減災、『自己基準』をチェックしよう

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一

最近、巨大津波の想定がもたらす不安は該当地域だけではなく広く全国的に広まっております。想定される被害になすすべがないと絶望的不安に駆られる人、なるようになるさという楽観論者、まったく感じてない無頓着者など人さまざまです。
昨年、今年と、四国の沿岸地域の要請で防災講座を持つようになりました。そこで話をするのは標題の『自己基準』を再考して巨大津波に対処しようということです。

東日本大震災の巨大津波では、この『自己基準』が誤っていたために被害が巨大化したと考えられます。
NHK放送では、『津波警報が発令されたら、早く高いところに避難しましょう』と啓発しています。私は被災者から聞き取りをしていますが、この『はやくたかく』に質問したところ各々の判断基準が啓発の意図に沿ってない人たちが多いことに気づきました。その典型的な例を挙げますと、
津波で妻と娘と孫二人を亡くしたある高齢男性は、「津波警報が出て地域活動をしなければならないので家族を家の2階に避難させ出かけました。10bを超える津波は家族と家をさらっていきました・・・。」この人だけではなく、多くの人たちがいわゆる『正常性バイアス』シンドローム的言動をしています。

津波避難に関して『誤れる自己基準』の例として

・はやくは、早くと速くの混同、「津波が見えたら速く逃げる」
・たかくは、家の2階に上がる、それでもたりない時は屋根に上がる。

その人に「明治三陸大津波では家が流されたでしょう。『あれは祖父の時代で俺の人生(60年)に大津波はなかったから。』」というものですが、これらのことを次のように改善することにより津波避難は見えてくるものがあると信じてます。
「津波避難は、より早く、より速く、より高く、そして戻らない」が私の信条です。

・早くは、地震発生と同時にもしくは津波警報が発令された時点で
・速くは、身軽にして速度を上げて、日常、見極めておいた地点目指して
・高くは、できるだけ山や高台に、やむを得ない場合は避難ビルに
・戻らないは、第2波以降も警戒し、警報解除を待つ。と解説しております。

十数分で来襲する巨大津波に対応しようがないなどと言わないでほしい。 減災の趣旨『死なない』を今一度ご理解の上身がまえましょう。


1