20 web写真展「岩泉線 山峡の細き道」 21 index

「赤光」

中里〜岩手刈屋

岩泉線の始発列車681Dが岩手和井内で折り返し、682Dとなって戻ってくる頃、ようやく谷底に日が当たるようになった。弱々しい晩秋の朝の光に照らされて、谷全体が赤銅色に包まれる。感傷に浸る間もなく682Dはやってきた。スピードを上げ、フロントマスクに朝日をギラギラ反射させながら、一瞬のうちにファインダーに現れ、そして一瞬のうちに走り去った。

何事もなかったかのように、太陽はゆっくりと昇ってゆく。遠くでかすかに鳥のさえずる声が聞こえる。

なんと美しく、懐かしく、もの悲しい風景なのだろう・・・・・・・