災害避難と避難忌避
保土ケ谷区災害ボンティアネットワーク 委員 佐藤榮一
西日本豪雨では200余人の生命が失われた。非常に残念ではあるが貴重な教訓をいただいたと考えられる。『早めの避難』『隣近所の助け合い』『減災』という言葉を念頭に避難した人たちは、それらの効果を理解していた。人命確保に対する考え方が変わって約10年になるが『減災の成果』が出始めたのであろうと信じる。今回の水害で、わが国民の危機回避意識が今後変わっていくのだろうと確信している。
今回の豪雨では緊急度の高い『避難(緊急)指示』で避難の重要地域(ハザードマップ指定)に住んでいる人たちはほとんど早めの避難をした。今回の死者について、『なぜ死に至ったのか』『死なずに済んだのでは?』を分析することで今後の災害対策に有効な示唆を得るだろうと思う。
私は『避難と避難忌避』について研究しているが、今回は避難忌避や勧告指示無視の状況が詳しくテレビニュースで報道されていたのを多数の国民が確認されている。私自身も消防署長時代に、避難支援活動中に「仏壇を2階に移さなくては。」とか「家電製品を移動させなくては」など避難する意思がまったくない状態を体験した。200人のうち避難忌避者・遠慮者が素直に避難し、避難要支援者に地域が総力を注いだ場合、不可避の死はどれくらいであったろうか。地域全体の減災について考える機会ではないだろうか。ハザードマップや防災マップを確認し、真の自助・共助を理解し、早めの避難、率先避難、避難指示の意味をしっかり自覚して『死者ゼロ』を目指そう。
今回の水害では、自治会長等が避難忌避者に対し、『時間の限界』『率先避難者になる宣言』をして避難行動を促し、効果があった例も報道されている。(NHKラジオ)