日常生活の延長線上にある防災。

顔の見える関係を!

今月の表紙 運営委員 紹介

大尾美登里さん"
保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク運営委員 大尾 美登里さん

「防災・減災講座の講師を務めて」

東日本大震災以降、これまでの細やかな防災講座に加えて、「現地での支援活動から感じた事、伝えたい事をテーマに話を聞かせて欲しい」とお声かけ頂く事が多くなりました。皆様の求めに応じて出かけさせて頂き、お話しさせて頂くこの役が今の使命と思い、現地で出会った皆様のお顔を思い浮かべながらお話しさせて頂いております。時には女性の性的被害の話題にも触れさせて頂きますが伺う先々でお会いする皆様は、一様に真剣にそしてご自分のご家庭や地域で活かせる情報を求めて熱心にご参加くださっているのが本当によく伝わってきました。

あの3月11日から1年と8か月が過ぎて皆さんの話題の中から被災地のお話がめっきり少なくなりました。現地にいる友人やボランティア仲間から伝わってくる話は、復興に向けて頑張っている頼もしい一面と共に複雑化する課題が解決されずにどんどん片付かないがれきの山の様に積みあがっていく様で、暗澹たる気持ちになります。寒さが厳しくなるこれから、雨戸のない仮設住宅でどの様に暖を取り、心身を温めておられるのでしょうか。日々の生活の中で起こる老いや病等の悩みに加え、それよりも大きな全てを覆い尽くす様な不安と苦しみの中でどうぞ押しつぶさずに「普通の生活」が一日も早く送れます様に、どうぞ夢と希望を失わず元気でお過ごしくださいと祈っています。

私は毎日忘れず被災地のことを考えること。今できる支援を少しづつでも実行する勇気を持ち続ける事をお題目のように心でつぶやきながら、週末にはどこかのイベント会場で東北の物産を売って細やかな売上ですがボランティア仲間の活動資金を稼いで届けています。出来れば年内にもう一度お訪ねしたい気になる方々が福島と石巻に居ます。ただ一言「忘れていませんよ」とだけ伝えてきたいと思っています。講演会場でよく頂くご質問に自分は年を取り過ぎて支援にいきたいが出来ずにいます。かえって迷惑をかけるのではないかと。そんな時私は現地での高校生と80歳近い方の泥かき作業のお話をします.経験と活力がコラボしていい活動仲間となりました。「現地では知恵と熱意と謙虚な気持ちがあれば仕事は沢山あります」とお答えしています。

現地に行かなくても横浜でできる支援もあります。図書を集める・送る事。また学校で集めるベルマークは皆さんのお好きな何時もの食品や身近な文房具などについています。集めて現地の学校に送れば子供たちの未来に役立つものに成ります。自分の身に置き換えてみると何かあった時に素早くそばに来て一緒に考え行動して下さる方の心強いこと。そんな人になりたいと思っています。見守りながらまた見守られながら私たちはお互い様の中で暮らしていくのが一番普通で幸せな暮らし方なのだと強く感じています。いざという時に「助けて」と言えるようにそして感謝の気持ちを常に持って伝えることのできる生き方を身に着けることがいつか私自身が被災者になった時一番役に立つ備えになると思います。どこかでわたしが東北の物産を売っているのに出会ったら応援して下さい。勇気がチャージされますから。