「何をおっしゃりたいのか理解しかねますが。」

室内の沈黙をやぶったのがそんな言葉だったことに意外性を感じ、

そして義姉さんがこんなことを考えていたことに驚きを感じた。

 

「お父様はわたしを外へ出したくないらしいの。」

 

義姉さんはそっと語り始めた。

 

「貴方が寄宿舎へいってしまってからわたし、試したわ。

どんなにスロープの急斜面が恐ろしくても、勇気を出そうと思ったの。

車椅子を両手でしっかり握り締めて。

だけど、その時よ、前輪がちょうど傾きかけた時かしら。

スロープの手すりの部分から、予めそうしておいたかのようにすごい光がわたしの膝のあたりを通っていったの。

わたしは最初、何が起こったのか分からなかったの。

だから、これはお父様がそうしないようにやっておいたランプなんだわって思ったわ。

だけど、車椅子を部屋へ向かわせている途中、スカートが汚れていたのよ。

真っ赤に。

その傷を見た瞬間、わたしはすごい痛みを感じたわ。

思わず叫んでしまったほどよ。

 

多分、その声を聞いたのね、お父様は走ってわたしのところへ来たわ。

そして言ったの。

 

何故外へ出ようとしたのかって。

 

もちろん、出たかったから、といえばそれで終わりね。

と、いうよりも漠然とした理由がそれしかないのよ。

迷路を知り尽くしてしまったから、新しい迷路が欲しかっただけなの。

だから、わたしは言ったわ。

 

何故外に行ってはいけないのかと。

 

きっと貴方の考えている通りなのだろうと思うけれど、お父様は何も答えては下さらなかったわ。

 

それからはいつもと同じよ。

 

夢だったのかもしれないと思えるような毎日なの。

変化のない毎日。

だけど、わたしの膝の傷は時折りわたしを過去へと戻すわ。

一瞬でもお父様を信頼できなくなったあの日を。

 

お父様はわたしに何か隠し事をしていらっしゃる。

 

そう思い始めたら止まらなくなったわ。

 

何故お父様はわたしを外へ出したくないのかしら?

外の世界は刺激が多いからだと小さいときに聞かされたわ。

あんなことがあるまではずっとそう心に言い聞かせてきたの。

だけど、今日のことだってわたしにとっては強い刺激なのよ。

人はロボットを好きなように操るだけでは気がすまないのかしら?」

 

義姉さんはそこで一度話を途切れさせた。

暖炉は赤々と燃え、俺たちを温めたが、義姉さんの心までは温められないようだった。

 

そして義姉さんはもう一度、同じような問いを俺に向かって出した。

 

「どうしてロボットはいつも人間の勝手で壊されるの?

ロボットは壊されるために生まれてきたというの?」

 

緑の瞳が俺を見つめ、捕らえ、逃がさなかった。

小さな薔薇の花が寒さに凍えるかのように義姉さんの唇は震え、

俺の眼球は見つめるべき場所を探して彷徨った。

 

やがて俺は意を決して義姉さんに言った。

「そうです、そうでしょうとも、義姉さん。生まれた者はいつか死ぬ。作られた物は壊される、運命が彼らを導くのです。」

俺はいつか壊れるのだろう。

存在理由をなくしつつある俺は、貴女への愛を感じつつ表には出せない。

何故ならば、俺はロボットだから。

 

何故ならば・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、貴女を愛してしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「義姉さんには未来がある。椅子があるから。」

「どうしたの?何を言っているのか分からないわ。」

「貴女は世界を知らなさすぎる。世界は、貴女の思っているほど以上に広くもあり、そして狭くもあるのです。」

 

だって、貴女は僕がロボットてあることに全く気付いていらっしゃらないから。

 

「車椅子のことを言っているのね。お父様はわたくしのことを思っていてくださるのだわ。」

 

お父さんは義姉さんをガラスのように大切に扱う。

 

それは。

 

義姉さんに、最高の眺めを見せるため。

義姉さんを、世界の頂点にするため。

義姉さんを・・・、支配するため?

 

理由はなんであれお父さんは義姉さんを今までのように大切に扱ってくださるはずだ。

 

だけど。

 

「僕は父さんとそして貴女と、いつまでも一緒にいられるとは思いません。」

 

だって、貴女は本当は遠い人なのだから。

貴女は生きていらっしゃる。

僕は『動いて』いる。

 

その差はあまりにも激しすぎる。

 

「・・・?」

「義姉さんはロートン氏の書かれた本を読んだことがあるでしょう。

<ロボットには欠陥がつきものだ。しかし、『欠陥』というグループにまとめるには、

いささか重大な欠点がごく稀に、ある種に存在する。>

このフレーズの続きは有名だから、義姉さんもご存知でしょう。」

 

俺の眼に、義姉さんの大きく見開かれた、お父さんと同じ緑色の瞳が映った。

微かに震える唇が、昔に読んだ本のフレーズを確実に吐き出す。

 

「・・・感情に左右されてはいけない、から・・・。」

「やはり、ご存知でしたね。そうです。感情というものがロボットたちには存在してはいけないのです。」

 

「でも、貴方は・・・。」

「お父さんにしてみれば僕は、いわば貴女のペットロボットみたいなものだったのでしょう。」

「そんな・・・っ。」

 

腹をさいて、内臓を見せ合うような、そんな話をしていた時、

どうせ、父さんがこんな状態になってしまった時の対処なのだろう、

二体のロボットが入ってきた。

 

彼らはもちろん無言で、無駄な動きもなく、両脇から俺をかかえた。

 

「貴方たち!ロックに何をするの?!彼を放しなさい!」

 

なんていうことだろう。

義姉さんは、綺麗な涙を一筋光らせて叫んだ、俺のために。

 

僕はもう、それだけで充分です。

壊される、そんな未来を待つだけです。

 

そんな俺を二体のロボットはやはり無言のまま部屋の外へ連れて行こうとした。

 

そのとき。

 

「いやあぁっ!彼をつれて行かないで!」

その後、義姉さんは意外であり、そして優しい言葉を口にした。

「彼を、『殺さない』・・・っ、でっ・・・、で、で、殺さなっ、さなっ、ないでっ、でっ、でっ・・・。」

 

『殺さないで』

 

優しい言葉は、幾多の雑音にかき消された。

 

右手で白いスカートを掴み、左手を出来る限り伸ばして俺に向かってくる義姉さん。

そんな彼女は、天使のようだった。

 

だけど、その音は、義姉さんの方から聞こえた。

神はいたずらにも天使の時間を、止めてしまった。

 

彼女の目から透明な涙は消え、土色の液体が噴出し、頬を伝ったのを俺は見た。

そして義姉さんは、俺を瞳で追いながら左手を差し出したまま倒れた。

時折り痙攣する細い指先、風になびく白い薄手のレースのスカート。

俺の目の前に倒れているのは間違いなく、義姉さんだった。

 

「義姉さん・・・?」

 

しばらくこの光景をみつめてから発した言葉がこれだった。

「<感情の波に流されてはロボットは完全にはなれないのだ。>たしか、そう書かれていたな。」

ドアがきしみも無く開き、父さんが入ってきた。

「父さん!そんなことより義姉さんが・・・!!」

「ほう、とうとうフリーズしたな。感情制御のために回線を単純にしたのがいけなかったのかな?」

「それは、なんの・・・。」

父さんは無言でサイレンサーつきの拳銃を取り出し、義姉さんの左腕にむかって発砲した。

 

バスッ・・・

 

「義姉さっ・・・!」

義姉さんの左腕は衝撃をうけ、ほぼ垂直に上がった。

 

紅い血が床を染めていく。

まるで、真紅の絨毯のように。

 

「父さん、なんてことを・・・!」

「お前はまだ、よく理解っていないようだな。」

 

バスッ!

 

今度は拳銃が俺に向かって火を噴いた。

「うああぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁあああっ!」

俺は信じられないほどに叫び、暴れた。

暴れている間左手を襲う激痛と、おとなしくしてから延々と付きまとう、鈍痛。

そして俺の血は俺自身を紅く染めていった。

 

それからやっと俺は痛みを感じている自分がいることに気付いた。

 

この痛みは、なんだ?

何で痛みを感じるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は・・・ロボットじゃなかったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は、人間。父さんと同じ・・・。」

「ようやく気付いたのか。そうさ、お前は『まだ』人間なのだよ。

まさかこの年になっても気付いていないとはな。全く恐れいったよ。ははは!

幼い子どもに刷り込むのは実にたやすく、利用しがいがあった。」

「じゃあ、・・・義姉さんは・・・。」

「そうとも、ティマこそロボットなのだ。あれほど椅子に座らせるのを楽しみにしていたのに・・・。

お前のせいで台無しだな。つまらん感情をおぼえさせてくれおって・・・。

まぁ、メモリーチップを入れ替えてしまえばいいのだから、その後でもかまうまい。」

 

義姉さんがロボットだって?

 

「嘘だ!そんなことありえないじゃないですか!義姉さんはちゃんと僕たちと同じ紅い血を流している!」

 

父さんは俺の眼をちらり、と見て、そして鼻で笑って答えた。

 

「ティマには『怪我』をつくらせたくはなかったのだよ。

自分がロボットだと分からせてはまずいのでね。

だから初期設定に病弱、足が特に悪いと思い込ませるようにロートン氏に頼んだのだ。

それに私が昔からそのように扱っているから本人もすっかりそのつもりなのさ。

全くバカな物だな。

それから、万が一に『怪我』というものをする場合を考え、

人工皮膚の下に紅いオイルをたえず循環させていたのだよ。」

 

「そんな・・・!」

「お前はティマと一緒に一体何年過ごしていたんだ?ティマが成長をしていたとでも言うのか?」

 

その言葉は俺の記憶をよみがえらせた。過去を一緒に過ごした義姉さんの思い出。

「あ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!僕ね、少し大きくなったって言われたよ。」

「あら、本当?・・・そうね。少し大きくなったんじゃない?わたしが抜かれるのも今のうちね。」

「えへへへ・・・。」

 

 

「義姉さん、久しぶりです。」

俺の声を聞いて、義姉さんは振り返り、視線を上へと上げた。

「・・・ロックなの・・・?

・・・まぁ、ロック!あなた・・・背がずいぶんと大きくなったのね!見違えたわ!

一体、いつ寄宿舎から帰ってきていたの?

本当に、帰ると決まっても手紙は出してくれなかったのね。」

「もう、手紙どころじゃなくって・・・。」

 

 

 

「どうかしましたか?」

「いいえ、やっぱりこんなに大きくなってしまったのね、と思っていたの。

昔はあなたがわたしを見上げていたのに・・・、

今ではすっかり見上げないとあなたの顔が見えないわ。

今日はずいぶんと長い間一緒にいるけれど、あなた、わたしとお話するのは大変じゃないかしら?」

「僕は平気ですよ。」

「そんな無理言って!お父様はわたしを見下ろすと首が痛くなるっておっしゃったのよ!」

「お父さんと一緒にしないでくださいよ・・・。」

「あら、ロックったら!ふふ・・・。」

「そういえば、さっきお父さんが言っていたあの車椅子・・・。乗るつもりですか?

急に視線が変わるのは恐くありませんか?」

「・・・・・・・・・。」

「義姉さん?」

 

「わたしはあなたと同じ視点で世界を眺めてみたいの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義姉さんには、俺と同じ高さの視線どころか、世界を見渡す未来が待っていたんじゃないか・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、義姉さんにはもとから感情・・・感情というものがあったではないですか。」

 

なんて無様なんだ、俺の声よ、震えるな!

 

「そりゃあ『人間』らしくあるためには多少の感情は必要だ。

しかし、求めるものはそれ以上でも、それ以下でもないのだ。」

「感情の有限設定は、貴方が望んだことですね・・・・・・?」

「そうとも。少なくとも『愛』という名のくだらん感情は設定しなくて良かったと、

本当にそう思っていたのだよ。まぁ、それも水の泡だがな。」

 

愛の必要性を。

愛はいかなる時に必要なのかを。

 

「さぁ、ティマをここから運び出せ!」

「ま、て・・・・・・・・・。」

 

その言葉を発した瞬間、後頭部に鈍い痛みを感じ、俺の意識はそこで、ぷつり、と途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く・・・。」

 

まだ頭痛がする。

ふと思い出したように左腕を見ると、包帯が巻いてあった。

誰が手当てをしたのか大体の想像はつく。

ガラガラという音が部屋の前で止まり、ドアが開いた。

想像通り、俺の傷の手当てをしたのはこの館専属の看護ロボットだった。

そして、ここはベッドと机と椅子と、マルデュク党関係のものしかない、殺風景な、俺の部屋。

時計はきっかり4:50。

そういえば、あれからどのくらいの時間が経過したのだろう?

 

・・・『あれから』?

 

俺は咄嗟に起き、混乱のあまり会話機能のない看護ロボットにどなりつけた。

「義姉さんはどの部屋にいるんだ、答えろ!」

もちろん、返事は無言。俺はベッドの横の棚から拳銃を取り、走った。

 

嫌な予感が、する。

 

幾度か廊下の角を曲がり、事務室に入り、怒鳴った。

「父上は何処だ!」

そして、俺の拳銃に怯えながらも部下の奴等は両手を挙げ、父さんの命令どおり白を切る。

「さ、さぁ・・・。わたくし達には検討もつけられません。」

「ちっ・・・。」

そうきたのなら、場所はわかったも同然だ。

 

『あの部屋』だ。

父さんとロートン氏、それにポンコッツ博士がいつもいた、『あの部屋』。

 

俺はエレベーターに飛び乗り、最上階へと向かった。

扉が開く瞬間、身を強張らせたが、誰もいなかった。

 

そうか、今日は休日か。・・・父さんもこの日を狙っていたな。

全世界を支配するのなら、研究室の奴等にも義姉さんが座るところを見せたくないはずだ。

父さんを支持する人々なら、なおさら『椅子』には父さんが座ると思うのが普通だ。

研究室を通りすぎ、部屋へ全速力で向かい、そして、最後の曲がり角で足を止め、様子を伺った。

 

ふん、警備兵は・・・クロードだ。あいつ、マルデュク党に入隊してたのか。

それと・・・あとは知らない奴だ。

警備に二人だけとは、俺もナメられたものだな。

 

俺は愛機を左手でなで、撃鉄をひいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛び出した瞬間、俺はクロードのみけんに銃を押し当て、銃口を俺へと向けている赤毛の奴に言った。

「おっと、その引き金を引こうもんならこいつの命はない。こいつを助けて欲しかったらその手から銃をはなせ。」

「くっ・・・。」

奴は躊躇した。だから、俺はクロードに少し強めの力で再度銃口をみけんに押し当てた。

「ひ、ひぃっ!て、抵抗するなよ・・・。ゆっくり、じ・・・、銃を降ろしてくれ、頼む・・・。頼むよ、ジガル。」

冷や汗を流して半分涙目のこいつの顔を見て観念したのかジガルはマシンガンを乱暴に落とした。

「ありがとう、助かったよ。じゃあな。」

そう言って俺は目の前のクロードが持っているマシンガンの引き金を左手で引いた。

「くぅっ・・・!」

傷口が開くことは覚悟していたが、弾丸を向いた後でも激しい痛みが再び襲ってくるなんてことまで予想していなかった。

だから。

「ぎやあぁぁああぁぁぁああっっっ!あぁっっ!あっ!」

ジガルの心臓への狙いははずれ、ヤツの腹にばかりあたった。

そのおかげで血はゆっくりと流れ出し、ヤツの紺の服を黒く染めていった。

「あっあっっっ!い、痛い!痛いよぉ・・・。うぅ・・・。」

「ジガルッ!」

仲間の声に引き寄せられたのか、ジガルはゆっくりゆっくり歩きながら近づいてきた。

しかし。

「あ・・・う・・・。」

ドサリ、という音と共にジガルは倒れ、床はヤツの血溜まりでいっぱいになった。

「ジ、ジガル!く・・・、ロック、貴様・・・っ!」

友の死を目の前に怒りがこみ上げたのだろう、ヤツは叫んだ。

が、しかし、反対に俺は冷静に言ってやった。

「余計なことは言わない方がいいぞ。ほら、あっちに向かって歩けよ。」

もちろん、それだけでは動くはずがないので銃口を心臓の真裏にあてて歩かせた。

「パスワード・・・、吐けよ。お前は知っているだろう?いい椅子に座ってるもんな。」

「言えるものか!いや、言わないぞ、お前の命令なんて聞くものか!」

必死で抵抗し始めたこいつのことを俺は鼻で笑ってやった。

「フッ、言いたいだけ言えばいいさ・・・。

・・・そうだ。お前が死んだら・・・、お前の細君俺が引き取ってやるよ。彼女肌は白いし、美人だし?

・・・くくっ。お前の葬式、白バラを黒のリボンで束ねて持っていってやるよ。

そして俺は何食わぬ顔をして彼女に言ってやるのさ。

『クロードがこんなことになるなんて、非常に残念なことでした。』ってな。

・・・それから・・・、そうだ。彼女を夕飯に誘うんだ。

そして食事もロクに喉を通らない彼女を前にお前の思い出話に花を咲かせるんだ。

そんな話題の中涙する彼女に、俺は甘くて、優しい言葉をかけるのさ。

未亡人の心の奥底にしみわたるようなヤツをさ・・・。」

「い、言うよ!パ、パスワードは741852・・・!」

焦ってパスワードを教えてくれたクロードは俺の眼をじっと見ていた。

冷や汗を流しながら。

 

嘘だ。

 

「俺はお前の冗談に付き合っている暇はないんだ。

そのパスワードが本当だと言うのなら、お前が押してくれよ。間違えたらアウト。

電気ショックでさようならさ。」

そう言って俺はクロードの震えている右手を取って入力装置に近づけた。

「悪かった!許してくれ!本当のパスワードは******・・・っ!」

ヤツが最後の数字を言い終えた瞬間、引き金をひいた。

 

この瞬間の静寂、なんて気持ちがいいんだろう。

 

そう思いながら俺はパスワード入力装置へと手を近づけた。