米国の海底油井噴出事故とボランティア
保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一
4月20日発生したアメリカの海底油性噴出事故はなすすべもなく今日に至っていますが海洋や沿岸の汚染は非常に深刻なようです。テレビニュースなどで見ると海洋生物などへの影響を懸念する組織や人々の悪戦苦闘する姿があまりのひどさに痛ましく感じます。また漁業等で生計を立てている人たちの落胆や不安は想像を絶するものがあります。
沿岸に漂うオイルボールや砂浜に打ち上げられた油塊は無限という表現が当てはまるほど累々とまた延々と続き、他国のことながら早く解決をしてくれという気持ちになるのは私だけではないと思います。
ただ、最近の映像を見て『あれっ』と思うようになりました。それは1997年1月に島根県沖で発生したロシアのタンカー船ナホトカ号重油流出事故と重ねてみると今回はボランティア活動の人影が見当たらないことに気付きました。ナホトカ号事故の時のボラ活動は、延べ約30万人が参加し海岸には夏の海水浴シーズンの様相の中で一人ひとりが石ころ一個づつを布で丁寧にふき取っていたのが印象的でした。地元の人達もボラを宿泊させ、食事を供し、行政、漁協、企業、自衛隊等々あらゆる人達が正に一丸となった事件でした。
奇跡的に海岸のオイル被害は軽減され、我が国のボラの底力を認識させた出来事でした。この陰で5人の方が過労で亡くなってボラ活動保険の認識が高まったことでも忘れられないことです。
翻って、アメリカをみると、ボランティア大国のはずが人影もなく、オバマ大統領、政府、企業等への攻撃キャンペーンの立て看板が林立していて何か哀れを誘います。
企業にすべての責任があるとはいえ、漁業、生物、環境などを考えると、恩讐を超えて人海戦術を行っていれば少しは好転に向かったのではないかと感じ残念です。