6月18日(第4日目−その2−)

インスブルックInnsbruck

昼食後、インスブルックへ向けて出発した。今日はサッカーW杯の日本戦がある日?か、ツアーの一行は観光もさることながらW杯の結果も気になる。
インスブルックへの道は山間を縫うようにして通じている。左右は高い山々が続くが、左程険しいとも思われない。山間を大分走ってから左右の地形がなだらかになって、インスブルックに近付いてきた。

ハプスブルク帝国の皇帝マクシミリアン1世と女帝マリア・テレジアがこよなく愛した町インスブルック。インスブルックとは、”イン川に架かる橋”という意味で、ドイツからイタリアへと抜ける街道筋の難所イン川に架けられた橋の袂に発展した街だという。インスブルックから南へ、ブレンナー峠でアルプスを越えてイタリアへ至る。インスブルックの真北方向の山並みを見ると、あたかも上高地から穂高の峰々を見たのと同じような感じがした。

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旧市街の観光にはバスが乗り入れ出来ないので、王宮庭園のすぐ傍の駐車場で下車して徒歩で観光に出かけた。王宮庭園を通り抜け、王宮の中庭を通って街の中心の小さな広場に出た。ここにはインスブルックのシンボルともいえる黄金の小屋根がある。そこからイン川に架かるイン橋Inn Bruckeへ行った。(写真左、イン橋から北の方向を望む)イン川は雨上がりの後のように、やや濁った水がたっぷりと速い勢いで流れていた。
その後、マリア・テレジアが息子の結婚を祝って造らせたと言われる凱旋門を見に行った。門の南側には喜びの顔が飾られているが、北側には悲しみの顔。それは、建造の最中にマリア・テレジアの最愛の夫が急逝したため、そのようにデザイン変更されたものだとのこと。凱旋門から南を見ると、冬期オリンピックで使われたスキーのジャンプ台が見える。

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その後は自由行動となり街をぶらついていると、エーデルワイスという土産物屋の向かいにスワロフスキー・ハウスがあった。ここはクリスタル・グラスやクリスタル・アクセサリーのお店で、女性には好まれる場所。私も家内に付き合って入って見た。
やがて集合時間となり、広場に集まり駐車場へ行ってバスで今日の宿Austrotelへ向かった。我々の部屋は南向きで、残念ながら北側の穂高連峰のようなドイツ・アルプスは眺められない。今日は夕食後”チロルの夕べ”という民族ダンスショウを見る予定である。

一休みした後バスで出かけた。ショウのある場所Messe Saalという所へ行くと、夕食をする場所は別の所だと言われる。我々を降ろしたバスはショウが終わって迎えに来るということで帰ってしまい、食事場所まで行く足を確保するため、添乗員さんはあわててタクシーをかき集めた。我々夫婦と若い女性2人連れが乗り込んだタクシーは、若い女性の運転手。一目には結構美人でついているなと思いきや、女性に似合わずビュンビュン飛ばす運転振りでびっくりした。
それでも、なんとか無事食事場所にたどり着き夕食となった。今夜もZipferというブランドのビールを頂く。久しぶりに野菜サラダにもありつけ、メインはパプリカ風味の鶏肉であった。

食事を済ませMesse Saalへ行くと、既にショウは始まっていた。このショウはドリンク付きということで、ここではワインを頂いた。民族ダンスなんてありふれた物だろうと余り期待していなかったが、実際は出演者は血縁者の一族、一家という感じで皆熱演していて微笑ましく、中々良いショウであった。女性は5〜6名、男性は10名程度、それに加えて5〜6歳の男の子がいた。一丁前にユニフォームを着て同じ帽子を被り、小さなアコーデオンを弾く真似をする姿がまた可愛らしい。
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アルプ・ホルン(写真左)やカウベル(ハンドベル)、チターの演奏や、鋸の背を弦楽器の弓で弾いたりと、結構手を変え品を変えで楽しませてくれた。ショウの中頃に、出演者の喉を潤わせるためのビールが入ったジョッキが何杯か出てきてが、その時リーダーが「乾杯」を二十カ国位の言葉で言った。韓国語もあれば、勿論日本語もあった。どうやらこの夜の観客の全ての国の言葉で言っていたようだ。
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そして、ショウの終わりは、今夜来ている観客の各国の歌をその国の国旗を振りながら次から次へとメドレーで歌ってくれた。韓国は「アリラン」、日本は「幸せなら手を叩こう」で、それぞれの国の人たちは自分の国の歌になると一緒になって歌い、大変に盛り上がったフィナーレだった。

ショウが終わり外に出ると、頭の真上に月が煌々と照っていた。もう夜11時近い。今日は朝早くからこんな夜更けまでスケジュールが詰まっており、実に長い一日であった。明日は、愈々モーツアルトの生地ザルツブルクだ。ハインリッヒ・イザークの歌の文句ではないが”インスブルックよさらば”。


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