Tina は近ごろのお勧めだ。なんかのドラマの主題歌、『 催眠 』だったかな、まあいいや、
ちょっと聴いてみて欲しい。この曲は珍しく繰り返して何度も聴いた。この頃ではそんなふうにしたいと思うことがまずない。一曲全部を聴こうと思うことさえ少ない。そんなおり、『 迷路 』は、なんと言ったらいいのか、こんな日本人っぽいどろどろした曲調を、よくこの声質で歌ってくれたものだと思った。うまく表現できない。ともかく渋い。
『 刹那 』も同様な感じでいい。
Tina の泥っぽくすさんだ声は、まったく飽きない。こういうのをハードボイルドな声と定義したい。渋いのである。顔は知らないが、そんなことどうでもいい。ともかく一度はまってしまうと、
こんなフェイクぐらいで参ってしまう。もちろんこれはカーペンターズのカヴァーだが、
もとの曲の良さを殺すようなことはまったくなく、新しいものとして聴くことができる。あるいは
こんな声だけで、おお、カッコイイと思ってしまうのは、病気なのかもしれん。
Tina の場合は歌詞さえどうでもいい。音楽と声の魅力である。アコースティックギターによる
六度和音のイントロに導かれて始まる
『 I'll be there 』も渋い。どんな場末の酒場で歌ってきたのかと想像してしまう。ちなみにバックでサックスを吹いているのは彼女の父親である。