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PJ版映画「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」の中の馬



私の「指輪物語」の好きなところは、会話の部分なのです。だから、映画で長々しい会話を再現するのは、無理なので、自ずと私の理想とは、違う物になって来てしまうんですね。
そんなわけで、ローハン大好きの私としては、一回目に見たときは、字幕の文字数の制限もあって、かなりがっかりしたものです。エオメルとアラゴルンの会話もあれだけ?ギムリとエオメルのしゃれた会話も何にもなし?でも、3時間いっぱいいっぱい使ってあの展開では、さすがに無理ですよね。そんなわけで、今回は前回に増して動く挿し絵状態でした(笑)

注:文中に「原作ではこうなっている」ということがたくさん書いてありますが。これは、事実を述べているだけで、映画をそうするべきだったという意味ではありません。まして、だから「映画が悪い」と言っているのではありません。誤解のないようにお願いいたします。

このページの内容は、ネタバレになりますので、映画未見の方はご注意ください。



飛蔭(とびかげ=Shadowfax)

あのガンダルフの口笛に答えて、走ってくるところは、綺麗でしたね〜〜。待ってましたっ、って感じでした。

闇の森のエルフ、レゴラスがメアラスの馬を知っているのは、なかなか驚きでありましたけれども。原作の「メアラス」の馬というのは、ローハンの王様しか乗せない血統で、先祖は人の言葉を理解する、ヴァラールの馬だったとも言われています。とても、大きくて、ローハンの人間なら一目でメアラスの馬だと解るほど、他の馬とは違っていたようです。ガンダルフは、ふつうの馬には、鞍と手綱をつけて乗りますが、飛蔭にだけは、なにもつけずに「エルフ式の乗り方」で乗っています。
ただ、映画ではそんな説明をしているひまはないので、レゴラスの台詞になったのでしょう。一言でよくわかって、お見事、と思いました。

役者馬は、かわいい芦毛のアンダルシアンの牡馬、Domeroくんというそうです。メアラスにしては、小さいんだけど、とっても綺麗なお馬ですね。サー・イアン・マッケランがHPでとてもほめていました。賢いお馬さんです。長い前髪もたてがみも、風になびいて美しかったですね。ガンダルフも手綱なしで見事に乗っていました。
鞍と鐙は見えないようにつけていたようです。そうよね、落馬したら大変だもの。

疾走シーンは、ダブルのBlancoくんというセン馬だそうです。もちろん乗り手も吹き替えの人です。手綱なしで人を乗せて走るのって、多分馬にとっても走りにくいと思うんだけど、見事に走っていましたね。さすが。

ガンダルフがエドラスに向かう時など、馬の首に細いワイヤーをつけています。あれって、日記に書いたけど、フォックスフィールドのドリル・チームの使っている物にそっくりなんです。SEEで紹介してくれるかなあ。

エオメルとその仲間の馬たち

エオメルは映画では「追放」になってしまっています。ふつう一人でとぼとぼ去っていきそうですが、第三軍団ごと出ていってしまったようです(笑)

例のアラゴルン、レゴラス、ギムリの三人を取り巻く様子は見事でしたね。私は、本を読んだときはみんなが一方方向に進んで「輪乗りを詰め」の形で、円を小さくしていくイメージだったのですが。2方向から2重に取り巻いて、あっと言う間に綺麗な円になっていました。どのくらい練習したんだろう。みんな甲冑に身を固めて、長い槍をもって、迫力がありましたね。メイキングの映像で、PJも真ん中に立って、もっと詰め寄って、というような指示を出しているのがありました。
カール=エオメルは、字幕で見たときはすごく怒っているようにみえたんだけど、吹き替えだと、割と冷静に見えました。いかにも、ローハンの騎士っぽくって、かっこよかったですね。名前は出てこなかったけど、乗馬も芦毛でした。火の足なのかな。

エオメルについては、はじめの方で、瀕死のセオドレドを前に乗せて戻って来たシーンはかっこよかったですよね、どきどきしてしまいました。

エオメルの芦毛馬って、割と黒っぽいので、原作のハスフェルの毛色は、あんな感じかなって思いながら、見ていました。

ハスフェルとアロド

会話が短くなっているので、馬はエオメルが自主的にさっさと貸してあげていましたね。英語の台詞では「前の主人より、いい未来があるように」(原作に近い)というようになっているんだけど、日本語吹き替えだと、「オークとの戦いで死んだ騎士の馬だ、かわいがってやってくれ」というような台詞になっていました。そんな事もあって、吹き替え版のエオメルさんのほうが、字幕よりずっといい感じでした。
いやとにかく、カール=エオメル、楽しみにしていたので、出番が少ないのはかなり残念に思っている私なのです。

栗毛のハスフェルと鹿毛のブレゴ

ハスフェルは、栗毛でした。これは、原作がどうのと言う前に、ブレゴとの対比のためにも、芦毛(白)にしておいた方が良かったのでは、とよけいな心配をしてしまいましたよ。と言うのは、その後にでてくる「ブレゴ」というアラゴルンの愛馬になる馬が、鹿毛なんです。でも、多分お馬に興味のない人は、栗毛も鹿毛も単独でいたら区別が付かない、というか、気にしないのではと思うのです。そうすると、ブレゴが登場したときの、「違う馬だ」とか、SEEで出てきたときに「あの馬だ」という感動が薄くなってしまうのでは、と思ってしまいました。なにしろ、公式ページのアラゴルンの壁紙「Brego」とタイトルが付いているけど、その絵はハスフェルに乗るアラゴルンと、もう一枚ハスフェルの写真、アップのだけブレゴなんですもの(笑)

このページをお読みになる方は、ご存じだと思いますが、一応書いておきますね。
「栗毛(くりげ)」というのは馬の体全体と前髪、たてがみ、尻尾まで、みんな栗色の毛色を言います。ただし、顔や足に白い部分があることもあります。
「鹿毛(かげ)」というのは、体はもう少し濃い茶色で、前髪、たてがみ、尻尾は黒いのです。やっぱり、顔や足に白い部分があることもあります。ブレゴは額に星(白い部分)がありましたね。
ちなみに「芦毛(あしげ)」は、日本での一般的なイメージでは、白い馬です。ただし、これは本当に個体差が幅広くて、映画で言うと、第一部のレゴラス、アルウェン、第二部のレゴラス、ガンダルフ、エオメル、セオデン、の馬はみんな芦毛です。エオメルの馬は、割と灰色みの多い芦毛でしたよね。

ブレゴ

えっと、ネット上の情報によると、この馬は、映画のはじめの方で亡くなった、セオデンの息子セオドレドの馬だったようです。彼の死後、他の人の言うことを聞かなくなってしまって、アラゴルンが放してやれ、みたいな事を言って、放たれていたようです。でも、頭絡はつけたままでしたが。(本にも書いてありました)

崖から落ちたアラゴルンが、川岸に打ち上げられているのを見つけて、キスして起こし(笑)膝を折って彼を抱え上げ、エドラスまで乗せて行きます。
石がごろごろした河原で膝を折ったら、痛いだろうなあ、なんて思ったのは、私だけでしょうか? キスしたのは、ブレゴくんのアドリブだったようですが。

しかし、根本的にどういう理由で、アラゴルンの崖落ちシーンがあるのかが、よくわかりません。ヘルムでギムリがどこにいるか見あたらなくなった、というシーンのアレンジでしょうか?さらに、ブレゴについても、全く説明がないので、なんでこの馬が膝を折ってまで、アラゴルンを助けたのか、謎のままです。だいたい、ラクダじゃないんだから、馬が膝を折って人を乗せるなんて、驚異的な行動なのです。そんなことは馬を知らない人だって想像がつくと思うんだけど、観客の疑問はすっかり無視されています(笑)SEE DVDには入るのでしょうかね(ボロミアの死をファラミアが知った映像などとともに)
他の人の手に負えなくなった、というのは、飛蔭のかわりですね(笑)
とにかく、この馬がいるということは、ロヘリン(原作でアルウェンから贈られた馬、ドゥネダインがローハンへ連れてくる)は出てこないのね。ハルバラドとか、エルラダン、エルロヒアも来ないのかしら? 

ヴィゴファンの方には、ブレゴかハスフェルかは、気になるところですね。(別に気にならない?)ブレゴくんは鹿毛(かげ)(または黒鹿毛(くろかげ)かもしれない。色調整の加減でどちらにも見えるので)という毛色です。濃いめの茶色の体に、前髪、たてがみ、尻尾が黒です。顔に星(毛の白い部分)があります。それと鼻先にも少し白い部分があります。両後ろ足に、短いソックス(白い部分)をはいています。

余談ですが、西洋の名前の付け方って、日本的に考えると不思議ですよね。この「ブレゴ」というのは、ローハンの2代目の偉大な王様の名前なんです。それを、現代の王子が自分の馬の名前にしているわけです。たとえば、徳川慶喜が自分の馬に「家康」とつけるみたいなイメージじゃないですか。従者に「おい、家康に水をやっておけよ」とか言っちゃうのよね。不思議。「指輪物語」の原作でも、フロドの小馬は「馳夫」なのだった。

エオサインの馬ガルルフ?〜馬を持たないローハンの民

サルマンが人間たちをそそのかして、ローハンの村をおそわせます。これは、ローハンの民がひどい目にあっているというのが、映像的によくわかって、いい演出だったと思います。
それはいいんですが、この映画では、ローハンの人々は馬を持っていない、少なくともほとんど馬がいないんですよ。ちょっと不思議。前宣伝では、馬をたくさん使ったというから、楽しみにしていたんだけど、たくさん使ったシーンもある、程度だったようですね。とにかく、ローハンの国民は馬をあまり使っていないんです。
ある村がおそわれたとき、母親が小さい息子エオサインと娘フレダを馬(小馬ではなく)に乗せて、あなた達だけなら早く走れるかから、エドラスに知らせなさい、と言って逃がすシーンがあります。無邪気な女の子は「お兄ちゃんはまだ、大きい馬に乗ってはいけないって、お父さんが言ってたわ」というような事をいいます。つまり、子供は小馬に乗っていたはずなんですが、小馬もこの村にはいなくて、一頭だけ重種っぽいのがいただけでした。
それはそれでいいんですが、私はモンゴルの遊牧民みたいに、一家族または一つの村で何十頭の馬を持っているものだと思っていたので、意外な映像だったのです。

吹き替え版でエオサイン少年の妹、フレダが自分たちが乗っている馬をガルルフと言っていました。英語の脚本にはないようです。元の設定にあるのか、それとも原作読みの吹き替え版翻訳の人が、PJ達がこれだけいろいろ名前を別のキャラクターに使っているのだから、自分もどこかに誰かの名前を使ってみようと思ったのか(笑)その点は今のところ不明です。
ちなみに、ガルルフというのは、オーク襲撃で死んだ、ハスフェルの元の主人の名前です。エオサインは、生き残って、アラゴルン達を取り囲んだ第三軍団の中にいました。エオメルとアラゴルン達との会話に口出しして「つつしめ、エオサイン」とエオメルにたしなめられてしまう、損な役回りの騎士ですね。

馬に乗らないローハンの姫

馬が少ないという件に関しては、エドラスからヘルム峡谷への、住民の大移動でもそうですね。ほとんど馬がいなくて、病人を乗せた荷車まで人が引いていました。
アラゴルンはハスフェルを引いて、エオウィンも馬を「引いて」それにギムリを乗せていました。馬に乗っていたのは、セオデン王とほんの少しの騎士だけでしたね。「馬の司」の国としては、なんだか不思議な風景でした。

ヘルムの逆落とし

ヘルム峡谷の戦いの最後に、ガンダルフが駆けつけ、エオメルの騎馬軍団を連れてきます。その、坂を駆け下りるシーンが、本当に急なので、まるで源義経の鵯越みたいだと思ってしまいました。また、バクシ版へのオマージュかな、とも(笑)


雪の鬣(たてがみ)の謎

原作読みなら、馬好きでなくても印象に残っているだろう、セオデン王の愛馬、雪の鬣。「王の帰還」の劇的なシーンは映像化されるのでしょうか?

実は私、「二つの塔」の「(旅の仲間)」上映中に雑誌に載った写真で、セオデンが茶色の馬に乗っていたので、雪の鬣は出ない物だと思っていたのです。角笛城に到着したシーンですね。だから、その後の予告や、先出し映像等で、白い馬に乗っているので、いったいどうなっているんだろうと、楽しみにもしていました。
実際、エドラスを出てから、ワーグの襲撃までは、白い子に乗っています。そのシーンを目を凝らして見ていたのですが、特にいきさつ的な映像はなく、次のシーンのセオデンの乗馬は栗毛なんですよね。その後の、夜明けに馬に乗って打って出るところも、栗毛のようでした。その辺の謎も、SEE送りなのでしょうか。それとも、なんの説明もなかったりして。

セオデン王が違う馬に乗るのは、別にかまわないと思うんです。ローハンですし、騎馬軍団は馬で移動するときは、必ず「乗り換え」といって、誰も乗せていない予備の馬を騎士一人に3頭ぐらいは連れているはずなんです。まして、王様ならもっといたでしょう。だから、ワーグとの戦いで疲れちゃった雪の鬣に代えて、ヘルム峡谷の城までは、「乗り換え」に乗っていたとして、大門から打って出るところでは、雪の鬣に乗ってほしかったと思うのは、ファンの本音ですよね。

ただ、アイゼンガルドへ向かうところでは、また雪の鬣に乗っているような気がします。プログラムにあった、見開きの写真、映画の中にはなかったですよね。あれがきっとそうではないかと。でも、ガンダルフがいないのがちょっと謎なんですが。ご存じの方がいらしたら、おしえてください。



■このページに書いたことは、私が映画を見て思ったことと、ガンダルフ役のサー・イアンの「The Grey Book」や映画の公式ページなどで見た内容によります。違っていたら、ごめんなさい。

PJ版映画 「ロード・オブ・ザ・リング」 感想ページ

『PJ版映画「ロード・オブ・ザ・リング 三部作」感想』
「PJ映画に出てくる役者馬たち」
『PJ版映画「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」感想』
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PJ版映画「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」の感想
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