障がい者=(イコール)災害弱者でしょうか?
ちょうど2年前の保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク(以後、災ボラ)の総会に保土ケ谷聴覚障害者協会の役員お二人が、手話通訳者とともに参加された。
東日本大震災以来、聴覚障害者協会の役員会では、災害時の不安が多く語られていたがどう対処すればよいのか分からず困っていたとき、災ボラの総会開催を知り、「これだ」と思ったとのこと。役員も地元の訓練に参加した経験はなく、数十名いる会員は仲間同士でも交流を持つことが少なく、ましてや地域の人と防災について話たり、訓練に参加すると言うことは、実際かなり難いと言う。
総会後、保土ケ谷区災ボラの特徴でもある障害者施設職員である運営委員も加わり話合う中で、まずは役員が「防災訓練に参加してみる」ことが提案され、10月に開催予定のくぬぎ台小防災地域拠点訓練の見学に参加する事となった。
後日の打合せで「自分たちは障害者なのでどのように支援してもらえるのか」と言う質問が出た。当方からも「何にお困りですか?」「どのように支援したらいいですか?」という会話となった。しかし、役員のほとんどが仕事を持ち、社会生活で支障があるのは「聞こえない・聞き取りにくい」点であり、他は健康そのもの。問題意識も明確で、チャレンジ精神も旺盛である彼らからは「頼もしい」という印象を得るほどであった。結果、見学の目的に「何をしてくれるのか」ではなく「そこで何ができるのか」を一緒に考える機会にしようという共通の認識が加わった。
訓練当日は、10名程の聴協役員が参加し、積極的に参加する姿は目を引いた。
そして、2度目となる昨年の参加では、我々保土ケ谷の災ボラが推進してきた「緑(支援できる)と黄色(支援して欲しい)」のバンダナの両方を手に持ち、顔見知りとなった私たちに緑のバンダナを振って見せた。その顔は、最初にお会いしたときの不安顔から一転して、共に防災・減災に取り組む仲間の笑顔であった。
障害があっても支援される存在だけではなく、支援者として活動できる大きな存在であることを共に認識することが出来た。
「障害者」とはと考えたとき、その回答は人によってかなりの違いがあると思う。実際に災害現場では、環境の変化に身動きできない働き盛りの男性の横で、災害弱者といわれる高齢者や障害を持った人たちが、その持ち味を生かして活躍する姿を見かける。健常者といわれる人が些細な指の怪我や下痢や咳がひどくなれば、生活に支障の出る障害を持つこととなり、支援が必要な災害弱者の仲間入りである。
災害時に、自分は「何に困り」「何なら出来るのか」そして、「今、何をしなければならないのか」、障害を持っていても出来ることで支援者になれる。この事は、自助・共助を考えるとき、中高生の力と同様とても大切なキーワードになると思う。