雑感68 〜 シュレーディンガーの猫 Previous 雑感メニュー Next
あらゆる証拠が、神が常習的なギャンブラーで、どのような観測結果を決めるにもサイコロを投げるということを示しています。(スティーヴン・W・ホーキング『ホーキングの最新宇宙論』)

 シュレーディンガーの猫、と呼ばれる有名な思考実験がある。
 いつでもガスを出すことのできる箱がある。ガスが出るか出ないかは予測がつかないようになっている。その箱の中に猫を入れる。ガスが出れば猫は死んでしまうのだが、外から箱の中は見えないし、箱を開けるまでは実験の結果は分からない。考え方は三つだ。
 @実験結果は箱を開ければ分かる。生きているか、死んでいるかの二通りしかない。
 Aまず生死の確率の計算をする。どちらが現実となるかは箱を開けるまで分からない。あくまで確率である。それどころか箱を開けて猫を見るまでは、猫は存在しない。存在する傾向は認めるが、決してものごとは確定的に判断できない。
 B確率計算までは同じだが、猫は生きていると同時に死んでいて、箱を開けて死んだ猫を見てさえ、別の世界で猫は生きている。

 @の考え方はアインシュタインの「神はサイコロを振りたまわず」という言葉に代表される古典物理学的な考え方である。トランジスタやICは、ABのような考え方、量子力学理論から生まれた。