◆飛魚亭の裏庭◆ ジャックとステーィブンの時代の音楽2
映画 Master & Commander サントラ
映画「マスター・アンド・コマンダー Master & Commander〜The Far Side of the World」の音楽は素晴らしかったですね。ジャックとスティーブンがバイオリンとチェロを弾いているシーンが、予想していたよりたくさんあってとても嬉しかったです。演奏シーン以外にも、バイオリンやチェロの音楽が効果音楽として使われていたのは、素敵でしたね。波の音や艦の軋む音、索の風に揺れる音などの伴奏もとても臨場感がありました。また、艦尾窓から見える二人の演奏している姿も美しかったです。
ありがとう、ピーター・ウィアー監督、そしてこの映画にかかわった総ての人達。
- ◇タリス(1505頃-1585) トマス・タリス Thomas Tallis
- バロックより前のルネッサンスの時代の作曲家で、オルガン奏者です。エリザベス1世の時代です。イギリスの教会音楽の確立に貢献したそうです。ルネッサンスというと、他には、シェイクスピアや、グリーンスリーブス(カッティング作曲)が思い浮かびますね。
- ◇ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958) ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ Ralph Vaughan Williams
- イギリスの作曲家。王立音楽院とケンブリッジ大学で学び、ベルリンでブルッフに、パリでラヴェルに師事したそうです。作品は、オペラ、協奏曲、室内楽、声楽曲などいろいろ。「グリーンスリーブス幻想曲」、バイオリン曲の「揚げひばり」、「ロンドン交響曲(交響曲第2番)」などが有名。
◆映画「マスター・アンド・コマンダー」では、ヴォーン・ウィリアムズの「タリスの主題による幻想曲」が使われています。嵐の中で折れたマストとともに、ウォーリーが海に投げ出されるシーンです。艦長や親友ネイグルの表情までが目に浮かびます。劇的過ぎず重過ぎず、動的シーンに見事に静の心理描写まであわしています。なんとも見事な選曲ですね。
ちなみに、ウォーリー役のジョー・モーガン Joe Morgan は、このシーンの撮影のために、タンクの中で2週間もおぼれ続けていたそうです。
この曲は、終盤の戦死者の水葬のシーンにも使われています。
- ◇バッハ(1685-1750) ヨハン・セバスチャン・バッハ Johann Sebastian Bach
- バロック音楽の代名詞のようになっているバッハですが、バッハ家は50人以上の音楽家を出しているそうで、中でもこの J.S.バッハは「大バッハ」とも呼ばれています。10歳の時に両親を亡くし、オルガン奏者である兄にひきとられ、聖歌隊を経て、教会のオルガニストになります。音楽史上最大の音楽家の一人で、ベートーベンが彼を「和声の父」といったように、この時代としては大変進歩的で和声的な作品を多数作曲しています。
◆映画「マスター・アンド・コマンダー」では、サプライズ号がガラパゴス諸島に着いたシーンに、J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 〜 プレリュード」が使われています。演奏は、ヨー・ヨー・マです。多分、当時の楽器に近い形に改造したチェロを、使っているのではないかと思います。
◇「この時代の作曲家」と「この時代の楽譜・演奏・楽器」にも映画の話題を少し書きまいした。良かったらあわせてご覧ください。
艦長の練習風景
映画「Master & Commander」は全編を通して原作スピリットが見事に生かされていましたが、音楽好きとしては、特にラストシーンがたまりませんでした。
私は、映画を見るずっと前に、イギリスの「THE SUNDAY TIMES」誌の付録のCD-ROMで、いろいろなメイキング映像を見たり、エピソードを読んだりしていました。その中には、ジャック・オーブリー艦長=ラッセル・クロウのバイオリンの練習風景の短い映像もありました。ラストシーンのあの曲です。艦長がTシャツ姿で真剣な表情で、眉間にしわを寄せながら、バイオリンを弾いています。初めて見たときは、わあ、上手い!と思ったのですが、実はカメラの視点が横に動くと、一緒に先生リチャード・トネッティ Richard Tognetti も、リラックスした表情で弾いていたのでした。ここで、ちょっと安心(笑)よく見ると、艦長の指板にはバイオリン初心者がよくやるように、指を当てるところの目安に、白いテープが張ってありましたので、さらに、ほっとしてしまいました。(大人になってから初めてバイオリンを弾いたという人なら、きっとわかると思います)
弾き終わった後クロウが、出来たっという意味でか「ホウ!」と声を出しています。一呼吸置いたあとに、笑顔の先生が、さあもう一度という意味で「Back to the war!」と言うと、クロウが「No! Back to the battle!」などと言ったりして、とっても楽しそうでした。
それにしても、映画の艦長の演奏シーンは、見事に音にぴったり合っていましたね。さすが、ラッセル・クロウ、役へのこだわり方は半端ではありません。ちなみに、音の吹き替えは、このトネッティ先生だそうです。追記:サントラCDのライナーに使われている写真には、ジャックが指板にテープを貼ってあるバイオリンを弾いています。これは…映画では使われていなかったですよね。一応ジャックは子供の頃からバイオリンを弾いているんだし(笑)
- 葉山逗子さんのHP『Sail ho!〜映画「マスター&コマンダー」とP.オブライアンの原作etc.の情報日記』の1月18日の記事には、さらにトネッティとクロウの音楽のことが詳しく書かれています。是非ご覧ください。
Master and Commander: The Far Side of the World (Music from the Motion Picture)
アメリカ版のサウンドトラックです。日本版もでています。
映画のオリジナル曲と、バッハ、モーツァルト、コレッリ、ボッケリーニなどの曲が入っています。バッハは、ヨー・ヨー・マの演奏です。画像はアマゾンJP.にリンクしています。5曲ほど試聴できるようになっています。
日本版はこちら(試聴・画像なしです):映画「マスター・アンド・コマンダー・サントラ」
ついでに原作本です:南太平洋、波瀾の追撃戦〈上〉ハヤカワ文庫NV・〈下〉また、下のDECCAのページでは4曲が試聴できます。ヨー・ヨー・マのバッハもあります。
このページには、メイキングの本にもない写真があるんですよ。http://www.deccaclassics.com/music/soundtracks/masterandcommander.html
おすすめリンク
◆水兵さんたちが歌っていた「スパニッシュ・レディ」やアレン航海長の歌った歌については、只野様のHP「Sailing Navy 王国海軍 木造帆走軍艦の時代 」をぜひご覧ください。HMSサプライズの甲板の図と解説もお勧めです。
◆さらに映画を楽しむためにお勧め、とーこさんの日記より
『映画「マスター・アンド・コマンダー」を楽しむために(海事用語など解説)』
Roast Beef of Old England
Traditional Sailor Songs from Jack Aubrey's Navy映画の中で水兵さんたちが歌う「スパニッシュ・レディズ」や、アレン航海長の「ドント・フォゲット・ユア・オールド・シップメイト」はとっても良かったですよね。それなのになぜかこの歌、映画のサントラCDに収録されていなのです。
でも、原作も広く読まれている海外ではこんなCDもあるんですね。ほとんどが、アカペラで歌われていて、いかにも水兵さんたちの愛唱歌といった感じがいいです。画像はアマゾンJP.にリンクしています。5曲ほど試聴できるようになっています。
おまけ:音楽とは関係ありませんが、艦長とピピン もしくは「ボンデンを探せ!」
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このページの背景は「トリスの市場」さんからいただきました
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