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クラシック音楽&バレエ
とっても主観的感想集
2002年

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2002年
★東フィル「こども音・楽・館」 東京国際フォーラム ホールA  '2002.AUG.30

★日韓芸術交流推進オペラ公演『蝶々夫人』新国立劇場オペラ劇場 '2002.JUL.28

★『マラーホフの贈り物』 文京シビックホール '2002.JUL.14

★『東京フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会』オーチャードホール '2002.JAN.24



東フィル「こども音・楽・館」を聴きに行きました
東京国際フォーラム ホールA  '2002.AUG.30

指揮/ピアノ:チョン・ミョンフン 演奏:東京フィルハーモニーオーケストラ
バイオリン:ユラ・リー 司会:リサ・ステッグマイヤー

R.シュトラウス:交響詩「ツァラトストラはこう語った」より「自然の主題」
吉松隆:子供たちのための管弦楽入門
ベートーベン:交響曲第5番「運命」より 第1楽章、第2楽章の一部
クライスラー:愛の悲しみ(ピアノ伴奏)
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
マーラー:交響曲第5番より 第4楽章アダージェット
ベートーベン:交響曲第5番「運命」より 第4楽章
(アンコール)ロッシーニ:「ウィリアム・テル 序曲」より

一部日記と重複しています
子供向けのコンサートに行って来ました。駅を降りた時から子供がうじゃうじゃいて、結構うるさくて、これは失敗だったかと思ったのですが、開演中はわりと静かでした。
勿論、マエストロ・チョンの演奏を聴くために行ったのです。おまけにピアノも弾いてくれたし、お話もいろいろしてくれたし。かなり満足でした。さらにチケットが安い。司会&通訳がいまいち(マエストロの一人称が私だったり僕だっり…?)だったけど、マエストロの前で緊張していたのでしょうか?
ステージの両脇に、大きなスクリーンがあって、マエストロのお話ししている顔や、ピアノをひいている姿や、指揮しているときの正面や横顔が映って、そういう点では、普通のコンサートよりお得でした(笑)

総合プロデュースがNHKエンタープライズ21なので、この前の「未来への教室」の子供達が最後のほう、番組の中でマエストロにもらったTシャツを着て出てきました。そして、ベートーベン5番の第4楽章(番組の課題曲だった)をオケの横で聞いていました。良かったね。
番組の一部がスクリーンに流れたとき、マエストロはやたらと照れていました。ご自分の声を聞くのは嫌いなんですって、いい声なのに。

ベートーベンの5番の前に、マエストロがピアノで「月光」や5番の冒頭など、お話を入れながら、ベートーベンの曲のさわりをいくつかひいてくれました。日頃聴けないマエストロのピアノが聴けて嬉しかったです。韓国人の若いソリスト、ユラ・リーのバイオリンの伴奏もマエストロのピアノでした!!

曲目の中に、マーラーの交響曲第5番の第4楽章アダージェットがありました。マエストロが「この曲は子供向けのプログラムでは、あまり取り上げられないスローで長い曲だけれども、日本の子供達なら大丈夫(appreciate)だろうと思って選びました。もし眠くなったら寝てください、良い夢をみてください」というようなコメントをおっしゃっていました。素敵でしょ。子供達もざわつかずに聴いていました。静かで美しい曲には、やっぱりちゃんと反応するのです。
うくく〜この前聴き逃したマーラーだからね、私は嬉しかったですよ。出来ればサントリーホールで聴きたかったけど。

NHKの「未来への教室」で、チョン・ミョンフンさんが先生をした番組は、とても感動しましたね。HPはこちらです。是非ご覧ください。



日韓芸術交流推進オペラ公演 『蝶々夫人』をみてきました
新国立劇場オペラ劇場 '2002.JUL.28

指揮:チョン・ミョンフン 演出:ロレンツォ・マリアーニ
装置/衣装:マウリツィオ・バロー 衣装:コシノ・ジュンコ
蝶々夫人:シルヴィ・バレル ピンカートン:マルチェッロ・ジョルダーニ
シャープレス:ホアン・ポンス ズズキ:キム・ジュリア
藤原歌劇団 韓国オペラ団

本当に、待ちに待ったマエストロのオペラです。でも、こんなに早く機会が来るとも、実は思っていなかったのでした。嬉しい限りです。
やっぱり、ドラマチックで素晴らしかった。プッチーニだから、ドラマチックなのは当然だけど、こんなに盛り上がっていいのか、と言うくらいでありましたよ。感動。席が前のほうだったので、マエストロの後ろ姿も肩から上がしっかり見えたし☆

私はオペラはほとんど見ていないし、蝶々さんを通しで見たのは初めてなのですが、素人的にとても面白かったです。
舞台は、赤い枠で囲ってあって、紙芝居のような印象。奥と手前を外と室内に分けてある「移動式の壁=障子」は巨大で、なぜあれで笑いが来ないんだろう、と言うほどの大きさ。床に置いてある赤いくさびのような筒状の布は、はじめ大きくデフォルメされたお琴かとおもったんだけど、それにしては上にのっかったりしている。実は、場面が変わって、それをくるくると広げて行くと、寝室の床になるのでした。真っ赤なんだけど。3年後の第2幕ではそれが同じ所にぼろぼろになってあります。ピンカートンが「ああ寝室までそのままだ」…なんて言う台詞がある…ってこれか?
舞台の室内の部分はかなり傾斜が急のようで、見やすくていいけど、ちょっと歩きづらそうな所もありましたね。

衣装は、コシノジュンコ。ピンカートン、シャープレス、ヤマドリ、ケイトはやけに普通の衣装だと思っていたら、その四人だけ、装置のバローが衣装も担当してました。異文化、異世界を印象づけるには良かったのかな。
オペラの衣装って、それはなんですか?って言うような、はちゃめちゃなのをよく見るけど、今回はほとんど普通の着物でした。時代考証はしていないのは全然かまわないと思うし、どうせ日本人だっていい加減な知識しかないんだし、色彩的にも綺麗でした。蝶々さんのおじさんのボンゾ(坊主ですね)だけは歌舞伎の「暫(しばらく)」の五郎みたいな頭でしたが。

蝶々さんは、やっぱりソプラノの為の演目ですね。シルヴィ・バレルはとても良かったです。第2幕のはじめ、かの有名な「ある晴れた日」はさすがに会場中静まり返って聞いていました。その後もずっと、かわいそうな蝶々さんに会場は釘付けになっていたようです。
ただし、第1幕は見せ場がなかった、と言うよりは、私はハラハラしすぎて、歌どころではありませんでした。あのまともな着物らしい衣装を、日本の舞台でいきなり外国人に着せるのは気の毒だなあって。いくら現代人だって、歌舞伎や日舞を見なかったとしても、テレビのドラマで長く引きずった着物の裾がどんな風にさばかれるかは知っている、裾の中でどんな風に足を動かしたら綺麗かわかっているわよ。まして、蝶々さんは没落士族の娘で、芸者をやっていた、んだって、あのたどたどした足取りでもたもた裾を引きずって歩いていたら、説得力なさ過ぎです。ああ、気の毒、もっと誰かレクチャーしてあげなかったのかしら、まして傾斜の急な舞台で、つらそうで、そればっかり気になっていたら、終わってしまったのでした。ふう。
だから、2幕になって深紅のドレスに変わったときは、こっちもほっとして、歌に聴き入る事が出来ました。そのあと、ピンカートンが帰ってくる事がわかった時も、思い出の振り袖を、ガウンのように羽織るだけだったので、何とかかんとか(かなりねじれていたけれど)無事でした。打ち掛けのようには、さすがに無理のようでしたが。

ちなみに、カーテンコールで出てきた時も、はじめはぐるぐるにねじれてしまって、悲惨な状態でした、走って行ってなおしてあげたい衝動にかられたわ。2度目は直っていました。最後のころ、なんとひょうきんなマエストロは、裾を持ち上げて一緒に出てきてあげたのでした(笑)やっぱり気になっていたのかしら、私は嬉しかったです☆

一番印象的だったシーンは、ピンカートンが去ってから3年間待ち続けて、やっと彼の軍艦が入って来たのを見た蝶々さんが、港の方を向いて座って待っているシーン。その、晴れ着を着て、ちょこんと座っている姿が、ご主人を待つ仔犬みたいで、けなげで哀れでかわいかったの。悲劇の前の静かなシーンがとてもシンプルに引き締まって、綺麗で良かったです。
たしかに、ここは第2幕1場と2場の間の間奏曲のシーンで、マエストロの音楽が主役だったせいもあるんだけど、それだけではない、音楽と演出と舞台の上の歌手の絶妙のシーンでありました。

第1幕でのピンカートンの蝶々さんへの思い入れって、あんまり伝わって来なかったんだけど、普通あんな風なのかな? 綺麗だとか台詞では言っているけど…それとも、見え見えの「現地妻」がわかっている見ている側の偏見だろうか。でも、蝶々さんの心情も、2幕ほどは見えなかったかな。やっぱり着物のせいですかね(笑)
ああ、それと字幕の場所もあるのだった。舞台の上に字幕のスクリーンがある劇場の構造になっていて、あれは前の方の席だとかなりつらいです。そのせいで、見終わった後かなり目と頭が痛くなってしまいました。中劇場もそうだし、パリのオペラ・バスティーユもそうだった、もしかしてオペラ劇場ってみんなそうなのかしら。コンサートホールの仮設の字幕スクリーンはたいてい横にあって、とても見やすいんだけど。

それにしても、絵に描いたようなジャポニズムの満ちあふれた作品ですね。良く絵画のジャポニズムの作品は見るけど、そのまんま音楽にしたようでした。
それはいいんだけど、前から思っていたことが一つ。何で女衒の男はゴローなのに、下女がズズキなの? 下女と言ったらおなべ、というのは上方落語だけど、せめてオハナとか、オヨネとかに出来なかったのだろうか、その、ゴローという名前を知っていたんだったらさ。

今回4回公演があるのだけど、1回しかいけませんでした。韓国のソリストはスズキのキム・ジュリアだけでした。もっと他の人も聴きたかったです。
とはいえ、マエストロも満足げにカーテンコールに出ていらしたし、大変良いオペラだったと思いました。是非是非これからも、いろいろ振って欲しいです。

「藤木ときどき日記」にもその他の所感を書きましたので良かったら、ごらんください。



『マラーホフの贈り物』をみてきました
文京シビックホール '2002.JUL.14

'98年にも行った「マラーホフの贈り物」、今回(Bプロ)は3部構成で、1・3部は名作小品集、2部は「白鳥の湖」全幕でした。白鳥のコールドは東京バレエ団でした。とても綺麗で良かったです。

マラーホフは、白鳥のジークフリートと「ナルシス」「ザ・グラン・パドドゥ」。良かったけど、違う物が見たかった、というのは今回もあったなあ。
彼は多分他のバレエ団に客演するときは、王子さま系が多いので、違う物を見せたいのだろうけど、私としては、違う物よりマラーホフ王子三態みたいな方がうれしいかも(笑)
彼は、特殊な照明を使った物が好きなのか、この前見た「コート」(今回Aプロに使っていた)もそうだったけど「ナルシス」も終わりの方は、ダンサーのシルエットが舞台後ろの壁をスクリーンとして大きく映し出される形になっていました。綺麗だから、いいんだけど、けど…。まさに、ナルシスっていう短い作品でした。
「ザ・グラン・パドドゥ」は初めて見たのだけど、コメディバレエなのでした。衣装は王子系、相手のジュリー・ケントもお揃いのピンクのクラシックチュチュ、に黒縁眼鏡と黒いハンドバッグをもって、コミカルな振り付けでした。技の見せ所はあるけど、作品として見て嬉しいかどうかは疑問。こういうのはトロカデロにお任せした方がいいのでわ? と言うのも、一部に「アド・ギャグ」という、これもまた楽屋落ちと言う感じの、息の合ないぎくしゃくさがコミカルなパドドゥをルシア・ラカッラとシリル・ピエールが踊っていて、2部の最後にこれがあって似たようなのが2連発だったのよね。

ルシア・ラカッラとシリル・ピエールは、この前も出ていました。とても上手な二人、今回のもう一演目は「アド・ギャグ」とはうって変わって、叙情性の高い綺麗な「椿姫」。愛と悲しみの感情が伝わってきて、良かったです。拍手も多かったですね。
しかしこの「椿姫」瀕死の状態なのに、あんなに踊っていいのか?って言うのは、不治の病にかかった女性をあんな太った歌手がやっていいのか、ってオペラに文句を付けるのと同じね(笑)
そうなの、実はやっぱりバレエは、お姫様や王子様や妖精や悲劇の主人公やらが出てきて、くさい芝居なのに、見る人が感動してしまう、って演目が私は好きです。

マラーホフの相手役のジュリー・ケントは、白鳥が良かったです。特に足の細かい動き、優雅さより力強さがあるのはアメリカン・バレエ・シアターらしさでしょうか、それにしても、ジュテの着地の柔らかさはさすが。手の動きが意外と白鳥っぽくないのも、ABT流なのでしょうか、でも、見られて良かった、と思えるオデットでした。(だってABTの「白鳥の湖」なんてチケット買わないもの)

今回一番良かったのは「ラ・シルフィード」スヴェトラーナ・ルンキナとセルゲイ・フィーリン。このジェームズが良かった。若々しくて明るくて、踊る喜びがはじけている感じ。私には今回の一番でした。

最後の「フィナーレ」って、一演目みたいに書いてあるから何をやってくれるのかと思ったら、それぞれのダンサーが、ちらっとずつ技を見せて終わりでした。マラーホフは、そうよこれが見たかったのよ、と観客のすべてが思った、しなやかでかつ力強く優雅ささえ兼ね備えたグラン・ジュテ。舞台上手奥から下手手前に斜めに大きく4回くらいで袖に飛び込んでおしまい。後はみんなで出てきて、礼をするだけでした。やっぱさ〜もうちょっと見たかったな〜、と思ったのは私だけではありません。

なんて、文句ばっかり言っているみたいだけど、実はとっても楽しい公演でした。それなりの良いダンサー達ばかりだから、ついもっと欲張りたくなってしまうのね。またやってくれたら、きっと行くわ。やっぱりバレエは楽しいです☆

「藤木ときどき日記」にもその他の所感を書きましたので良かったら、ごらんください。



『東京フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会』を聴きに行きました
オーチャードホール '2002.JAN.24

指揮:チョン・ミョンフン、 バイオリン:ルノー・カプソン、 チェロ:ジャン・ワン

ブラームス バイオリンとチェロのための二重奏曲
ブラームス 交響曲第4番 ホ短調

去年に続いて、今年も最初のコンサートはチョン・ミョンフンです☆ ジャン・ワンのチェロもとっても楽しみにしていました。今日はブラームスを二つでした。

バイオリンとチェロのための二重奏曲は、ジャン・ワンのチェロと、初めて聞いたルノー・カプソンのバイオリンが、とても若々しい感じで良かったです。たぶん2人ともとても真面目な性格なのでは無いかな。でも、堅苦しい感じではなく、誠実な演奏スタイルでブラームスにはとても良かったと思います。

交響曲第4番は凄かった、まさに、マエストロのためにあるような曲だわ、と会場にいた誰もが思ったのでは無いでしょうか。特に第3楽章の盛り上がりは凄かった。4楽章の前に、フライング拍手をした人がいたけどあれってわざとだよね(笑) 演奏が終わった後の拍手も熱かったけど、定演なのでアンコールはありませんでした。
聞き慣れた曲を、こんなに新鮮に感動的に聴かせてくれるマエストロの演奏会、ああこのために生きてるなあ、っていつもながら思った次第でした。本当は翌日のサントリーホールも聞きたかったのだけど、まあ、仕方がないですね(笑)



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このページの背景は「ラ・ボエーム」さんから頂きました。