令和の災害対策に『真』を求める

保土ケ谷区災害ボンティアネットワーク 委員 佐藤榮一 

 令和時代は、『人命被害ゼロ』を目指すべきと強く思う。
 国民にも、「死ぬのはあなただ。数十万人死んだから大災害ではない、家族が一人死んでもあなたにとっては大災害でしょう。」と。

 前回、提言として、『滅災(めっさい)』を提言する。『減災(げんさい)』は、意識付けに相当の効果を生んでいるので、滅災の普及にも期待する。と記した。
 災害時に、官(公)民 協働して一人も死なない、死なせない、とも記した。
 しかし、死ぬ当事者は自分かもしれないという自覚が絶対に必要である。
 私は言う。 「『 死にたくなければ 』自分のことは自分でしなさいと」
 昨年の豪雨被害でも「時間がなかった」という声が多かったが、果たしてそうであったのか。自治体や地域によって異なるが、避難勧告・指示は短いところでも2〜3時間前に発表されていた。以前、『時間の利得』を記した。事象が発生して自分に危害が及ぶまでに安全処置ができる時間の有利性を言うのであるが現代では風水害の場合、この時間の利得は非常に長い。気象予報は5日前から発表されているし、短時間気象情報は半日前には確実な情報として誰もが入手できる。つまり、多くの苛酷被害は時間的余裕をもって避けることができるのである。ある地域の水害では、ハザードマップーマップどおりの浸水被害が発生したが人命被害も財産被害も防げなかった。私は、「想定外」の皮肉として認識した。

 令和時代になり、「ついに来た!」と感じられる画期的なことが起きた。それは江戸川区のハザードマップである。『ここにいてはダメ』との注釈付きである。侃々諤々議論はこれからも沸騰するだろう。私は、自分の命は自分で守るとの観点から行政の大勇断に喝さいを送る。正常性バイアスを容認すると避難指示が発表されても数パーセントくらいの住民が避難する程度であろう。
行政を批判している人たちは避難場所、収容能力、飲食糧、寝具など、命あってこその対応を求めているが、今一度、海抜ゼロメートル・輪中・天井川など中学校で学んだことを当てはめて考えてほしい。江戸川区のみならず東京湾沿岸5区の危険は同様に懸念されている。神奈川県内でも懸念される自治体があり、大規模避難については周辺自治体も住民の自衛活動に協働体制をとるべきと進言する。
 正常性バイアスに侵されている人たちは、消防、自衛隊、警察の救助隊・ヘリ救助に依存しているような発言も多い。ボランティア活動にも期待を寄せられていて自衛・自助も行政依存・他力本願の点が心配である。