太平洋序曲NY公演特集 |
リンカーンセンター・フェスティバル2002パンフレットより
リンカーンセンター・エイブリー・フィッシャー・ホールの外観
2002年7月5日午後3時25分、キャスト・ミュージシャン・スタッフ計35名が、成田空港を飛び立った。
舞台・照明・音響等のスタッフは、既に7月1日に渡米し仕込みにかかっている。いよいよ「太平洋序曲」ニューヨーク公演への旅立ちである。 13時間の飛行の後、ニューヨーク・ケネディ空港へ到着したのが、やはり7月5日の午後3時。時差の関係で一日得をした気分だ(でも帰りは一日損するんだから結局は一緒)。 そのままリムジンバスに乗ってホテルへ。ホテルはブロードウェイの劇場街まで歩いて10分ほど。 今日はキャストはフリーなので、10人ほどでブロードハースト劇場へ「Into the woods」を観に行くことに。以前NHKの衛星放送でやっていたのを観て、とっても気に入っていたミュージカルだ。 「太平洋」と同じくソンドハイム氏の作品。やはり面白い。ソンドハイム氏の音楽は刺激的だ! 7月6日、初めて劇場へ入る。このAvery Fisher Hallは、普段はニューヨーク・フィルハーモニーの本拠となっている客席数2.700の大コンサートホール。ここでミュージカルをやるのも初めてなら、舞台に水を張るなどという事も初めて。 交渉の段階で随分ご苦労があったらしい。ちなみに隣のボーモント劇場では、「コンタクト」を上演中。 さて、僕達の最大の不安は、アメリカ公演はユニオンの関係で、日本人スタッフが一切手出し出来ないこと。舞台の転換は勿論、照明の操作も衣裳の着付けの手伝いも、全てアメリ人スタッフ。日本人スタッフは指示を出すことは出来ても手は出せないという。これで果たして無事に幕があがるのだろうか。 この日は衣裳スタッフとの顔合わせと、実際に着せてもらう稽古。 五人のアメリカ人スタッフはみんな優秀。着せ方をしっかり覚えていてくれた。日本人より力が強いから、帯などはギューッ!く、くるしいぃ〜!衣裳に関してはあまり心配はいらないようだ。 この日の仕事はこれだけ。2時間ほどで終わったので、国本さんや小鈴くんたちと、ヤンキースタジアムでメジャーリーグ観戦へ!ヤンキース対ブルージェイズ。結果は8-0でヤンキースのボロ負けだった。 その後、スタジアム前にあったボーリング場へ。<ニューヨークでボーリング>なんて、ちょっとカッコイイと思いませんか?ところが、ところが、アメリカ人はみんな手が大きい。ボールの穴が全然合わない!スコアは聞かないで! 明日からいよいよ舞台稽古!さて、どうなることやら? 7月7日、舞台稽古開始。しかしこの日は日曜日。ミサがあるため劇場には1時からしか入れない。初日までの時間が非常にタイトなので、日本ならもっと早くから始める所だが、この辺はアメリカは徹底している。例えば、休憩時間は一切仕事はしてはいけない。休憩時間中に舞台に乗ると怒られることもあるとか。 日本のようにズルズルと延びることはないから、それはそれで良いことなのだが、この時間のない時に気が気ではない。 早速、ソンドハイム氏とワイドマン氏が激励に登場!ちなみにワイドマン氏は、この日から連日足を運び、英語字幕のチェックと訂正をとても細かくしてくれていたとのこと。 さてこの日はまずテクニカル・リハーサルから。東京公演との一番大きな違いと心配は、屏風の動き。新国立劇場の場合は、回転も開け閉めも全て手動。舞台上でスタッフやキャストが動かし、舞台下にスタッフが5・6人いて、その人たちが細かい調整やロックしたりしていたのだが、アメリカでは一部を除いてほとんどがコンピューター制御。 屏風の動きがある一場面一場面を追ってゆく。やはり人間が動かすようにはうまくいかない所がある。 その度にコンピューターのプログラムを変えなければいけないので時間がかかる。7時からは場当たり稽古に入る予定なのだが、とても無理そう。そして思ったとおり夕食休憩の時間に。しかしテクニカルは途中で切り上げ、予定通り7時からは場当たりに突入した。 細かいことを書いているときりがなさそう。とにかくこの日は、「ウェルカム・トゥ・神奈川」の前で終了。劇場を出たのは午後11時。疲れた! 明けて7月8日。時差ボケのせいか、いつもなら一度寝入ると昼頃まで寝ていられる僕が、夜中に2・3度目が醒める。食べ物のせいか、おなかの具合もあまり良くない。この日は11時に劇場入りして、用意が出来次第場当たり開始。しかしすぐに昼の休憩時間に入ってしまう。 「ウェルカム」組の治田君達は、昨日は衣裳も着てかつらも付けていたのに時間切れ。今日もはじめる前に休憩に入ってしまった。これは気の毒。 今日は場当たりを終えて、7時からゲネプロの予定。はたして間に合うか?色々と不具合も出て、その度に修正して場当たりは進む。役者の為というよりも、アメリカ人スタッフとの疎通や手順の確認といった意味合いの方が大きい。 僕などはまったくのマイペース型なので余りカリカリしないのだが、やはり役者の方にもイライラが募って来る。そしてこれまた予想通り、「プリティ・レディ」が終わったところで夕食休憩の時間。取材が入る関係で、場当たりはここまでにして予定よりやや遅れて1幕のみのゲネプロをやるという。 そしてその後予定を1時間延長して、最後の「NEXT」の場当たり。さすがにアメリカ側もヤバイと思ったのかな。 さあ、明日は嫌でも応でも初日の幕が上がる! Avery Fisher Hall内部 劇場の前で国本さんと |
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