帰宅難民対策に欠けている意識に警告
保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一
帰宅難民対策の必要性が浮上してから久しいが、自助・共助・公助の観点から不十分であることに気付きました。それは共働きで帰宅難民になった人たちの地元に預けた託児の引取りを考えなければならないということです。しかし、託児の引き取りは当初こどもが3歳くらいまでの時は、災害時の託児の引き取りについては親もなるほどと認識してくれますが、こどもの成長にともなって危険度が少なくなり、小学校に入ると心配は霧消してしまう保護者が多くなります。また各地の小学校は、教育委員会の指針として保護者以外には子供を渡さない方針を示し、大災害時には引き取られない子は学校に宿泊預かりとするところが多いので、保護者としては安心してしまうのでしょう。とはいえ、帰宅難民となった保護者はできるだけ速く早く子供を引き取りたいと遠距離を移動することになるのですが一考を要すると思うのです。
神奈川県民が東京から帰るときに多摩川(7橋)と鶴見川(15橋)を渡らなければなりません。帰宅難民の数は諸説がありますが約35万人といわれております。都心では、地震で建物から在住・在勤者が屋外に避難すると路上や空き地は満員電車以上の混雑になるとの推測もあります。そのような状態の中での帰宅はどうなるでしょうか。東京に向かう帰宅難民も同じ悩みを抱えることになります。そして橋上で衝突するということが私の懸念することです。被災現地に向かうボランティアにもこの危険は付きまとうでしょう。
かつては、明石歩道橋の事故を例にあげましたが今はインドネシア花火見物将棋倒し事故がわかりやすい事例としています。群衆なだれの危険を冒して子供のために帰宅することを避けるため日ごろから住地域で託児保護のシステムを作ることが必要だと思います。
新年の東京マラソンを観てください。35,000人が整然と同一方向に走ってもスタート地点を通過するのに約30分を要しているのです(2010年)。