◆このエピソードは本当に面白いです。この一本について語るだけで、一冊本が書けそうなくらいです。何度見ても、見飽きることがありません。当然のことながら、これから後の脚本はこの回を踏まえて書かれているので、後でここにこんな台詞があったのね、などと気がつくのもまた楽しみの一つです。
◆22年前の衝撃的な事件から始まります。可哀想なお母さん。お父さんのジョンは、火のついた部屋から、6ヶ月の赤ちゃんサムを、4歳のお兄ちゃんディーンに託して、逃げさせます。
「Take your brother outside as fast as you can and don't look back」
この台詞は、これから、オープニングにずっと使われます。
ディーンは、このときからずっと、サムを護るのが使命になったのでした。
■お父さんのジェフリー・ディーン・モーガンの実年齢が、子供たちとつりあう場面です。以後もお父さん役ですが、彼は1966年生まれ。ジャレッドが1983年、ジェンセンは1978年生まれですから、実年齢ではだいぶ若いんですね。
◆時間が現在に戻って、ハロウィーン・パーティの看護婦さんの仮装をした愛らしいジェシカが、サムを呼びます。「Do I have to?」とドアの奥から頸を出したサムの可愛いこと!ここでもう私はノックアウトでした。何度見ても、わあ!と思ってしまう、大好きなシーンです。
◆ガソリンスタンドで、朝食を買ってきたディーンが、サムに「朝食は?」と聞くと「いらない」と答えます。これからもずっと、サムはとても小食で、ディーンは食いしん坊という方程式が続きます。
■実際には、サムのジャレッドはよく食べるし、お菓子も大好きのようです。
◆橋の上で、警察が捜索をしているのを見つけて様子を見に行く2人。打ち合わせ無しでも、会話をあわせて、息のあった兄弟というのがわかりますね。でも、足を踏んだり、頭を叩いたり、子供みたいでもあります。
■ディーンが、本物のFBIの捜査官の背中に、エージェント・モルダー、エージェント・スカリーと声をかけます。字幕にはありませんが、これは、ドラマ「X-ファイル」に出てくる捜査員の名前だそうですね。
◆お父さんが泊まっていたモーテルでの、ディーンがシャワーを浴びに行く前のシーンで、兄弟のお互いへの罵り言葉の決まり文句が出て来ます。サムが、さっきのことを謝ろうとすると、ディーンが女々しい会話はごめんだと止めます。そこでサムは「オーライ、ジャーク!」と言い、ディーンは「ビッチ!」と返します。これからもずっと、サムはディーンに「ジャーク」と言い、ディーンはサムを「ビッチ」と言います。
■「Jerk」は、「まぬけ」とか「むかつく奴」といった意味です。
■ディーンの、なにかあると言う罵り言葉が「Son of a bi×!」です。「娼婦の息子」の意味ですね。本来、男性相手に使う言葉ですが、女性や、物事にも使っています。すでに本来の意味が薄れた決まり文句なのでしょう。日本語でも「ちくしょう/ちきしょう!」と叫んだときに「畜生」を思い浮かべることがないようなものだと思います。「ビッチ」だけだと、普通は女の人に使うのですが、省略形なのか、それともわざとなのかは、私にはわかりません。
◆警察に捕まったディーンを逃がすために、偽の「911(ナイン・ワン・ワン)」(日本だと「110番」)通報をしたサムに、ディーンは公衆電話から電話をかけて、「偽の通報は違法だぞ」と言い、サムは「どう致しまして」と答えます。もちろん、アウトローな家族ですから、違法なことばかりしているので、それを非難しているわけではありません。「サンキュー」とは素直に言えないディーンの性格が出ている、大好きな会話です。
■ディーンは毎回偽名を使います。ロック歌手のことが多いです。今回は、テッド・ニュージェント(Ted Nugent)でした。
◆ラストシーン、お母さんと同じように「何か」のせいでジェシカを失ったサムは、家業の狩りを始める決意をします。ジェシカを守れなかった悔しさと悲しさと怒りが、静かな表情と台詞にこめられています。
「We got work to do」
この一言は、普通の文章ですが「スーパーナチュラル」では大事なキーワードでもあります。
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