15 web写真展「岩泉線 山峡の細き道」 16 17

「687D 岩泉行き最終列車」

茂市

昭和61年、岩手和井内・浅内両駅が無人化されたのを契機に、岩泉線は茂市〜岩泉間38.4km全線で一閉塞の、単線行き止まりの路線となった。以来、始発駅であるこの茂市駅が、岩泉線全線の運行を司る中枢であり続けている・・・・・・ と言うとちょっと大げさだろうか。

列車の出発時刻が近づくと、茂市の駅員は運転手にタブレットを渡し、昼間は手旗、夜はカンテラで出発の合図を行う。雨の日も、雪の日も、列車が走る限り必ず・・・・・

駅員がホームに出て列車を見送るというのは、かつてはどこにでも見られた光景だった。だが、全国各地のローカル線で進められる列車のワンマン化・駅の無人化に比例して、タブレットを使った非自動閉塞は、次第に信号システムによって制御される自動閉塞へ切り替えられ、運行管理業務から開放された駅員はホームに立たなくなった。

岩泉線の「鉄道員(ぽっぽや)」は、21世紀に残された奇跡と言っても過言ではあるまい。駅員がホームに立たなくなった他の鉄道を撮っていると、そのことを痛感する。