雑感65 〜 デイジーワールド Previous 雑感メニュー Next
〈デイジーワールド(ヒナギクの世界)〉というモデル理論が、反対派の学者を黙らせる役に立った。コンピュータを使った思考実験である。
 白いヒナギクと黒いヒナギクしかない惑星を考える。デイジーワールドは地球のような惑星で、太陽の周りを軌道にのってまわっており、自転もしている。白いヒナギクは光を反射し温度を下げる。反対に黒いヒナギクは温度を吸収する。また、ヒナギクは5度以上で発芽し、22度で成長が最も盛んになる。40度を超えると発育は止まる。
 そういう条件を入力しておいて、太陽の光だけをだんだんと強くする情報を与える。すると、赤道上に黒いヒナギクが咲きはじめる。やがて黒いヒナギクの分布は広がり、赤道上に白いヒナギクが見られるようになる。白いヒナギクの分布は赤道を中心にして広がっていき、黒いヒナギクは北極や南極に近い地方に追いやられていく。そのうち暑すぎる赤道上ではヒナギクが成長できないようになり、穴が広がってくる。また黒いヒナギクは絶滅してしまう。最後には、極地方に追われた白いヒナギクも消えてしまう。
 このデイジーワールドの平均気温は、ヒナギクが成長しはじめてから絶滅するまで、なんとずっと22度前後に保たれている。ヒナギクに灰色を加えたり、キツネやウサギを加えたり、周期的に大災害が起こるようにしたりしても、最初のモデルと同じ結果を得られた。そして、このモデルはそのまま地球に当てはめられる。