11月の解説

「総合的な震災対策の考え方について 〜防災対策」

今回は5月に横浜市が定めた「総合的な震災対策の考え方」から「経済対策」の現状と課題についてご案内いたします。

ア 現状と課題
(1)電力制限、物流被害、取引先の被災、さらには原発事故による風評被害などの影響が、製造業や卸・小売業はもとより、サービス業など多くの企業に出ています。

(2)特に、観光・MICE 分野においては、自粛ムードの広がりなどによる旅行やイベント、宴会のキャンセルなどの影響が出ています。加えて、風評被害の影響により外国人旅行客が激減しています(3 月訪日外客数は前年同月比50.3%減)。

(3)港湾分野においては、横浜港の直接被害は軽微であるものの、港湾利用者からは原発事故による横浜港への影響や夏場の電力の安定供給などを危惧する声や、コンテナの安全性に関する懸念の声が上がっています。

(4)建設分野においては、一部建築資材の不足による価格の高騰や工期の遅れ・中止等の影響が生じています。
夏の電力制限については、多くの事業者が危惧しています。

イ 検討の方向性
(1)震災から 1 か月経過した時点での市内企業や市内経済が受けている影響について、緊急調査や関係団体との意見交換を通じ、しっかりと現場のニーズを把握し、また事業者とも議論していくとともに、今後も継続して対策を実施していきます。

(2)まず、震災の影響により厳しい経営状況にある市内中小企業に対して、資金繰りへの支援などを緊急的に実施します。次の3点を中心に被災者・地支援とも絡めて緊急的な対応を、着実に展開していきます。

・ 電力制限への対応
・ 自粛ムードの広がりなど消費者マインドの低下への対応
・ 風評被害に対する「横浜の安全と元気」のアピール

特に、影響の大きい観光・MICE 分野においては、社会情勢にも十分配慮しながら関係事業者とも連携して具体的な対策を緊急的に実施します。また港湾分野においては、原発事故を受け、横浜港の安全性を発信するため、国への要望活動等を実施するとともに、国が策定したガイドラインに基づいた放射線量の測定とその計測数値の証明書の発行に取り組んでいきます。

(3)中期的には、震災による影響を踏まえ、メニューの上乗せやスケジュールの前倒しなどをしながら横浜版成長戦略などの取組を推進します。今後は、震災の影響により懸念されている景気の長期的な悪化も警戒しつつ、市内企業の景況感を把握しながら、必要に応じて対応を検討していきます。

次回は「総合的な震災対策についての考え方について〜経済対策の施策」についてご案内いたします。