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虹の谷つうしん

2012年1月〜12月



 12月15日
 ジュリー 不思議な力を持つ少女  作:コーラ・テイラー

 他人には見えないものが見える少女ジュリーの成長の物語。
 自分が他人とは違うということに幼いころに気付き、家族にもそれ
 を隠さなくてはならなかったジュリーの心に焦点を当てたストーリ
 ーが、この物語を際立たせていると思います。
 佐竹美歩さんの絵も素敵です。



 12月10日
 椋鳩十全集25 山の民とイノシシ  著:椋 鳩十

 著者自らが足を運んで聞いてきたイノシシ猟師の話をもとに、イノ
 シシ猟と山の人々の暮らしを解説している。
 文章がやさしく、方言での会話がたくさん出てきて、著者の温かい
 人柄を感じます。同時に、古くから山の人々に伝わって来た生活の
 記録としても興味深く、読んでよかったなあ、と思いました。



 12月5日
 ゆんでめて  作:畠中 恵

 「しゃばけ」シリーズ九作目。
 仕掛けのある5つの作品は、一つひとつがやっぱり楽しい。
 最後のお話で解ける仕掛けは、二つ目のお話で予想がついてしまい
 ましたが、「では、これからはどうなるのだろう?」とまた楽しみが
 できました。



 12月3日
 ボノボ 地球上で、一番ヒトに近いサル 著:江口 絵理

 チンパンジーとそっくりなため、別の種だと気付かれたのが20世
 紀になってからだったという類人猿についての本。
 遺伝子がヒトと約98%同じで、チンパンジーよりも二足歩行が得
 意というボノボの立ち姿の写真は、本当に人間のようです。



 11月20日
 かはたれ  作:朽木 祥

 ひとりぼっちになってしまった河童の子ども 八寸と、母親を亡く
 した少女 麻の物語。
 元気にしているつもりなのに、いつも近くにある淋しさや悲しさ。
 八寸と麻は一緒にいることでお互いに癒されて行くけれど、それは
 完璧ではなく、本当にそばにいてほしいのは家族なのだという口に
 出されない願いがせつない物語でした。



 11月17日
 父さんの手紙はぜんぶ覚えた  著:タミ・シェム=トヴ

 第二次世界大戦中の実話をもとに書かれた作品。
 オランダに住むユダヤ人の少女リーネケに、離れて暮らしていた父
 親が送った絵入りの手紙と、出自を隠しての生活。
 美しい絵と楽しい文章の手紙は、その明るさと裏腹に、戦争の辛さ
 を訴えてくるような気がします。
 本当なら無邪気に楽しく暮らせる年齢のリーネケが、常にいろいろ
 な不安を抱えて過ごしていたと思うと、戦争も、差別も、本当に消
 えて欲しいと思います。



 11月13日
 ジェイとレイ・ふたりはひとり?  作:アンドリュー・クレメンツ

 手違いで、転校先の学校に一人の少年として登録されていた双子が
 双子じゃない学校生活を味わう。
 本人の苦労なんて、他人には完全には分からないものだと、あらた
 めて思いました。
 男の子らしいストーリーで、とても面白かった。



 11月11日
 ミス・カナのゴーストログ 2 呼び声は海の底から
               作:斉藤 洋

 シリーズ第2巻。
 カナと俊介の中学生らしい性格が第1巻よりもはっきりと出てきて、
 今後、二人がどう成長して行くのかが楽しみです。
 もちろん、今の二人はそれぞれに魅力的ではありますが。



 11月10日
 ABC殺人事件  作:アガサ・クリスティー

 何度も読んで、誰が犯人かも知っているけれど、クリスティーの作
 品の人間ドラマが好きです。
 したたかさ、純粋さ、思いやり、など、それぞれの人間性を読み解
 きながら真実に近づいていくポアロの推理と、彼が周囲の人に向け
 る優しさやユーモアは、何度読んでも飽きません。



 11月9日
 シャイニング・オン  作:ジャクリーン・ウィルソン他

 英米のおもにティーンズ向けの小説で知られる女性作家10人によ
 る短編集。
 タイトルのとおり、10代の煌めきのような物語ばかり。
 目の見えない少女が学校の庭をめぐる「指先は歌う」(マロリー・
 ブラックマン著)が、わたしは気に入りました。



 11月8日
 茶色の服の男  作:アガサ・クリスティー

 久しぶりに読み始めたら、止まらなくなりました。
 謎解きももちろん面白いのですが、登場人物の間でくりひろげられ
 るドラマに引き付けられます。
 茶目っけのあるキャラクターも楽しくて、物語の世界を満喫しまし
 た。



 11月3日
 ミス・カナのゴーストログ 1 すずかけ屋敷のふたご
               作:斉藤 洋

 幽霊が見えて話もできる中学生の夏菜と、同級生の俊介が事件を解
 決するシリーズの第1巻。
 二人の元気な活躍が楽しく、また、事件へのかかわりが興味本位で
 はないところが好きです。
 2巻以降も続けて読みたくなりました。



 11月2日
 ねこだまし  作:斉藤 洋 絵:高畠 那生

 猫が人間にすりかわる、という紹介文で、怪談めいたおはなしを想
 像していたのですが、楽しい絵本でした。
 人間になっても、なんとなく猫背のままなところに妙に納得してし
 まいました。



 11月1日
 アルフレートの時計台  作:斉藤 洋

 高学年から味わえますが、大人の方が心にじーんとくるのではないか
 と思います。
 『ドローセルマイヤーの人形劇場』の姉妹編ともいうべき?
 静かで、不思議で、優しい物語。
 読み終わったあと、何度も頭の中で物語をたどりなおしました。



 10月28日
 ひとりでいらっしゃい
 まよわずいらっしゃい
 うらからいらっしゃい  作:斉藤 洋

 「七つの怪談」シリーズ。
 創作と学校などで流行っている怪談の両方が楽しめるところが嬉し
 い。
 ただの怪談集ではなく「怪談を語り合う集まり」という設定なので、
 話の合間に交わされる会話も楽しめる。
 知られている怪談も、地方や世代によって知っているバージョンが
 違ったりすることも話題に取り入れられていたりして面白かった。



 10月25日
 白狐魔記 洛中の火  作:斉藤 洋

 白駒山に住む不思議な力を身に付けた狐 白狐魔丸の目を通して描
 かれる日本の歴史を元にした物語。これは室町幕府のころ。
 戦乱の世で、誰かを守るために戦う人間と失われて行く命が、悲し
 く、無情に感じられてきます。けれど、白狐魔丸が、知り合った人
 間を通して人間の心を理解しようとする素朴さと優しさが、物語を
 あたたかくしていると思います。
 自分の歴史の知識が浅く、登場人物の中で誰がどちらの立場なのか
 分からなくなってしまい、勉強不足が悔やまれました。



 10月20日
 ジーク
 ジーク 2  作:斉藤 洋

 久しぶりに読みました。
 初めて読んだときから好きな作品だったのですが、今回あらためて、
 「この本のこういうところが好きなのだ」と再確認しました。



 10月19日
 正しいパンツのたたみ方  著:南野 忠晴

 珍しい男性の家庭科教諭である著者が、家庭科の授業の意味を、わ
 かりやすく解説してくれます。
 実際の授業で交わされる生徒とのやりとりや、授業以外で気付いた
 ことなどがたくさん紹介されていて、大人のわたしでも日々の生活
 についての見方が変わるような一冊でした。



 10月16日
 たったひとりの伝説  作:斉藤 洋

 本の紹介文で思い描いていたイメージとはまったく違う雰囲気の物
 語でした。
 この作者さんならではの、不思議な空間と生き物たち。
 主人公の圭が、その不思議な空間から帰ることになった理由が、わ
 たしはとてもいいなと思いました。
 これからこの子はどんな人生を生きるのだろうと、ぼんやりと考え
 てみたりしました。



 10月15日
 月の影 影の海 上・下
 風の万里 黎明の空 上・下  作:小野 不由美

 十二国記シリーズの広告が新聞に出ていて、久しぶりに読みたくな
 ったので、4冊を一気読み。
 日本で16歳まで育った少女 陽子の物語が、このシリーズでは一
 番好きです。
 ああ、面白かった!



 10月11日
 ハンサム・ガール  作:佐藤 多佳子

 久しぶりに読み直してみました。
 元プロ野球選手で今は家事専業の父親と、仕事で単身赴任中の母
 親、女の子全開の姉に、父親仕込みの野球が得意な主人公 二葉と
 いう家族の個性が楽しい。
 最近は女子もいろいろなスポーツで注目されているけれど、今でも
 男の子のチームに女の子が入るのって、敬遠されるのかな・・・?



 10月10日
 あやかしファンタジア  作:斉藤 洋

 ある町を舞台にした不思議でちょっと怖いおはなしの短編集。
 怖いのは、ほんのちょっぴり。
 町の中に溶け込んでいる、この世ともう一つの世界との境目を行っ
 たり来たりしているような気持ちになる本です。
 こういうおはなしは大好きです。



 10月9日
 ゴールライン  作:秋木 真

 姉の思い付きに振り回されて陸上クラブに入ることになった和希と、
 彼を囲むクラスメイトや陸上クラブのメンバーたちの物語。
 何をやってもそこそこ上手にこなせていた和希が、初めて簡単には
 追い付けないライバルたちに出会い、落ち込んだり、思い直したり
 していくところがよかった。



 10月8日
 チャンプ  作:マーシャ・ソーントン・ジョーンズ

 事故で前脚を一本失ったドッグショーの元チャンピオン犬 チャンプ
 と、チャンプを引き取った少年 ライリーの物語。
 父親の期待に応えられず、また失望させることがわかっていても、
 「やりたくない。」と言えないライリーの気持ちが痛いような気が
 します。
 それでも最後にはハッピーエンドを迎え、清々しい気分で読み終え
 られてほっとしました。



 10月7日
 ユウキ  作:伊藤 遊

 転校生のユウキにまつわる主人公ケイタの複雑な思いに、自然と引
 き込まれて行くストーリーでした。
 たしかに「ユウ」と付く名前は多くて、娘が小学校のとき、クラスの
 男の子に7、8人いた記憶があります。



 10月5日
 なんにもないけどやってみた  著:栗山 さやか

 109の元ショップ店員だった著者がアフリカでのボランティアに
 飛び込んだという紹介文とタイトルに惹かれて読んでみました。
 ご自身のブログをもとにしたという本文は、エチオピアの医療施設
 でお手伝いをしていたころのできごとと想いが素直につづられてい
 ます。その前向きな強さと、人々を思う優しさに心を打たれ、また、
 本当に役に立てているのかと悩んだり、もどかしい気持ちがひしひ
 しと伝わってきました。
 読み終わってから、現在も続けられているモザンビークでのボラン
 ティアのブログも読みに行きました。



 9月25日
 盲導犬チャンピィ  作:桑原 崇寿

 副題「日本初の盲導犬を育てた塩屋賢一ものがたり」。
 犬の訓練士の経験を生かして、日本で初めての盲導犬を誕生させた
 塩屋さんの、成功とたくさんのご苦労の物語。
 犬への愛情と目の見えない人々への思いが語られる一方、ご家族の
 協力もたいへんなものだったと思います。
 ひとつのことを成し遂げるのは、簡単なことではないと思いました。



 9月24日
 宇宙授業  著:中川 人司

 元JAXAの職員で現高校教諭の著者が、一問一答形式で解説する宇
 宙についての本。
 「見えているものは、すでに古い」や「空が青いわけ」など、非常にわ
 かりやすく説明されていて、こんな先生とお話しできたら楽しいだろう
 と思わずにはいられない本でした。
 ただ、宇宙船の中が無重力状態であることの解説だけは、簡略すぎ
 てよく分かりませんでした。



 9月20日
 春のオルガン  作:湯本 香樹実

 小学校を卒業したトモミの春休みの物語。
 何もかもうまく行かない不安、諦め、怒り・・・などを抱えて、どう
 にもできなくて過ぎて行ってしまう日々に、苦しさを感じてしまいま
 す。もっと小さいときには気付かないで済んでいたことや、もっと大
 人になれば心の中で整理することができること。それらの一つひとつ
 に傷付いてしまう、子どもと大人の狭間の期間。
 そんな時期でも、心の中に希望と喜びを持って生活してほしいと願わ
 ずにはいられない作品でした。



 9月17日
 スウィング!  作:横沢 彰

 山間の村に住む中学生 直が、父の遺した山の田んぼを守る決意を
 し、その中で野球部の仲間や村の人々と絆を深めていく物語。
 父親が生前に大事にしていた耕運機の音を聞きながら、亡くなった
 父親と相談するところや、田んぼをやるために部活に出られないと
 告げた直の心中を顧問の先生がすうっと理解するところなど、作者
 さんが田んぼのことをよくご存知なのだと感じました。
 学校の仲間だけでなく、仕事を通して村の大人たちともつながって
 いくストーリーは爽やかで、心に素直に入って来ました。また、人
 々の助け合いを表す「結(ゆい)」という言葉が美しいなあと思いまし
 た。



 9月14日
 図書館ねこデューイ  著:ヴィッキー・マイロン

 アメリカのスペンサーという町の図書館で飼われていた猫の物語。
 寒い冬の朝、返却ポストに入っていた子猫が、「図書館のねこ」とし
 て町の人々のために働いた一生を、当時の館長だった著者が描いて
 います。
 デューイと図書館のお客様たちとのやりとりに、心が温まります。



 9月9日
 風にのってきたメアリー・ポピンズ  作:P・L・トラヴァース

 映画でしか知らなかったので、原作を読んでみました。
 メアリーが、予想よりも無愛想だったところが面白い。映画では可愛
 らしい印象もあったので。
 巻末に作者の講演からの小文があり、その中の「わたくしは子どもの
 ために書いているのではない」という言葉で、このメアリーのことを
 急に理解できたように思います。児童文学の意味(というか、存在?)
 にも触れるこの小文は、わたしにとっての一つの指針となるような内
 容でした。



 9月7日
 天小森教授、宿題ひきうけます  作:野村 一秋

 このサイトの次の更新のために読んでみた本。
 ナンセンスで楽しい。



 9月1日
 みえない雲  作:グードルン・パウゼヴァング

 原子力発電所が爆発したという設定で描かれる14歳の少女の物語。
 冒頭で事故が発生し、十分な情報がないまま避難を始めます。
 親が旅行中という困難な状況の中、弟を連れて、ひたすら自転車で
 ・・・。人々のパニックも恐ろしいです。
 日本での発行は2006年ですが、「訳者あとがき」で、震災と原発の
 事故のことに触れていて、まるで、去年のことを予言しているよう
 に感じました。



 9月1日
 のっぽのサラ
 草原のサラ  作:パトリシア・マクラクラン

 続きの物語なのですが、違う出版社から出ていました。
 広い草原の開拓地に、妻を募集する新聞広告に応じてやって来た
 サラと、父子の物語。
 「のっぽで、不器量」と自分で知らせてきたサラも、妻と母親を求
 めているアンナたち家族も、不安を心に秘めながらも、無邪気で明
 るくて、読みながら、幸せを願わずにはいられませんでした。



 8月25日
 とざされた時間のかなた  作:ロイス・ダンカン

 10代向けのサスペンス小説・・・かな? ホラーが少し。
 父の再婚により新しくできた家族は、親しげではあるけれど、どこ
 か変で・・・。
 何が変なのかは、わりとすぐに察しがついてしまいましたが、それ
 でも危険にさらされた主人公が無事に切り抜けられるのか、という
 緊迫感は、最後まで楽しめました。



 8月22日
 わたしの犬、ラッキー  作:ダイアン・メイコック

 とても心に残る本でした。
 引越しのために犬を飼えなくなった主人公の少女が、新しい飼い主
 を探す物語。けれど、その犬は後ろ脚が一本なくて、クラスの男の
 子から、いつも馬鹿にされています。
 外側から見えるものと、近付いて、言葉を交わさないと気付かない
 こと。それを、飼い主探しと、思わぬ事故を通して教えてくれます。



 8月21日
 死の影の谷間  作:ロバート・C・オブライエン

 核戦争で地上が死の世界になった中、偶然、汚染を免れた谷の村に
 たった一人で取り残された少女アンの物語。
 彼女の日記という形で進む物語は、アンの不安や期待、恐怖、決意
 などを次々と描き出します。そして、外の世界から到着した男の態
 度や会話からは、怯えているくせに傲慢な、身勝手な人間の姿を。
 万が一、自分がアンのように一人で取り残されるような事態になっ
 たら、いったいどんな行動をとるのだろうか・・・と考えさせられ
 る物語でした。



 8月15日
 風の靴  作:朽木 祥

 中学1年生の少年2人が、小さなヨットで家出を敢行する物語。
 家出と言っても無謀な冒険ではなく、自分たちのできる範囲をよく
 考えて計画を練っているところや、操船の場面や地名が具体的なと
 ころ、できごとを淡々と追っているところなどが、物語をリアルに
 感じさせてくれます。
 中学受験の失敗と大好きな祖父の死で傷ついた海生(かいせい)の
 心が、祖父との思い出、親友との交流で癒されていく過程も良いで
 すが、最後に、家族が自分のことを大切に思っていてくれることを
 知るというところが、わたしは特に好きです。



 8月5日
 スウェーデンの森の昔話  編・絵:アンナ・クララ・ティードホルム

 森とともに生活してきたスウェーデンの人々に伝わる昔話12編。
 不思議だったり、素朴だったり、昔話らしい魅力のある物語の中に
 ヨーロッパの他の地域の昔話と似たパターンのおはなしもあり、
 広い地域で人々の交流があったことが想像されます。
 神話や昔話は、ほかの地域のものと共通点が見つかったりすると、
 楽しさが増すような気がします。



 8月2日
 ラン  作:森 絵都

 あの世まで40km。導かれた者だけが、その道を行き来できる。
 その道を時間内に走りきるために、マラソンの練習をする。
 そんな、他人には言えない理由でマラソンを始めた主人公が、初心
 者ばかりのチームに強引に誘われて、その中で、他人との関係や自
 分の生き方が自然と変わっていく物語。
 過去の中に滞っていた心がだんだんと未来へ向くようになり、それ
 に応じて、あの世に向かう心が整理されて行く。
 悲しくも希望のあるラストと、人と人との絆に、心があたたかくな
 りました。



 7月25日
 武士道エイティーン  作:誉田 哲也

 磯山さんの性格が丸くなっていて、成長したなあ、と思った。
 
                             by(の)



 7月24日
 温室デイズ  作:瀬尾 まいこ

 “クラスでいじめが起こったらどうする?”
 現在の学校では、どの子も一度は考えたことがあるのではないで
 しょうか。
 この物語では、小学校でいじめがあったクラスの生徒たちが、荒れ
 た中学でどのように行動したかを、少女2人の視点から語ります。
 一人はいじめに遭った子、もう一人はそのきっかけを作ってしまっ
 た子。中学では2人は仲の良い友達同士です。
 2人の学校での立場は過酷なものになりますが、お互いの決意を尊
 重し合い、友情を裏切らなかったところ、そしてもう一人、友達を助け
 けるために下準備をしていた級友がいたことが、いじめの物語を
 読むつらさを和らげてくれました。



 7月22日
 キャノン姉妹の一年  作:ドロシー・ギルマン

 ギルマンさんの作品は、一冊読むと、続けて読みたくなります。
 読み終わったあとの清々しさは、 “癒された” と表現できる
 と思います。
 人として何を大切に生活していくのか、とか、自分を縛っている
 価値観からの解放とか、読みながら、いつの間にか考えてしまう。



 7月19日
 不気味で素朴な囲われた世界  作:西尾 維新

 以前からどんな作品を書くのか気になっていた作家さんです。
 これは学園ミステリー・・・というのでしょうか。
 非常に個性的な登場人物。早口の会話のような展開。
 ミステリーにつきものの設定を謎解きの一部に取り込んで逆転する
 ところも、すごいなあ、と思いました。



 7月16日
 テイル館の謎  作:ドロシー・ギルマン

 久しぶりに読みました。
 おそろしい事故で心に傷を受けた青年が、シンプルな暮らしをする
 人々に出会って癒されて行く姿にほっとします。
 仕事一筋で、息子をダメな人間だと決めつけていた父親が、予想外
 のリストラに遭い、失った家族との絆を回復しようと試みるストー
 リーも好きです。



 7月14日
 プラネタリウム  作:梨屋 アリエ

 恋を知らない少女と恋心で空を壊してしまう少女、背中に翼があ
 ることを隠している少年、地面から浮きあがっている少年・・・。
 不思議な個性を持つ中学生たちの不思議な物語。
 気味が悪いような気がしつつ、一方で美しく感じるのは、主人公
 たちの懸命さのためなのかも知れません。



 7月2日
 武士道エイティーン  作:誉田 哲也

 二人の主人公が高校3年になった完結編。
 悩んで、我慢して、頑張って進んで行く姿が清々しい。
 それぞれが見付ける進路もまた、納得できる結末でよかった。



 6月20日
 真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ
                  作:大沼 紀子

 登場人物が個性的すぎ!
 でも、おもしろかった!
                             by(の)



 6月16日
 結界の森へ ミヤマ物語 第2部
                  作:あさの あつこ

 お互いの違いを知り、それを認めて信じあう心に感動します。
 何巻まで続くのかな・・・。



 6月13日
 ミヤマ物語  作:あさの あつこ

 隣り合う別の世界に住む透流とハギという少年が出会う物語。
 不思議で、悲しくて、あたたかい。
 二人が困難を乗り越えて成長していくこれからがが楽しみ。



 6月10日
 真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒
                  作:大沼 紀子

 個性的な人々がそれぞれに活躍する第二弾。
 困った性癖の持ち主でも、人間的な魅力が描かれていてほっと
 します。
 第三巻が待ち遠しい。



 6月9日
 奇厳城  作:モーリス・ルブラン

 サイトの更新用に読みました。中学生以来です。
 ルパン・シリーズの最高傑作とのことで、高校生の少年が探偵と
 してルパンと対決する設定や、最後に明らかになるルパンの決心
 に引き込まれるストーリーでした。
 ただ、初めて読む読者には、ルパン本人の魅力がわからないかも。
 第1作目を読み直します。



 6月7日
 武士道セブンティーン  作:誉田 哲也

 日本の武道には、心が惹かれる。
 スポーツは苦手だけど、いつかは何かやってみたい。
                             by(の)



 6月7日
 真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ
                  作:大沼 紀子

 うまく言葉にできなくて、表現できないから存在していること自
 体に気付かない、でも、確かにあるもの。
 相手のことを想うあまり、または自分を守るために、ウソをつい
 たり、違う行動に置き換えたりすること。
 人間である限り持ち続ける “心” は、ときには残酷でもある
 けれど、温かく優しい部分を誰もが持っていると信じたくなりま
 した。



 6月4日
 武士道セブンティーン  作:誉田 哲也

 娘のために借りて来て、読み始めたら一気に読んでしまいました。
 前作を読んでいないので、登場人物にわからない点がありながら、
 それでも面白かった。
 剣道への情熱と友情の物語で、勉強や恋愛の話がまったくないと
 ころが、まっすぐで気持ちいい!



 5月31日
 教室 消えない虹  作:真田 コジマ

 5年2組の先生と生徒8人の、それぞれの物語。
 うまく言い表せない気持ちや、言いたいけれどいえないこと。
 そういう想いを抱えた主人公たちが、自分や友達、周囲の大人の
 行動や言葉でハードルを乗り越えて行く姿がやさしい視線で描か
 れていて、読んだあとにほっとする本でした。



 5月28日
 NかMか  作:アガサ・クリスティ

 何度読んでも楽しいトミーとタペンスのシリーズ。
 特にタペンスの機転と行動力が気に入っています。



 5月25日
 武士道シックスティーン  作:誉田 哲也

 後半は一気に読みました。
 お父さんの個性がすごかった
                             by(の)



 5月23日
 職人という生き方 江戸小紋
        編:ニッポンのワザドットコム編集部

 少し前に三菱一号館美術館で開催されていた「KATAGAMI
 Style展」で染型の繊細さに感動したので、それを使う現場
 を知りたくて、図書館で借りてみました。
 染型を作る職人さんから、それを使って布を染める職人さんへと、
 型を通して心が伝えられているような気がします。
 次は、染められた反物をたくさん見たいです。



 5月20日
 ラスト・イニング  作:あさの あつこ

 『バッテリー』の後日譚。
 横手二中の瑞垣の心を追いながら進む「白球の彼方」に、ほっと
 しました。『バッテリー』の主人公だった巧よりも、彼の望むも
 のがどこにあるのか、ふざけた、白けた態度で隠している焦燥感
 はどうなるのか、気になっていたので。
 見ているようで見えていないもの、見られていないつもりで見ら
 れているもの。人と人とのつながりは、浅いと思っても深かった
 り、切ろうと思っても切れなかったり、うっとうしいと思っても
 温かかったり、不思議で難しいものですね。



 5月16日
 空をつかむまで  作:関口 尚

 中学3年生の優太が、友人と挑むトライアスロンを通して成長
 していく物語。
 せつなさや、やりきれなさ、もどかしさの中で、優太が自分の心
 の弱さから抜け出したいと思い、少しずつ変わっていく。
 過去の傷、愛情、友情、どうにもならない大人の事情。それらか
 ら目を背けない勇気と覚悟が優太の仲間と周囲の目を変えてい
 く過程を読みながら、子どもから大人へと変わるというのはこう
 いうことなのだ、と思いました。



 5月12日
 ツバメ号とアマゾン号 下  作:アーサー・ランサム

 楽しくて、羨ましかった!
 こんなふうに冒険ができたら素晴らしいのに・・・と思わずにいら
 れませんでした。
 スーザンという名前は『ナルニア国物語』にも登場していたことを
 思い出し、なんとなく、しっかり者に付けられる名前なのかしら、
 なんて思ってしまいました。



 5月7日
 勇者の谷  作:ジョナサン・ストラウド

 勇者の伝説の真相が明らかになるシーンはぞっとしました。
 伝説や習わしに対してあきらめることなく、自分の未来を切り開
 こうとする少女 アウドの強さが一番心に残りました。



 5月3日
 ぼくだけの山の家  作:ジーン・クレイグヘッド・ジョージ

 翻訳の茅野美ど里さんのお名前と、見返しの「アメリカでよみつが
 てきた名作」という言葉に魅かれて手に取りました。
 ニューヨークの少年サムが深い森の中で一人で生活した一年間の
 物語。
 森の生き物たちの中で自給自足の生活を送るサムの喜びが輝いて
 いるように魅力的で、一気に読んでしまいました。
 物語の中に “ソロー” という名前が出てきて、オルコットの『花
 ざかりのローズ』にもこの名前と著作『森の生活』が登場していた
 ことを思い出し、そちらも読んでみようと思いました。



 4月30日
 ツバメ号とアマゾン号 上  作:アーサー・ランサム

 岩波少年文庫を図書館で借りました。
 湖とその中に浮かぶ小さな島も、仲間と想像力があれば、冒険の舞
 台には十分すぎるほど。
 ちょうどこれからどうなるのかと思ったところで上巻が終わってし
 まい、1冊になっている方を借りてくればよかったと後悔しました。



 4月14日
 サリーのえらぶ道  作:エリザベス・オハラ

 『サリーの帰る家』の続編。
 仕事が終わり、自分の家に戻って来たサリーの夏の物語。
 15歳のサリーが恋と自分の生き方について悩みます。
 いくつかの出会いがあり、それぞれが助言と未来への可能性を示唆
 してくれます。
 3巻は4月に出たばかりのようなので、図書館で借りられるのはも
 う少し先でしょうか。
 読み終わって、以前読んだ作品を思い出して探してみたら、『ワー
 キング・ガール リディの旅立ち』(キャサリン・パターソン作、偕成社)で
 した。



 4月12日
 サリーの帰る家  作:エリザベス・オハラ

 19世紀のアイルランドを舞台に、13歳の少女サリーの成長を描
 いた物語。
 家の切り盛りよりも勉強をしたいと思っていたサリーが、父の死で
 収入がなくなったため、よその地方に下働きの娘として働きに出さ
 れます。初めは卑屈になり、雇い人の家族や周囲の人々に馴染むこ
 ことができなかったサリーが、一家の危機を共に過ごすことで次第
 に考え方が変わっていきます。
 こういう作品はとても好きです。



 4月7日
 あしたは晴れた空の下で ぼくたちのチェルノブイリ
                    作:中澤 晶子

 1988年に発行された作品を、2011年に改装版として復刊し
 たものです。友人のすすめで読んでみました。
 チェルノブイリの原発事故のときにドイツに住んでいた日本人の少
 年トオルを主人公に、彼の心の動きや家族、友人たちを描いてた物
 語です。
 単に善悪を語るのではなく、12歳の少年の目と心を通して、疑問
 や戸惑い、不安、願いなどが丁寧に描かれて、何が本当の問題な
 のかを考えさせてくれるような作品でした。



 3月28日
 ラストラン  作:角野 栄子

 お母さんの幽霊が12歳の女の子の姿で登場、という部分だけでも
 笑ってしまいます。
 しかも、主人公は74歳の女性で、新品のオートバイに黒いレザー
 スーツで、計画を立てないツーリングに出かけるなんて、わくわく
 します!
 好きなことをやりたいときにやる。やってみたら、何かが変わる。
 読みながらほのぼのしているうちに、背中を押してくれるような物
 語でした。



 3月25日
 やっかいなおくりもの  作:いとう ひろし

 『ごきげんなすてご』の続編。
 絵と文章のタイミングが好きです。
 おねえちゃんの苦悩と思い切った行動も、とても楽しい。
 お母さんたちのおおらかさは、見習いたいかも。



 3月20日
 クリスピン  作:アヴィ

 4月からの紹介に入れようかと思って再読しました。
 名前があることも知らされず、農奴としての厳しい生活しか知らず
 に育った少年が、旅の道化師と出会い、しあわせと自由を求めるよ
 うに変わっていきます。
 何度読んでも深く心に残る作品です。



 3月7日
 王国の鍵7 復活の日曜日  作:ガース・ニクス

 月曜日から始まったこのシリーズも、とうとう最終巻です。
 すべての謎が解ける最後は圧巻でしたが、わたしには、このラスト
 は少し悲しく思えてしまいました。
 もしかしたら、宗教的な違いなのかもしれません。
 そうは言っても、さすがに最終巻だけあって、最後までどうなるの
 かと目が離せない面白さでした。
 それに、一抹の悲しさはあっても、希望のある、楽しいラストシー
 ンなので、思わず「幸せになってね。」と祈ってしまいました。



 3月4日
 心霊探偵八雲 7 魂の行方  作:神永 学

 親子の心のつながりが優しく感じられるような物語でした。
 シリーズが長くなると飽きてしまうことがあるのですが、この作品
 は、読んでよかった、と思いました。



 2月23日
 哲夫の春休み  作:斎藤 惇夫

 わたしが児童書では一番だと思っている『冒険者たち』の作者さん
 の新作です。
 電車の中の不思議な出会いから、哲夫が迷い込む過去の景色、そし
 て、過去と現在が交互に謎を解いていく不思議さに引き込まれまし
 た。
 読みながら、哲夫の性格が気になっていたのですが、最後にはそれ
 にも解決があって、とてもほっとしました。



 2月21日
 ふしぎナゾ最前線!現代科学の限界にいどむ
 最先端科学がときあかす宇宙  監修:伊藤 和明

 子ども向けに天文学の研究を紹介している本です。
 美しい写真とわかりやすい文章で、宇宙の研究がどこまで進んでい
 るのかを解説しています。
 宇宙、銀河、惑星などのほか、ニュートリノの初観測時のエピソー
 ドや「はやぶさ」の仕事にも触れてあり、興味深く読みました。
 2007年発行の本のため、「はやぶさ」が地球に帰還する前ですが、
 その仕事の意味や利用されている技術にも言及されていて、将来、
 研究者を目指したいお子さんが増えそう?
 一方で、科学の分野は進歩が速いので、“最新” の情報を入手す
 ることの難しさを感じてしまいました。



 2月17日
 ギリシア神話  編・訳:石井 桃子 画:富山 妙子

 表紙を見た途端、「この本、子どものときに読んだ!」と思いました。
 この本は2000年が初版ですが、「あとがき」に1958年から20年間、別
 の出版社から出版されたとあり、間違いなさそうです。挿し絵も当時
 と同じ方が描かれています。
 ギリシア神話は大人になってからも何冊か読んでいるのですが、自分
 の読みたいものとは違う、と、ずっと思ってきました。
 この本を図書館で見つけて最初の部分に目を通し、挿し絵を見て、実
 はこの本を探していたのだとわかりました。
 わかりやすい言葉遣いと文章は、ドラマティックに描かれた物語より
 もわたしの心には合っているらしく、広々とした景色や生き生きとし
 た神様たちや人々が目に浮かびます。
 見つけられてよかった、と心から思いました。



 2月10日
 竜退治の騎士になる方法  作:岡田 淳

 久しぶりに読んでみて、やっぱり岡田淳さんの作品は好きだなあ、
 と思いました。
 この作品では普段は外に出さない、自分でもあまり向き合いたくない
 感情をきれいに洗い流してくれるような気がしました。



 1月27日
 べスパー・ホリー物語1 イリリアの冒険
            作:ロイド・アリグザンダー

 少女版インディ・ジョーンズのような雰囲気の物語でした。
 お転婆で賢く、まっすぐな気質の16歳のべスパーと、彼女の後見役
 で亡き父の親友ブリニー氏の迷コンビぶりが楽しい。
 今までのところ、1シリーズごとに、まったく違うテーマや雰囲気の
 作品に出会っているので、とても興味深い作者さんです。



 1月19日
 王国の鍵6 雨やまぬ土曜日  作:ガース・ニクス

 帯に「日ましに自分を失っていくアーサー」という言葉があり、読み
 進みながらとても心配でしたが、とりあえず、それほどではなくほっ
 としました。
 そうは言っても、姿も心のありようも変わってきていることは確かで、
 最後がどうなるのか気になります。
 7巻を買いに行かなくては・・・。



 1月13日
 ころころろ  作:畠中 恵

 しゃばけシリーズもずいぶん長くなりました。
 仁吉と佐助のやさしさも語られて、ほっとする一冊でした。



 1月10日
 リリース  作:草野 たき

 中学生の主人公が、親戚からの期待や友人関係の中で、自分の
 気持ちの変化に戸惑い、もがく様子がせつなく伝わってきます。
 最終的に、期待していなかった母親が救いの行動をとってくれるとい
 う展開が、家族のきずなを確認させてくれるようでほっとしました。





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