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「指輪物語」の中の馬



★NEW★ 「白い馬・灰色の馬」〜私の撮った写真のページを作りました。ちょっと重いですが、良かったらご覧下さいませ。

  「指輪物語」はファンタジーですから、エルフ、人間、ドワーフ、ホビットなどの住民以外にも、想像上の動物がいろいろ出てきます。言葉を話す大鷲グワイヒアたち、象のように巨大な「じゅう」、狼たちはオークを乗せて走ります。また、狐や鹿などはふつうの森の中の動物として出てきます。
  そして、馬。「指輪物語」の中の馬は、その英雄的な活躍にも関わらず、描写はとてもふつうの馬なのです。ガンダルフの愛馬になる「飛蔭(とびかげ Shadowfax)」でさえ、ものすごく足が速く、体力がある、という馬なのです。翼が生えていたり、空を飛んだり、口をきいたりしないだけでなく、そのちょっとした仕草や行動などが、いかにも馬らしく自然に描かれているのでした。
  これはもう、馬好きとしては、たまらないです。さらに、主要な登場者(人物とは書きにくい)が乗る馬には、ほとんど必ず名前がつけてあります。嬉しいですね。

  そんな風に楽しく読み続けていくと、気づくことがあります。それは、あの黒の乗り手の馬は真っ黒ですが、そのほかは、白い馬ばっかり、ということです。飛蔭、アスファロス、ローハンの軍団、銀、白、灰色、と書き分けてありますが、これは文学的に表現されているわけで、馬用語で言えば「芦毛(あしげ)」つまり白馬ですね。アラゴルンの乗るハスフェル、セオデンの雪の鬣、デルンヘルムの風の道、メリーのスティッバ、イムラヒル大公の馬まで、毛色の書いてあるのはみんな芦毛なんです。書いてないのは茶色い、とは考えにくいので、これは意図的に、白の勢力と闇の勢力を対比させたイメージを作っているのではないか、さすがトールキン、奥が深いわ。と、感動したわけです。
  しかしながら、この件に関して、愛読者の友達に言っても、実はあまり取り合ってくれません。というのも、ふつうの人は馬の毛色なんか、気にして読まないのです。さすがに、飛蔭だけは別格ですが、他の馬の名前さえ覚えていない人も多いし。 でも、馬好きの友達は、やっぱり、ローハンの軍団など白い馬が沢山走ってくる映像を思い描いて読んでいたそうです。

  でもね、これはもちろん私の勝手な解釈なので、天国のトールキン教授にきいたら「そうだったかい? 気にしていなかったよ」なんて、言われちゃうかもしれませんが

  これから、指輪物語の中の馬のシーンなど、いろいろ書いてみたいと思っていますが、とにかく沢山あるので、どうなるかわかりません。とりあえず、馬の名前だけでも、ご覧ください。

「指輪物語」に出てくる馬リストを作ってあります。どれだけ覚えていますか?


「灰色の馬」はどんな色の馬か

  ふつうの人には、馬が何色をしていても、たいして気にならないのでしょうが、馬好きとしては、かなり重要な項目なのでした。そんなわけで、ちょっと書いておきますね。
  「灰色」の馬と日本語に訳されているのは、英語では「grey horse」と書かれているところです。英語で芦毛馬(あしげうま)のことをそう言います。「White horse」というお酒の名前がありますが、まあ、日本語でも白馬と言うのと同じで、言い方の違いだけで、指している物は同じなんです。たとえば、馬の売買とか登録の時には必ず「芦毛」「grey」を使います。馬に乗る人が話す時には、あの芦毛に乗りたいとか、あの白い馬がいい、とか両方使います。
  たぶん、セオデンの「雪の鬣(たてがみ)」は本当に真っ白に見える馬だったのでしょう。「飛蔭」はあまりに美しいために「銀色」と表現されていますね。たとえば栗毛の馬の中には本当に金色に輝く毛色のがいて「金栗毛」と呼ばれます。
  英語話者の人でも、「grey horse」という表現を知らない人もいるようですが、言語学者のトールキンが知らなかったはずはないし、まして、ふつうの「grey horse」以外の意味で使ったとは思えません。一口に芦毛といっても、濃いのも薄いのもいます。生まれてすぐはみんな黒や茶色でだんだん白くなってくるのですね。『な〜んだ、白髪なのか』という人も多いですが、人間の感覚でいえばそうですが、茶色い馬は年をとっても基本的に茶色いです。ちなみに、生まれたときから真っ白いのを「白毛(しろげ)」といいますが、滅多に生まれないそうです。芦毛は、毛を剃ると体は灰色や茶色です。だから「grey horse」というのかしら?

  蛇足ながら、白毛は毛を剃ると白というかピンクっぽい肌色です、茶色い馬の足や顔にある白い部分は、やっぱり毛を剃ると白いんですよ。つまりシマウマが毛を剃ってもシマ模様の原理と同じでしょうね。

「白い馬・灰色の馬」〜私の撮った写真のページを作りました。
馬と旅行の中にも「葦毛、白毛、佐目毛」のページを作ってあります。連銭葦毛もあります。
良かったら合わせてご覧下さいませ。



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このページの背景は「BEVEL」さんからいただきました