雑感54 〜 個性的な声 Previous 雑感メニュー Next
 ヴォーカルも美人と同じく飽きが来る。しかもこのところ張り詰めた高音が充満していて、松たか子の地声ヴォーカルを聴いたりするとホッとしたりする。確かに高音が綺麗に出ると注目は引くが、あまりにも無理して出している人が多い。個性が売り物ではなかったか。
 山口もえのような変な声も売り物になる立派な個性であり、矢野顕子森田童子のような声は、もうそれだけで食っていける。もっとも、裏声で歌ったジューシー・フルーツは行き過ぎで、それ以後、冗談以外で真似をした歌手は知らない。
 ブラック・ビスケッツが売れた原因の一つはビビアン・スーの不思議なイントネーションを生かした曲作りにあると思う。香港の飲み屋にはたいていカラオケがあり、邦楽を日本人以上に上手に歌っていた。今ではアグネス・チャンのような人はいない。通訳を目指していた衛藤利恵などはオーストリアでカラオケを歌っていてスカウトされたようだ。カラオケも国際的になったものだ。これほど一般的になると、みんなそこらのネエちゃんみたいなそこそこ聴ける声になりはしないかと思ってしまう。
 いずれにしても、ここのところ椎名林檎以外変わった声の歌手は出てこない。NOKKO工藤静香など、発声が違うというより地が違うために、つい耳を奪われてしまうような歌手が出てこないものか。最近、杉村尚美の声によく似た鬼束ちひろというのが出てきたが、曲があまりよくない。頑張ってくださいませ。