震度7の揺れにかかわる「想定外想定』をしよう
保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一
先に、2号にわたって、首都圏直下地震『震度7』について触れましたが大きな反響がありましたので更にもう少し説明を加えます。
「まだ、震度6の準備もしてないのに、震度7といわれても戸惑うばかりだ」
「避難者殺到、破局型の避難所運営模擬トレーニングは理解納得できる」
「過酷だが備えることに越したことはない」
「共助に関われる人が激減する見込みはショックだ。しかし予測できることだ」
などなど、そのなかに、
「首都圏直下型地震は東京都内のことで横浜への影響は緩和される」
「横浜市では、震度6強・弱と想定している」「震度7はあり得ない」
「デマはそのようなことから広まる」「パニックの源である」など、横浜市の想定とは大きく異なると注意を受けた。との意見や疑問が寄せられている。
ここで『想定』とは何なのだろうかと私なりの考え方を記してみる。想定とは、状況や事柄を一定の予測や推定をして基準とすることを言う。
私は、行政機関が財務的、人材的能力範囲内の『合理的想定』をすることは妥当だと考えている。ただし、何か事象が起きると『想定を突破された』と言うので
はなく『想定外だった』という言葉にすり変わり、状況によっては免罪符のように使われる。人命にかかわることだと憤りを感じるのは私だけではないだろう。
私は、行政が策定する『合理的想定』を否定したり、過剰な条件のもとに「想定と対策を策定せよ。」とは求めない。ただ、想定を突破されることを考えて個人
的に想定外を想定しておくことは必要であると認識し、市民個々の懸念には肯定的に対処する姿勢が、助言者、特に行政には求められる。と思っている。
私は、50年来「想定外想定をしよう。マサカをモシカに・・・」これを人生訓にしてきました。我が国の先人の言葉にも「悲観的に備え楽観的に対処せよ」な ど楽観論を戒める言葉がありますし、私の想定外想定は、昭和38年に受けた米国人のリスクマネジメント研修講師の言葉をいただいたものです。この研修では、 第1部リスクマネジメント・第2部クライシスマネジメント・第3部カタストロフィーマネジメントの講義が行われ有意義なものでした。現在一般的には、リス クマネジメントと広義的に使われていますが、リスクM.とは事前(平常時)の計画的なこと、クライシスM.とは船長の舵取りのような進路決定判断的なこと、 カタストロフィーM.とは死活をかける大惨事コントロールを分類していました。
とにかく、市民一人一人が与えられた想定を一段引き上げて対処しようとする気持ちは大切にされるべきで災害対策のソフト面が強化されると信じてもらいたい。 当然ボラ活動も過酷条件から、いかにあるべきを考えるきっかけとしてほしい。