雑感82 〜 大きな勘違い Previous 雑感メニュー Next
 夜中に男女の怒鳴り声がする。夫婦喧嘩だろうと思って無視していたら、殺人事件だった。横浜の中華街では、大勢の目撃者がいる中、警官が殺された。ほとんどの人がテレビの撮影かなにかだと思い込んでいた。横浜の花火大会では仕掛けが連続引火して死傷者が出たが、見物人は大爆発を見て歓声をあげ、拍手喝采していた。
 これらはすべて実際にあったことで、もちろん誤認の例だが、人は事実をいちいち確認したりはしないし、確認できるとも限らない。確認したと思っても記憶があてにならない。それは思い込みかもしれないからだ。
 現実や事実より先に、まず個人個人の思い込みや社会的思い込みがある。だからこそ誤認や勘違いが起こる。ドアのノブを引いても押しても開かなければ鍵が掛かっていると思うだろう。しかしそれは横にガラガラと簡単に開く引き戸かも知れない。ドアノブが引き戸についていることなど誰も想像しない。そこで鍵が掛かっているかどうか確かめもせず、鍵が掛かっていると思い込む。ドアノブに対する思い込みが事実の見方さえ決めてしまうのである。
 常識は、現実や事実よりも、むしろ夢や理想と同じく幻想に近いものだと考えていたほうがいい。