〜葦毛、白毛、佐目毛〜 「葦毛(あしげ)」または「芦毛」とも書きます。古典では「蘆毛」の字をつかってあることも。英語では「Gray」。
葦毛は、生まれた時は黒や茶色の毛色をしています。数年で白っぽくなりますが、個体差があって、まだらになるお馬や、ずっと灰色のもいるようです。毛を剃ると、肌は灰色をしています。目の周りや口元、お尻など肌が灰色なのが写真でわかるでしょうか。「佐目毛(さめげ)」は英語で「Cremello」だそうです。「白毛」に似ていますが遺伝子が違うそうです。生まれた時から白か、クリーム色で、目が青いそうです。日本古来の馬、在来和種にまれに生まれ、昔は神社の御神馬に奉納したとか。残念ながら写真はありません。
『練貫に鶴縫うたる直垂に、萌葱匂いの鎧着て、鍬形打ったる甲の緒をしめ、金作りの太刀を佩き、廿四さいたる切斑の矢負ひ、滋籐の弓持ち、連銭蘆毛なる馬に、金覆輪の鞍置いて乗ったりける者一騎、沖なる船を目にかけ、海へさっとうち入れ、五六段ばかりぞ泳がせける。』(平家物語「敦盛最期の事」より)
↓美少年敦盛は、こんな大きなお馬には乗っていませんでしたが、毛色はこんな感じだったでしょう。他にも、平家物語の有名な馬に、木曾義仲の「鬼葦毛(おにあしげ)」というのがいます。また、この源平の争いの発端にもなった出来事に出てくるのが「煖廷(なんりょう)」という名前の美しい葦毛馬でした。煖廷の毛色は「白葦毛(しらあしげ)」と書かれています、葦毛でも白い毛の多い馬だったのでしょう。ちなみに煖廷(南鐐とも書く)とは、良質の銀という意味だそうです。
この写真の毛色は「連銭葦毛(れんぜんあしげ)」ですね。英語だと「dapple-gray」です。平家物語など読むと、煌びやかな武者のいでたちに花を添えるのが連銭葦毛なのでした。このお馬は現役のばんえい競馬のお馬です。お尻でしつれいします。かわいいでしょ。馬事公苑の愛馬の日に模擬レースをしに来ていました。騎手の人は介添え無しで鞍もつけていないお馬に飛び乗ります。
↓このお馬は「白毛(しろげ)」です。英語では「White」。生まれた時から真っ白で、肌もピンクです。写真には写っていませんが、蹄もピンクっぽい白です。フランスのシャンティイの「生きた馬の博物館」にて。
最近日本では「ユキチャン」という競走馬が白毛で強いので話題になっていますね。
白毛も佐目毛も、目には色素があり、アルビノではありません。
↓こちらは葦毛のアンダルシアン。編みこみを入れてもさらにこんなに長い豊かなたてがみを持つ、スタイルも大変美しい種類です。馬事公苑にて。
↓立ち上がる演技では、長い尻尾が地面についています。
写真はありませんが、ウィーンのスペイン乗馬学校で有名な、リピッツアーナという種類は、アンダルシアンの血を引くスペインのお馬です。ほとんどが葦毛で生まれ、まれに黒い毛の馬も出るそうです。オーストリアの宮廷ですが、スペインの馬を使ったから「スペイン乗馬学校」なのだそうです。南フランスのカマルグ馬も、ほとんど全部葦毛の馬ですね。「白い馬」というフランス映画は、このカマルグが舞台でした。
↑こちらのお馬は種類はわかりませんが、綺麗な葦毛ですね。ちょうど横鞍でお馬の姿が見やすいので載せてみました。馬事公苑にて。
ちなみに、横鞍に乗るときのスカートは普通の筒型ではなく、巻きスカートになっています。下には専用の乗馬用のズボンとブーツを履いていて、お尻と鞍の間にはスカートはありません。左足には普通に鐙があり、右足は鞍の前に足をかける部分がありそこに乗せて安定させます。そのため体はまっすぐ前を向いて乗ることができるという、画期的な鞍です。右側には脚がないので、鞭で合図をします。横鞍の写真:フランス、シャンティイの「生きた馬の博物館」にて。
↑左の鹿毛のお馬のお顔には、毛の白い部分があります。葦毛にもあるのですが、毛色が白いのであまりよくわかりません。毛の白いところは、肌もピンク色で、蹄の色も薄いのです。写真の鹿毛のお馬は足が四本とも白いので、蹄の色も白っぽいですね。毛が黒いと、蹄も黒いです。葦毛の蹄は灰色ぽっく、白毛の蹄はピンクっぽい色をしています。
撮影:千石銀さん↑こちらは、日本の中央競馬競馬の葦毛の誘導馬、センゴクシルバー号、サラブレッドです。競走馬として活躍した後、姿が綺麗なので、レースに出る馬たちをコースへ先導する誘導馬をしています。毛はすっかり真っ白です。騎手もシルクハットに燕尾服で華やかでいいですね。
◇可愛い葦毛馬の写真は、こちらにもあります。良かったらご覧ください。
「指輪物語」と白い馬・灰色の馬 〜芦毛馬&白毛馬写真集〜
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