シンガポールにて

取材:災ボラ委員 佐々木 安恵

 平成25年12月25日早朝、シンガポールのチャンギ空港に到着しました。空港内の消火器・AEDの設置場所を探しながら入国審査に向かうと、日本と同様の円柱形をした赤色の消火器が、ところどころに設置されていました。火災が起きた場合、通行している誰もが手に取って消火活動が出来る状況といえると思います。日本の設置場所と同じようだと感じました。AEDの設置場所については(旅人の私が記すのはばかられるところですが)、目を疑いました。設置はされているのですが、その前には、スーツケースなどを運ぶためのカートがずらりと並べてあり、近くにいる係り員は気にする風もなく、並べ続けているのです。もちろん、キャスターのついたカートなので、いざという時には、ガラガラと移動させれば使用可能ですが・・・。緊急事態に対応する時の国民性の違いかと、ふと思いました。

チャンギ空港内設置の消火器
チャンギ空港内設置の消火器
カートの列の向こうにAED
カートの列の向こうにAED

  空港の外にでると、各旅行会社の現地添乗員が到着した観光客を待っています。その後を迷彩服の3人連れが小銃を構えて辺りを見渡しながら通っていきました。法律が厳しく刑罰の重い国ということは聞いていますが、入国早々、重々しい姿の警備に出会うとは想像していなかったので少し驚きました。もっとも現地の人たちにとっては空港の日常なのか、誰も気にする様子はありませんでした。

☆ 宿泊ホテル:マリーナ地区の海に近いホテルに宿泊しました。長い廊下のつきあたりに、緊急用出入り口の表示ドアと消火用のホースリールが格納してあるドアを見つけました。非常時に使用する旨の記載があります。ドアの仕様は客室と同じで、まるで客室そのものです。好奇心をもってさがさないと、そこが緊急時用とは気がつかないと思いました。「シンガポールでは地震はないし、津波も来ない。法律が厳しいのでタバコを吸うことにも気を遣う」と現地の人の話をききましたが、災害に対する危機管理は日本ほどナーバスではないと感じました。また、初期消火にはなじみの赤い消火器がよい、とふと思いました。

宿泊先のホテル客室階設置の緊急用出入り口とホースリール格納ドア
宿泊先のホテル客室階設置の緊急用出入り口とホースリール格納ドア
市内路上の消火栓
市内路上の消火栓

☆ 10年以上前に訪れた時には海だった場所が埋め立てられて2500部屋という大型ホテルがそびえたち、現在もその地下あたりにショッピングモール用の場所が掘り進められているとのこと。また、昨年はビルのあった場所が建設現場になっていました。「常に躍動し、変化のある町」そんな気がしましたが、地球温暖化で気候の変化もめまぐるしい今日、地震、津波が来ない国だとしたら、天から下されたしあわせな自然環境の国であると思いました。