災害避難2、『行政依存』では自分も家族も救えない

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一

 災害避難は時間の利得を活かし、事象を予測して早めの避難を、と言い続けてきました。また先月の小欄では行政機関のきっかけ作りが重要であることを記しました。台風18号では一転して行政機関は避難に関する責任をほぼ適切に果たしていました。大島町は昨年の土砂災害被害を教訓としてこのたびは模範的な活動をしておりました。他の地域は『ほぼ…』としました。大島については、全島に避難勧告をして島民に注意を促し、被害発生の恐れのある所には避難指示を発しました。

 もう一点、役場は「避難所を開設し、そのうえで避難勧告・指示をした」とされています。このことにより、全島民が危険を自覚し、指示された地域は早めの避難をしたのです。これで空振り批判意識を持たなければ大成功ですね。

 『ほぼ…』と表現した地域組織は、今までどおりの形式的な避難勧告であったり、発するタイミングが時間的に疑問の残るようなものも有りました。

 また、避難勧告があったので避難をしようとしたが具体的な避難所が示されなかったとか、地域避難所開設の指示が行政機関からされていないとか届かないとかの理由で未開設だったり、とのマスコミリポートを見聞きしました。

 ところで、災害避難をはじめとする危機回避行動の基本は自助であると思います。
自助は言いかえれば『自衛』だと思います。被害が発生せんとするとき、発生した瞬間、その時、共助も公助もないことは当然です。自助はあくまでも『自己責任』で自己完結しなければならないと思います。そのうえで自助を確立するための公助が行われなければなりません。前記に一例として「避難所を開設したうえで…」とあるように自助の判断や行動を支援する公助はこれからも必要になると思います。
私は常々行政力はマンツーマンのサービスはできないとして「自分の命は自分で守る。行政は行政のやるべきことをやれ」と言ってきました。牧羊犬に追い立てられるような羊の群れのような『迷える自治』はあり得ないと自覚しましょう。

 減災が効果を上げるためには、官民は車両の両輪として各々の役割をすることはもとより、個人の自衛力高めながら地域の共助にあなた自身が加わる互助と認識することも必要です。市民行動については地域防災拠点、連合自治会、自治会町内会は、時・場合により行政と同等の力を発揮することが求められます。

 台風16号で先が見えた適切な避難行動が今後継続されるよう、また、あまねく津々浦々までいきわたるよう、行政も私たち市民も努力しようではありませんか。

次回、災害避難3 『過去の教訓・遺訓から学ぼう地域の安全』


1