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馬の本 番外編
ディック・フランシス「競馬シリーズ」

ディック・フランシス氏が2010年2月14日に亡くなったそうです。大好きな作家でした。とても残念です。
彼は、かつて英国の障害競馬のチャンピオン・ジョッキーであり、引退後はミステリー作家としても成功しました。彼の作品は日本では「競馬シリーズ」として翻訳され、40冊に及びます。どれも、主人公が魅力的で、馬の表情も生き生きとして、乗り手ならではの描写が巧みです。また、作品の舞台になるのが、競馬界だけではなく、それぞれの主人公の職業に関係する業界の描写が、興味深く描かれているのもフランシス作品の魅力のひとつです。ほとんどの作品が独立している、一冊完結なのもいいですね。
ほぼ1年に1作品が書かれているので、初期の作品は昔の競馬の様子がわかるという点でも面白いかもしれません。まだテレビ中継がない時代では、スタンドから見えない遠いところで騎手が悪さをするシーンがあったり、調教師は引退した馬に乗って調教を見に行ったり(今はランドローバーで行くそうです)しています。落馬して骨折しても、次のレースに出てしまったりすることも(痛そうですね)今は出来ないそうです。

お勧め作品を幾つかご紹介します。読み始めると止まらなくなるので、電車などの乗り過ごしにはご注意を。

◇写真は、英国のチェルトナム競馬場で撮ったものです。「馬と旅行 イギリス」も合わせてご覧ください。



「馬と旅行 イギリス」別窓で開きます

◆「重賞」
友人に勧められて読んだ、記念すべき一冊。
冒頭、競走馬の馬主である主人公が初めて馬に触れるシーンは秀逸。読み始めてすぐに、引き込まれてしまいました。
馬を預けていた調教師に、騙されていたと知った主人公が、友人たちとともに相手を出し抜く、明るい雰囲気の作品です。ちょっとだけ出てくる、乗馬クラブの老姉妹など、愛馬家としても嬉しいシーンが、いろいろあります。

◆「侵入」「連闘」
さる国の王女の持ち馬に乗る、チャンピオン・ジョッキーであるキット・フィールディングが主人公。著者のフランシス自身が、女王様の騎手だったことから、本人の経験とイメージが重なります。フランシス作品の主人公は皆かっこいいけど、このキットは格別です。 毎回違う主人公が登場するフランシスの作品で、珍しく2作品に登場します。
とにかく、騎手の目線で描写されるレースのシーンは、臨場感があって素晴らしいです。

◆「骨折」
珍しく、平地競馬のお話。若いわがままな騎手を、脅迫されて預かった調教師が主人公です。若者の成長物語としても面白いです。騎手と調教師がレースの展開など戦略を立てるところは、なるほどねと、競馬を見る目が変わりました。

◆「標的」
競馬に興味のなかった作家が、調教師の伝記を引き受けたことから、過去の殺人事件に巻き込まれるお話。作家が、馬の美しさに魅せられるシーンの描写が美しいです。アウトドアの達人である主人公もいいです。

◆「追込」
馬の画家として有名な、マニングスの贋作が出てきます。この作品は、ほとんど生きた馬は出てきませんが、競馬は出てきます。

◆「大穴」「利腕」「敵手」
フランシス作品の主人公と言えば、やっぱりシッド・ハーレーでしょうか。怪我のために、騎手をやめ、探偵になったシッドは、いつも悩んでいるし、ものすごく痛い目にあうしで、大変です。2年ぶりに馬に跨った時のシーンは、本当に嬉しそうです。

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◆「告解」
映画の撮影現場が舞台です。元アマチュア騎手の映画監督が主人公。映画の撮影をしながら、過去の事件の秘密を探っていく話。スタント・ライダーなども出てきます。映画好きの方にもお勧め。

◆「本命」
これも、大好きな作品。主人公が、レースが終わった後の馬に乗って走り回るシーンが印象的。障害馬って逞しいのね。



◆◆初めてフランシス作品を読む方にはお勧めしない作品もあります
「興奮」「敵手」「名門」「帰還」などは、ミステリーとしては面白いのですが、とても可哀想なシーンが多いので、お馬好きの方には辛いです。フランシスファンになってから、後でのお楽しみにしてください。



◇アマゾンjp.で検索→ディック・フランシスの本(別窓で開きます)



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