『命の笛』常時携帯のすすめ

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一

阪神淡路大震災のとき2・3日も瓦礫の中に閉じ込められた人たちの恐怖は、誰にも気づかれずにこのまま死んでしまうのではないかという恐怖だったそうです。ある高齢女性は、救出された瞬間に、「私は、ヘリコプターに殺されるかと思った」という感想を述べました。」災害現場はそれほど騒音が多いのです。ヘリの爆音や自動車のエンジン音それに人の怒号などで「助けてー」の肉声を聞いてもらえない悪条件のほうが強いといえましょう。

阪神方面での「命の笛運動」体験をもとに、各地では、高齢者を中心に呼子笛を常時携帯する生存対策が進められております。笛は、日ごろ肌身はなさず持つことから、できるだけ小さく軽い物で、吹く力が小さくてすむものがよいとされています。形態も笛単体の物やライト付き、名前や血液型などの個人情報を収納できるものなどさまざまです。音域の異なる笛を組み合わせた2連笛はさらに効果があるといわれています。警笛のようにコルク玉が入っているものはコルクの振動が指や唇に伝わり聴覚を完全に失った方からは安心できるとの感想をいただきました。

生き埋めになり身体に損傷を受けたときや衰弱したときには無くてはならぬ物になります。何かを叩いて信号を作る方法もありますが、救助活動などの音に混同して気づかれにくい状況になります。
映画「タイタニック」のラストシーンでは、暗闇を去っていく救命ボートに向かって、漂流中の主役の女優が、傍らで亡くなった船員のホイッスルを吹くと、救命ボートの船員が気づいて戻ってくるシーンが印象的でした。また、実際の災害でも韓国のデパート崩壊事故や台湾・トルコの大地震では、地下深い瓦礫の中から、数日後に奇跡の生存救出が行われました。
私たちや私たちの家族が、大規模災害時に最悪の事態に遭遇したとき、「命の笛」で奇跡を起こしたいものですね。