NHK、『緊急警報放送』に気をつけよう

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一

 毎月一日の正午、NHKのテレビ放送がおこなっている『緊急警報放送』にお気づきの人は多いと思います。ピロピロ音で始まり「この緊急警報放送は、大規模地震や津波などの際、自動的にテレビ・ラジオのスイッチを入れ、情報を伝えるものです」と放映されています。
皆さんは、視聴中にこれを見聞きしているので有効でありがたいシステムと感じているのですが、実は、途中の「・・・緊急警報受信機をお持ちの方は、・・・」という大事なことを聞き逃していいませんか。つまり、緊急警報放送対応機種でなければ自動的にスイッチは入らず気づかされることはありません。

 この受信機は製造中止になっているものが多く市中での入手は困難です。阪神淡路東日本大震災のときにこの効果に興味を持ち調査をしたところ、テレビ・ラジオでは数万台が残存しているだろうとのこと、また専用機はさらに少ないということでした。NHKではこの数万台に対しての責任から試験放送を実施しているとのことでした。その後、ラジオに組み込まれたものが発売されましたが1年後には店頭から姿を消しました。中越地震のころは話題にも上らず忘れられたかのようになっておりましたが試験放送は続けられておりました。東日本大震災でこの装置が普及していたなら『津波避難』には効果があっただろうと推測しました。
雑然となった室内でラジオを探し出せなかった、ラジオを聞くことに気づかなかったという人が多かったからです。雑物に埋もれたラジオがピロピロと自動的に鳴ったらラジオを取り出すことができてその後の津波に警戒することができただろうと思います。

 多くの人たちが、自分のラジオやテレビが『自動受信機』だと思い込んでいることに危機を感じます。この話をすると「ちゃんと入ってますよ」といわれます。それは視聴中だからなのですが勘違いを起こさせる現行の制度は問題があります。

 この制度を開始した時点の行政機関は、約400万台以上の普及見込みだったらしいのですが機器メーカーサイドでは約50万台だろうと推測していました。

 大地震に限っていえば、『緊急警報放送』はすでに発生した災害の規模状況を見て知らされるものです。自宅のテレビ等が当放送対応機種であるかどうか確認してください。(一日正午テレビ等のスイッチを切っておき、確認しましょう)現在では、同じく発生した大規模地震の前駆状況を知らせる『緊急地震速報』が有効なものになっていますがこれも自動的にテレビ等のスイッチを入れてくれるものではありません。携帯電話など、エリアメール等も含めて使い分けたいものです。

 これらのどれも、地震の予知・予測ではないことを強く念を押しておきます。


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