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馬の映画
〜 PART 1 馬が主役、または主題の映画〜


OPEN OCT.22.1998 / UPDATE SEP.17.2018


馬好きということは、「馬映画」好きということですが、たとえ主役でなくても「馬が出てくる映画」であれば何でも「馬映画」として見てしまうのが私です(笑) さらに、アクション物やSF映画より、ファンタジー物とか冒険物とか「綺麗な自然の景色とお馬」が出てきそうな映画が好きなのも確かです。
今まで見た映画の中から、お馬の出てくる物について書いてみました。

映画のページを3つに分けました。JUL.26.2004

(「馬の本」は別のページに分けました)

★ネタバレに関する事★
いわゆる「ネタバレ」に関して、あまり配慮がされていない事をあらかじめご了承下さい。何しろ「ここが面白かった」と述べた時点で、一番いいところのネタバレになってしまいますから。でも、書かなかったら何の為のページかわからないし、という事で、あまり気にせず書いてあります。


〜 PART 1 馬が主役、または主題の映画〜

NEWダイダロス 希望の大地
黒馬物語

少年の黒い馬
緑園の天使
伝説の白い馬
少年の黒い馬2
ワイルド・ハート〜彼女は空を翔た
モンタナの風に抱かれて
チャンピオンズ
シービスケット

〜 PART 2 馬が主役ではないけど活躍する映画〜
〜 PART 3 馬の出番は少ないけれど使われ方が面白い映画〜


ダイダロス 希望の大地
英語タイトル:MYN BALA: WARRIORS OF THE STEPPE

18世紀初頭カザフは、ジュンガル帝国に攻撃されていました。主人公サルタイも、少年時代に父母や村人のほとんどを目の前で虐殺されてしまいます。青年になった彼は他の孤児たちとともにジュンガルを見つけては襲い、ついにはサルタイの名は知れ渡り恐れられるようになります。そのころ、分裂していたカザフの人々も団結してジュンガルと決戦しようという事になり、大戦闘となるのでした。サルタイはイケメンの青年で(実際はどうだったかわかりませんが)実在の人物だそうです。女性騎士もいたり、ほかの村の女性に恋をしたりと、激しい戦闘のなかにもいろいろなドラマが繰り広げられて、見ごたえがありました。

カザフもジュンガルももともと遊牧民です。モンゴル帝国がすでになくなって、モンゴル系のジュンガル帝国が草原の各国の脅威だったようです。とにかく、この映画は始めから終わりまで、ほぼずっと、敵も味方も馬に乗り通しなんです。もしくは、ゲル(モンゴルの移動式住居)の中なんです。モンゴルで走った草原を思い出し、もう一度走りたいと思いながら見ていました。子供たちの遊びに羊の骨のおはじきみたいなのがあったり、カザフの人たちは馬で走りながら羊を奪うゲーム(軍事訓練でもある)をしたり、ジュンガルのシーンにはモンゴルの歌唱ホーミーの音が低くながれたりと、ツボが満載でした。鞍は、立って戦うのにうってつけの、前が高くなったものでした。奪った馬たちを追って移動させる様子にも、モンゴル旅行でガイドをしてくれた青年を思い出したりしていました。
また、いまどき流行りの動きを急に変えたりするような特撮が無く、素直な映像もとても見やすかったです。でも、ずっと馬に乗っている気分で力が入りっぱなしではありました。

私は、ユーラシアフェスタ2018で上映されたのを見たのですが、日本では劇場未公開の、珍しいカザフスタン映画です。旧ソ連崩壊後の独立20周年記念に作られた映画だそうです。日本語のタイトルは不自然ですが、ネット上の情報によると、「ミゥィン バラ」というのは千の戦士というような意味のようです。

IMDb:https://www.imdb.com/title/tt1852040/?ref_=fn_al_tt_1
アマゾンjp.へリンク:ダイダロス 希望の大地 [DVD]

黒馬物語
Black Beauty
1994年、米、監督:キャロライン・トンプソン、出演:ショーン・ビーン、デビッド・シューリス、他

まさに、馬映画のなかの馬映画です。アンナ・シュウエルの原作の魅力が、愛情のあふれた美しい映像で描かれています。19世紀末、馬が交通手段として重要な役割を担っていた時代に生まれた、一頭の黒い馬「ブラック・ビューティ」の独白を通して、馬と人の関係が語られます。

感動的な出産のシーン、小馬のあどけない様子、放牧された馬ののびのびと走る姿は、何度見ても素敵です。ビューティの言うとおり、馬は飼い主を選ぶことが出来ません。馬を大切にする飼い主や世話係、馬のことをまったく考えない飼い主や乗り手、いろいろな人間に出会いながらの彼の半生の物語。ラストシーンは、目頭が熱くなります。

彼が生まれた農場のグレイ氏を「ロード・オブ・ザ・リング」やドラマ「シャープ」のショーン・ビーンが演じています。笑顔がとても素敵です。ちなみに、グルームの少年は、「シャープ」のリトル・パーキンス役、リンドン・デイヴィス。優しい飼い主の一人ジェリーは「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のルーピン先生役、デイビッド・シューリス。

IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0109279/
アマゾンjp.へリンク日本版のDVDはすでに生産終了のようです。
アマゾンや店頭にはまだ在庫がある様子です。
2004.JUL.26現在
アマゾンjp:→

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少年の黒い馬
The Black Stallion
1979年米、監督:キャロル・バラード、出演:ケリー・レノ、ミッキー・ルーニー、他

とにかく、少年と馬の戯れる映像の美しい映画です。
客船が遭難し、乗っていた少年と馬だけが無人島に流れ着いてしまいます。お互いに少しずつ歩みより、時間をかけて仲良くなっていく様子が、とても美しい映像で描かれています。砂浜を走るシーン、海で泳ぐシーン、初めて馬に乗ったシーンも感動的。彼らが発見され、助けられるシーンは胸が熱くなります。その後、レースに出る事になるあたりは、ちょっとお子様向けの演出ですが、それをおいてもおすすめの映画です。ナポレオンという名前の白いお馬もでてきて、いい味出しています。
少年はお父さんから、アレクサンダー大王の愛馬、ブケファロスの小さい置物とナイフをもらいます。それが、お父さんと話した最後でした。そして、その馬の置物と同じ姿をした馬に救われるのです。始めのうち、こわごわ馬に接する及び腰の少年がほほえましいですが、本当の彼は「生まれたときから裸馬に乗って育った」少年だそうです。

馬の調教師は、「緑園の天使」でも主人公の馬を調教をしていた、ミッキー・ルーニーです。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD3961/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0078872/
アマゾンjp:ワイルド・ブラック...The Black Stallion

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少年の黒い馬2 黒い馬の故郷へ
The Black Stallion Returns
1979年米、監督:ロバート・ダルバ、出演:ケリー・レノ、ヴィンセント・スパーノ、他

前作の癒し系の海と砂浜から一変して、苦難の砂漠越え、そして活劇風の映画です。前作のレースの新聞記事を読んだ、元の馬主(ブラックは盗まれた馬だったそうです)が取り戻しに来て、ブラックを連れて行ってしまいます。彼は5年に一度開かれる、砂漠の競馬に参加するために生産した、名馬だったのです。少年は単独カサブランカへ飛び、愛馬を追って砂漠を渡ります。途中悪い部族や良い部族の人々と出会い、最後にはレースに参加することになります。馬たちが放牧されているところも、ほとんど砂と岩ばかりの土地です。レースは本当に砂漠の砂の上です。(日傘を差しながら見たくなるかも)

この映画同じ砂漠のせいか「オーシャン・オブ・ファイヤー(HIDALGO)」を思い出してしまいましたが、本作の監督はヒダルゴでフィルム・エイディターをしている人でした。一作目にも、フィルム・エディターとして参加しています。

IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0085248/
アマゾンjp:ワイルド・ブラック2...The Black Stallion Returns

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緑園の天使
NATIONAL VELVET
1945年米、監督:クラレンス・ブラウン、出演:エリザベス・テーラー、ミッキー・ルーニー、ドナルド・クリスプ

の映画の古典的名作ですね。が大好きな少女(エリザベス・テーラー)が気に入って、手に入れたは、すばらしいジャンプの才能のあるで、世界最大の障害レース、「グランド・ナショナル」に出場する事になる。しかし直前になって、頼んでいた騎手にキャンセルされ、彼女は女性禁制なのを知りながら、自ら騎乗して、出走してしまう。

主人公の大好き少女と、彼女を囲む家族と調教師の思いやりや、暖かさが伝わってくる物語です。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD9614/
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0037120/
アマゾンjp:緑園の天使NATIONAL VELVET

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ワイルドハート 彼女は空を翔けた
WILD HEARTS CAN'T BE BROKEN
1991.米 監督:スティーブ・マイナー 出演:G・アンウォー、M・シェーフリング

実在の女性をモデルにしたお話と言うから、驚きです。
と美女が高い高い飛び込み台から、プールへジャンプ!!今なら、動物愛護団体から、非難ごうごうなんでしょうけど、そこは大恐慌時代のアメリカ。まさに、見せ物興行ですね。

主人公は、やっぱりに魅せられた女の子。ライトニングと名付けた、白い荒馬に、乗りこなす訓練から始めて、ついには興行の花形スターになり、全てが順調と思われた、、、しかしある時、着水の失敗から、彼女は失明してしまう。

それでも、まだ出来ると言う彼女。興行主や、恋人が心配する中、彼女は飛び込み台にあがってしまう。彼女のもとを目指して走る愛馬、駆け上がって来るのひずめの音に集中する盲目の彼女、カムバックに成功する、ラストシーンは感動的で、さわやかささえあります。

その後、彼女は、盲目であるということを隠して、11年間!!続けたそうです。すごい☆

IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0103262/
アマゾンjp:Wild Hearts Can't Be Broken

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チャンピオンズ CHAMPIONS 
1984.英、米 監督:ジョン・アービン、他 出演:ジョン・ハート、ベン・ジョンソン、ジャン・フランシス

絶対お勧めの映画です☆これが実話だというから、本当にすごい。世界になだたる、イギリスの「グランドナショナル」は、大きくて数が多い障害と、長いくて難しいコースで、完走するだけでも、至難の業です。そのレースに勝ったボブ・チャンピオンと名馬アルダニティの、感動の物語。

ガンの宣告を受け、新薬を使って治療をする事になったボブ、良くなる実感が無くて、副作用に苦しみながら、自暴自棄になってしまいます。けれども、小児病棟の子供達の言葉に、はっと気が付き、病気に負けない、そして必ず復帰するという決意を新たにするのでした。励まし続ける恋人や、家族、周りの人々の暖かさが、彼の支えになったのも、もちろんです。治ってから、復帰までの努力も、大変な物で、副作用で感覚の無くなった手足は、手綱を持つこともおぼつかず、裸足でランニングをして釘が刺さっても気付かないほどひどいものだったのです。全部抜けてしまった髪の毛が生えてきたときの喜び方には、思わず笑ってしまいましたが☆

馬の方も、骨折で廃馬にしたらと言われたのに、回復を信じて大切にした、馬主さんも、ほんの少しのシーンしか無いけれど、馬を愛している人だということがわかって嬉しいです。

レースのシーンは、本物の映像を使っていて迫力があります。馬もなんと、本人ならぬアルダニティ本馬だそうです。綺麗で賢そうな顔をした馬です。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD11501/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0085320/

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モンタナの風に抱かれて 
THE HORSE WHISPERER
1998.米 監督/出演:ロバート・レッドフォード 出演:クリスティン・スコット=トーマス、サム・ニール、ダイアン・ウィースト

モンタナの景色が綺麗です。あんな所を馬で走れたら、本当に楽しいだろうなあ、と思いました。ただし、あまり広いので、迷子になりそう…でも、きっとお馬が連れて帰ってくれるでしょう。

話がそれました。ストーリーは「馬の本」にあるのが原作で、監督がレッドフォードだけに、あまりどろどろしない話になっています。原作に比べると、全体的にあっさりとした映画になったかな?馬が好きだから見るには、やっぱり、物足りないかも…って思ったのは、きっと先に原作本を読んで、構えて見てしまったからだと思います。恋愛より、母娘の確執の方がかえって良く描けていたかも。女の子が良かったです。お母さんは、仕事を失ってまで、娘のために…のはずが、あらあら、違う方向へ…。これは見る人によっては『ステキなラブ・ストーリー』なんだろうか?
牧場で働く、レッドフォードの甥役の男の子が、可愛かったです☆

とにかく発端の、馬の交通事故のシーンは、本当に怖いです。鐙には絶対に足を深く入れないようにしましょう(;_;)馬は、人が落ちてしまった事だけでもショックなのに、ずるずると鐙にぶら下がっていたら、よけいパニックしてしまいますから。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD31030/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0119314/
アマゾンjp:モンタナの風に抱かれてThe Horse Whisperer

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1941.東宝 監督:山本嘉次郎 出演:高峯秀子、他

昭和16年の映画です。タイトルがずばり「馬」というので、前から見てみたいと思っていたのですが、午年にちなんでか、テレビでやってくれたので見ることが出来ました。
素朴な家族の絆の物語ではあるのですが、時代が時代だけに、やっぱりこれは富国強兵思想が反映されているのねえ、と思わされる作品でありました。なにしろ「心で感謝 身で援護」という大文字と、東條陸軍大臣の言葉「飼養者の心からなる慈しみに依ってのみ優良馬--将来益々必要なる我が活兵器--が造られるのである」という画面がまず出てくるのですから。

東北地方の素朴な家族の、馬好きの長女いね(名前からして時代物?)が主人公、年齢はたぶん10代後半でしょうか。馬の競市を見に行って帰りが遅くなり、帰ってくると馬を飼いたいと言って母親に叱られるところからはじまります。家の形は広い土間に馬小屋があって、家の中で飼える様になっているのです。お腹に子供のいるアングロノルマン種の母馬を預かることになり、少女いねは大喜びでかわいがって育てます。ところが、父親が酒を飲んで不注意で馬に蹴られて暫く寝たきりになり、借金が嵩んでしまいます。馬を飼ったって良いことなんて無いと、絶えず母親と言い争いをしながらも、健気に馬をかわいがる少女。冬に馬が病気になってしまった時は、雪の中を命がけで、遠くまで青草を探しに行ったりします。仔馬が生まれるシーンでは、家族みんなが夜中に起き出して見守り、仔馬が立ち上がった時にはお母さんも涙ぐんで喜びます。しかし、少女と可愛い仔馬との幸せな日々は長くは続かず、借金がどうにもならなくなり「当歳(とねっこ)」の内に売ることになってしまいます。馬を売ることを泣く泣く承知した少女でしたが、その夜母馬が狂ったように小屋を蹴破り、仔馬を探して走り回る姿を見て、自分が紡績工場に働きに行くから、仔馬を買い戻してくれと頼むのでした。そうして1年後、立派な若駒に成長した仔馬は、相場より高く軍隊に買い取られ、借金も返せるし、少女も働きに行かずにすむことになります。安堵もつかの間、かわいがった馬との別れはつらく、涙で見送る少女の姿があるのでした。

あの時代は軍馬(活兵器と書かれている)は「天皇陛下の物」として、兵隊さんより大事にされていたんです。 馬産農家の場合、馬が高く売れるのは嬉しいことだし、軍隊は高く買ってくれるのでなお良いわけです。「ノルマンは足が強いから軍用にむくな」なんて台詞がさらりと出てくる。(ちなみに百円から初めて四百八十円までじりじりとせり上がったところを、軍隊の人が五百五十円で、あっさり競り落としていました)でも、良い軍馬を生産するために、こんな犠牲を払っている人たちがいるんだ、という宣伝効果も狙っている様に見えて、なんだかちょっと…という印象は確かにありました。働きに行った少女は、愛する馬と一年間離ればなれで、再会したと思ったら、馬は軍隊に売られて行ってしまうのですから、かわいそうなお話です。

それにしても、ふだん乗馬クラブに出向かなければ馬に会えない私としては、文字通り馬と同じ屋根の下で、生活出来る家って良いなあ、と単純に思ってしまいました。あと、驚いたのは、雪が降っても病気になっても、馬着は着せないんだよね。雪の中を歩かせる時も着せない、道産子じゃ無いんだからって思うんだけど…。
広い放牧地に馬が沢山いたり、花嫁さんが俵をつけた馬に乗ってのお嫁入り道中など、昔の映画と言うより、外国の映画を見ているような感じでした。

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伝説の白い馬
The Silver Brumby
1993.豪 監督:John Tatoulis 出演:ラッセル・クロウ

とってもベタなタイトルですが、なんと馬は葦毛ではありません(笑)「パロミノ」と言っていいでしょう、金色の体に銀色のたてがみの美しい野生馬のお話でした。多分日本の映画館では、やらなかったのではと思います。アメリカでもなかったらしいです。テレビでは以前やったのかしら?ともあれ、邦題をつける人が「シルバー」とあるのを「白馬」と思ったのね、ローハイドが好きだったとか?
この映画は1993年のオーストラリア作品です。原題は「The Silver Brumby」といって、Elyne Mitchellという作家の同名小説だそうです。Brumbyというのは、私の英和辞典には載っていなかったのですが、オーストラリアの野生馬のことでアメリカで言うと「ムスタング」のようなもののようです。
主人公の毛色はどうも、クリーム色と書かれているようです。

映画は、童話作家のお母さん=Elyne Mitchellの書く作品を中心にお話は進みます。現実世界ではその読者でもある娘と母が、馬で森の中を散歩したり、カンガルーの子供を助けたり、ほのぼのとしています。物語の中では、主人公であり『男』に追われ続ける美しい野生馬「サウラ(風という意味)」の誕生から群れのリーダー雄となる、緊迫感のある話が展開し、現実と錯綜していきます。

親子が森の中で助けるカンガルーの子供が、とってもかわいくて目が釘付けになってしまいます。布の袋に入れて、椅子の背やドアノブにかけてあるんだけど、その子の体がくるんと丸まって足の先が頭より高い位置にある様子、イメージできますか?
馬の世界では、こっちが主筋ですが、サウラのお父さんと他の群れの雄の戦いがあったり、サウラが奥さんの馬を人間のところから連れ出したりと、その美しい姿と自然の雄大さを見ごたえのある映像で描いています。この奥さんがまた、めっちゃ美人です。子供もかわいい。「黒馬物語」のように馬の言葉が音声になっていたりはしません。童話を読むようなナレーションで、かなり客観的に馬の行動が説明されています。
サウラの美しさに魅せられて捕まえようとする『男』はラッセル・クロウ、その愛犬も本当に彼の犬だという話です。特に何の芸もしませんが、とてもかわいいです。『男』も敵ながら悪い人間ではない、ということも話の初めの方のエピソードで描かれていて、大上段に振りかぶった「動物愛護映画」ではない所も好感が持てる所です。馬がいじめられるシーンも、別の人間ですが若干あります。

お馬好きに限らず、静かな感動の秀作映画が好きな方にはお勧めだと思いました。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD10964/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0110322/
アマゾンjp.:Silver Stallion: King of Wild Brumbies

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シービスケット
SEABISCUIT
2003.アメリカ 監督:ゲイリー・ロス 出演:トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー、他

お馬好きの方には、是非是非お勧めの映画です。競馬好きの方でも、お馬を見るのが好きな方にはお勧め。また、騎手好きの方にも興味深いかも。
ただし、これはあくまで人間ドラマとして描かれた原作をもとにしているそうなので、馬のキャラクター描写は甘いです。馬映画を期待すると、ちょっと物足りないかも。「シービスケットをめぐる3人の男」というタイトルが正しいかも知れませんね(笑)

でも、いいシーンはいっぱいあります。馬好きとして嬉しい映像や台詞も多いし。パンプキンというお馬が出てくるんですが、なぜかは見てのお楽しみ。綺麗な紅葉をバックに疾走するシーンは、きっとレッドになりたくなりますよ。怪我をしてからの、レッドとシービスケットのリハビリ期間の映像もいいです。お馬と一緒に草原で寝転びながらの読書なんて、夢のようです。この「シービスケット」役には、なんと、10頭もの馬をそれぞれのシーンに使いわけたそうです。走るシーン、暴れるシーン、寝るシーン、食べるシーン、小さい馬を強調するシーン、あまり特徴のない鹿毛だからこそ出来たことですね。

さらに、レッドの友達でライバル騎手のアイスマンは、現役の殿堂入り名騎手ゲイリー・スティーブンス、ライバル馬の騎手はこの映画でレース・デザインも担当している、やはり引退したばかりの殿堂入り騎手クリス・マカロン(マッキャロン)。この二人のマッチレースが見られるって、すごい贅沢な映画よね。他のレースの場面では、騎手同士がレース中に話しているシーンもあり、ちょっとディック・フランシスの小説を思い出してしまいます(ただし、ミステリーの部分は全く無い事を念のため申し添えておきます)。撮影角度も物凄く凝っていて、見ごたえがあります。調教の時の騎手たちの衣装にも注目、今とは全然違うのも、時代を感じておもしろいです。この時代から、アメリカではゲートの中に人が入っていたのですね。でも、入場のときのコンパニオン・ホースはいないのでした。今の「世界の競馬」などテレビで見る、サンタ・アニタ競馬場との違いを見るのも面白いかも。

この映画の山場の一つが、宿命のライバル馬ウォー・アドミラル War Admiral との対決です。この馬は、シービスケットとは対照的な名血馬で、体格も体高180センチ以上と大きく、申し分のない名馬だったそうです。父馬がまた、伝説的名馬のマンノウォー Man o' War です。
ところが、実はシービスケットのお爺さん馬もマンノウォーなのでした。でも、お父さんが気性が激しすぎてあまりよい成績ではなく、その子であるシービスケットも調教が難しかったようで、安値でハワードの所に来たそうです。という事はまさに、この馬とスミス調教師、レッド、ハワードの3人と1頭がベストの組み合わせだったということなのですね。

シービスケットの名前の意味は、航海用の堅いパン(ビスケット)の事。お父さんはハードタック Hard Tack で、これも同じ意味があります。そのお母さん、シービスケットのお婆さんはティービスケット Tea Biscuit、そのお母さんが Tea's Over、そのお母さんは Tea Rose という名前です。ちなみにTea's Overのお父さんは Hanover です。私は血統にはあまり興味がないのですが、馬の名前の付け方を見ていると面白いですね。
ライバルの良血馬 War Admiral が、艦隊司令官というのも面白いです。お爺さんの Man o' War には、戦列艦という意味があるそうです。サラブレッドの3頭の先祖のうち、ゴドルフィン・アラビアンの14代目の子孫だそうです。
ついでに言うと、ウォー・アドミラルはその後も種牡馬として活躍していますが、シービスケットはそれほど有名な子供を残していないそうです、ちょっとオグリキャップを思い出してしまいますね。

ともあれ、この映画は、見終わったあとの感動よりも、後からしみじみ思い出して味の出る作品だなあと、私は思いました。お勧めです。

goo:http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD4425/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0329575/
原作本HP。スライドショウで本物のシービスケット、レッド、ハワードたちの写真が見られます:http://www.seabiscuitonline.com/index1.htm

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◆これからも、追加していきますので、また見に来てくださいね。


〜 PART 2 馬が主役ではないけど活躍する映画〜
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