シンポジウム『医療従事者不足』雑感
保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一
最近の報道によると、医療関係者のシンポジウムで医療従事者の不足が伝えられました。東日本大震災の被災地域では特に顕著で、復旧・復興に支障をきたしているとのことです。そこでシンポの成果として、この不足する医療関係者の行為の一部を一般の人たちの力を借りて補うことにするとのコミットメントが有りました。具体的に行えるはこれから決まるようですがボランティアとしてできることが定められれば協力を惜しまぬようにしたいものです。
医療行為や介護行為の中で家族・隣人・ボランティアが行うこと行為が適切な行為はたくさんあると思います。いくつか事例があります。例えば、『痰の吸引』がそうです。家族介護の中で緊急を要するときでも違法行為という後ろめたさの中で行ってきた人たちは多いと思います。幸い法律が整備されて家族介護で行えるようになり、安心できる状態になりました。
ところが、法律の壁によって心から協力しようとは思えないこともいくつかあります。例えば、私は、阪神淡路大震災以降、心に引っかかることを数回ほど体験しました。
私の講演のテーマの一つ、『要介護避難者への支援活動』を話していますが、その中で「『爪切り』も一つのボラ活動です。」と言うと会場から『爪切りは医療行為で、誰もができることではありませんよ。』と注意されたことがあります。
医療関係の方から言われると、気落ちがしますが、過去に私が2カ月近く入院していたときに担当医と看護師長から高齢入院者の足の爪(巻爪など、特殊な爪切りを使用しなければならない状況)を切ってほしいと言われたことを思い出します。
「法律は、定められた者以外は、他人の身体に手術等の施術をすることを禁じているが、家族の爪を切るのがどうしていけないのか。爪を切って安眠することは不可欠なことだ。」とおっしゃってくれました。以来、何をやってよいかわからないというボラには、小さなことでも求められていることをやってあげればよいとの事例として話をしておりますが今回の施策も現場の受け入れが消極的で消滅して、そこから崩れることのないようにお願いしたいものです。
同じようなことでは、理容・美容の調髪の問題もいくつか聞いております。理美容の無資格者が行うことは法律違反なので慎めという言動があちこちでおきたようです。開業者がいなくて且つ理美容ボラが訪問する気配もないところでは、ボラが善意で行うことはやむを得ないであろう。また理美容ボラに参加した人たちからも「そこに再開にこぎつけた理美容店が有れば民業圧迫にならぬよう配慮します。」とか「利用者への感染症の心配とか気をつけなければならないことが多くあり善意ではすまないことが有ります。」とか、専門者でなければならない理由がいくつもあるようです。 《なるほど・・・》
何が被災者のためになるのか。ということを考えながら、立法・行政そして国民は行動しなければならないと思います。