OPEN AUG.24.1999
& UPDATE MAY.05.2002
お茶でも飲みながら、ごゆっくりどうぞ。
この文は2000年2月3日の日記からの転載です
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子供の頃電話好きで、かけたがった下りなどは、おしゃべりな少年の姿が、目に浮かぶようでほほえましいです。ロンドンが住み易い理由の「さらさらと流れるような人間関係」という言葉が、とても気に入ってしまいました。コンサートが、聞きに行きたくなりますよ。
アマゾンjp.へリンク→ヴァイオリンは見た
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注:例によって「ネタバレ」です。
主人公はロシアのユダヤ人の娘フィゲレ。幼い頃、歌が上手だった父がアメリカに出稼ぎに行き、すぐ後に村が襲われ、父の写真とおばあさんがくれた数枚の金貨だけを持って、父を捜す旅に出る。はじめはイギリス人の養子になりスージーと名前を変えられる、そこで歌を覚える。10年後、キャバレーで踊り子の仕事をしながらお金を貯めるためにパリに出る。そこでアパートをシェアする友人、ロシア人のローラと出会う。彼女は成り上がり者の人気オペラ歌手ダンテに取り入って成功しようとしているが、スージーはオペラの演出のために使う馬の馬使いのジプシー、チェーザーと恋に落ちる。しかし、パリにナチスが侵攻してきて、ユダヤ人もジプシーも危険になり、彼女は涙で彼と別れて、アメリカに渡る事にする…
オペラのシーンは演出家がかなり派手好きで、生きている馬を使いたい。人気歌手はそれが気に入らない。なんて所も面白いです。歌手のテノールはサルヴァトーレ・リチートラが吹き替えをしています。トスカの「星は光りぬ」(恋人と引き離され、もうすぐ死刑になる心情を切々とうたう場面)を朗々と歌う声はなかなか良かったです。で、その横で美しい白馬がボロ(糞)をしちゃうんだな。お客さんはざわつくし、いつも悪口を言われているジプシーのチェーザーは口の端ににやりと笑いを浮かべる、ダンテはカンカンに怒ります。歌は上手いが、それだけの男、みたいな描かれ方ですが、権力に取り入るというのもまた弱者の生き方。オペラの興行主はユダヤ人で、興行出来なくなると、ダンテはナチスに取り入って、スージーがユダヤ人であることを密告までしてしまうのです。
オペラの楽曲は、それぞれ効果的に選ばれています。
もう一つ、とても良かったのが、ジプシー音楽です。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスというバンドが、チェーザーの仲間のジプシー役で出ています。ジプシーが集まる居酒屋で、ダンスをするシーンは、映画「タンゴ・レッスン」のパブロ・ベロンと言うダンサーと踊ります。楽しそう☆
とにかく、映像がとても美しく、役者も綺麗で、音楽が良い、ついでに馬も出てくるという、私としてはとっても満足の映画でありました。(ただしこの映画、宣伝文句のごとく「父を訪ねて…」という期待を持ってみると、肩すかしに合うかも知れません、あくまでパリでのスージーの物語)
アマゾンjp.へリンク→耳に残るは君の歌声 特別版THE MAN WHO CRIED
どうせ、少ししか出てこないんだろうと思っていたら、初っぱなから彼のシーンでした
赤の広場でクレムリン宮殿等のガイドをしているので、彼がしゃべりっぱなしなのよ☆ きゃーい、これだけでも来た甲斐があったという物(笑) それからも、準主役級の活躍。雑誌のインタビューで「思ったより台詞がたくさんあって大変だった」って書いてあったけど、本当に☆ ローマ字で覚えたとはいえ流暢な(外国人の)日本語で、とても自然な会話をしていました。笑顔も素敵でした。皿洗いのアルバイトのシーンもあったり(笑) もちろんトランペットを吹くシーンも良かったです。役者が吹く真似をするのではなく、本物の超絶技巧の音楽家ですから、当たり前ですが、ほんの短い部分でも、というより第一音目から感動を呼ぶのでした。例えば、主人公と父親の「(彼は)ラッパを吹くんだって?」「トランペットよ」「ラッパだって同じだ」という会話を聞きながら、黙ってセルゲイが吹きはじめた『アヴェ・マリア』の綺麗だったこと、スクリーンの中の人物だけでなく、観客もみんな納得して聞き入ってしまう美しさでした(短かったのが残念) オーディションの練習のシーンでは、あまりに超絶技巧で(笑)これはちょっと、わざとファンサービスで入れたのかしらんと思ってしまいましたわ。
お話には、エッセイに書かれている話題が色々盛り込まれています。病気、医者嫌い、自殺、戦争、終戦の時の体験、など…「人はみな大河の一滴」というのが全体のテーマになっています。台詞では出てきませんが。
実は、ナカリャコフを見に行ったので周りもお話も、そんなに期待してはいなかったのですが、三國連太郎はさすがに良かったです。ガンを宣告されて死を覚悟した父親が娘と温泉旅行に行く場面が重要な見所になっています。温泉にはニコライも(何かあったときの男手がいたほうが安心という名目で)行っています。練習で吹くトランペットの音楽を聴きながら、思い出した事があると、父親の話したことは「少年のころ大陸にいて、終戦の直前にロシア(当時はソ連)兵に襲われた、ロシア人は鬼の様だと思った。しかし次の日、引き上げていく同じロシア兵たちの合唱はとても美しくて、今でも覚えている」という物でした。その話を真摯な面もちで聞くニコライ、彼の父は彼が6歳の時にアフガニスタンの戦争で、亡くなっていたのでした。「戦争は誰も幸せにしない」日本海の荒波に重なって、彼の吹くトランペットの音は美しく感動的でした。 アマゾンjp.へリンク→大河の一滴
いちばん印象に残っているのは…女の子は、毎日、ピアノの前に座って、同じ短いフレーズを繰り返し繰り返し弾いている。前の家政婦さんは「うるさい」とヒステリックに怒るだけだったけど、コリーナがそっと近づいて、その音に合わせてメロディーを弾きはじめると、それはすばらしい音楽になる…とても素敵なシーンです。
アマゾンjp.へリンク→F(エフ)
THE MAN WHO CRIED 2000年 イギリス、フランス合作
監督・脚本/サリー・ポッター 出演/クリスティーナ・リッチ、ジョニー・デップ、ケイト・ブランシェット、ジョン・タトゥーロ、他
ユダヤ人やジプシーなど社会的弱者の悲しみが、綺麗な映像と音楽でしみじみと描かれていてとても良かったです。良い人、悪い人、というキャラクターではなく、それぞれの悲しい辛い厳しい環境があり、その中でそれぞれが、頑張って生きている、という描き方がされていました。強いて言えば、主人公が一番流されていたかも…?
まず映画の邦題になっている「耳に残るは君の歌声」(ビゼーの「真珠採り」より)お父さんが歌ってくれた歌として、またスージーがダンテと出会い、父を思い出す歌として、使われています。ちなみにパーティのシーンなのでピアノ伴奏ですが、演奏はラベック姉妹でした。
舞台で歌われる「星は光りぬ」(プッチーニ『トスカ』より)は政治犯としてつかまった男の歌。ナチスが侵攻している時、アパートのユダヤ人の大家さんが連れ去られてしまったり、密告などが行われる状況下では、悲壮感もひとしお。しかし、その舞台になぜ、馬がいたかは不明…多分派手好きの演出家だっただけ。
ナチスが侵攻してきたパリでは、オペラどころではなくなっています。歌手も観客もほとんどいなくなった舞台で歌われる「見よ、恐ろしい炎を」(ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」より)ジプシーが迫害される悲劇の歌です。危機迫る激しい歌、そしてそのあと、劇場閉鎖の知らせが。
ジプシー達が、チェーザーを追ってきたスージーを野営地に迎えて音楽をするシーンはとてもよかったです。スージーのうたった地味な曲(「ディドの悲しみ」パーセル『ディドとエネアス』より=スージーが初めて覚えた英語の歌)に合わせて、バンドの人たちが即興で演奏するところは感動的でした。オペラシーンより、こっちの方が聴きどころですね。
監督/神山征二郎 出演/安田成美、渡部篤郎、セルゲイ・ナカリャコフ、他
主人公雪子はロシア人の青年ニコライに恋をするが、親友との東京での仕事に失敗して、故郷の金沢に帰る事になる、そこには幼なじみの青年昌治がいて、周りは彼と結婚する事を期待しているし、自分もまんざらではない。彼女の父親は末期ガンで本人もそれを承知の上で、手術も入院もしないことを選ぶ。東京でオーケストラのオーディションに落ちたニコライを、雪子は金沢フィルのオーディションを受けるように呼ぶ。父親が危篤状態におちいった日、ニコライは昌治に付き添われてオーディションを受けに行き合格するが…というストーリー。川の流れや海の映像を効果的に使って、淡々と進むのは良かったのですが、セルゲイが国に帰る事になった理由があまりにも拍子抜けで、私としては、その後お話について行けなくなってしまったのでした…。
監督/ジェシー・ネルソン 出演/ウーピー・ゴールドバーグ、ティナ・マジョリーノ、他
家政婦コリーナは、音楽が好きで、レコードの解説を書く仕事をしたいと思って、投稿している。しかし、お姉さんは、黒人なんか採用されるはずがないと言い切る。お父さんと、コリーナはやがて、惹かれ合うようになるけれど、どちらの家族も、肌の色の違う相手を、良く思わない。女の子は、まだ学校に行ける状態ではなく、内緒で連れ回したコリーナを怒る、お父さん。みんな、相手のことを大切に思うからこその言動なのに、傷つけ合ってしまう。ハッピーエンドに至る過程が素敵です。
他にも、素敵な音楽がちりばめられていて、見終わった後の心が豊かになる映画です。おすすめの一本。
ありがちなラブストーリーですが、DJ熊川の地で行ってるでしょうという、おしゃべりが、面白かったです。生意気そうで、でもどこか照れ屋見たいなところが、可愛い☆ただし、ダンスシーンはほとんどないです。