マンション防災 『安心神話』から抜け出よう

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐藤榮一

 最近マンション火災が各地で発生しています。保土ケ谷区防災講師派遣事業でマンション自治会には高層・大規模ゆえの災害対策を、と講演をしていますが住んでいる皆さんと意見を交換して気づいてもらったことがあります。私は以前からマンション防災で欠落している事柄(阪神・淡路大震災で確信)として表題の「安心神話から脱却しよう」と言い続けてきました。

 すべてのマンションは、カタログデータとして『耐震建物』・『耐火建物』であると記載されています。地震に強い、火災に強いと信じられているのです。このことが住民意識に 地震のときには、『壊れない』・『燃えない』と解釈されるようになり、さらには周辺地域との共助にも参加しなくなり、マンション内でも隣保協働意識が薄れる人が出てきます。私は分かりやすく事例を挙げて『気づき』を求めています。それは『非常電源』です。
「マンションの非常電源は、平常時の火災において照明・避難誘導標識などに短時間給電する能力(消防法)しかありません。」と。大地震の時にはエレベーターが停まり、電磁調理器が使えずさらには風呂もトイレも使えない状態になることに気づかなければならないと伝えています。ほとんどのマンションは生活電源としての非常電源(赤コンセント)が設置されてないでしょう。

赤色コンセント

 最近建築されるマンションには『赤色コンセント(特別非常電源)』が設置されるようになってきました。白色コンセントが停電したとき、赤色は電源として使えるのですが全戸で電磁調理器を一斉に使える容量はないでしょう。施設内での利用ルール作りとその遵守は, 二次停電を防止するために必要です。

 一例として非常電源について記しましたが耐震・耐火・家具転倒防止など『安心神話』 の部分について再点検されることをお勧めします。マンション等大規模共同住宅の自助・共助は向こう三軒両隣が連携して成り立つものです。それは戸建住宅地域以上に必要なことなのです。さらに高層住宅では、上階・下階にもつながっていることをお忘れなく。
 ハード(施設・設備)が壊れるとき、ソフト(人間・こころ)で補うことが危機管理・ 危機回避の基本です。都内のマンションでは、2階の出火から4階の二人の男性が死亡しました。『他山の石』『前車の轍』として教訓はいただきましょう。


1