藤木ゆりこのホームページ 花遊戯へ/指輪物語TOPへ


映画「ホビット 思いがけない冒険」感想
「The Hobbit: An Unexpected Journey」

アマゾンjp.へジャンプ(別窓)PJ映画第三部「ホビット 決戦のゆくえ(原題:The Hobbit: The Battle of the Five Armies)」の感想をアップしましたよろしかったらご覧ください。

PJ映画第二部「ホビット 竜に奪われた王国(原題:The Hobbit: The Desolation of Smaug)」の感想もご覧ください。

◆テレビ情報◆
映画「ホビット」三部作 エクステンデッド版 WOWOWプラス 2023年2月6日、3月6日他
第一部は2012年の公開、もうそんなに経ったのですね。エクステンデッドは長いですが、見ごたえがあっていいですよね。視聴できる方は是非!    2023.FEB.05




◆「ホビット 思いがけない冒険」エクステンディッド・エディション(EE)感想
《劇場版の感想はこのページの下の方にあります》

今回の延長時間は、ほんの十数分でしたが、結構楽しめました。主に追加された部分について、出来るだけ順を追って書いていきますね。

冒頭でスランドゥイルさんが、アーケン・ストーンを見せてもらいに行っているシーンが増えています。いいですね。気難しくて気位の高いエルフの王様らしい美しい姿です。この息子がやんちゃなレゴラスというのもおもしろい(レゴラスは第2部から出てきます)。演じるリー・ピースは、レゴラスのオーランド・ブルームより実年齢では2歳年下だそうです。私は彼が主演している「落下の王国」という映画が大好きです。インディーズの世界各地の世界遺産を舞台にしたファンタジー作品で、とても美しい映像と、彼の現実と物語の中の二役の演技が印象的でした。ネット情報によると、PJ監督もこの作品を見て、スランドゥイル役に抜擢したとか。

スランドゥイルさんの乗っているヘラジカは、もちろんCGで、実際の撮影は馬に乗っていたそうです。原作では、狩りの好きな王様ですから、馬の方が形になりそうですが、幻想的ではあるかな。ただ、ヘラジカって地域的にマークウッドに生息していたかどうかは謎ですね(笑)

びっくりして、そして嬉しかったのが、ビルボの子供の頃のシーンが、ほんの少しですがあったこと。おもちゃの剣でガンダルフに切りつけています。可愛い。花火の記憶はこの時のもの?きっとこのころは、何回も来ていたのでしょうね。お母さんの、ベラドンナ・トックがビルボを止めています。わあ、まさに冒険にワクワクするトックの血をビルボに分けたお母さんが、映像で出てくるとは感動です!さすがPJ!いいですね〜。このシーンだけでも、EEを買った価値があったというものです。
そして、このお母さんを演じたのは、PJの愛娘だそうです。LOTRでビルボのお話に、目を丸くして聞き入っていた、小さい子が今度はビルボのお母さんなんですね。LOTRの時も、世界一お金をかけたホームビデオと言われたように、きっと今回もいろいろな人の家族が出演しているのでしょうね。

次も、また、わあ〜と思いました。ビルボがお魚を買っているのです。夜、ドワーフたちが来る前に、食べようとしていた夕飯がとても美味しそうで、見た人はみんなとても印象に残ったようです(私個人としては、お魚嫌いなので、パンと蜂蜜の方が気になったのですが)。あの、お魚を買いに行くシーンが追加されていました。ホビット庄の平和なシーンが、丁寧に描かれているのが嬉しいですね。PJのコメンタリーによると、ロベリアもどこかにいるそうですよ。ビルボがとんがり帽子のようなものを運んでいる人をみて、ガンダルフと思って逃げるのも、面白いです。そんなに冒険に出るのが嫌だったのかしら?むしろ、ビルボとしては、もっと誘われたらきっと冒険に出かけてしまいそうな自分が心配で逃げていたのでしょうね。そんな風に見えませんでしたか?マーティン・フリーマンのビルボは、本当にいいです。

ビルボの家にドワーフたちがやってきて、食事の準備にごちゃごちゃしているところ、ビフールのおでこに小さい斧が刺さったままになっているのが、クローズアップされています。劇場で見たときは、ほかのところばかり見ていて気が付かなかったんですが、こんなになってたのね(笑)
ビフールを見て驚いているビルボに、オインが彼は負傷しているんだよと言います。あの頭に刺さった斧のこと?(the ax in his head?)とビルボが聞き返すと、耳の悪いオインは、Dead?と聞き間違えて、違うよ頭がいかれているだけで、生きているよと答えています。このあたりのやり取りって、落語みたいでとぼけていて好きです。

ガンダルフが、カギを手に入れたいきさつについては、特に追加映像は無かったですね。

ドワーフ達が乗って旅をする馬たち、見た目がポニーなので、どんな種類の馬かと思っていたんです。コメンタリーによると、たてがみを長くしたり、毛並をもしゃもしゃにするメイクをした普通の馬なんだそうです。なるほどね。ビルボのマーティンは乗馬が得意ではなく、怖がっている様子は本物だとか。

裂け谷(リーベンデール)に入る前にも、ビルボとガンダルフの会話が少し増えています。そして、裂け谷でのシーンは、大分増えていますね。
キーリが女性のエルフに気を取らているのを、ドワーリンに見られて取り繕っています。あっちの方がいいというと、それは男性のエルフだったり。ドワーフ達はずいぶん、きっと、わざといつも以上にお行儀が悪いです。食べ物を投げたり、ノーリが食卓にある食器をこっそりくすねたりしています。
おまけに、ボフールはテーブルの上に乗って踊りながら歌っています。この歌を聞いてびっくりしませんでしたか?そう、あの「指輪物語」にでてくる、ブリー村の踊る小馬亭でフロドが歌った有名な「牝牛が月を飛び越した」の歌です。あれは、ビルボの作品なのです。もちろんここは、PJの茶目っ気なのでしょう。LOTRで歌がほとんど入れられなかったので、今回はその分歌のシーンを入れたという事です。作曲は、歌っているボフール役、ジェイムズ・ネスビット本人だそうです。
この歌はとても長いので、冒頭のところだけでしたが、私としては、この曲はBBCラジオドラマ「The Lord of the Rings」でフロドが歌ったのがお気に入りなのです。映画の方は、場面にはあっているけど、この歌としては、ちょっと違うな〜〜と思ってしまいました。ちなみに、このドラマのフロドは、イアン・ホルムです!
はなれ山の歌は、今回の映画のがとてもよかったのですけれども。

映画独自の設定として、裂け谷はドワーフにはあまり居心地がよくないという事にしてあります。映画では、ドワーフとエルフの仲が悪いことを、際立たせてあります。原作だと、「一同は、そのすてきなやかたに、長いこと、少なくとも十四日間は、とまりましたが、それでもわかれたくない気持ちでした。」となっています、裂け谷の「さいごの憩」館はそういうところなのです。ビルボも、ゴブリンにつかまるまえ「裂け谷に帰る」と言っていますよね。

劇場版だと、裂け谷に着いてすぐに出て行ってしまったように見えましたが、EEではしばらく滞在していたことがわかります。劇場版で、ビフールがボンブールに食べ物を投げて、口で受け止めた瞬間に座っていた木が折れるシーンも自然な感じになっていました。あそこ、唐突だなあと思っていたのです。

リンディアさんが、エルロンド卿に彼らはいつまでいるのかと、少し不満を漏らしていますね。
更に、ドワーフたちは噴水で裸になって水浴びをしています。ロングショットなのですが、このワンカットがあるために、EEはレーティングPG-13になったそうです。

ガンダルフとエルロンドが話しているシーン、トーリンのお爺さんもお父さんも病に侵されていた、というようなことを話していました。これは、アーケン石を手に入れたことで、病的なまでに宝を欲するようになってしまったことを指すのでしょうか。そのため、トーリンがエレボールに王として戻るべきかどうか、スマウグを目覚めさせるリスクを冒してまで、旅をするべきか、エルロンドは疑問に思っているようです。
ビルボとトーリンが、その会話を聞いてしまっています。気の毒なトーリン。

ビルボとエルロンドが二人で話すシーンもありました。なんだか哲学的な会話(?)でしたね。ここで、この会話をするのは、どんな意味があったのでしょうか。

予告編にあって、劇場版本編になかった、ビルボが「折れたる剣」ナルシルを見るシーンがありました(映画LOTRでは、ナルシルは裂け谷に保管してあるのでしたね。原作ではアラゴルンが持っています)。壁には、古の戦の絵画が飾られています。LOTRの冒頭のイシルドゥアがサウロンの指を切って「一つの指輪」を手に入れた場面です。ナルシルもこの時折れてしまったのが保管されていたのです。
白の会議では、指輪のことが語られます。これは、ファンとしては、本編に入れても良かったのではないかとも思いますけれど、「指輪物語」読者の人にはおなじみですが、この映画だけを見た人には…むしろ割愛した方が良かったとの判断だったのでしょうね。ドワーフの7つの指輪は失われているが、「ひとつの指輪」が無ければそれを支配できないし、その指輪はすでに失われていると、サルマンが言っています。
◆指輪については「ひとつの指輪とスメアゴルのこと」をご覧くださいませ。

さて、今度はゴブリン達につかまったシーン。PJは楽しそうにいろいろ加えていますね。特に大ゴブリンの歌はお気に入りのようです。私は…あまり好きではないですけれども。原作でもゴブリンたちは歌いながらドワーフを連行していました。ゴブリンは結構陽気な連中なのかしらね。
そのあと、大ゴブリンがドワーフたちの持ち物を調べるのですが、その中にノーリがこっそりくすねたエルフの食器があって、エルフの仲間だ!と言われてしまうのです。オーリがノーリをとがめるように見るのですが「記念にと思って」と言い訳しています。

さて、延長されたシーンについては、こんなところでしょうか? まだ、特典映像や、コメンタリーもあまり何度もは見ていないので、後で付け加えるところもあるかもしれません。
ともあれ、延長版(EE)も楽しかったです。早く第2部が見たいです。2014.01.03 


《以下は、劇場版が公開された時の感想です》

待ちに待った映画「ホビット 思いがけない冒険」が公開されました。ピーター・ジャクソン(PJ)監督でよかったと、私は思いましたよ。原作ファンに嬉しい描写が随所に出ていて、さらに、解釈が面白かったり、なるほどと思える工夫があって関心させられたり、映画「ロード・オブ・ザ・リング」を思い出させる描写があったりと、いろいろ楽しめました。以下、印象的なところや感じたことなど、つれづれに書いていきます。よかったらお付き合いくださいませ。
長くなるので、原作の段落のタイトルで分けてみました。

文中のLOTRは、PJ映画「ロード・オブ・ザ・リング」です。

※映画の内容と、原作の結末までについての内容を、具体的に書いてありますので、未見・未読の方はご了承の上お読みください。

◇すこし追記しました。この色の文字の部分です。(2013.Jan.02)
◇さらに追記しました。この色の文字の部分です。(2013.Jan.14)



◆思いがけないお客たち An Unexpected Party

まず、予告でも見ていたけど、LOTRのビルボとフロドが出てきて、やっぱり、わ〜〜と感動しました。懐かしくて、嬉しいです。

ビルボが、銀の食器を隠しているのも、原作ファンには嬉しい演出です。原作の最後で、競売にかけられたビルボの品々を買い戻したけれど、サックビル・バギンズに持って行かれたらしい銀の食器だけは出てこなかった、という事を踏まえているんですよね。
映画ではロベリアが持って行ったと言っていますね。

そしてこの日はなんと、誕生日パーティーの日なのね。玄関の張り紙の言葉も、「指輪物語」ファンには嬉しいです。

ビルボの語りから、谷間の町の賑やかな様子とはなれ山のエレボールの栄えた様子が描かれます。何と素晴らしい。わかりやすい。物語を読むときには、ビルボの家でドワーフたちが歌う「はなれ山の歌」を聞いて初めてわかることですが、映画としてはとてもいい持っていきかたです。アーケンストーンもここで出しておくのはわかりやすいですね。トーリンのお爺さんのおひげの飾りが豪華でした。
私は「アーケン石」って「あーけんせき」だとおもっていたら、吹替えでは「あーけんいし」って言っていました。「いし」なのか、宝石だから「せき」だと思っていました。

恐ろしい竜のスマウグの姿が、まだあまり見えてこないのも気を持たせて、憎い演出ですね。LOTRで、ゴクリの姿がはっきり見えなかったのに似ていますね。
凧のドラゴンが出てきて、え、こんなちゃちなの?と一瞬思わせるのも、遊び心のある演出がおもしろいです。きっと何度見ても、あれって思ってしまうと思います。

竜のスマウグが襲ってきたとき、本当に松の木がうなっていて、まさに歌の詞通りだったので、私はものすごく感動しました。歌詞で想像した以上に怖かったです。
「はなれ山の歌」の歌詞はこちらでご覧ください。

レゴラスのお父さん、森のエルフの王、スランドイルさんも出てきていました。眉毛の色が、レゴラスに似ていたかしら。ヘラジカ(?)に乗っていたのはちょっとびっくり。ちなみにレゴラスは、第3部に出てくるそうです。
スマウグに襲われたときに助けなかった、というのは、原作にはないシーンと設定ですが、映画だけ見ている人には、ドワーフとエルフは基本的に仲が悪いという事は知られていないから、ここで印象づけておくのは分り易くて良かったと思います。

60年前にさかのぼって、ビルボの家にガンダルフが来たところ「Good Morning!(よいお日和を)」のやり取りは、原作通りの会話でしたね。これは絶対抜かせません。
「I am Gandalf, and Gandalf means me!(わしは、ガンダルフじゃ。ガンダルフとは、わしのことじゃ!)」のセリフも、イアン・マッケランのガンダルフが言ってくれるのは嬉しいです。それに、「灰色のガンダルフ」がうれしいじゃないですか。白より、ガンダルフらしいですよね。
ビルボの服も、緑や黄色が使ってあって、原作にある通りなんですよ。
吹替え版では、「Good Morning!」を「ごきげんよう」と言っていました。ドワーフの「At your service!」は「お見知り置きを!」でした、どちらも自然でよかったですね。

ビルボがガンダルフを追い返すときに、明日のお茶に誘わないと思ったら、ドワーフたちが来るのは、夜にしたんですね。でも来た時の様子が、またよかったです。ガンダルフと来た大勢のドワーフたちが、ドアを開けたひょうしに将棋倒しに倒れこんだのも、原作どおりで、やった〜と思いました。トーリンは遅れて来たので、下敷きになる恥は、かかずにすんだのですね。

飲み物は、原作ではお茶にワインとエール(ビール)ですが、カモミールティとかグロッグとかいろいろ新しいものが増えていました。食べ物もいろいろありましたね、チーズも美味しそうでした。食糧庫が空っぽになったのもいいですね。この一連のシーンにかなり時間を割いてくれたのは嬉しかったです。

きっと省略されるだろうと思っていた、「コップをこわせ」の歌がちゃんとあったのが、私はとても嬉しかったです!!まして、あんな派手なやり方なんて。ここでは楽器も演奏していましたね。ドワーフたちが楽しそうで、見ているこちらも楽しかったです。ありがとうPJ!
吹替え版では、歌も吹き替えでした!これもまた楽しげでよかったです。

ビルボの、契約書の文面は、映画オリジナルの部分が多かったですが、説得力があって面白かったです。ビルボも倒れたし。

そして、あの、トーリンたちの歌う「はなれ山の歌」は何度聴いても、本当にいいですね。素晴らしいです。あえて、楽器の演奏を入れないのが良かったです。あのメンバーでフルコーラス聴きたいなあ。ほかのラジオドラマとか、朗読CDとかのも聞きましたが、これが一番好きです。
この歌をビルボも自分の部屋で聞いているんですよね。これを聞いたら、心が動かずにはいられないでしょう。
吹き替え版では、歌の部分の練習はどのくらいできたのかしら、ぶっつけだったら気の毒でしたね。セリフは良かっただけに、ちょっと残念な感じでした。

最初に見た時から思っていたのですが、トーリンはガンダルフから、素直にお父さんの地図と鍵を受け取ります。なぜ、ガンダルフが持っているのかは、追及しません。追及しなければ、観客も不審に思わないという事なのでしょうか?原作では、ネクロマンサーの調査にガンダルフが行ったところ、地下牢に囚われているトーリンのお父さんにあって、地図と鍵を託されたという事になっているのですが、あとのラダガストの登場の為には、この設定はできなくなってしまったのですよね。うーん…

バーリンが、ビルボの家でトーリンを思い留まらせられないかと、(無理を承知で)説得しているシーンで、今いるドワーフの仲間たちが、戦士ではなく鍛冶屋やおもちゃ屋や…と言っているところ、いつも聞きながら、ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ…と頭の中で続けたくなってしまうのでした(笑) これは映画「裏切りのサーカス」の原題です。スマウグの声のベネディクト・カンバーバッチも出ています。

どうしてもはなれ山を取り戻しに行くと言うトーリンに、それならついて行くと話すバーリン、いいシーンですよね。ここで、バーリンはトーリンに、「lad」と呼びかけているんですよね。王様であるトーリンにこんな口が利けるのは、彼だけですね。
原作ファンでかつ海洋冒険小説ファンの友人Tさんが、トーリンの一行は、ショーン・ビーン(LOTRのボロミア)が主演したドラマの英国陸軍のシャープの隊に似ていると言っていたのです。このladとかladdieとかいう呼びかけを聞くと、私もちょっとちがうけど、シャープを思い出してしまうのでした。無鉄砲なシャープをかわいがっている上官が、彼をladとかladdieって愛着を込めて呼ぶのです。
ちなみに、バーリンは、キーリやビルボにもladdieと呼びかけています。

◆ヒツジのあぶり肉 Roast Mutton

翌朝、ビルボはガンダルフに背中を押されるのではなく、自分の意志で駆け出していました。リュックもしょっていました(でもハンカチは忘れましたね)。これは、映画としてはいい演出でしょう。やはり、自分の意志で行動したほうがいいですからね。

ハンカチを忘れたというのは、原作ファンにとってはやはり大事なセリフです。でも、貸してもらったハンカチがあんなではいやですね。

ビルボたちは原作通り、小馬(ポニー)に乗って旅をします。お馬たちが、シャギーな毛並で、指輪物語のメリーの馬スティッバを思い出しました。
ビルボの手綱の持ち方が、こわごわでらしくてよかったです。

野営中に、眠れないビルボが、自分の小馬のところに行って、ポケットからリンゴを出して、内緒だよと言ってあげます。ここはね、指輪物語のサムを思い出させるシーンですよね。サムはホビット庄を出るときにリンゴをポケットに入れていたのです。小馬のビルを大事にしていたのもサムです。
ビルボの乗っていた馬も、映画のビルと同じ栗毛でしたが、女の子だったようですね。お顔にきれいな作(幅の広い白い毛の部分)が入っていました。

ただ、野営中もお馬の口にハミがかかっていたように見えたのですが…気のせいかしら。鞍は外してあったけれども。

字幕の時は気づかなかったのですが、吹替えでは、 ビルボが追いついて小馬に乗せてもらって出発するときに、「バンゴ」という声がきこえたんです。ビルボのお父さんの名前です。なんでここでバンゴ?と思ったら、お馬の名前だったのです。あとで、トロルにさらわれたのは、デイジーとバンゴでした。

若いドワーフのキーリが、オークの話をしてビルボを怖がらせると、トーリンが怒ります。トーリンはLOTRにも出てくるドワーフの洞窟モリアで、オークにお爺さんを殺されたのでした。その戦いで、樫の木(オーク)を盾にして戦ったので、トーリン・オーケンシールドと呼ばれるようになったと、バーリンがビルボたちに話して聞かせます。白髪に白いおひげのバーリンがいいですね。

ホビットの原語版を読んでいましたら、トーリンのお爺さんスロールを殺したゴブリンの名前がアゾグと書いてあるのを見つけました。映画のオリジナルだと思ったら、違ったようです。資料本によると、瀬田貞二訳は、改定前の版を訳しているため、「あるゴブリンに…」となっているのですが、最終版では、「ゴブリンのアゾグに…」と名前が入っているのだそうです。映画では、これをオークに変えて、さらにトーリンを追いかけてくる宿敵にしたのですね。

別の晩、野営地で小馬が2頭足りなくなります。全部で16頭いたそうですから、ガンダルフを入れて15人なので、荷物運び用にもう一頭連れていたのですね。
最初に小馬たちが出てきたシーンでは、グローイン(指輪物語でてくるドワーフ、ギムリのお父さんです)が荷物用の馬を引いていました。
小馬はトロルの両脇に抱えられて、さらわれたのでした。これが、指輪物語に出てきた、もちろん映画LOTRにも出てきた、石になった3人のトロルです。指輪物語では、ホビットたちが旅の途中で森の中で見て、ビルボのお話は本当だったんだと感動するところですよね。映画LOTRでは、ナズグルの剣に刺されたフロドを手当てしているところの背景に、60年前に石になったままのトロルが居ます。

トロルの鼻水まみれになってしまったビルボ…ずっとこの服を着ているの…よね。うえ〜〜ん

ドワーフたちが捕まって袋に入れられてしまうのは、原作通りですが、そのいきさつがちょっと変えてありましたね。あの13人が武器をもってかかったら、頭の悪いトロルなら倒せると、あの立ち回りを見ながら思いました。さて、どうやって捕まってしまうのかと思ったら、ビルボが人質になったからだったのですね。ここで、ビルボを引きちぎるぞと言われて、トーリンは最初に剣を捨てるのでした。悪態をついても、気に入らなくても、仲間を大切にする王様なのです。
でも、そのあとの、夜明けまでの時間稼ぎは、ビルボの機転でした。頑張るビルボがわざとドワーフの悪口を言ったのでみんなが怒るのを、最初に気づいて、キーリを蹴飛ばして合図をしたのもトーリンでした。ビルボとガンダルフの連携も良かったですね。空がしらじらとしてきたときに、ちらとガンダルフが見えたのでビルボはきっとほっとしたでしょう。そのあと、大きな石を割って、朝日をトロルたちに浴びせたガンダルフはかっこよかったですね。原作では、ガンダルフだけが時間稼ぎをするのですが、ここは映画として、ビルボの成長の過程がうまく描かれていて、なるほどと思いました。

そのあと、トロルの洞窟でトーリンとガンダルフが古のエルフの剣を手に入れ、ビルボはガンダルフに、小さい剣をもらいます。武器を持ちたくないとひるむビルボに、ガンダルフは、相手を倒すためでなく、仲間を守るために、という意味のことを言っていましたね。いいシーンでした。

実は、このどさくさで、小馬たちは道連れではなくなっています。トロルとドワーフたちが戦っているすきに、ビルボは捕まっていた4頭の小馬の綱を切って逃がしていますが、そのあと、小馬たちとは合流しませんでした。原作では小馬たちも裂け谷に行くのですが、ちょっと残念。
小馬がいなくなった〜というセリフ、ありましたね。逃げてしまったようです。

この少し前の、雨が降って、みんながずぶ濡れになりながら歩いているシーン、ビルボはフードつきのマントが無いので、ぬれねずみでした。原作では借りているんだけれども、見ながら、着せてあげればいいのにと思ってしまいました。
原作と違うといえば、ドワーフたちの衣装です。今回13人のドワーフのデザインは、本当によくできていますね。シルエットだけで、誰かわかります。また、武器もみんな違うものを持っています。原作ではそれほど衣装については描かれていませんが、マントの色はとてもカラフルです。バーリンなんて緋色(scarlet)だから、そのままデザインすると白いおひげでサンタクロースみたいになっちゃいますね。

雨のシーンで、魔法使い(賢者)は5人いると、ガンダルフが語ります。白のサルマン、灰色のガンダルフ、青い二人は名前も忘れてしまったし、どこにいるかわからない、そして、茶色のラダガスト。これも指輪物語ファンなら周知のことですが、映画でも、丁寧に語ってくれるのが嬉しいですね。おまけに、茶色のラダガストが大活躍です。

予告編にも出ていたシーンですが、森を犯している怪しい呪い(?)のせいで、ラダガストのかわいがっているハリネズミが死にそうになってしまいます。この、セバスチャンというとても現代英語っぽい名前はどこから来たのでしょう。

ラダガストの家の近くまで、大蜘蛛が来ていましたね〜怖いですね。映画の第2部は、かなり怖そうです。(私は蜘蛛が大嫌いです)

原作では、ガンダルフが旅の途中で時々いなくなるのは、しびと占い師(ネクロマンサー)について調べているからという事になっていますが、具体的には多くは語られません。今回、映画では設定を膨らませて、サルマンやガラドリエルも来て、エルロンドとともに「白の会議」を開いています。
はるか3000年前に滅ぼされたサルマン=ネクロマンサーが、復活しているのかいないのか、まだ誰にもはっきりしたことはわかっていません。しかし、ゴブリンやオークが暗躍し、トロルが山から下りて悪さをし、緑森大森林は「闇の森」になってしまっているのでした。そしてその存在の、証拠をつかんだのが、森を守っているラダガストという設定になっていたのですね。映画の予告編にも出てくるので、どうなっているのかと思ったのですが、なかなか面白い趣向です。
そして、彼はウサギの引く橇に乗っているのでした。ウサギたちが速くてびっくり。オークのオオカミ(ワーグ)達との追いかけっこシーンは、いかにもCGなのがどうかと思いましたが、ゲーム世代の観客を意識するのも必要なのでしょうね。

おとりになると言いながら、ドワーフたちと反対の方向に行くわけではなく、常に見える位置を走っているラダガスト、これでは、あまり意味がないのでは…と思っていたら、ガンダルフと示し合わせて裂け谷の入り口に誘導していたんですね。と、私には見えましたが、違うかな?

オークが攻めてきたところ、弓矢が得意のキーリがかっこよかったですね〜〜(私は、弓の使い手に弱いのです)。でも、矢を使っているシーンっていつも、見ていて心配になってしまうのですが、矢の補充は旅の途中でできるのでしょうか。LOTRでも、レゴラスは矢を拾いに行っていましたよね。これから出てくるバルドも、代々使っている矢を持っているのです。

みんなが岩の割れ目に逃げ込むまで、最後まで入り口に残って見届けるトーリンは、ここでも立派なリーダーです。

◆ちょっと一息 A Short Rest

裂け谷に着いたところは、また映画LOTRを思い出して懐かしかったですね。そして、出迎えてくれたのは、なんとリンディアさんでした!LOTRには出てきませんでしたよね。「指輪物語」の原作で、裂け谷でビルボと親しく話していたのが、エルフのリンディアさんでした。ビルボ作の長い歌をほめていたけれど、人間とホビットの区別がつかないなんて言っていた、とてもエルフらしい方です。
今回、LOTRで入れられなかった細かいところを、PJ監督は意識していろいろと描写してくれているようで、それを見つけるのも楽しいです。

エルロンドさんは、騎馬姿でかっこよかったですね。

この頃、あまり「指輪物語」関連の本を読んでいないので、エルフ語は、ほとんど聞き取れませんでしたが、ガンダルフがエルロンドに言った、「メロンニン(Mellon nin)」(我が友)は、わかりましたよ。LOTRのモリアの入り口の合言葉が「メルロン」(友)でしたね。それと、映画「二つの塔」オリジナルの馬ブレゴにアラゴルンがかけた言葉も、これでした。

原作では、もう少し穏やかに裂け谷に来たドワーフたちですが、映画ではかなり喧嘩腰でした。トーリンが特に嫌がっていましたね。

トロルの洞窟で見つけた、二振りの剣、オルクリストとグラムドリングの意味をエルロンドさんが話しているときに、ビルボは自分がもらった短剣をこっそり見ています。それに気づいたバーリンが、いずれ、名前がつくとビルボの気持ちを汲んで、話しかけていました。いいシーンです。バーリンいいですねえ。

予告編では、裂け谷でアラゴルンの「折れたる剣」をビルボが見ているシーンがありましたが、本編ではなかったですね。
本来、折れたる剣は、アラゴルンが持って歩いているのだから、裂け谷にあってはいけないのですが、PJ映画LOTRの世界では、裂け谷に保管してあることになっているのです。ボロミアがさわってみたら指先が切れて血が出てしまった、あれです。

裂け谷の白の会議では、白の魔法使いサルマンはかなり強く、サウロンの復活を否定していました。すでに、60年後の「メニー・カラーズ」の兆候が表れているのでしょうか?

ガラドリエルさまは、ホビットのことを「ハーフリング」と言っています。これも懐かしいですね。
トーリンも最後のところで、やはりハーフリングと言っていました。

ドワーフは、何度かビルボを「マスター・バギンズ」って呼んでますよね。これも初回から気にしてみているんだけど、最初はビルボが旅に加わるため駆けつけて来た時、これは誰の声だかよくわからない。裂け谷を出たところでは、トーリンが言っていた気がします。これ、吹替えでは「バギンズ殿」というのだけど、字幕は「バギンズ君」でした。トーリンは、ちょっと皮肉っぽく言っているのよね、ほかのドワーフは、おどけて言っていたかも。ほかのシーンでもあったかしら。これは、指輪物語でギムリとレゴラスが「旦那」と呼び合っている箇所が、たしかマスターではなかったかと思います。脚本陣のこだわりがあるのでしょうか?原作にはあったかな?ラジオドラマ版ではミスターで呼んでいるんだけど。

◆山の上と山の底 Over Hill and Under Hill

切り立った崖で、嵐に会うところは、とても意外な映像でびっくりしました。「雷合戦」と訳されてはいるのですが、嵐が東と西からやってきて戦いになったというのは、それは恐ろしい嵐の比喩として読んでいたのですが、なんとPJは岩の巨人の戦いと解釈したのですね。すごい、新しいわ。本当にいつも驚かされることがいっぱいです。

嵐が一段落したところで、ビルボが足を踏み外して崖にぶら下がってしまうところも、トーリンが捨て身で助けています。そのあとまた悪態をついていますが、本当に仲間を大切にする、情けの厚い王様なのです。演出の端々にそれが見えて嬉しいです。

洞窟を見つけて休んでいるとこで、ビルボは一人抜け出そうとします。一緒にいても邪魔者扱いされるだけだし、旅は過酷だし…。見張りのボフールは、故郷に帰りたいのだろう、と行かせようとします。ビルボは(ホビット庄でなく、裂け谷に帰る、と言っているところもにくいセリフですね)うっかり、君たちには故郷が無いからと口を滑らせてしまってハッとします。今回の映画では「故郷」という言葉がキーワードになっていますね。

ゴブリンにつかまった時、ビルボだけすり抜けたのは、すごいアイデアですね。これで、ゴブリンが歌ったり戦ったりしている間に、なぞなぞ問答ができます。
ガンダルフの登場も、良かったです。裂け谷からすでに、一行と別行動という事にしてあったので、さらに効果的な登場でした。

ドワーフをつかまえて、ゴブリンたちが歌を歌っていたところも嬉しかったです。PJのゴブリンは歌ったり踊ったりしないだろうと思っていたので、以外でした。オークは踊らなそうですけどね。

原作では、オークは出てこないのですが、今回、映画のオリジナルキャラクターとして、トーリンを狙う宿敵のオークが出てきます。これも、敵を凶悪にするためには面白いアイデアですね。

◆くらやみでなぞなぞ問答 Riddles in the Dark

待ってました、ゴクリ(ゴラム)登場です。いきなり、ビルボと戦ったゴブリンが落ちて来て気を失っているのを引きずって行って、食べてしまいます。怖いですねえ。隠れているビルボの持っているエルフの剣の青い光が、ゴブリンがゴクリに殴られて息絶えるとともに消えました。ここは怖かったし、少し切ない感じもしました。
これからゴクリは、ビルボと会って、ビルボが負けたら食べていい?とかわいく聞くのですが、ただいきなり言っても信憑性が無いけれど、このシーンを入れたために、本当に食べるんだと観客もわかるのです。上手い演出ですね。

暗闇でなぞなぞ問答のシーンは、何度見てもいいですね。ゴクリ(ゴラム)がビルボを見つける前に、ゴブリンを食べるシーンで歌っているのは、映画「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」でお魚を捕まえながら歌っていたのと同じ歌(歌詞はちがうけど)ですよね。フロドがファラミアに捕まったところです。あのシーンのゴクリはかわいくて大好きでした。

第一部のメインイベントとも言える、なぞなぞ問答のシーン、やっぱりよかったです。マーティンとアンディの役者もいいし、脚本も、カット割りも、さすがですね。
卵のなぞなぞでは、ゴクリがおばあさんに食べ方を教わったと言っていましたか?おばあさん、というの大事な言葉ですね。あとでビルボが、ゴクリを殺してしまおうかと思ったときに、やっぱり気の毒になって殺さずに飛び越えるのですが、こんな言葉も哀れを誘ったのではないでしょうか。
実は、私はゴクリに「おばあさん」という言葉を言われると弱いのです。いくらゴクリでも、やっぱり、サウロンの「一つの指輪」の被害者なのですからね。
「ひとつの指輪とスメアゴルのこと」もよろしかったらご覧ください。

原作ではゴクリは二重人格ではないのですが、映画ではLOTRをなぞって、スメアゴルとゴクリの二つの人格が会話をするようにしていました。面白かったですね。怖いゴクリが、まん丸い瞳のスメアゴルを叱るところも面白かったです。出口を知ってるよ!と喜んで言ったのは、スメアゴルですよね、それをゴクリが止めています。ポケットの中身のなぞの答で、「ナイフ」と答えるのは原作通りですが、ビルボがエルフの剣を手に持っているのを見て、ゴクリがスメアゴルに怒ったのが面白かったです。

ビルボが、偶然指輪をはめてしまうところ、ポケットの中ではなく、ほうり上げられた指輪をつかもうと伸ばした手に、指輪が自らはまったように見えました。ここは、LOTRでフロドが指輪をはめてしまったシーンと同じような映像でしたね。まさに、指輪が意志を持って、指にはまって行ったように見えました。

ビルボが、ゴクリから逃げる途中で、岩の間に挟まって動けなくなってしまいます。ピンチ!無理やりすり抜けたビルボの、真鍮のボタンがはじけ飛んでいました。本当に、ファンが喜ぶようなことを、随所に入れてくれますね。原作ではゴブリンの洞窟の出口のドアをすり抜けるときに、ボタンを飛ばしてしまっているのです。

ゴクリを飛び越えるとき、ビルボの足がゴクリの頭にぶつかったように見えたのですが、どうかしら?よく見えなかったので、次に行ったときにまた見てきます。
やっぱり、ビルボの足はゴクリの頭に当たっていたように見えました。ちなみに原作では、ビルボが自分の頭を洞窟の天井にぶつけているのですが。

それにしてもゴクリのあの小さい腰布のどこにポケットがあるのでしょう?そう思いませんでいたか?よく今まで落とさなかったわね。まさに、指輪が意志を持って落ちずにいたのかもしれませんね。
実は、職場の原作を読んでいないしとが、映画をみて、指輪を盗んだからビルボも悪いよね、と言っていたんです。今日も、見終わって立ち上がった後ろの席の人たちが、ビルボはあそこで指輪を返せばよかったのにと話していました。確かに、この映画だけ見ていると、指輪が意志をもって落ちたとか、洞窟から出てサウロンのところに帰ろうとしているとは、わかりませんね。ただ、原作の中でも、もともとその点は描写されていないので、仕方がないのですが。原作だと、ビルボはゴクリの物とは知らずに、拾うので、読者に疑問はわかないのです。今回の映画では、観客はビルボと一緒に、ゴクリが落としたところを見ているから、そのような感想を持つ人が多くなってしまうかもしれませんね。確かに私も、初回に見たとき、ゴクリの物だと初めからわかって拾うんだな、とは思ったのですが、そうすると、たしかにビルボはゴクリから盗んだみたいに見えてしまうわね、これは意外な盲点でした。でも、まあ、バーグラー(盗人)の肩書で旅に参加しているから、いいか(笑)

◆一難去ってまた一難 Out of the Frying-Pan into the Fire

ゴブリンの洞窟から逃げ出したドワーフたち、特にトーリンのビルボに対する悪態を、指輪をはめたまま聞いているビルボのシーンがいいです。彼は、このまま帰ってしまうこともできたのです。でも、彼は指輪をはずしてみんなの前に出ていくのです。彼は、自分は故郷が恋しい、その気持ちが強いからこそ、ドワーフたちにも故郷を取り戻してほしい、その旅の手助けをしたいと申し出るのでした。ビルボのセリフが泣かせます。
原作では、もっとおとぎ話的に「うちに帰れたらと望むのは、これが最後ではありませんでした」("I wish I was at home in my nice hole by the fire,…" It was not the last time that he wished that!)という決まり文句が、何度か繰り返されるのですが、その膨らませ方がみごとで、さすがPJたち脚本陣だと思いました。何度かホームシックや、字幕では故郷という言葉が強調されていたのですが、ビルボがホームシックになっているからこそ、ドワーフたちのホームであるはなれ山を取り戻すのを助けたいという、感動のセリフになるのでした。

この、感動のシーンのあと、またオークが襲ってきます。ここでトーリンが「Out of the Frying-Pan…」と言うと、ガンダルフが「Into the Fire!」と引き継ぐ割台詞になっています。トーリンにはあまり似合わないセリフのようですが、これは、原作の章のタイトルなんです。これも、脚本陣のファンへのくすぐりですね。
吹き替えでも、「一難去って」「また一難」と二人で言っていました。

初回見たときにも思ったのですが、アゾクって驚いたときに「まあっ!」って言うでしょ、笑いませんでしたか? オーク語なんだろうけど、日本人としては、とても可笑しい(笑)

ワーグに乗ったオークに襲われて、みんなが松の木の上に逃げた時、ガンダルフが蝶に話しかけていました。そのあと、大鷲が助けに来ました。これは映画LOTRファンは、ハッとするところですね。サルマンに塔の上に閉じ込められてしまったときに、大鷲グワイヒアを呼んだのも蝶(蛾?)でした。
原作では、大鷲は呼ばれたのではなく、ゴブリンの不穏な動きに気づいて来てくれたのですが、これはLOTRからのファンを意識した演出ですよね。

宿敵のオークの挑発に乗って、松の木から下りて戦うトーリン、ここでもオーケンシールドの名の由来になった時のように、木を盾にして戦っていますが、アゾグに打ち倒され、絶体絶命のピンチ!ここで、なんとビルボが敵に飛びかかって、トーリンの命を救います。ビルボ、すごい!!かなりびっくりしましたが、映画としてはとてもいい展開でしたね。原作では、ビルボが自分の勇気に気づくのは、大蜘蛛に襲われた時なのですが、3部構成だと、ここはとてもいい場面です。
それにしても、ビルボ、無謀すぎるぞ、いくらエルフの剣だからって!とは、だれもが思ったでしょう。もちろん、剣を渡したときのガンダルフの言葉、仲間を助けるために剣を持てというのが、ここで生きたのですね。
大鷲の助けが間に合ってよかったです。

LOTRでは、塔から飛び降りたのはガンダルフ一人だったので、グワイヒアだけでしたが、今回は、ドワーフたちを助ける大鷲が大勢でものすごい連携プレイでしたね。足でつかんで、ほかの鷲の背中に放り投げたりしていました。

大鷲に助けられたあと、大鷲との会話などがいろいろあるんだけど、ここはバッサリ省略して、いきなり、岩山の上に降ろされていました。岩山の上で、トーリンがビルボと和解するシーンも良かったですね。そして、はなれ山が見えます。感動的な、いい景色でした。見事な単独峰でした。日本人としては、ミドルアース富士とでも呼びたくなりませんか(私だけ?)。

3部作の1作目、どんな終わり方をするのか、ちょっとハラハラしていたのですが、一段落して、ドワーフたちの一行の旅はまだ続く…と、第2部を心穏やかに待てる、きれいな終わり方でした。

エピローグでは、ツグミが飛んで来て、一行のいる岩山を通り越して、はなれ山まで行き、その音でスマウグが目を覚まします。また、目の部分しか見えないのが怖いですね。ツグミを見たドワーフが大ガラスか?と言います。ファンとしては、ツグミや大ガラスと聞くと、次の展開に思いを馳せて待ち遠しい気持ちになりますね。スランドイルさんの出番、そしてバルドの登場です。スマウグの声も聴けますね。
PJ監督、次も楽しみにしてますよ〜!!

本当に、何度見ても楽しい映画です。最後のニール・フィンの「はなれ山の歌」がまた泣かせますよね。帰り道々、何度も聴いてしまいました。


《youtubeへリンク》◆トーリンたちの「霧ふり山脈」
http://www.youtube.com/watch?v=McwXxJ54t30

《youtubeへリンク》◆エンディングのNeil Finnの歌う「はなれ山の歌」
http://www.youtube.com/watch?v=UJwyW9ngLNg


 上に戻る  指輪物語TOPへ  SITE MAP  HOME 

このページの背景は「Angelic」さんから頂きました