おすすめ本、私の好きな本


  • 私の好きな本、おすすめ本のH.Pへ
  • NO.1 乳と卵 川上未映子 文春文庫    
    青春の頃の苦しい気持ちが蘇ってきました。
    母と娘の葛藤する姿が、心にせまってきます。
    関西弁の会話が独特の雰囲気を出しています。


    主人公の女性の私と、私の姉の巻子と、巻子の娘の緑子(多分、小学校6年生)の3にんが
    主な登場人物です。
    巻子は39才、元夫と離婚して、一人で緑子を育てています。
    出産でしぼんでしまった乳を気にしていて、豊乳手術を受けたいと思い、病院のパンフレットを集めています。
    大阪に住んでいる巻子と緑子が、夏の3日間、東京の私のアパートに泊まりに来ます。
    巻子は、東京の病院で、豊乳手術の情報収集をしようと思っています。
    巻子と緑子に、感情のぶつかりあいが有って、ここ半年ぐらい、巻子が話かけても緑子はしゃべらず、
    ノートに字をかいて、それを返事にします。
    私の問いかけにも、ノートに文字を書いて、答えます。
    巻子は、専門家も顔負けするぐらい豊乳手術にくわしくなっています。
    「豊乳手術は大まかにゆうたら選択肢がみっつやったん、覚えてる?」
    「いわゆるシリコン入れるのと、ヒアルロン酸注射して大きくするのと、それから自分の脂肪を抜いて
     それ使って膨らますやつ、で、シリコン入れる方法が今もやっぱいっちゃん多いねんけどいっちゃん高いねんな」

    緑子は、その事を快く思っていません。気持ちをノートに書きます。
    [お母さんはなんか豊乳手術について、毎日調べてて、あたしは見んふりしてるけど、でも胸、
    うそもののなんかいれておっきい胸にするんやって、信じられへん、だいたいそれって何のためによ?
    って何のためにか仕事のために?考えられん。気持ちわるい気持ちわる気持ちわる気持ちわる気持ちわる気持ちわる]
    巻子は、自分の乳にコンプレックスをもっています。
    「あたしも子どもを生むまえはゆうてもここまでじゃなかった。そんな変わらんと云われるかもしれんけど、
    そら滅茶苦茶にきれいではなかったけど、そやけど、これ見て。これはないよ。
    色も大きさも何でここにお菓子のオレオがっていうこれはないよ。
    ま、オレオの今はまだましで、最強の時はアメチェ色、知ってる?アメリッカンチェリーな。あの色、すんごい色な」

    巻子と緑子は、反発しあいます。
    巻子は緑子にちかづきながら、あんたは、あたしと口がきけんのやったら、どうでもしい、どうでもしたらええよ、
    ええわ、と云い、ひとりで生まれてきて、ひとりで生きてるみたいな顔してさ、と昨今昼ドラでもなかなか聞けぬようなセリフを云って、
    なあ緑子、あたしはいいねん、あたしはええよ、と、何がいいのかそればかりを繰り返し


    後半からラストの盛り上がりが素晴らしく、一気に読んでしまいました。
    文章の持つ力が素晴らしい。
    おすすめ本です。

    NO.2 我 拗ね者として生涯を閉ず 本田靖春 講談社文庫
    反骨ジャーナリスト本田靖春の自伝
    元社会部記者としてのプライドを持って、戦いの人生を歩んだ
    本田靖春の自伝。
    最近、プライドを持って、戦いの人生を歩んでる人って、少ないと思います。
    「プライド無くして、何の人生か」
    「権威をふりかざす人間はきらいだ。」本田靖春は吠える。
    NO.3 赤ずきんちゃん 気をつけて 庄司薫  中公文庫
    日比谷高校生の薫くん 
    東大入試が中止になってどうしようか悩んでいる
    この人生の真っただ中で犬死にしない生き方をするべきか 
    それとも全ての人を幸福にする生き方を追求するべきか  
    薫くんは悩む 
    ガールフレンドの由美は気まぐれで、すぐ「舌かんで死んじゃいたい」なんて言うし。
    痛めた足を踏まれてのけぞる薫くん。
    踏んだのは、5歳ぐらいの女の子、あかずきんちゃんでした。
    あかずきんちゃんとの交流で、薫君の心に広がっていく思いとは。
    心ゆさぶる青春小説です。

    ああ、俺にも昔は青春があったのだっけ。中、高と男子校でつまらなかった。(H.P作者)

    NO.4 深夜プラスワン    ギャビン・ライアル  ハヤカワ・ミステリ文庫
    プロフェッショナルとはどういう人間かについて この本は書いている。
    カントンがカントンであるためには、自分の美学が何よりも 大切なのだ。
    それは、時には、死を賭しても守るべきものなのだ。
    カントンは、相棒のガンマンがアル中とは知らなかった。
    人を殺すことに罪の意識を感じると、人はアル中になるしかないのか。
    カントンの心は叫ぶ 「ガンマンのハーベィよ、もう少しの間、アルコールを飲むのを我慢してくれ。」
    依頼人マガンハルトを無事に送りとどけるため、カントンの運転するシトロエンは疾走する。
    「私の仕事は、マガンハルトを無事に送り届けることだ」とカントン
    「俺の仕事はマガンハルトが殺されないようにすることだ」とハーベイ
    「二人の目的がぶつかる時がくるかもしれない」とハーベイ
    そしてその時が来た。
    カントンとハーベイはどのような行動をとるのだ。      
        
        
        
    NO.5 赤目四十八瀧心中未遂   車谷長吉  文春文庫
    人の生死には本来、どんな意味も、どんな価値もない。
    ただ、人の生死に意味や価値があるかのような言説が、人の世におこなわれて来ただけだ。
    従って、こういう文章を書くことの根源は、それ自体が空虚である。
    けれども、人が生きるためには、不可避的に生きる事の意味を問わねばならない。
    この矛盾を「言葉として生きる。」ことが、私には生きることだった。   


    会社員をやめて無一文になった生島。
    主人公の生島は、焼き鳥屋で使うモツ肉や鶏肉の串刺しをして、生計を立てる事になった。 
    生島と伊賀屋の女主人と彫り物師の彫眉と朝鮮人の若い女性アヤちゃんとの日々が語られる。
    伊賀屋の女主人セイ子姉さんは、60歳、昔パンパン(娼婦)だった事を生島に打ち明ける。
    「うちは今日までわが身がパンパンやったこと誰にも言うたことない。隠して来た。
     けど、うちはこのことを死ぬまでにいつど誰どに、自分の口で言うてから死にたかったんや。
     隠すいうことは辛いことや。」
    言葉が突然、私に襲い掛かって来た。女の味わったであろう失意、嘆き、怨み。
    だが、自白することは、死の快楽だ。私はこれをどう受け止めればいいのか。
    なぜ「あんたに。」なのか。
    併し私は菩薩でもなければ、閻魔でもなく、言うなれば、ただの無能(スカたん)である。
    女が自白することによって味わっているであろう無慙な喜びが、
    あの「冷たい手」の感触として私の生身に沁みた。

    アヤチャンが生島に言う。
    「あんた、目ェだけで女を楽しむんは止めた方がええわよ。」
    「えッ」
    私は息を呑んだ。心臓に達する言葉だった。
    アヤちゃんは含み笑いをした。
    「あんたの厭らしいとこはそこや、いうことが、あんた分かってへんやろ。」

    アヤちゃんの背中には、彫眉の彫った鳳凰がある。
    生島とアヤちゃんの心と肉体の交流、いや魂の交流が語られている。
    「はじめから、私はアヤちゃんに差し込まれていた。」
    「生島さん、あんたうちと一緒に逃げてくれるわね。」
    「けど、もうどこへも逃げていくとこなんかないのよ。」
    生島とアヤちゃんの運命はどうなるのだ。


    「あの帽子は わたしがころんだすきに 波にのまれてしまったのです」
    「ひろってください 帽子は波にのってただよっています ほら すぐ手のとどくところに」
    「あなたが一生懸命 手をのばしたのは わかっています」
    「今日は 海の水がおこっている日 あなたをさえ 波がのみこもうとしている」
    「けど おそれずに あの帽子をひろってください」
    「私が願ったのは 帽子をとりもどすこと ではなかったけれども」


    車谷長吉の渾身の一作です。
    おすすめ本です。

    NO.6 ダックスフンドのワープ  藤原伊織  文春文庫
    藤原伊織の作品では、私が一番好きな作品です。
    テロリストのパラソルよりも好きです。  


    <邪悪の意志の地獄の砂漠>で、年老いたダックスフンドは闘う。 
    スケートボードで5歳ぐらいの女の子にぶつかりそうになり、それを避けるために、ダックスフンドはワープした。
    そして、ワープした先は、<邪悪の意志の地獄の砂漠>だった。
    女の子を悲しがらせないために、ダックスフンドは闘う、邪鳥とも闘う、なぜならダックスフンドはもともとは、猟犬だったのだ。
    20歳の主人公の僕は、10歳の女の子マリの家庭教師をしている。
    マリにワープしたダックスフンドの話を創作して、聞かせている。
    話相手になるのが、家庭教師の仕事だ。
    「水のない砂漠にワープしたら、危急でしょう。」
    「危急の時さ。ダックスフンドはこの砂漠じゃ絶対死ねない、そう心に決めたんだ。」
    「どうして、もっとロマンチックな死に方がしたかったの。」
    「じつは、ダックスフンドのワープに理由が有るんだ。つまるところ、誇りの問題といっていい」
    「誇りの問題?」
    「ワープの理由は破局の回避だったろ?女の子との衝突を避けることいあった。すると、もしその砂漠で死んだら
    こういうことが言える。その女の子が間接的にダックスフンドを殺したことになるってさ。
    そんなことは許されない。ダックスフントはそう思ったんだよ。
    もし彼が死んで、それが自分のせいだと知ったら女の子はきっと悲しむ。
    ダックスフントはそう考えるほかなっかったんだよ。」


    NO.7 愚者の夜 青野 聡 文春文庫    
    この小説はすごい。久しぶりに読み返したら、その小説の持つ力に引き込まれ、4回読み返しました。
    私が小説としての高みに到達していると思うのは、この小説と、車谷 長吉の「赤目四十八瀧心中未遂」です。
    色川 武大の「離婚」も入れて良いかな。(H.P作者)


    放浪癖の有る犀太と妻のオランダ人女性のジニーが主人公です。
    主人公が生き生きと描かれていて、すぐ近くで息をして、話しているように感じます。
    ジニーがとても魅力的です。
    それにしても、欧米の女性は、夫がいても、夫以外の他の男と性愛しても悪い事とはおもわないものなのでしょうか。
    そんなジニーに犀太の心は引き裂かれるような苦しみを感じます。
    本当に、私は欧米人の女とつきあった事が無くて、幸せだと思いました。
    ジニーと犀太の会話が素晴らしいです。
    一例は、下記のようです。
    「どうして起こしてくれなかったの」
    「まだ早いじゃないか」
    「どうしてあたしを待たないであけちゃったの」
    「どうしてって、たいしたことじゃないだろう?兄貴がこわれているものはないか気になってさっさとあけたんだよ」
    「たかだか台所用品 今のあたしにはこんな事しか楽しみがないのよ。それなのに理解してくれないのね。」
    「・・・・・・・」
    「ヨーロッパではあなたの妻として申し訳ないことをしました。
     罪を犯したとは思っていないけど、あなたの妻としてなにもしていない、それが心残りだった。
     いまは・・・これはあたしたちの最後のトライアルでしょう?そうでしょう?
     あたしは日本人の奥さんのようにはなれないけど、ベストはつくしたい、そのためにきたのよ。
     お願い、馬鹿ばかしいといったらとたんに糸はプッツリと切れてしまう、そもそもが細いんですから。
     足場だってもろく崩れてしまう、ハウス・ワイフなんて砂の防波堤みたいなもんだから。ね、リノ、お願いします」



    射精はしゅるしゅると音をたてて夜空に花開く打ち上げ花火だった。
    尿道がえぐられて広くなった感じがしたし、たまっていた精液が人を陰うつにする悪の根源だったみたいに急にさばさばした。
    腰と膝をバネにして何度も君をはねあげた。
    「よかったわ。切れかかっていた糸が結びなおされたわ。リノを感ずるの、いま、このいまのいま。
     地球のうえではなればなれになるけどもういい、あたしに不安はないわ。」
    君は瞳のすぐうしろにある扉をあけはなって外をうかがい、しきりにぼくの内へとはいりこもうとしていた。



    「ついにジニーをファックしたぞ。なあ、いっしょにメキシコにいかないか?」
     「いい女友達をつくりなさい。ペニスをもっとつかわなければ退化しちゃう。」
     


    日本人の妻は亭主にこんな事は言わないよね。
    ジニーと犀太の人生は交錯し、ともに歩んでいけるのだろうか。
    しかし男はつらいよね。勃起し、挿入しないと女性(ジニー)との糸を結べないんだから。
    勃起しない男はどうすれば良いの?
    私も年寄りになってきたし。(H.P作者)

    NO.8 山と森は私に語った 辻まこと 白日社  
     画家で登山家であった辻まことの画文集です。
     辻まことは、生前、お金持ちにはならなかったし、有名にもならなかった。
     死後の方が、生前より多くの本が出版された。
     辻まことの文を読んでほしい、画を見て欲しいと願う多くの人がいたためです。 
     生前にちやほやされても死後には忘れ去られる人が多い中で、これは稀有な事でしょう。
    この本を手に取って、自由にページをめくってください。
    辻まことの精神が語りかけてくるはずです。
    「雪の山と森は私に語った。必要なのは情熱と夢ではなく冷静な目覚めだと。
     愛することではなく憎悪を超えることだと、多弁な歌やマイクロフォンの声ではなく沈黙だと。
     目標を失くし錯雑した感情を病む私の心は、この凍結した白い永遠に救われる。」

     世界から戦争が無くならないのは、人々が憎悪を超える事ができないのが原因だと思います。
    辻まことの自由な精神が生み出す文章を味わってください。


    今から約30年前、辻まことが愛したという奥鬼怒湿原に、金精峠から根名草山越えで行った事が有ります。
    金精峠はガレててやばかったです。尾根道もはっきりしないような登山道で、道に迷ったりして、やばかったです。
    生きて奥鬼怒湿原にたどりつけて、少し運を消費したかもしれません。
    冬の北八ヶ岳単独登山で道に迷った時は、死ぬかもしれないと思いました。
    もとの尾根道に出ることができて、あの時は、運をそうとう消費したと思います。
    奥鬼怒湿原は、やはり美しい湿原でした。
    辻まことが愛した場所に私も立つ事ができて、うれしかったです。
    今は、奥鬼怒湿原はどうなっているのでしょうか。
    今は、根名草越えをする体力も胆力もありません。
    でも私にとっては、奥鬼怒湿原は、根名草越えでしかたどりつけない遠い場所です。(H.P作者)

    辻まことの他の山の画文集を絵入りで紹介します。こちらをご覧ください

    NO.9 念ずれば花ひらく   坂村真民  柏樹社  
    仏教詩人、坂村真民さんの詩文集です。
    人生で苦しい事が有ると、私はこの本を開いて読みます。
    すると力が湧いてきます。


    最初にこの詩が出てきます。 

    念ずれば
    花ひらく
    苦しいとき
    母がいつも口にしていた
    このことばを
    わたしもいつのころからか
    となえるようになった
    そうしてそのたび
    わたしの花がふしぎと
    ひとつひとつひらいていった

    真民さんの愛するお母さんがいつも口にしていた言葉の詩です。

    こんな詩も有ります。


    ねがい
    あなたに合わせる手を
    だれにも合わせるまで
    愛の心をお与えください
    どんなにわたしを苦しめる人をも
    すべてをゆるすまで
    広い心をお授け下さい


    真民さんのお母さんは、36才で未亡人になり、一人で小さい子供達5人を育てました。
    それからお母さんの悪戦苦闘の歴史が始まりました。
    「念ずれば花ひらく」これはお母さんの念仏といってよい自己激励のことばであり、また5人の子たちを
    育てあげようとする悲願の念誦でした。
    真民さんには、お母さんへの大恩に報いようとしたためか、お母さんの登場する詩も多いです。


    坂村真民さんの他の詩文集はこちらをご覧ください

    NO.10 香具師の旅 田中小実昌 泰流社
    田中小実昌の連作小説集です。
    「浪曲師朝日丸の話」と「ミミとのこと」が特にお奨めです。
    田中小実昌の小説世界は、悲惨で絶望的な世界を描いているのに、
    奇妙に明るく、おかしい。田中小実昌が悲惨な戦争をくぐり抜けた末に到達した世界です。



    小説の主人公のぼくと朝日丸は、戦友でした。


    ぼくたち捕虜は(といって、中国兵の監視がついていたわけではないが)何度も移動させられ
    何度目かの移動のあとで、ぼくと朝日丸は、もと旅団本部があったところの病院にいれられた。
    病院といっても一棟だけの粗末なバラックで、ここに、ぼろっきれみたいにならんで病人が寝ていた。
    ぼくはアメーバ赤痢とマラリヤと栄養失調、朝日丸はパラチフスとマラリヤと栄養失調で、中隊長は
    「おまえたちは、どこまでも仲がいいなあ。」とわらっていた。
    やはりパラチフスかなんかだったんだろう、熱をだしていた乙幹の軍曹と朝日丸を、牛がいない
    牛車のようなものにのせ、ぼくとおなじように血便をたれていた5年兵の兵長とぼくで車をおして、
    病院にいったのだが、乙幹の軍曹は、病院にはこびこまれて2日後に死んだ。


    耳が聞こえず、言葉を喋れない若い娼婦のミミとぼくの、悲しくも奇妙な愛の物語が
    「ミミとのこと」です。


    文芸部長はすごく真面目なひとで、真面目な証拠に、青白い額をし、それにいつもしわがよっている。
    「頭のおかしな女の子をつれてきて、どういう気なんだ」
    文芸部長の額にたったしわがモヤシみたいにゆれ、ぼくは弁解した。
    「頭がおかしいんじゃありません。口がきけないんです」


    悲惨で残酷でせつない、ぼくとミミの物語を是非読んでやってください。
    おすすめ本です。




    NO.10A 愛の詩集 谷郁雄  飛鳥新社    
    私は小説を読むのが好きですが、詩を読むのも好きです。
    すぐれた詩は、心の深いところに突き刺さります。
    その詩の言葉は、長い時間がたち、忘れたころに、
    心の上に浮かんできます。
    「そういうことだったのか」と、突然に気がつきます。


    谷郁雄の「愛の詩集」から詩を紹介します。


    「祝福」 谷郁雄

    百年前
    あなたはいなかった
    百年後
    あなたはもういない
    木が葉っぱを
    茂らせたり
    散らせたり
    するのと同じように
    あなたは
    嘘をついたり
    恋をしたり
    いろいろと忙しい
    幸せとは
    ただそこにいること
    よろこびで
    顔をしわくちゃにして



    「来世」 谷郁雄

    もしも
    生まれ変れるなら
    もう一度
    ぼくになる
    君が
    ぼくの目の前を
    通り過ぎたとき
    それが
    君だと
    思い出せるように


    私がおすすめする詩人の詩は、こちらををご覧ください