7時25分、教会で爆発が起こって建物が全壊した。合唱団員のひとりひとりが練習の4回に1回は遅刻していたとすると、全員が同じ日にそろって遅刻する確率は10億に1つしかない。一見、ありそうもないことなのだが、必ずしも驚くに当たらない。こういうことは起こりうるのだ。(ライアル・ワトソン『アースワークス』)
 意味のある偶然の一致は、ユングによりシンクロニシティ(共時性)と命名され、一般に注目されるようになった。物理学者パウリとの共著『自然現象と心の構造』によれば、共時性とは「意味の上でつながってはいるが、因果的にはつながっていない、ふたつまたはそれ以上の出来事が同時に起こること」だ。
 この言葉は、日本でも市民権を得ており、民放で有名人の具体例を集めて特集番組をやっていたのを見たことがある。ほとんどの人が「シンクロニシティ」について何らかのことを知っていた。本格的に研究されてからはまだいくらも経たないが、共時性の例は日常よくあることだ。