4月の解説
「総合的な震災対策の取組状況について 〜はじめに」
今月より平成24年2月に発表された、総合的な震災対策の取り組み状況についてご案内してまいります。
総合的な震災対策の全体概況
東日本大震災からこれまでの対応
横浜市では、23 年3 月11 日の東日本大震災の発生後、直ちに『災害対策本部』を立ち上げるとともに、市民生活の安心や市内経済の安定を確保するため、4月8日に『「くらし・経済」震災対策本部』を立ち上げ、5月に「総合的な震災対策の考え方」を取りまとめ、この考え方に基づき5つの分野ごとに推進してきました。また、6月1日には『放射線対策部』を設置し、横断的に放射線対策を実施しています。
発災直後には帰宅困難者対応や、損壊した道路の修繕、液状化への対応など被害への迅速な対応を行いました。また、被災地の人命救助、避難所の運営、り災証明の発行などの復旧・復興支援に、短期・長期合わせて約3,500 人の職員派遣を継続的に行っています。
更に、「減災」をより一層進めるため、震災時の拠点となる耐震補強が必要な区役所の改善に向けた取組や、木造住宅や病院などの耐震改修工事に対する補助の増額など建物の耐震化を進めるとともに、「津波からの避難に関するガイドライン」の策定、液状化マップの更新検討、災害対策用備蓄品・防災機器等の拡充や防災計画の見直しに向けた検討などを行ってきました。
一方、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う電力不足により、横浜市域においても計画停電が実施され、市民生活にも影響を及ぼしました。不慮の大規模停電等を回避するためにも、夏の電力不足対策が急務となりましたが、過度な節電により熱中症にならないよう、熱中症予防を十分に周知しつつ、市庁舎・区庁舎等での節電、市民利用施設の輪番休館の実施や節電啓発のキャンペーンなど、市民・企業・行政が一体となった節電対策を実施し、本市施設全体として▲15%の節電目標を達成しました。
また、原発事故により、本市においても、放射性物質の飛散、降下が3月に確認されるなど、放射性物質に対する市民の不安が高まる状況となりました。そのため、3月23日から設置した電話相談窓口等での約4,500件の相談対応や、2,800を超える施設の空間線量の測定、牛の全頭検査、市内産農産物・水道水・小学校給食食材等に対する放射能濃度測定、ごく局所的に周囲より高い放射線量が測定される、いわゆるマイクロスポットの対応など、市民の安全対策や不安の払拭に向けて、さまざまな取組を実施しています。
中小企業を中心とした市内経済においても、物流被害、電力制限、風評被害などにより大きな影響が生じたことから、「景況・経営動向調査」や関係団体との意見交換等により現場のニーズや状況を把握しながら、市内中小企業への融資・相談等の経営支援、企業誘致、観光・MICEの誘客に向けた取組などを行いました。これらの取組の成果や震災の影響の回復などから、現在は、全体としては改善傾向にありますが、一方で、電力不足の長期化に加え、欧州債務危機や円高等の影響から先行きに不透明な見方も強まっています。
このような総合的な震災対策を、予算の補正などにより、切れ目なく進めることで、震災の影響から改善する傾向にあるなど、一定の成果を出しつつあります。