津波避難は、早く速く高くそして戻らない

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一

東日本大震災の津波被災地域で調査活動をしていて余震を感じた時に、発生する恐れのある大津波に不安を感じたものです。現地には遠くの大地震で揺れが弱くても大津波が発生する言い伝えがあるので一緒に活動した現地の人たちの中には緊張する人も居ました。私もそれを信じてきたので私のグループは一瞬パニック状態になりました。以前にも記しましたが防災広報装置も携帯電話も頼りにならず、ラジオだけが頼りの綱状態でした。

近辺の人たちを観察すると津波が見えたら避難を始めようと話し合ってるグループが大半でした。私たちは3kmほど離れた高速道路上に避難場所を定めて作業場所をその近くまで移動しました。現地の人が他のボラグループにも誘いをかけましたが笑い飛ばされていました。

ボラたちの言葉は、
・ 津波が怖くてはボラ活動はできない。
・ 大津波は連続して発生はしない。
・ 見えたら逃げる。全速力で逃げれば大丈夫など、楽観的でした。
今回の津波による人命被害が多かった理由はやはりこの点にあると思いました。

今回の津波被害の調査で気になった点は、
 ・ 今回も大げさに騒いでいると思った。
 ・ 自分の人生(60歳)でここに津波がきたことはない。(明治三陸津波では、家流失)
 ・ 水が上がり始めたら避難しようと思っていた。
 ・ 自動車で避難すれば逃げ切れると思っていた。
 ・ 高いところは、自宅2階と申し合わせていた。
 ・ 散乱した家財を片付けてから避難しようと考えていた。
 ・ 身体が不自由なのでためらった。他人に迷惑をかけたくなかった。
などですが、私はかねてから『はやく』と『高く』には解釈を加えて啓発してきました。
それは、『早く』気づいて『早め』に避難行動を起す。行動・動作は『素速く』『速度』を上げて避難する。『高く』は、家の中ではなく高台や山を指していることを説明してきました。

その標語が今回のコラムタイトルです。
平成17年の鎌倉市の津波対策訓練、セントステパノ学園(大磯)防災教育で披露させていただきました。その後、各地で講座に載せて浸透させたいと思っております。


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