日常生活の延長線上にある防災。

顔の見える関係を!

今月の表紙 消防職員としての防災への思い

寺山洋司さん
バリアフリー防災ボランティアネットワーク代表
区災害ボランティアネットワーク運営委員 寺山洋司さん

昭和59年、高校を卒業と同時に横浜市消防局に入局し、まもなく30年が経とうとしています。時間が経つのは本当に早いものです。
私は現在、旭消防署警備第二課長として火災や災害の最前線で現場指揮を取っていますが、これまでは多くの市民のみなさんや事業所の方々に対し防火・防災に関するお話をさせていただいてきました。
その経験の中で、市民のみなさんの防災意識をいかに高めていただくかが、重要な責務と感じている一方で、障害者や高齢者、育児中のお母さん、さらには外国人など、いわゆる災害時要援護者と言われる方たちを対象とした防火・防災を学ぶ機会が非常に少ないと感じていました。
そうした思いもあり、平成18年度にまずは手始めとして、公募による聴覚障害者の救命講習会を開催しました。開催にあたり消防署だけでは困難でしたので、家庭防災員や地域の有志の方々のご支援により開催することが出来ました。それがご縁で障害者に防火・防災の講習会など参加しやすい環境を提供していくことを目的とした「バリアフリー防災ボランティアネットワーク」を立ち上げるとともに、保土ケ谷区災害ボランティアネットワークにも委員として参加させていただいています。
その後も障害者に対する救命講習会を開催してきましたが、先日、地元の地域防災拠点の会議に参加した際、知的障害者のお子さんをお持ちのサークルのお母さんから、「地震があったら、避難所への避難が不安です。」との切実なお話をお聞きしました。ほかの人に迷惑をかけるのではないか、子どもがいつもと違う環境で落ち着かないのでは、自分たちは訓練に参加しても良いのかといった不安があるとのことです。 阪神淡路大震災から18年が経ち、東日本大震災からもまもなく2年を迎えますが、避難所運営がしっかりと出来ている地域は決して多くありません。市民の多くが不安を抱える中、障害者やその家族はより強い不安を抱えているのが現状です。そうした不安を少しでも払拭し、災害ボランティアネットワークと連携しつつ、誰もが防災訓練等に参加しやすい環境を今後も提供していきたいと思います。