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PJ版映画
「ロード・オブ・ザ・リング  王の帰還」感想

とうとう終わりました。長かったですね(まだRotk SEEがありますが)。感動の終幕でした。評判どおり、良く出来ていました。この映画の三部作を見事に作り上げた、ピーター・ジャクソン監督と関係者総てに賛辞を贈ります。原作を読んだ人、映画だけの人、どちらにも楽しめて、さらに興行的に成功する映画に仕上げるのは、並大抵ではありません。ブラボー、ブラビー、ブラバー!

「王の帰還」は、何よりフロドが素晴らしかったです。あの表情、特に灰色港は美しかった。これぞ指輪物語という幕切れ仕上がったのは、彼のイライジャ:フロドのおかげですね。
メリピピも良かったです。特にピピンがたくさん見られたのが嬉しかったわ。
以下、思いつくままに書いてみます。


「長い物語では、おそらく、すべての点ですべての人を喜ばすことができない代わり、同じ個所で誰にも不満足となることもまたあり得ないのではないだろうか。(略)わたしは、ある読者たちからは失敗だと批判された行や章の全部が全部、別の読者からは特に賞賛されるということを経験したのである。」
J.R.R.トールキン 「指輪物語 著者ことわりがき」より(瀬田貞二 訳)



これは、映画に関しても同じ事がいえるのでしょう。文中に「原作ではこうなっている」ということがたくさん書いてありますが。これは、事実を述べているだけで、映画をそうするべきだったという意味ではありません。まして、だから「映画が悪い」と言っているのではありません。誤解のないようにお願いいたします。



総てネタバレです。すでに見た方を対象に書いてあります。未見の方はご注意ください。

500年前のスメアゴル
なんとスメアゴルのアップで幕開けでした。感動! 3作通して、本当にPJは映画の幕開けが上手いですね。冒頭で必ず、この映画は絶対面白い!と確信させる始まり方をいつもしてくれます。
かわいそうなスメアゴル。もしくは自業自得と見る人もいるのでしょうか、フロドとサムに同行しているのが、どんなに危険な生き物かと、思い出させるにも、見事に成功していました。
やはり私は、ああ「指輪物語」だわ、と感動してしまいました。

アイゼンガルドの門
なんと、このシーンを本編に入れてくれるとは思いませんでした。また、感動! ギムリもしっかり、パイプ草に怒っていたし(笑)PJ偉い!

サルマン抹消
でも、サルマンをワンカットも入れないのは、本当に良かったのでしょうか? あんなに、映画の出来を褒めちぎっていたクリストファー・リー氏を、なぜ?

ローハンの召集
あの馬鍬砦から見下ろした、幕屋の数は壮観でしたね。映画はこういうところがありがたいです。お話を読んだだけでは、イメージが難しいところを補ってもらえる。6000千騎の軍団だから、その宿営地も広大だったのですよね。

もしや、エステル?
と思ったら、エルダリオンでしたね。灰色港へ向かうエルフご一行様の中のアルウェンが見た幻影の子供。アラゴルンとアルウェンの息子です。(「エステル」と言うのは、アラゴルンの幼名で、原作の彼女はずっとその名で呼んでいたようです)そして、歳をとったアラゴルンもいました。原作には無いけれども、綺麗な映像でわかりやすくてよかったですね。
でも、避け谷に戻った後、彼女が何で病気になってしまったのかは不明ですが。

エルロンド・直参
原作では、エルロンドの双子の息子たちと北方の野伏たちが、ローハンの騎士団と一緒にいたアラゴルンと合流します。そして、エルロンドさんの伝言を伝えるんですが、双子は映画に登場しないので、エルロンド卿直々に、馬鍬砦までお出ましになりました。それもお忍びで。渋いなあ。

ところで、アラゴルンが、原作でお母さんがなくなる時のエルフ語の言葉を言ったのはここだったっけ? いや、エオウィンに向かってだった? なぜ?って思ったんだけど、それとも聞き違いかしら、映画のアラゴルンのキャラならそのくらい言うかな、とも思いました。 やっぱり、1回目はうろ覚えになっちゃいますね。ううん、また見に行って確認します。

もの知りレゴラス
とにかく長いお話なので、レゴラスとギムリをカメラが映している暇さえほとんどありません(笑)そんな中で、レゴラスの長台詞が、こんなところに。彼はTTTで、飛蔭が走ってきたところでも、メアラス族の馬の薀蓄語っていましたが、今回は、死者の道の解説をギムリに話していました。
あのシーン、英語では「ゴンドールの王」と言っているところを「イシルドゥア」と字幕をつけていましたね。英語でも日本語でも、映画のみ1回だけしか見ていない観客は、イシルドゥア=ゴンドールの王、と変換できるかどうか心配してのことでしょうか。ここは、悩みどころだったなあと思いました。まさか、一文字節約のためでも無いでしょうし。なんて、考えながら見てしまった、私も私ですが(笑)

ブレゴとアロドの経路
先出し映像を見ていたから、死者の道の入り口で、ブレゴとアロドが逃げてしまうことは知っていたんだけど、どこで合流するのかが疑問でした。でも、本編では解決されませんでした。多分SEEでも、そんな説明は無いでしょう。とりあえず、馬鍬砦まで戻って、雪の鬣と合流してゴンドールへ向かったと、考える事にします(笑)

ゴンドールののろし
実は今回、一番涙が出そうに感動したのは、のろしかも知れません。命令した人が原作どおりだったら、もっと良かったんだけど。あの夜の風景の、遥か山の上にのろしの火がともって、次々と伝えられていくシーンは素晴らしかったです。

ピピン!
ピピンの出番が多くて、私は嬉しかったです。ゴンドールに入ってからは、うろうろするところが多かったですが、たくさん見られたと言う点ではグッド。ファラミアの火葬を救うところも、びっくり、大活躍でしたね。
実は、あのピピンの歌も、物凄く良かったのだけれど、映像があまりにも悲劇的で、浸れなかったのでした。ファラミアが、ではなく、デネソールが、です。ひどい!!

デネソールの悲劇
TTTのSEEで予想はしていたけど、こんなにひどくなっているとは思いませんでした。原作では、イスタリ(賢者・魔法使い)に匹敵するほど、崇高な存在で、だからこそあの狂気が悲劇的なドラマになるのに、映画ではただの、狂った爺いでした。これが、悲劇でなくて何でしょう。ガンダルフにぽかぽか殴られて、まるでお笑い番組みたいでしたよ。口からだらだら果物の汁をたらしながら食べるって、誰のアイデアなんでしょう、よりによってあの、ピピンの歌にかぶせてくれるから、せっかくの感動も台無しでした。私は悲しいよ、PJ。

ファラミアの悲劇
原作では中つ国一の馬の乗り手と言っても過言ではない、ファラミアです。映画でも、思ったよりは騎乗シーンがあって、良かったです。でも、ミナス・ティリスへの戻り方は、悲惨でしたね。映画ではイムラヒル大公がいないから、仕方が無いんだけど。

ガンダルフ大活躍
その、イムラヒルさんがいないために、ガンダルフはミナス・ティリスで孤軍奮闘でした。グラムドリング(「ホビットの冒険」でトロルの岩屋で見つけたエルフの剣。エルロンドさんの故郷に縁の名剣です)も大活躍! ちょっと嬉しいかも。

セオデンの激励
ミナス・ティリスが攻められ窮地に陥っていた時、ローハンの角笛が響きわたったシーンは、圧巻でした。でも、その後のセオデンのスピーチ長すぎ。そんなに時間をかけないで早く助けに行ってよ〜〜と思ったのは私だけでしょうか? それにあの「Death! Death! Death!」ってのはなんなのよ、あれは、エオメルが、エオウィンが死んだと思って、『取り乱して』叫んだ言葉ですっ! セオデンは「Ride now, Ride now! Ride to Gondor!」とみんなを鼓舞したのです。もう、ローハンに関しては本当に、意見が合わないわねPJ(笑)

エオメルさん、またも消える
TTTでは追放されてしまったエオメルですが、今回はそれほどでも無いとしても、原作ではエルフヘルムの担当する、右翼を任されていました。(つまり、エルフヘルムは出てきません。グリムボルドはいるのに。)したがって、本編ではセオデンの死とエオウィンがいたのも知らずにいる状態ですね。予告では、エオウィンの死を嘆くシーンがあったのですが、SEE待ちですね。

盾持つ乙女・エオウィン
エオウィン、良かったですね〜 ペレンノール野でオークの大群を前にしたときに、初めて恐怖を感じたような表情。メリーを乗せながらの、見事な剣さばき。そして、ナズグルの首領に止めを刺すシーン。原作どおり、長い金髪が肩の上に広がるシーン、感動しました。よかった〜〜。メリーもよかった。原作ファンは、みんな胸をなでおろしたのでは無いでしょうか。心配しすぎ? だって、ここは絶対見たかったシーンだものね。

雪の鬣の悲劇
確かに、セオデンは人馬転で雪の鬣の下敷きになって死んだんです。それは正しいんです。でも、かの白馬はその後王様の上からちゃんといなくなっているんです。なんか、文字通り馬の下敷きになって死んじゃった描写がベタすぎて、出来損ないの漫画みたいじゃなかったですか。おまけに、その前の馬鍬砦から、セオデンはエオウィンにばかり話しかけて、エオメルさんは本当に忘れられた存在になっていました。あれでは、ローハンを継ぐのはまるでエオウィンじゃないですか。年齢的にも上に見えるしね(笑) その点は、原作読者は脳内補完、映画だけの人は、ローハンの未来は特に気にしないという判断でしょうか。

CGの馬たち
馬が出てくる映画だと、必要も無いのに、転ぶシーンが多いです。確かに整地した競馬場などと違って、自然の土地では躓くことも多いですが、たいてい、見えない紐を張っておいて転ばせたり、映画敦煌では乗り手がスタンガンのようなショックを馬に伝える装置で転ばせたりしたそうです。
それに比べて、この映画では、馬が転ぶシーンはほとんどなかったように思います。ナズグルの鳥さんに捉まれて放り投げられる馬や、ムマキルに蹴散らされるのは、みんなCGです。単独で見るととてもCGですが、群集で見るちゃんと溶け込んでいて違和感はなかったですよね。CGスタッフの見事なお手並みでした。

違うよ、レゴラス!
TTTの角笛上の城壁に続いて、ペレンノール野でも、アラゴルンが「レゴラース!」と叫ぶシーンがありました。あの敵を射て、という意味なんですが、今度の相手は(聖火ランナーではなくて)「ムマキル(じゅう)」でした。レゴラスは早速巨体に上っていって、矢を射て上にいる敵を落としたり、櫓を支えている紐を切ったりしています。(ゲーム仕様の?)大活躍でした。でも、アラゴルンは、下から一矢で目(ムマキルの弱点)を射抜いて倒せと言ったのではないかなあ、と思ったのですが???

サムの悲劇
この「王の帰還」だけの彼を見たら、そんなに悪くは無いんだけどね、FotRとTTTがあるから、どうしてもショーン・アスティンのサムはダメなのでした。だから、フロドに嫌われてもかわいそうじゃないし、がんばっていても同情できないのです。もったいないなあ、と思いながら見ていました。シェロブと闘うシーンも長すぎだし。あれは、PJが楽しんでいそうだから仕方が無いけど(笑) あれで、もし塔で歌ってくれて、それがよかったら見直したかも知れないけどね(笑)いじわる?
でも、小さい二人のオークは、なんか、よかったですね〜。あの映像があったのも、原作読者としては嬉しいわ。だって、あれのおかげで危機を乗り切るシーンはなかったのに、ちゃんと衣装だけはつけていたのよ。未読の人には、何のために?って思われるだろうに。
フライパンを捨てるシーンは、SEE待ちですね。でもあの、フロドを背負って歩くシーンと名台詞は、しっかり入れてありましたね、よかった〜〜。あれは眼目ですよね。

幽霊軍団
噂に聞いていた幽霊軍団の活躍、というか、なあんだ、他の援軍はいらなかったじゃないかと言うくらいの映像でしたが、まあ、いいんじゃ無いでしょうか。(この頃心が広くなっています)楽しみにしていた、死者の道からのルートは、まったく隠されたままでしたが。エレヒの石も無いし、幽霊も船に乗って来ちゃったしね。双子もハルバラドもいないことだし。時間も無いし(笑)

作戦会議の意義
これは、わかりやすくてよかったですね。とにかく、フロドからあの『目』をそらすのが目的だ、と言うのが良くわかりました。ギムリの台詞も良かったわ。あのあと、黒門の前のレゴギムの会話も良かったですね。しかし、黒門には、ローハンの旗しか持っていかなかった? 

The Eye
あの、広告塔のようなサウロンの『目』ですが、このRotKになって、見事に効果がでていましたね。映画ならではのわかりやすさ。さすがPJ、上手いです。フロドがどこにいるか、アラゴルンたちは、なぜ負けるとわかっている戦を仕掛けに行ったか、その陽動作戦の意義を、あの目の動きが考えなくてもわかるように、表現していました。実は、密かに感動していた私です。

滅びの山
火山が噴火した後の、ほんの少し残った岩の上の、フロドは良かったですね。サムも抑えた演技でよかった。本当に、イライジャはフロドでした。良かった。
グワさんたちが飛んできたのも、感動的でしたね。

ベッド
私は、お陽様のあたる草の上で目覚めて欲しかったのですが、まあ、ベッドでもいいか。メリピピの喜び方も本当に嬉しそうだったわ。

戴冠式
ギムリがなぜ、と思ったら、フロドとホビッツは別の場所にいました。あの演出では、フロドが冠を運ぶ役は無理ね。
レゴラスは、目が覚めるような美しさでした。ほんの一瞬だったのが残念。もっとみたかったな。
アルウェンも綺麗でしたね。旗を持って来ていました。白い旗ですが、双子もハルバラドもいないし、まさかお父様に運ばせるわけにも行かないので、自分で持ってきたのね。
エルロンドさんの、あの表情は、花嫁の父でしたね〜
それにしても、あのぶっちゅ〜と言うキスは、西欧では普通なのでしょうか? 王様の威厳も戴冠式の場にもあまりにもそぐわないというか、そう思うのは、日本人だけ?

ホビット庄
やっぱり無事でした。時間も無いし。ある意味ほっとした人も多かったのでは無いでしょうか。リー様にいて欲しいと思った人はいないのかな(笑)
サムの結婚式のシーンのフロド、ずっと暗かったのが、あそこだけ嬉しそうで良かったですね。
ビルボと同じ椅子に座って書いているシーンも嬉しかったなあ。
そして、それぞれホビットたちが小馬に乗って出かけるシーンも見られて、なんだか、終わりよければ全てよしでした。(まだ終わってないって)

灰色港
キアダンの船が、あんなに小さいとは驚きでした。ガラドリエルは夫婦で船出は聞いていたけど、エルロンドさんがいなかったような。人数も少なかったし、もう少しにぎにぎしく船出しても良かったと思いました。それに、飛蔭もいなかったよ。でも、船が去っていく映像が綺麗でしたね。
この場面、なぜ船に乗るのか、どこに行くのか、乗るメンバーはどういう人達なのか、の説明は、あまりありませんでしたね。「指輪所持者(The Ring-bearers)」という言葉も使われていなかったような気がします。ちょっと、疑問と言うか物足りなさはありました。
ともあれ、このシーンこそ、フロドの真骨頂でした。美しかったです。素晴らしい。原作のイメージどおりの、どこかエルフ的なところのある、サムより年上の、もしくは達観した、フロド様になっていました。このキャスティングは、本当に秀逸でしたね。



思いついたところだけでも、こんなに長くなってしまいました。本当に、良い映画でした。PJのおかげで、原作を読むきっかけができて、さらにPJやいろんな人達の想いがぎっしり詰まったこの映画も、映画館で見ることが出来て、とってもハッピーでした。まだ、SEEがあるけれど、十分満足できた三部作でした。ありがとうPJ。やっぱりアカデミー賞とって欲しいね、それが目的で映画を作ったのでは無いとしても、賞賛の形として。



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