雑感63 〜 地球=生命 Previous 雑感メニュー Next
 ジェームズ・E・ラヴロックは、地球自体を一個の生命と考えるガイア理論を展開しているが、猛烈な攻撃に見舞われている。そこには人間がバクテリアと同時元で論じられているからだ。その意見を支持しているのは、学会の権威や科学評論家ではなく、一般大衆である。
 私はほとんど代弁者をもたないバクテリアや醜い生物形態を代表して喋っている。私を支持してくれるのは人間以外のすべての生命だ。(『ガイア 生命惑星・地球』)
 ガイア理論は、自然に対峙したときに人間が感じるものが何に由来しているのか、これまでにない壮大なスケールで科学的に説明している。宇宙から見た地球が美しいのはなぜか。森の中に入ると心が洗われ、自然破壊に接するとなぜ心が痛むのか。むやみに動物を殺すことがなぜ悪寒をもたらすのか。夕焼けを素晴らしいと感じたり、天災に心まで打ちのめされるのはなぜか。こうしたことに対する当たり前の答えがそこにはある。
 彼は、古代ローマ人がマラリアの猛威に対してどう打ち勝ったかという例を挙げてこれを説明する。ローマ人は空気中の悪臭が病気の元だと考えて沼の排水した。それでマラリアはなくなった。もちろん彼らは微生物学や昆虫学の発達に時間と金をかけて病原菌を発見することもできただろう。そして結論的に沼の排水をすればいいことに気づく。どちらも同じ結果だが、しかし、それでは間に合わない。