夢日記 第七夜 フランス語の授業 |
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大学か専門学校の教室にいる。黒板の上には時間割らしきものが貼ってあるが、書いてあるのは朝と終業時にある宴会(?)の予定だけである。 フランス語の授業中だったが、教科書にはどこにもアルファベットはなく、平仮名しか書かかれていない。こんな感じだ。 「かんじぇてごそーこむとろわぽむ。じゅぱるれびあんふぉーるぷるえとるおんのむ。じぇでぃ、じゅせ、じゅせ、じゅせ。…」 これはもしかしたら音から学ぶ画期的な教授法なのではないかと思い、小さな声で読んでみる。授業方法はいたって簡単で、先に教師が数行読み、その後生徒が一斉に読む。そして教師は文法的な説明もせず、意味だけ説明する。その繰り返しだ。 フランス人らしい二人が教壇に近い窓側に立って聴講している。授業の切れ間に、熱心に話し合ったりしているので、もしかすると実験授業なのかもしれない。教科書も一ページ目から読んでいる。 自分はテレビのフランス語講座を見て勉強したことがあるので、内心余裕しゃくしゃくで、どちらかというと真面目に勉強しなおしたいと思うぐらいだった。しかし授業中であるにもかかわらず、立ち話をしている生徒までいて休み時間のような雰囲気である。しだいに騒ぎは大きくなっていき、二人のフランス人が数人の生徒に詰め寄られて窓から下に落とされてしまう。駆け寄ってみるとそこは四階で、下の方で二人とも大の字に動かなくなっている。 生徒たちは別に大事が起こったような様子もなく、ただ面白がっている。むしろ、この事件を横目で見ながら、自分たちの話に夢中になっている生徒たちの方が多い。私は二人が死んでしまったのかどうか気になったが、みんなと違う行動はとらない方がいいだろうと思った。 そのうち、フランス人を突き落とした生徒の一団は、騒ぎを止めようとしている女教師まで突き落としてしまう。今度は見に行きもしなかった。 教室の前の方に礼子がいることに気づいた。もう長く会っておらず話をしたかったが、彼女は一人の男子生徒と話し込んでいて、声をかける隙が見つからない。 授業は中断したままで、礼子を気にしている自分を持て余していると、黒板の右横の小さなホワイトボードに気づく。具体的な宴会のプログラムを記入するようになっていて、自分の名前が入っている。ああ、明日は自分の番だったのかと思って隠し芸を考える。 どういうことをすればいいのかわからず、周りの人に訊くと、曖昧な答えしか返ってこない。毎日のお決まりのことなので、それほど構えて考えることもないのだと思った。 私は家にあったビンゴゲームのような大きなカラーボールの入ったおもちゃを持って出ることにする(実際にはそんなものは持っていない)。家まで往復してもそんなに時間はかからないはずだなどと考えている。 礼子が何か手伝ってくれればいいと思う。けれども彼女はずっと話し込んでいて、こちらの視線に気づいてはいるが、離れられない様子だ。 「じゃあ、四十五分になったら電話をかける」 男が礼子に囁いた言葉が聞こえてくる。 礼子はすぐにうなずいて、私と目も合わせずに教室を出た。男は携帯電話を持っている。礼子は校舎の下の電話ボックスへ行って、男からの電話を待つつもりらしい。 どんな内緒話をするのか気になるが、長く連絡しなかったのだから仕方がないと考えている。 |