夢日記 第二十七夜   地下の博物館 Previous Menu Next
「夢の洞穴」の施設の一つ。

 遊園地の入口に隣接した大階段をずっと降りていく。右側が石積みの壁になっていて、だんだんと薄暗くなっていく。降りていく先の赤い絨毯にスポットライトが当たっている。そこがチケット売り場である。ガラス張りの窓が二つ並んでいて、 中には丸い濃紺の帽子を被り、赤い制服を着た若い女性が二人見えた。
 入口の黒い幕をくぐるとさらに暗くなっており、ところどころ展示ブースのところだけが明るく照らされている。ガラスの向こうに古代の化石や模型展示が続く。私はあまり立ち止まらずに恐竜の展示の部屋へとさらに階段を下っていく。壁はすべて石造りで、ピラミッドを思わせる荘厳さがある。様々な壁画が施された中を歩くと、ちょっとした探検家気分になれる。
 恐竜の部屋に入ると急に赤々と照明が点っていて、巨大な竜脚類の骨格模型が浮かび上がっている。入ってくるときには思いもよらない高さだ。天井に長い首が伸びて、はるか上に吊り下がった翼竜模型に向かって口を開けている。周囲の壁には、埋まるようにして肉食竜や小型の草食竜、魚竜など様々な種類の恐竜模型が展示されている。いずれも、ごく間近から見ることができる。しかも、人が前に来ると自動的に手足や顎を動かすアトラクションになっている。
 この部屋はあまりに迫力があり魅力的なので、最後まで見てからまた戻ってきたりすることも多い。客はいつもあまりいないが、無人であることはない。一つの部屋には、最低一人の見学者がいる。驚きを共有するのだ。
 この恐竜の展示のほかにも魅力的な展示をいくつか覚えている。たとえば、現生動物の展示では巨大な扉を開けて目の前までゾウやキリン、トラなどが飛び出してくるようになっている。作り物であるはずだが、一度だけ違ったことがあった。
 いちばん右側の扉が開かなかった。そこからはトラが飛び出すはずだった。装置の故障かと思って何度もその前を往復していると、やっと扉が開いた。いつものようにトラが凄い迫力で飛び出してきた。鎖がピンと張ったときに、トラが苦しんで暴れだした。本物なのだ。慌てて逃げ出したが、すぐに鎖が切れたらしく、ものすごい鳴き声が迫ってくる。
 博物館を抜け、人ごみをかきわけて走った。ところが、他の人は叫び声ぐらいはあげるが、ほとんど直前まで逃げ出しもしない。トラは人々の隙間をぬって、狙い定めたように私だけを追ってくる。ほかの人はぜんぜん襲わないのだ。とうとう駅の構内まで追ってきた。
 最後はバスに飛び乗った。さすがにそこまでは追ってこなかった。しかし、周囲を見渡してみるとそこには死んだ親戚がたくさん乗っていた。斜め前の席には母方の祖父が座っており、振り返った。そこで墓参りに行く約束をさせられた。

 博物館の出口は2箇所ある。一つは遊園地のプールが見渡せる大きなレストランにつながるもので、博物館のみやげ物コーナーがある。もう一つは海辺の岩場につながっていて、船着場がある。「死体が多い山」に出てきた客船が停まったところだ。