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馬の映画
〜 PART 2 馬が主役ではないけど活躍する映画〜


OPEN OCT.22.1998 / UPDATE NOV.09.2004


馬好きということは、「馬映画」好きということですが、たとえ主役でなくても「馬が出てくる映画」であれば何でも「馬映画」として見てしまうのが私です(笑) さらに、アクション物やSF映画より、ファンタジー物とか冒険物とか「綺麗な自然の景色とお馬」が出てきそうな映画が好きなのも確かです。
今まで見た映画の中から、お馬の出てくる物について書いてみました。

(「馬の本」は別のページに分けました)

★ネタバレに関する事★
いわゆる「ネタバレ」に関して、あまり配慮がされていない事をあらかじめご了承下さい。何しろ「ここが面白かった」と述べた時点で、一番いいところのネタバレになってしまいますから。でも、書かなかったら何の為のページかわからないし、という事で、あまり気にせず書いてあります。


〜 PART 2 馬が主役ではないけど活躍する映画〜

レディ・ホーク
グラディエーター
ワーテルロー
NEWキング・アーサー
ネイティブ・ハート
ロード・オブ・ザ・リング
ポストマン
ムーラン
耳に残るは君の歌声
楽園をください
ロック・ユー
ジェヴォーダンの獣
レジェンド・オブ・フォール

PART 1: 馬が主役、または主題の映画〜
PART 3: 馬の出番は少ないけれど使われ方が面白い映画〜


レディ・ホーク LADYHAWKE
1991.米 監督:リチャード・ドナー 出演:マシュー・ブロデリック、ルトガー・ハウアー、ミシェル・ファイファー

全ての映画の中で、一番好きな映画と言っていい。ヨーロッパ中世を舞台にした、ファンタジーロマンです。

黒いにまたがった主人公の騎士は、夜になると、狼の姿に変わってしまう。そして、夜になるとその狼の側に現れる美しい姫は、昼間は騎士のつれている、鷹だった。二人は、魔法の力を持った、悪い司祭に呪いをかけられた恋人達。
"Always together, eternally apart."人間の姿では、けして会うことが出来ない二人、、、。

この騎士に助けられた、少年が秘密を知って、お互いの伝言を伝える役をするのです。そして、もう一人、呪いを説く方法を知っている神父と力を合わせて、司祭を倒し、恋人達は、人間の姿に戻ることが出来る。というお話です。

黒い騎士にルトガー・ハウアー、鷹姫にミシェル・ファイファー、小僧がマシュー・ブロデリックです。この、キャスティングがいい!!武術に長け、どこか陰のある、寡黙な騎士。恋人への想いが、押さえた表情から、痛いほど伝わってきます。逆境にも負けない強さを秘めた、姫。他の役者じゃ、こうはいかないだろう。

そして、騎士の乗る馬です、黒くてどっしりした、波打つたてがみの美しい、立派なで、その歩く姿は、パッサージュのように、弾力のある早足、まさに、錦絵から抜け出した様な姿です。

雪原の中、夜明けの太陽の光が射す、ほんの一瞬二人が目を交わすシーンは、感動モノです。クールな騎士が、小僧が姫のことを、「Lady hork」と呼ぶのを聞いて、「レディー・ホーク、、、」といとおしそうに、鷹を見つめる所もいい☆
一番いいシーンは、何も知らない小僧が、傷ついた鷹を寝かせてある部屋に入ると、そこには美しい姫がいる。驚いて、「あなたは、だれ?」と訊ねると「 I am sorrow(私は、悲しみよ)」と答えるところ。

ああ、もう何度見てもいい映画です。

ちなみに監督は、スーパーマンやリーサル・ウェポンを作った人ですから、アクションシーンも見応え十分。まさに unforgettable fantasy です。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD9758/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0089457/
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ネイティブ・ハート LAST OF THE DOGMEN
1995 米 監督:タブ。マーフィ 出演:トム・ベレンジャー、

現代にネイティブ・アメリカン(インディアン)が、昔ながらの姿で、生きていた!!という話です。私はどうも、インディアン物は好きじゃないのだけど。昔の、悪者にしてどんどん殺すのも嫌いだけど、今の映画では、「守らなければいけない」、みたいな描かれ方をするのが、なんだか、免罪符みたいでね。うがちすぎな見方かしら?


主人公は、森の中に逃げ込んだ、犯罪者などを、相棒の雑種犬(かわいい☆)と一緒にで捜索するのを仕事にしている男性。ところが、そこでインディアンの矢で殺された人を見つける。どうしても気になる彼は、研究の第一人者の女性教授と二人、山奥へ捜索の旅に出る、、、そこには、果たして険しい山に守られて、昔ながらの生活をしている、インディアン達がいた。

彼の愛馬は、芦毛(白馬)なんだけど、闇に紛れて捜索するのに、白馬は不向きでは?これは、最後の方の、雪の中を彷徨う、美しいシーンの為にだけ選ばれた、毛色では、、、なんて、考えるのはまた、うがちすぎ?

なかなか、すてきなラブロマンスです。素直な気持ちで見れば、いい映画なんだろうけど、「ダンス・ウィズ・ウルブス」と同じく、やっぱり、いたたまれない物があるね、、、。

主人公のは、山の中を疾走するわ、トラックにひかれそうになるわ、パトカーに追いかけられるわ、おまけに、パトカーを飛び越えることまでやってのける。お疲れさまです。インディアン達のは、アパルーサだろうか、栗毛やブチやいろいろな毛色で、お尻に赤い手形のペインティングがしてあったりする。なかなかキュートです。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30277/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0113617/
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ムーラン
1998.米 ディズニーアニメーション

ディズニーの新作アニメです。足の悪い父の代わりに、男に変装して戦場へ向かう少女ムーラン。彼女の秘密を知っているのは、愛馬カーンだけ、、、。

このがいい。カーンや中国側の達は、中国の絵画から抜け出したような、シャープなプロポーション。敵のフン族のは、どっしりした体型をしています。さすがディズニー、芸が細かい。ただし、ご先祖様のお婆さんに、日本髪を結っている人がいたのはご愛敬(笑)

アニメだけに、もムーランを助けて、大活躍してくれます。雪崩のシーンは圧巻。敵の騎馬軍団のシーンは、グラフィックアニメ。これを見て、指輪物語を思い出すのは私だけでは無いだろうと思ってしまいました。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD31025/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0120762/
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ROCK YOU! ロック・ユー!
A KNIGHT'S TALE 
2001.米 監督:ブライアン・ヘルゲランド 出演:ヒース・レジャー、他

大好きなヨーロッパ中世の騎士物、それも馬上槍試合のお話と聞いて、楽しみにしていました。ストーリーは、さわやかで楽しい青年の成長物語。

イギリスの平民出身の主人公ウィリアムは、騎士になる夢を持っています。仕えている騎士に替わって貴族しか出られない試合に出て勝ってしまった事からはじまり、彼は騎士として数々の競技大会に勝って名声を上げていきます。「人は信じれば運命を変える事が出来る」事を信じて、突き進む一途さは、さわやかで好感が持てます。貴族の令嬢に恋をしてしまう一途さも。しかし、対戦の前の日に恋敵でライバルの騎士に平民だという事がわかってしまい、つかまってさらし者にされてしまいます。(身分を偽って貴族しか出られない試合に出ると、死刑になってしまうのでした)このお話なら、絶対助かって最後は試合に勝つだろうと、わかっていてもハラハラドキドキしてしまうのでした(笑)

平民出身の青年が、身分を隠して騎士として試合に次々と勝って名声を上げていく痛快さ。ライバルの憎たらしさ、王族の粋な計らい、民衆のエネルギー、そして主人公を助ける仲間たちのコミカルでいて真剣な態度が、とても良く描かれていました。脚本も良くできていて、ちょっとした台詞で騎士の強さがとても良くわかったり、登場人物の心情が上手く伝わったりしてしまうのです。

衣装はかなり現代風にアレンジしてあって、恋人の貴族の令嬢の髪型は、それはあんまりでは無いですか?と思うところもあったけど、それもまた時代物の自由さかもね。何しろ、ローリングストーンズのツアーの衣装をアレンジした服を、青年たちが着ていたりするのだから。そう、この映画のタイトル「ROCK YOU!」はQUEENの曲からとってあるんですね。映画の冒頭の、馬上槍試合を待って盛り上がる観客のシーンで使われています。他に競技大会のあとの舞踏会では、恋人たちがデビッド・ボウイの「ゴールデンイヤーズ」で踊ったり(笑)他にも懐かしい80年代のロックが使ってあるのでした。

さらに、チョーサーや英国の黒太子エドワードなどが出てきてしまう。チョーサーは無一文だけど文才があり(あたりまえだ)口上を言う従者として、仲間になって大活躍。エドワードは、ウィリアムと何度か試合をするのだけど、そのたびかっこいいし、最後に美味しい役で出てくるところも、嬉しいお約束で、私としては一番気に入ってしまったキャラクターでした☆

あ、肝心の馬ですが、クラッドルビーという種類だそうです。どっしりとした大きな馬でした。馬も鎧をつけているので毛色がいまいちわかりにくいのですが、ライバル騎士は青毛(黒)、黒太子エドワード(変装している)は芦毛(白)、主人公は粕毛の様な変わった茶色い色の馬でした。
馬上槍試合(JOUSTING ジュースティング)というのは、中世の騎士の競技の一つで、長く作られた柵に沿って向かい合って走りながら、すれ違いざまに相手を槍でつきあう競技です。胴は1点、兜2点、落馬させたら3点というような採点で、トーナメント式に勝者を決めます。鎧をつけた大きな馬で、どかっどかっと走る姿はさすがに勇壮で迫力があります。馬たちは良く調教されていて、試合以外の時は、穏やかそうな感じでした。
綺麗なお馬の姿が見られる、という点では、やはりレディーホークにはかないませんが、これはこれで、騎士の派手派手しい騎馬姿が見られて楽しい映画です。試合前の緊張感を出すのに、馬の顔のアップや、ぶるるるっという鼻息の音を入れたりしているのだけど、映像の馬自身はあまり興奮してないみたいでした。でも、馬が違うと鼻息まで違う音を使っていたのは芸が細かくてよかったです。ライバル騎士が試合で走り出す前に、必ず一度馬を立ち上がらせるのも、いかにも素人受けしそうな、というか娯楽作品的な演出でありました。作品的にも、騎士の性格を表すのにも、らしくて良かったけど(笑)

とにかく見終わって、すかっと良い気分になる楽しい映画です☆

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32436/
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0183790/
アマゾンjp:ロック・ユー! ...A KNIGHT'S TALE COLLECTOR'S EDITION
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ロード・オブ・ザ・リング
THE LORD OF THE RINGS 〜THE FELLOWSHIP OF THE RING〜
ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
THE LORD OF THE RINGS 〜THE TWO TOWERS〜
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
THE LORD OF THE RINGS 〜THE RETURN OF THE KING〜
2002,2003.米 監督:ピーター・ジャクソン 出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・ビーン他

この映画をもう、ごらんになった方向けの感想は、 ◆指輪物語ファンページ「Ride on!」に、どっさり書きました。良かったらご覧ください。■PJ版映画「ロード・オブ・ザ・リング」の感想と■PJ版映画「ロード・オブ・ザ・リング」の中の馬のページがそれぞれあります。

J.R.R.トールキンのファンタジー小説の名作「指輪物語」の映画化作品です。原作と同じく3部作になっています。日本では2002年春に第一部、2003年春に第二部が公開になりました。第三部は、2003年クリスマスに世界的に公開になるはずですが、日本ではどうかわかりませんね。また、2004年春かも。

冥王サウロンが作った、世界を滅ぼすほどの力のある「指輪」を手にした、小さい人ホビット族のフロドが、その仲間たちと、唯一指輪を溶かす事のできる「滅びの山」へ、指輪を捨てに行くお話です。出てくるキャラクターは、人間のほかに、エルフやドワーフ、魔法使い、オーク(ゴブリン)など。撮影のトリックを感じさせない撮影の巧みさと、スタッフのこだわり、衣装や武器などの精巧さ、そして撮影地ニュージーランドの景色のすばらしさ、どれも大画面で見る価値のある、素晴らしい作品です。
話がかなり複雑なので、これからごらんになる方には、日本語吹き替え版をおすすめします。どうしても役者の声が聞きたいなら別ですが、ストーリーを楽しむには、吹き替えの方が、断然おすすめです。

「指輪物語」と言えば『黒の乗り手』と『白の乗り手』ですね。映画第一部「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくるのが、黒い馬に乗った指輪の幽鬼、9騎の黒の乗り手。第二部「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」に出てくるのが、魔法使い白のガンダルフとローハンの名馬のコンビであります。

第一部には、黒の乗り手のほかに、『小馬のビル』が出てきます。私の「指輪物語」の中で一番好きな馬です。そして、この映画の中でも、とってもかわいい栗毛のポニーが使われています。原作と違って、あまり出番はないのですが、9人の旅の仲間と一緒に健気に歩く姿は印象的です。

「二つの塔」では、名馬「飛蔭(とびかげ)」が登場します。役者馬は真っ白なアンダルシアン。ガンダルフは、手綱なしで乗っています。
ほかにも、舞台が「馬の司」の国ローハンなので、軍馬が沢山出てきます。馬具や鎧も、さすがこだわりのスタッフが作っだけあって、細工が細かくていい感じです。
もう一頭、謎の馬がでてきます。これは、未見の方には、ネタバレになりますので控えますが、とにかく、みんな、よく調教されたお馬さんだと、感心してしまいます。

「王の帰還」では、飛蔭がさらに活躍するだけでなく、ローハンの馬たち、ゴンドールの騎士たちの活躍、そしてCGの馬たちの見事なスタントも堪能できます。

下にリンクしてある公式ページでは、各作品の予告編(TRAILERS)が見られます。飛蔭、ハスフェル、アロドそしてブレゴがでています。

映像が見たい方はロード・オブ・ザ・リング英語版公式ページへ!日本語版はこちら

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32788/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0120737/
アマゾンjp:ロード・オブ・ザ・リング...ロード・オブ・ザ・リング...
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耳に残るは君の歌声
THE MAN WHO CRIED 2000年 イギリス、フランス合作
監督・脚本/サリー・ポッター 出演/クリスティーナ・リッチ、ジョニー・デップ、ケイト・ブランシェット、ジョン・タトゥーロ、他

注:例によって「ネタバレ」です。

音楽雑誌で、オペラの出てくる映画ということで、興味を持って行きました。クリスティーナ・リッチも好きだったし、ジョニー・デップも見たかったし。でも、きゃーいと思ったのは、デップの愛馬でした。そんなわけで、「音楽がすてきな映画&本」のページにも感想がありますので、興味のある方は合わせてどうぞ。

主人公はロシアのユダヤ人の娘フィゲレ。幼い頃、歌が上手だった父がアメリカに出稼ぎに行き、すぐ後に村が襲われ、父の写真とおばあさんがくれた数枚の金貨だけを持って、父を捜す旅に出る。はじめはイギリス人の養子になりスージーと名前を変えられる、そこで歌を覚える。10年後、キャバレーで踊り子の仕事をしながらお金を貯めるためにパリに出る。そこでアパートをシェアする友人、ロシア人のローラと出会う。彼女は成り上がり者の人気オペラ歌手ダンテに取り入って成功しようとしているが、スージーはオペラの演出のために使う馬の馬使いのジプシー、チェーザーと恋に落ちる。しかし、パリにナチスが侵攻してきて、ユダヤ人もジプシーも危険になり、彼女は涙で彼と別れて、アメリカに渡る事にする…
ユダヤ人やジプシーなど社会的弱者の悲しみが、綺麗な映像と音楽でしみじみと描かれていてとても良かったです。良い人、悪い人、というキャラクターではなく、それぞれの悲しい辛い厳しい環境があり、その中でそれぞれが、頑張って生きている、という描き方がされていました。強いて言えば、主人公が一番流されていたかも…?

オペラのシーンは演出家がかなり派手好きで、生きている馬を使いたい。人気歌手はそれが気に入らない。なんて所も面白いです。歌手のテノールはサルヴァトーレ・リチートラが吹き替えをしています。トスカの「星は光りぬ」(恋人と引き離され、もうすぐ死刑になる心情を切々とうたう場面)を朗々と歌う声はなかなか良かったです。で、その横で美しい白馬がボロ(糞)をしちゃうんだな。お客さんはざわつくし、いつも悪口を言われているジプシーのチェーザーは口の端ににやりと笑いを浮かべる、ダンテはカンカンに怒ります。歌は上手いが、それだけの男、みたいな描かれ方ですが、権力に取り入るというのもまた弱者の生き方。オペラの興行主はユダヤ人で、興行出来なくなると、ダンテはナチスに取り入って、スージーがユダヤ人であることを密告までしてしまうのです。

さて、このジョニー・デップ扮するチェーザーの愛馬が、前髪とたてがみのながい真っ白で綺麗な芦毛くんなのでした。オペラの舞台にも派手な衣装にもとても映えます。デップとの2ショットが決まるんだなこれが。
夜、チェーザーがルーシーをアパートまで馬を引いて送っていくシーン、部屋には入らず帰るチェーザーはひらりと馬に跨り、馬でお辞儀をしてから、蹄の音をひびかせて帰って行きます。くう〜〜、かっこいい☆(お辞儀のイメージがわかない、でも知りたい方はこれ(フランス旅行記)を、ここまで深くはなかったけど:ブラウザで戻ってきてね)
こんなシーンもあります。チェーザーと仲間の二人が馬に乗って帰るところを、スージーが自転車で追いかけるところ、彼はわかっているのに振り向きもせず、3人で鞍の上に立って、走ってゆくのです。(サーカスみたい、これって観客サービス?)バックに流れる、ジプシー音楽もよいですよ。
夜、二人の愛を確かめ合うシーン、その前にチェーザーがスージーの周りを馬に乗って、輪を描いて走っているんだけど、まあ、その姿の綺麗なこと。やっぱ、馬を使うなら、こうこなくっちゃ、というシーンでした。

とにかく、映像がとても美しく、役者も綺麗で、音楽が良い、ついでに馬も出てくるという、私としてはとっても満足の映画でありました。(ただしこの映画、宣伝文句のごとく「父を訪ねて…」という期待を持ってみると、肩すかしに合うかも知れません、あくまでパリでのスージーの物語)

☆ジプシーという言葉は差別用語(黒人をニグロと呼ぶみたいに)で、今はロマというそうですが、字幕・プログラムに使ってあったのであえて、そのままにしました。

「音楽がすてきな映画&本」のページも見てみる?→

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32574/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0206917/
日本語HP:http://www.asmik-ace.com/Utagoe/
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ジェヴォーダンの獣 Le Pacte des Loups
2001.仏 監督:クリストフ・ガンズ 出演:サミュエル・ル・ビアン、ヴァンサン・カッセル

いまだに謎のままになっている、ルイ15世の時代、フランスのジェヴォーダン地方で起きた、連続殺人事件をもとにしたストーリー。予備知識無しで見たので、意外な展開でした。獣の正体も、その他のキャラクターも、かわいそうな結末だと私は思いました。
冒頭の獣に殺される女の人の映像はかなりショッキングですが、その後は、わりと耽美なコスプレ&カンフー・アクションな映画です。

主人公のフランス人の自然科学者フロンサックと、アメリカ先住民のその従者(友人)マニの登場シーンが、雨に煙る草原に黒装束で馬に乗り、なかなか絵画的でいいです。さらに、獣を狩る話なので、馬のシーンはたくさんあります。この時代、女の人もまたいで乗っていたのか、横鞍ではありませんでした。森の中を走るシーンなど、楽しそうです。貴族のお姫様だから、何でもお遊び感覚なのよね。

マニのフランス風の服装がなかなか似合ってよかったし、ヴァンサン・カッセルの怪しげな貴族はぴったりでしたね。少女漫画好きにはおすすめです。

追記: この映画、英語版のタイトルは「Brotherhood of the Wolf」というのです。フランス語は良くわからないのですが、原題「Le Pacte des Loups」の意味は直訳すると「狼の協定」ですかね、日本語の題とはずいぶん意味が違うんですね。日本語のタイトルのおかげで「獣」をかなり意識して見てしまったんですが、キーワードによって、ずいぶん映画の印象も変わりますね。

IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0237534/
英語版HP:http://www.brotherhoodofthewolf.com/
アマゾンjp:ジェヴォーダンの獣 ―...LE PACTE DES LOUPS S.D
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グラディエーター
2000.米 監督:リドリー・スコット 出演:ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、リチャード・ハリス

西暦180年のローマ、皇帝にも兵士たちにも信頼されていた将軍が、次代の皇帝に疎まれ、妻子を殺され、奴隷となってコロシアムで戦う「剣闘士(グラディエーター)」になり、復讐をめざすという、歴史スペクタクル映画です。コスプレは、それだけで楽しいです。じつは、この映画を見ながら私は、あしべゆうほの漫画「クリスタル・ドラゴン」を思い出してしまいました。映画には、魔法使いは出てきませんでしたけれども。

さて、お馬です。昔の戦争シーンですから、お馬はしっかり使われています。ラッセル・クロウ演じる将軍マキシマスが、かっこいいです。林の中での戦闘、コロシアムでの2頭立ての馬車、さらにその馬を奪っての大立ち回り、特に映画の前半は、馬の見所がいろいろあって楽しいです。
馬好きとして、ポイント高いと思うのが、老皇帝が馬にまたがったとき、将軍がさりげなく近付いて腹帯を直す所など、細かい気配りがあります。将軍の子供は、約3年も帰らないお父さんを待っているのですが、村(じつは農村の出)で小馬を調馬索で調教しているんです。また、将軍が危うく処刑を免れて逃走するシーン、近衛兵の馬を奪って逃げるんですが、ちゃんと乗り換えを一頭引っ張って走っているんです、手で剣を握ったり腕も深く傷ついて、血だらけなのに必死で2頭の手綱を取って走っています。すごいリアリティ。馬を実際に使っている軍人なら、当然長距離を一頭では走り切れないのが分かっているのです。でも、映画でここまで描写されているのは、始めてみました。
奴隷として与えられた鎧に描かれた馬について、何も知らない仇の子供に尋ねられて、かつての愛馬の名前を言うあたりは、ぐぐっと来ました。

気がついたら、これってアカデミー賞を5つもとっているのですね。風景も綺麗だったし、CGも違和感がほとんどないし、見応えのある映画でした。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD31885/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0172495/
日本語HP:http://www.uipjapan.com/gladiator/
アマゾンjp:グラディエーターGLADIATOR
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ポストマン
THE POSTMAN  1997年.米 監督/主演:ケビン・コスナー 

この映画は、「馬好き」の人にお勧めかどうかは、わかりません。走る馬の映像や、アクションシーンたっぷりな事は確かです。ただ、それを見せる事が重要な作り方で、ドラマの中に自然に馬がいるか、というとどうかなあ。それと、馬たちが悲しい死に方をするストーリー展開になりますのでご注意を。

とにかくお馬はたくさん出てきます。馬が画面に映らない時がないというほどです。ポニーエキスプレスの話かと思っていたら、近未来の話だったのですね。西暦2013年にひどい戦争があって、無法者の私設軍隊のようなのが幅を利かせている世界。アメリカという国の政府はなくなっているらしい。この映画、評判はあまり良くなかったみたいですね。そりゃそうでしょうよ、ケビン・コスナーと馬を画面に出すことばかり考えて、ストーリーはそこそこ、って感じでした(笑) 私には、そう見えました。

はじめに出てくる主人公と二人で旅をしているミュール(ラバ)くんの名前がビル。これでテレビが消せなくなりました。遠景で砂漠にちょこんとお座りしている姿がかわいい。村でシェイクスピアの芝居を見せて食べ物をもらうんだけど、ビルも剣を口に持って、演技に加わるのでした。ところが、そこへ悪い集団が来て、主人公は捕まってしまうし、ビルは食料にされてしまうのでした。その肉が、主人公にも配られるのよ。ああ。
悪い人たちも馬で移動しています。村にも馬が何頭かいる。 ようやく逃げ出した主人公が、白骨化した郵便配達人の持っていた古い手紙をある村に配って、喜ばれ信用されて、馬をもらって旅に出ます。そこで知り合った女の人と道連れになるんだけど、追われて雪山に逃げ込んで、食べ物がなく、女の人はその馬を撃ち殺して食料にするのでした。ああ。
雪が溶けて山を下りてみると、偽ポストマンの話を信じた若者が、有志を集めて郵便配達をはじめていて、大勢のポストマンたちが、馬に乗って村々に手紙を配りはじめていました。それは人々の希望になっていましたが、悪い人たちがそのリーダーである主人公をつかまえる為に、配達人たちを殺すようになってしまって…
という、とにかく、悪い人たちも、ポストマンたちもみんな馬に乗って、広い草原を駆けているのですよ。逃げるシーンなどは、走りながら下にいる女の人の腕をつかんで後ろにのせて去っていく、というお決まりのアクション。手紙を書いて家の前で差し出している子供の手から、走ったまま受け取って走り去る、とか。
でも馬の出番は圧倒的に多かったし、映像的に馬がいじめられるシーンは少なかったので、馬を見る映画としては面白かったですよ。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD31001/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0119925/
アマゾンjp.:ポストマンTHE POSTMAN
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楽園をください
RIDE WITH THE DEVIL  1999年.米 監督:アン・リー 出演:トビー・マグワイア、スキート・ウーリッチ、ジム・カヴィーゼル 

この映画、劇場公開時の題は、何故そうなったのかは不明ですが「楽園をください」で、原題は「RIDE WITH THE DEVIL」です。そしてDVDになったタイトルは「シビル・ガン 楽園をください」となっています。ややこしい。

アメリカの南北戦争に翻弄される若者達を描いた、台湾の監督アン・リーの作品。確かに、悪魔にとりつかれたように騎行する若者達の姿には壮絶な物がありました。でも、ラストが「主人公以外みんな死んでしまいました」とならないところが良かったです。本当にあった虐殺事件がクライマックスシーンです。ものすごい銃撃戦で、とにかく沢山の人が撃たれて死んでしまうので、舞台が静かな場所に移った後、最後にもう一波乱あるのかと思ったら、意外と綺麗に終わったので、見た後にどーんと落ち込むような物ではありませんでした。アメリカ南部の話なので景色も綺麗でした。
馬は、移動の手段が全部馬か馬車の時代なので、それこそた〜くさん出てきます。上の「ポストマン」とは対照的に、本当に生活にとけ込んだ自然な描かれ方になっています。頭数も多いし、ものすごい速さで走ったり、走りながら下にいる人を乗せて逃げたりするシーンもあるのに、わざとらしさはみじんも無くて、いい感じでした。

ついでにミュール(騾馬)もいます。台詞のなかに、ミュールと言う所があるんだけど「馬」と訳されていましたね、比喩的に使うときには、文化が違うからどう訳しても、うまくいかない部分はありますよね。

主演は「スパイダーマン」のトビー・マグワイアでした。19歳の設定ですが、長髪に髭を生やしているからもっと年上に見えました。彼は、「シービスケット」(2003年)という映画に競馬の騎手役で出ています。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32427/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0134154/
日本語HP:http://www.asmik-ace.com/Rakuen/
アマゾンjp.:シビル・ガン 楽園をくださいRIDE WITH THE DEVIL
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レジェンド・オブ・フォール
LEGENDS OF THE FALL  1994年.米 監督:エドワード・ズウィック  出演:ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンズ、アイダン・クイン、ジュリア・オーモンド、ヘンリー・トーマス  

インディアンを殺す事に疑問を感じて、騎兵隊退役した大佐がモンタナ州で牧場を営んでいます。息子が3人。真ん中の息子のブラッド・ピット演じるトリスタンが伝説の主人公です。一番下の弟が両親を無くした美人の婚約者を連れて来ます。そこに第一次大戦が勃発し、兄弟は3人とも戦争へ行き、弟は殺されてしまいました。悲しみに沈む彼女は、真ん中の息子と結婚する事になります。しかし、目の前で弟を殺され、彼を守れなかった事が心の傷になっているトリスタンは、一人旅に出てしまいます。政治嫌いの父親と対立している兄息子は、街へ出て政治家を目指しますが、彼も弟の婚約者に実は恋していたのでした…。
はじめてこの映画を見たときは、この女の人は何なんだろう、と思ったけど「自分は死んだと思って、他の男と結婚しろ」なんて手紙を受け取って、一人でいたら、そして涙を流すほど自分に焦がれている男が目の前にいたら、そしてあの時代なら、女の人を責められないでしょう、と思うのです。でも実は、これはラブストーリーではないのです。
語り部として、大佐とともに暮らしているインディアンが出てきます。そして、一番かわいがっている真ん中息子、トリスタンの事を語ります。トリスタンは、子供の頃熊に襲われて、その爪を一本切り落とした事があるのでした。インディアンの言い伝えでは、ともに血を流した人間と動物は、一つになるのです。彼の中には野生の熊の魂が宿ったのです。これは、人間の愛憎劇というより、ファンタジーなのでした。大自然と融合した人間と、それに気づかずに翻弄される回りの人々の物語だったのですね。彼を見守るインディアンの視点で見たら、とても面白かったです。
映画館で見たときは、消化不良で帰って来たのですが、テレビでもう一度見た時は思わず引き込まれてしまいました。

さて、お馬です。牧場ですから、お馬はみんな普通に乗っています。自動車もある時代ですが、みんな馬には乗れたみたいですね。街の保安官や有力者もネクタイ締めて馬を飛ばして来ます。3人兄弟も仲が良くて、気取りやのお兄さんを弟二人が馬から引きずりおろしたり、じゃれあっているようすが良かったです。ブラピは真顔より、無邪気な笑顔のほうが似合うみたい。野生馬を捕まえて慣らす場面も、寡黙で意志の強いところが表現されていました。戦場では、弟を捜して狂ったように馬を駆けさせるトリスタンの姿が壮絶でした。髪の長いブラピと馬のツーショットも決まってました。

この映画、景色がとても美しいです。アカデミー撮影賞をもらっているんですね。あの美しい草原を、馬と一緒に走ってみたいとは、誰もが思うのでは無いでしょうか。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD10964/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0110322/
アマゾンjp.:レジェンド・オブ・フォール(...LEGENDS OF THE FALL S.B.
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ワーテルロー
Waterloo
1970.イタリア・ソ連 監督:セルゲイ・ボンダルチュク 出演:ロッド・スタイガー、クリストファー・プラマー、オーソン・ウェルズ

1815年のナポレオンの最後の大きな戦いが、彼を中心に描かれています。イギリス側のウェリントン公爵もとてもかっこいいです。それにしても、物凄い戦いでした。大量破壊兵器もないのに、こんなに沢山の兵士たちが死んでいくのを見ると、やはり、こんな事があっていいのかと叫びたくなってしまいます。
CGなど使わず、ソ連軍の協力を得て実写で作られています。数千人、あるいは万単位の人が本当にいたのかもしれません(資料がないので良くわからないのですが)。馬も同じくらい沢山います。ナポレオン軍も、イギリス軍も、騎馬隊の突撃のシーンがとても迫力があります。葦毛だけを集めた隊や、栗毛をそろえた隊もあります。ナポレオンの愛馬「マレンゴ」も常に彼のそばに控えていました。ウェリントンは、ほとんどずっと愛馬「コペンハーゲン」に跨っていました。(ただし、馬の名前は映画には出てきません。史実の名前です)

ただね、これは変よ、と思うシーンがあるのです。ナポレオンや将軍たちが馬で走るシーンのアップが、まるで馬の動きになっていないのです。遊園地のメリーゴーランドのようにふわふわと上下しているのですね。はじめ、何の意味なのかわからなかったのですが、どうもそれが馬に乗って走っている動きのつもりらしいのです。誰か「監督、それはちがうのでは…」といえなかったのだろうか…

ともあれ、当時の風俗、軍隊の服装、馬装、広大な大地に展開した両軍の布陣が、映像で見られるのは、歴史物好き、コスチューム物好きにはたまりません。

goo:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD12197/index.html
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0066549/
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キング・アーサー
King Arthur
2004.アメリカ 監督:アントワン・フークア 出演:クライブ・オーウェン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィズ 他

お馬好き、騎士好き、歴史物好きの方には、是非おすすめの映画です。馬の頭数はそれほど多くありませんが、騎馬戦の様子はかっこいいし、騎士と行動を共にするお馬たちは綺麗で賢そうです。特にアーサーのお馬は美形です。
サルマティアの言い伝えとして、死んだ騎士は馬になって生まれ変わり乗り手を守る、という言葉が効果的に使われていて感動的です。

物語の舞台は、アーサー王の伝説はこのあたりから出たのだろうといわれている、5〜6世紀、ローマ軍がブリテン島にいた時代です。したがって15世紀頃に書かれたマロリーの「アーサー王の死」に代表される騎士物語とはまったく違うお話です。
サクソン人の侵略を防ごうとするブリトン人のリーダーとして、ローマの軍人であるアーサーとその騎士たちが戦うお話になっています。騎士たちは、サルマティア人というローマに侵略されたヨーロッパの騎馬民族で、アーサーの指揮の下傭兵としてブリテン島で戦っています。今も遺跡が残るハドリアヌスの城壁が舞台になり、アーサーが勝利したと言われるベイドン山の戦いがクライマックスになっています。
もし、聖杯やランスロットとグィネビアの不倫、「魔法使い」マーリンが出てこないと許せない向きには、まったく違うお話だと思って割り切って見るしかない映画です。

ともあれ、冒頭のサルマティアの若い騎士が連れて行かれる、大草原を馬で行くシーンからドラマチックです。最後の使命のために城壁を出て行くシーンは勇壮、雪の中の映像は何度見ても美しいです。氷の上を歩く馬たちの真剣な表情もよかったです。戦いの気配を察して乗り手を急き立てる馬、斃れた主人に鼻先でそっと触れる馬。お馬の見所はたっぷりです。

残念なのはこの映画、監督はR指定にしたかったそうですが、映画会社がディズニーのタッチストーンなので、戦いのシーンはあるものの、ラストが違和感のあるハッピーエンドになってしまっています。DVDは劇場版とディレクターズカット版が同時に発売になるそうなので、楽しみにしています。

◆参考図書「アーサーとアングロサクソン戦争 新紀元社」…物語ではなく資料本です。戦いや武器の面から見たイングランドの歴史。
アマゾンJP.へリンク→
「アーサーとアングロサクソン戦争」オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ

goo:http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD5315/index.html
IMDb:http://us.imdb.com/title/tt0349683/
アマゾンjp.:キング・アーサー ディレクターズ・カット版
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◆これからも、追加していきますので、また見に来てくださいね。


PART 1: 馬が主役、または主題の映画〜
PART 3 :馬の出番は少ないけれど使われ方が面白い映画〜
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